外国人社員の定着率向上と活躍の秘訣とは?|外国人採用の注意点~活躍促進の取り組みをご紹介!

専門的なスキルや知識を必要とする仕事に就くことができる「高度(外国)人材」に、人手不足や国際化が進むいま、日本企業からの注目が集まっています。

今回は、「高度(外国)人材」の採用をしている企業に、外国人採用の方法や、採用後の課題と乗り越え方についてお伺いする企画「外国人財採用虎の巻」第2弾をお届けします。

第2弾では、株式会社タウの人事部長である藤久さんさんと、同じ人事部の松井さんにお話を伺いました。

株式会社タウは1996年に創業して以来、国内外のダメージカーの買取・販売をおこなっており、現在では社員の10%が外国人社員で構成されています。

本記事では、積極的な外国人採用をおこなう中で培った「外国人採用時の注意点」や「定着率を上げる方法」「受け入れ体制の整備の方法」について伺った話をまとめました。

外国人採用を検討されている方や、採用後の定着や育成に悩みを抱えている方に、参考にしていただけますと幸いです。

藤久 拓也 | 株式会社タウ 上席執行役員 人事部長 

2003年に中途入社。仕入営業、コールセンターの運営・マーケティング、広報、総務、人事、ドバイ拠点の立上げなど、さまざまな部署を経験。現在は人事部部長として組織体制の構築や人事施策に取り組み、若手社員や外国人社員が活躍できる環境づくりに取り組んでいる。

松井 麗 | 株式会社タウ 人事部 新卒採用担当

大学では国際教養学を学び、外国人教授の影響で社会問題などにも興味を持つ。リサイクル業界でグローバルに展開しているタウに惹かれて2018年に新卒入社。1年目に名古屋支店で営業事務を経験した後、人事部に異動。現在は自身の就職活動の経験をもとに、説明会や面接などを担当している。

20年以上かけて育てたビジネスモデルで外国人社員と海外進出

写真左:松井さん、写真右:藤久さん

―タウでは、外国人社員の方が数多く働かれていらっしゃいますが、まずは事業内容を教えてください。

藤久さん:分かりやすいように、事業を国内と海外に分けて簡単にご説明しますね。

まず国内でいうと、私たちは事故や災害で壊れた車をディーラーさんや保険会社さんから買い取っています。そして買い取った車をWebに掲載し、修理・再利用してくれる業者の方々に販売する、という卸売を20年以上おこなってきました。

日本で買い取った車をWebで世界中の国々にも販売しているため、マーケティングやユーザー対応などで外国人社員の存在は大きいですね。

続いて海外ですが、今まで日本国内で作り上げてきたこのビジネスモデルを海外でも展開していこうとしています。すでに進出もしていて、フィリピンでは4年、マレーシアでは2年ほど経ちます。

東南アジアで走っている車は、日本ほど安全機能がついたものではなく、道路事情も悪いことから事故が多いため、私たちのようなサービスが必要とされているのです。

現在フィリピンとマレーシア両方の拠点で、現地採用した社員たちが日本人社員と一緒に働いています。

―2019年にはWBS(ワールドビジネスサテライト)等でも貴社のビジネスモデルが取り上げられていましたね。

藤久さん:はい。日本では、事故や災害で故障したダメージカーを修理して乗るという習慣はあまりないのですが、海外では一般的で、ニーズがあります。

特に、日本で自然災害が多く台風などで水害に遭った車が増加したここ数年、ダメージカーの買い取りをおこなう弊社への引き合いは非常に増えました。

しかし、車の安全性能が向上している近年、私たちのサービスの活用シーンも減少するだろうと私たちは考えています。

そこで、今は新たなビジネスの柱を創造していくための事業を創ることができる人材も積極的に採用・育成していきたいと考えています。

実際、ダメージカーの販売ビジネスの他にも、中国で新しく車に関わる周辺の事業を開始しています。この事業立ち上げの責任者も外国人社員です。

「語学力や出身地を評価」しただけの外国人採用は失敗する

―貴社独特のビジネスモデル上外国人社員の活躍が求められるシーンが多いように思いますが、外国人社員の方の主な仕事内容は何でしょうか。

松井さん:外国人社員の数は約50名で、国内で働いている社員が20名、海外にいる社員が30名です。タウの全社員が約500名いるので、割合でいうと全体の10%ほどです。

国籍はロシア、中国、香港、イラン、モロッコ、ウクライナ、モンゴル、パキスタン、コロンビアなど14カ国に渡ります。

藤久さん:Web上で車が売れると、その後に請求書の作成や、車を船で運ぶための手続きなどをおこなう必要があります。

そのため、日本国内で働いている外国人社員がオペレーションにあたります。

また、マーケティング職に従事しているスタッフも多いですね。

中国での新しい事業を任せている中国人社員のように、幹部候補として新規事業を任せることもあります。

―外国人社員ならではの強みをうまく活かして事業を拡大されていらっしゃる印象です。

藤久さん:実は「彼らにしかできないことをしてもらうための採用」は以前まで失敗していました。

外国人社員を採用しはじめた当初は、社員の離職率の高さに悩まされていたんです。採用した外国人社員の平均勤続年数は1年未満でしたから。

「外国人は、すぐに母国に帰ってしまうのではないか?」と懸念を抱き採用に踏み切れない企業は多いと思うのですが、当社も採用をはじめた当初はまさにその点で悩んでいました。

―現在は5年以上勤務している外国人社員も珍しくないほど定着率が改善したということですが、なぜなのでしょうか?

藤久さん:以前は英語やロシア語など、語学を話せることを重視して採用していました。

しかし、そのような基準だけで採用したので、「少しだけ働いて辞めよう」「自分の仕事以外はやりたくない」という考えの方もいらっしゃいました。

そのためお互いにうまくかみ合わず、早期離職につながってしまったのだと思います。

松井さん:現在はもっと本質的な部分を見ていて、相手の人間性や人生観、働くことに対する価値観などをしっかり聞くようにしています。

「日本人だから」「外国人だから」などと、国籍の違いを理由に採用基準を変える必要はないと考えています。

―外国人の方の採用方法はどのようにされていますか?「外国人採用チーム」などはあるのでしょうか。

松井さん:大きく新卒と中途の採用チームに分かれて採用活動をおこなっているため、「外国人採用チーム」のような特別な組織はありません。

新卒に関しては、外国語学校の大学や、メディアセンターなどからの紹介が多いですね。海外拠点で働く人は、現地採用をしています。

藤久さん:中途に関しては、外国人専門の紹介会社からご紹介いただくことが多いですね。

こちらはそれなりに採用コストがかかるので、良い手段がないか私たちも模索しています。

松井さん:ただ、口コミも多いです。同じ国出身の外国人たちは日本国内でのコミュニティーをつくっていることが多く、そこでの口コミからの応募や、社員が兄弟や友人を紹介するケースもあります。

タウはリファラル制度があり、人を紹介して入社まですると、社内インセンティブを渡すという制度を設けています。

外国人社員は日本人よりもリファラル採用をおこないやすい感覚がありますので、そういった意味では日本人の採用よりもコストを抑えられることもあるように思います。

藤久さん:あとは、事業内容とか、CSR活動に興味をもって入社してくれる方もいらっしゃいました。例えば「願いのくるま」などがあります。

「願いのくるま」

「願いのくるま」はタウの支援で活動する一般社団法人です。 終末期患者の方を対象に、その方が望む思い出の場所や行きたい場所まで車でお連れするボランティア活動をおこなっています。 社員が中心となり、民間救急車(吸引機やAED、点滴などが全て備わった救急車)をレンタルし、看護師も同伴で、1日かけておこなわれる活動です。
https://www.negai.org/

 

松井さん:Facebookなどでその情報が回ってきて、タウを知ったそうです。

日本で初めて企業がボランティアではじめた活動なので、特に採用活動のプラスにしたいなどの意図はなかったのですが、このような企業ブランディング・採用広報的な活動は今後外国人社員の採用に限らず重要になってくるのではないかと思います。

定着率向上のコツは、外国人でも日本人でも同じ

タウで働く外国人社員のお二人(左:ロシア出身、右:モロッコ出身)

―採用基準を統一する他に、定着率を上げるために具体的に工夫をされたことはありますか?

藤久さん:有休・振休はしっかり取ることができるようにする、リフレッシュ休暇を設ける(5日間連続休暇プラス5万円手当)など、日本人の社員と同様に、基本的なところを徹底しています。

あとは、宗教上お祈りが必要な人は、自由にできるように会議室を開放してあげるということもしています。

―誰にとっても働きやすい環境を整えることが重要ということですね。外国人社員特有の理由で、定着しにくいケースなどはありますか?

藤久さんないですね。よく聞く給料の不満も聞いたことがないです。

松井さん:中国人の方はキャリアアップの交渉が積極的ということは聞いたことはありますが、それくらいですね。

社内の様子

―日本語が難しくて職場に溶け込めない外国人社員の話もよく聞きますが、タウではどうでしょうか。

松井さん:私たちは日本語スキルがN2以上の人を採用しています。

日常生活に差し障りがない語学力を持っているので、そのような課題も現状では出てきていないですね。

―受け入れ体制の整備の面で、何か取り組まれていることはありますか?

藤久さん:社宅を用意するときに少し配慮するぐらいでしょうか。

松井さん:あと就労ビザはこちらで手配しています。

藤久さん:あまり特別なことはしていないですね。

タウの場合はいきなり日本語も話せず、右も左もわからず来るという人が少ないので、生活の中に入っていってサポートをする、メンタルケアをする、ということは現在おこなっていません。

技能実習生の場合は、そのようなケアも必要だと感じています。

―HR NOTEをご覧の企業様の中には、就労ビザや社宅などの受け入れ準備が気になって、外国人採用はハードルが高いとおっしゃる方も多いようなのですが、そこまで外国人だからと気にする必要はないのでしょうか。

藤久さん:ないですね。でも採用するときは結構気を遣います。

やはり自己主張が激しい方も一定数いらっしゃいます。

求めてくるものばかりで、自分の義務を果たさないような人、あるいは自分の義務の範囲内まではやるけど、それ以上は尽くしませんよ、というのが見えている人は採用しないようにしていますね。

松井さん:そのあたりも日本人を採用するときと同じ採用基準で見るようにしています。

それが守られていれば、それほど外国人だからといって、雇用するのが難しいということはないのではないかなと思います。

―他にも、企業様からよく外国籍の方は「文化が日本と合わないのでは?」「意思疎通ができないのでは?」というご質問を受けるのですが、実際どうでしょうか?

藤久さん:弊社に入社している社員に関していうと、採用面接でしっかりと見極めているので、そのような問題はないですね。

見極めるというのは、献身的に動けるかとか、自分本位じゃないか、などです。あとは腰掛けで少しの間だけうちで働こうとしている人ではないかどうか。これも基準は日本人と同じです。

全てを完璧に準備してからスタートさせる必要は無い。都度進化させていくこと

―現在タウの外国人社員の採用に関する課題はありますか。

藤久さん:海外事業をどんどん展開していく予定なので、今後タウでは外国人社員採用にはさらに力を入れていくと思います。

今後東南アジアと中国を軸に海外の事業に力を入れていくので、東南アジアでフィリピン、マレーシアに次ぐ拠点はどこがいいのか今リサーチしているところです。

課題に感じているのは各国での人事制度や評価制度の整備です。

同じ東南アジアでも、タイ、インドネシアとマレーシアで、給料の水準など雇用条件がかなり違います。

マレーシアだと毎年5%ほどの昇給をさせなければいけないなど、国ごとに異なるルールもあります。

このような昇格ルールや昇給率、役職などは今走りながら構築していっているところです。

拠点ごとの評価や制度は各海外事業のマネージャーが、現地の労働法を踏まえながら考えています。

―日本国内で働いている外国人社員の人事制度や評価制度は、日本人と同じなのでしょうか?

藤久さん:一緒です。不具合があったときだけ、急遽対応することはあります。

例えば、以前は人事考課をするにしても、英語の評価シートがありませんでした。人事考課のタイミングになってそれに気づいて、急遽作成したこともあります。

行動評価も、弊社にはコンピテンシー(ハイパフォーマーの行動特性をもとにつくられた行動モデル)があるのですが、全く外国語訳されていなかったので、それを急遽翻訳したこともあります。

―外国人採用は社内制度の整備などが大変そう、などの不安から採用に踏み切れない企業様も多いですが、やってみないと分からないことも多そうですね。

藤久さん:そうですね。はじめる前にすべてがわかるようなことは無いと思っています。

やってみてはじめて必要だと分かることはたくさんありますし、それらに都度対応していくという心構えでおこなっています。

業績の向上に向けた「攻め」の企業戦略としての外国人採用

―まだ外国人採用に積極的ではない企業様に向けて、外国人社員を採用するメリット・デメリットをお伺いしたいです。

藤久さん:外国人だからポジティブとか、発想がユニークとかはないですね。ただ、周りにいる日本人社員にとっては、すごく刺激にはなると思います。

日本語で普通にコミュニケーションが取れますし、その人のバックボーンみたいなことに触れることができるので、世界観がちょっと広がる、というのがありますね。

デメリットとして多少雇用に関する手続きが煩雑になることがあるかもしれませんが、タウではそれ以上にその社員が活躍して業績に寄与してくれるメリットの方が大きいと考えています。

―国籍を問わず優秀な人材を集めるための手段として、外国人の採用を視野に入れる、ということですね。

藤久さん:はい。日本人であろうと外国人であろうと、企業成長をドライブさせる優秀人材は今後も広い視野で募っていきたいと考えています。

タウの中国での新しい事業を統率しているのは中途で採用した中国人の社員ですが、入社してから10年弱と、かなり長く働いています。

販売オペレーターとして中国語と英語を駆使して活躍してくれていたのですが、約2年前に中国進出の計画が出てきた時、責任者候補として彼の名前が挙がりました。

車をコーティングする技術が必要になるサービスなのですが、彼は今までインターネットを使って車を販売していたため、まったく畑違いからのスタート。

それにもかかわらず、日本国内でメーカーの研修を1か月ぐらい受けた後に、行った翌月からエプロンやメガネをして実際車を磨く業務に率先して取り組んでくれました。

今では中国に常駐して、現地のマネジメントをしつつその技術をアルバイトの子たちに教えているのですが、彼はそれを全然苦にしていなくて。

むしろ会社の新しいチャレンジに携われることに喜びを感じてくれているようです。

フランチャイズ展開などについても視野に入れ経営の勉強をしてくれている最中で、彼は起業家精神の塊だなと思います。

このような人材は全社的に育成・輩出していかなければならないと考えているところです。

―最後に、外国人採用を検討されている企業様へのメッセージをお願いします。

藤久さん:いままでお話したことのまとめになってしまいますが、まずは国籍関係なく相手の人となりや価値観、仕事観について知り、採用時点からミスマッチを防ぐことが大切だと思います。

それから、すべてのことを事前に知ることはできないので、外国人社員向けに整備が必要なものは都度対応していく、という柔軟さも重要なのではないでしょうか。

基本的には、日本人社員にとって働き心地の良い職場環境であれば、外国人社員もおおかた働き心地が良いと感じて、長く勤めてくれるのではないかと思います。

編集後記
株式会社タウさんは、事故や災害時に使用できなくなってしまった車(損害車)を買い取り、状態によって「中古車」「自動車部品」「素材」にリユース・リサイクルをして販売をする、というユニークな事業をされていらっしゃいます。

このような社会的意義の大きな事業をされていることに共感し、タウのさまざまな事業や取り組みにほれ込んで来た優秀な外国人材が、活躍できるような体制を「走りながら整備する」と語る姿から、20年以上続く会社でありながらも、ベンチャースピリットを感じました。

取材に伺った際、何よりも外国籍の社員と日本人の社員が和気あいあいとされている様子が印象的でした。今回お話を伺った人事部長の藤久さんも「うちは風通しがいい会社です」とおっしゃられていた理由が、よく伝わってきました。

「外国人採用」と聞くとつい「いろいろな準備が必要なのではないか」と身構えてしまう方も多いのではないかと思いますが、今回取材させていただいたタウさんのように「まずはできるところまで準備をして、後はやりながら整備していく」スタンスがとても重要なのではないかと感じました。

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