こんにちは!HR NOTE編集長 根本です。
先日、そめひこ氏が前職を退職し独立するという記事を拝見しました。
そめひこ氏といえば、
- リファラルリクルーティングで採用決定数を4倍に伸ばしたり、
- 人事未経験なのに半年以内で中途内定者を35名獲採用したり、
- 社長によって自分の部屋を砂まみれのビーチにされたり、
- 社長の愛車を「痛車」にして仕返ししたり、
数多くの逸話を残しており、人事領域やWEB領域では、有名な方です。
そこで今回は、そんなそめひこ氏にさまざまなお話を伺ってみました。
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寺倉そめひこ|株式会社LIG 執行役員
立命館大学を卒業後、経営コンサルティング、広告代理店、藍染師を経て株式会社LIGに入社。執行役員として、人事領域、メディア領域の業務に従事。
2016年3月に株式会社MOLTSを立ち上げ独立。Webメディア、人事領域のコンサルティングや自社メディア・サービスの立上げを行っている。
目次
株式会社MOLTSを設立。みんなで祝杯のビールをあげたい
― 前職を退職されて起業するという記事を拝見したときは驚きました。なぜ起業しようと思い立ったんですか?
そめひこ氏:
独立をしようと思ったきっかけに関して言うとですね。
本当に自分のやりたいことは何かを考えなおしたことと、一緒に仕事をしたいと思う方々が多く増えてきたことですかね。
色々一気に仕事をこなすタイミングでパンクしちゃった時期があって、全部コントロールできなかった僕の責任なんですけれども。
そのときに本当に自分がやるべきことっていうのは何かないのかなって、今本当にこのままでいいのか、っていうことをずっと考えたタイミングがありました。
そのときに気づいたのは、社外の人たちでも一緒に仕事したい人たちがいっぱい増えていたんですよね。前職の仲間ってむちゃくちゃいい人たちなんですよ。みんな好きだし、みんないい人ばかり。
ただ、社外の仲の良い人たちとも一緒にやっぱり仕事したいなと思いますし、それこそ同じ人事の方と仕事をしたいと思うときもあります。
そう思い始めて、どうしたらそういうことが出来るんだろうかと考えたときに、いくつかのビジネスアイデアが思い浮かび、独立という言葉が頭の中に強く浮かんできましたね。
― 起業して次はどのようなビジネスをやるのか教えてください。
そめひこ氏:
大きく分けて3つの事業領域に分かれてます。
1つがコンサルティングです。プランナー的な立ち位置に立って、今までずっとやってきたメディアの領域と人事領域、特に採用に関するコンサルティングを行っていく予定です。それらの領域に対して企業の方と一緒に考え、組み立てて、スケールさせていきたいと思っています。
2つ目がサービスをパッケージとして提供することです。例えばコンサルティングで企業に入ったときに、どう考えてもマンパワーが足りない、追加人員が必要なケースが出てくるとします。そのときに必要とあらば、その労働力の部分をパッケージにして販売していくこともやってます。
たとえば「Wantedlyの求人を30件作りたい、作ったほうがいいです」というような話になった際に、「じゃあ30件作れる部隊を僕が整えるので、いくらでやりませんか」という提案を行っています。
最後がサービスやメディアです。人事領域に関するメディアの立ち上げる予定です。人事のノウハウをナレッジ化できるようなメディアを目指していますが、具体的な内容に関しては、リリースするときにお知らせしたいと思います。
― 社名はなんとおっしゃるのですか?
そめひこ氏:
ローマ字の大文字で、MOLTS(モルツ)ですね。
― ビールのモルツが連想されますが、何か関連があるのでしょうか?
そめひこ氏:
完全にビールですね(笑)。
社名に込めた思いに関しては、2つあって、ビールのモルツってMAでMALTSなんですよね。
弊社はMOにしてるんですよ。MOにしたときのモルツの意味は脱皮するっていうような意味があります。
今まで既存のサービスだったりとか、マネタイズされている領域、されてない領域とか色々あると思うんですけども、それを脱皮させてより良いものに変えていきたいという想いがあります。
もうひとつは、僕はこういうことがやりたいっていうのがあんまりなくて・・・。
どちらかというと、誰とどこを目指しているのかってところに生まれるその協働体形が大好きなんですよ。昔からそれは変わってなくて、やることは何でもいいと。
ただ、失敗や成功などの体験を生みだすいい協働体形をいかにつくるかですね。成功体験が生まれたら祝杯のビールをあげるじゃないですか。
そのときのビールが、僕そこまでお酒強くないんですけど、その雰囲気が大好きで、そのときは苦手な僕でも美味しく感じるんですよね。
そういう祝杯のビールを飲みに行くっていう意味も込めてMOLTSっていう社名です。
藍染師からWEBの世界へ
― そめひこさんの経歴を拝見すると経営コンサルティングファーム、広告代理店、藍染師、WEB、独立という流れですが、藍染師だけ異色に感じました。藍染師になろうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
そめひこ氏:
ちょっと過去の話からすると、僕野球部だったんです。地元の公立高校で、あまり強いとは当時言いづらい高校だったんですよね。
そのときにたまたま、甲子園に行きたいっていうマインドを持った仲間が何人か集まっていて、本気で甲子園いくことを目指し始めたんですよ。
ほとんど例年通りの練習メニューを同じように行ったとしても甲子園には届かないのではないかと思って、「自分たちで練習メニューを考えさせてください」って監督に頭下げて、自分たちで考え始めていって、元旦からバッティング練習するとか、朝も集まって、夕方も夜遅くまでやってました。
そんなことをやっていたら最終的には甲子園にはいけなかったんですけど、ベスト8まで進んだんですよ。
ベスト8まで行けたのってその高校ではすごくて、悔しかったんですけど、野球やっててすごいよかったなと思ったんですよ。
― 僕も部活経験者ですが、昨年1回戦負けからベスト8だと本当にすごいことですよね。
そめひこ氏:
それで、野球やっててすごいよかったなって思ったら、これ野球じゃなくてサッカーだったらどうだったって思ったんですよ。
でもサッカーでもよかったんですよ。結局、甲子園目指して仲間と一緒に目標に向かって走ってその想いを共有できるのが大好きで、それがかけがえのない宝物になってるなって気づいたんです。
そうやって大学で学生団体やったりとか、最初の会社や2社目も経験させてもらったんですけど、甲子園を目指す感じじゃないなって思ったんですね。
独立も考えてて、じゃあ何をやるかってなったときに、自分が経験のあるコンサルや営業は、過去の人たち頼ってしまうと思ったんで、全く自分が飛び込んだことのない領域に飛び込もうと思って検索してたら、職人は無かったんですよ。
人脈も知識も経験も何も無かったんですよ。デザインすることはできないけど、色を吹き込むことならできるだろうと思って藍染の職人、なおかつ単色の藍染っていうことをやってました。
単色といってもものすごくいろんな色があって複雑なんですけど(笑)。
― そこから前職との出会いにつながっていくわけですね。
そめひこ氏:
修行が終わって、最初、服の染めかえサービスをやろうと思ったんです。小さな需要はあるんじゃないかなと。
そこでネットを使って募集をかけようとなって、僕の周りのWEB系の知人のフォローしている人たちを片っぱしからFacebookでフォローしてたら、たまたま前職の記事を見たんですよ。それでこの会社だって思ったんですよね。
前職は何をやってる会社なのか分かんないけれども、どれも記事上から人がすごい見えるんですよ。
この人たちと一緒に働きたい、何かしら目指したいと思って、たまたまあった求人にエントリーして、拾っていただいたっていうような感じです。
人事は奥が深い。見えないことだらけの世界で人と人とつなげていく。
― そめひこさんは前職で人事業務もされていて、いくつかメディアにも取り上げられていますが、人事業務を行っていく中で気づきや感じたことを教えてください。
そめひこ氏:
2つあって、1つは絶対に奥が深すぎて見えないものだと感じました。
MOLTSでも人事メディアを立ち上げようと思っているのですが、最初としては、この奥が見えないものをほじくり返したい、いろんな人に話を聞きたいっていうマインドはすごくありましたね。
人事メディアを立ち上げるから偉そうに人事のこと話すかっていうとそうじゃなくて、ものすごく著名な人たちや優秀な人たちがたくさんいる領域のノウハウをナレッジ化していこうと思っています。あらためて本当にむちゃくちゃ奥の深いものだったなあと思います。
もう1つが人と人、人と企業、人と制度だったりとか、「と」となる重要な部分を人事が担ってると思ってるんですよね。
「と」となる部分が上手くいけば、会社も盛り上がるんだなということは実感しました。
例えば僕が人事やっていたときって、財務面と経営面とか、事業責任者とどうマージさせて、前に進めていくということを考えていかなきゃいけないんですよ。
財務面であれば予算カットとかですね。経営面でいうと彼らの考え方であったり、社長の考え方であったりとかも採用するときに浸透させていかなきゃいけないとか。
事業責任者はそもそも、それでリアルにお金を稼いでるっていうところで、とはいえ、財務や社長の要望も聞くけれども聞けない部分も現実問題としてはあると、事業部長からは逆にこういう要望がくると。
それぞれの立場があって、言ってることが違ってきますが、それをどううまくまわしていくのかっていうことで、ここが崩れたら会社って崩れていくんだろうなというのはうすうす感じてました。重要なポジション任させられと痛いほど感じましたね。
― 奥が深いというのは、具体的にどのようなときに感じましたか?
そめひこ氏:
たとえばですね、変数が多すぎるっていうのがすごいありました。
マネージャーをやっていたときも、10人いれば10人のやり方がもちろんあって、同じような形でやると失敗するケースももちろんあるし、それも自分がやるか、相手に求めるかっていうバランスもすごい大事でした。
また、その中でもルールがいくつもあって、ルールもあるし変数もあるし、もう分かんないことだらけなんですよね。
― 入社してからどのぐらいの期間で人事のポジションは任されたんですか?
そめひこ氏:
入社してメディア事業の責任者を2年弱やって、そこからすぐにですね。
ランチのときに社長から「組織をちょっと変動するんだけどお前何やりたいの」って言われて、「人事ですかね」って言ったら、「分かった今日から人事」っていう感じで決まりました(笑)。
― ものすごいスピード感ですね(笑)。そのときにどうして人事をやりたいって思ったんですか?
そめひこ氏:
やっぱり魅力的だなと思ったんですよ。
自分が事業責任者やってるときに、優秀な人材が1人入ったときに、事業が一気にスケールするケースがたくさんあったんですよね。逆にスケールしてないっていうときもありました。
自分が仕組みを作れていないのが原因なんですけども(笑)。
人っていうのが会社を作っていて、なおかつ事業であったりとか組織だったりとかカルチャーだったりとかを作っていくんだなって考えたときに、そこを司る人事っていうのはすごい魅力的だったなと思いました。
― 人事業務において大事にしていた価値観を教えてください。
そめひこ氏:
人事って大きな観点でいうと、社長が考えていることや各人の声を聞いて、いかにそれらをバランス良くまわしていくのかっていうところがすごい重要だと思いました。
それは採用、給料、人事制度もそうだし、社内調整のスペシャリストが人事をやるべきだなというふうにすごい思いました。
採用に関して言うと、自社とマッチングするだろうという人がいても、100%マッチングすると言われると分かんないんですよ。
この人が会社入ってものすごく活躍するかどうか、マジで分かんない。
そう考えたときに、採用って人を採るっていうところだけを見るのではなく、どちらかというと採用に入るタイミングで仲間たちと一緒にコミュニケーションをとってもらって、一緒に働く覚悟を持てるかどうかっていう気持ちをいかに持たすのかも重要じゃないかと思いました。
多分マッチングしてるだろうって部分と、その他のマッチングしていないだろうっていうリスクの部分を、社内のメンバーに「この人と一緒に絶対働いて成功させる」っていうマインドを持たせたら、成功する確率ってすごい上がるじゃないですか。
人事に関する課題をできる限り解き明かして、人事から日本全体を面白くする
― 最後になりますが、そめひこさん自身が持っていらっしゃる今後の展望のようなものってありますか?
そめひこ氏:
人事に対する思いに関しては、各企業において人事ってむちゃくちゃカラーがあるなと思ってます。
ただ、人事は社長や事業責任者の駒とはならずに、「良い採用をしよう」と思ったらそれが会社のためになるのであれば、社長や事業責任者と喧嘩していくべきだと思うんですよ。
言われたことだけやる人事の方もいれば、自分で考えてゴリゴリ動かしていく人事の方ももちろんいる。
どっちが悪いっていうわけでもないですし、その2つのタイプの人たちがそれぞれにいろんな思いを持っていて、人事にかける思いに関していうと、そこに労務、採用、評価、組織制度、教育とか様々な領域が人事って言葉に含まれている。
それを全て学ぼうと思ったら多分もう学べないぐらい、深いものなんだろうなと思っています。
絶対に正解がある領域じゃないんですよ。人が関わってくるんで。
モットーとかっていうのは全然ないんですけど、人事に関わる課題や悩みをできる限り解き明かしていくようなことはずっと見続けたいなと思います。自分がもう人事にならなかったとしても。
そこの部分がコンテンツとしてナレッジ化されて、それを見て意思決定が早くなれば、人事はもっと盛り上がっていくだろうし、なおかつそうすることによって人事は会社の骨格になると僕はすごい思ってるので、人事が盛り上がっていけば、会社全体が盛り上がって日本全体が面白くなっていくだろうなって、そうしていきたいという思いはありますし、そこに関わっていきたいと思います。
最後に
いかがでしたでしょうか。
「人」という要素が多く関わってくる人事領域では、不確定要素が多く、正解が見えないことが多くあるかと思います。
ただ、人事は会社を支える根幹の部分であり、人事の頑張り次第で会社の成長スピードが変わってくる、重要なポジションであるということをあらためて再認識できる機会となりました。
そめひこさん、本当にありがとうございました。