ボーナスは支給すべきか?メリット・デメリットを人事部視点で考える | 人事部から企業成長を応援するメディアHR NOTE

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ボーナスは支給すべきか?メリット・デメリットを人事部視点で考える

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給与基準を決める際に「ボーナスを支給するべきか?」というような悩みを抱えている人事担当者の方がいらっしゃるのではないでしょうか。

本記事ではボーナスが企業に与える影響について、ボーナスがある企業とそうでない企業におけるそれぞれのメリット・デメリットを人事視点からまとめました。

そもそもボーナスがある企業とボーナスがない企業には、どのような差があるのでしょうか。

そもそもボーナス(賞与)とは

ボーナス(賞与)とは、固定で支払われる給与に加えて支払われる給与のことです。

労働基準法の中でも労働者に支払う賃金の種類の1つとして記載がありますが、企業が必ず支払わなければならないと定められているわけではないため、ボーナスを設定している企業もあれば、設定していない企業も存在します。

ボーナスのある企業では、一般的に夏と冬の年2回支払われることが多いようですが、支払い回数や支払日など、企業が独自にルールを設定することができます。

(ちなみに、公務員のボーナス支給日は、夏が6月30日、冬が12月10日です。)

ボーナスの平均支給額

【参照】毎月勤労統計調査-令和元年9月分結果速報等|厚生労働省

ボーナスの平均支給額について見てみましょう。

厚生労働省が公表している「毎月勤労統計調査」によると、2019年における夏のボーナスの平均支給額は38万1,520円となりました。

企業規模別にみると、5~29人で26万1,268円、30人~99人で33万1,267円、100人~499人で43万1,227円、500人以上で65万3,688円となっており、企業規模が大きくなるにつれてボーナスの平均支給額も増加していることがわかります。

業種別では、「電気・ガス業等」が77万9,700円と最も高く、反対に「飲食サービス業等」が6万2,688円と最も低くなっています。

ボーナスの支給形態は企業によって異なる!

ボーナスの金額が固定されている企業、業績連動型の企業、個人評価に基づいて算出する企業など、ボーナスの支給形態は企業によってさまざまです。

また、給与が年俸制で「年俸を16で割って4カ月分をボーナスとして支給する」、あるいはボーナスは純粋に「賞与」であり、通常は支給されないが業績好調などが理由で臨時支給されるなどの場合もあり、賞与の計算方法から査定方法まで、多岐にわたるケースがあります

2020年のボーナスの平均支給額は、新型コロナウイルス感染拡大により企業の利益率が下がっているため、ボーナスの平均支給額は減少することが予想されています。

「ボーナスがある企業」の場合

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ボーナスありのメリット

それでは、ボーナスがもらえる場合のメリットを考えてみましょう。

真っ先に思いつくのは、従業員のモチベーションを上げることができる、といったところでしょうか。

頑張った分、賞与金額が増えるということであれば、従業員のモチベーションは確実に上がることでしょう。

人事評価に基づいて賞与額に差をつける場合、従業員の向上心を刺激できる可能性もあります。

さらに、業績連動型であれば、業績不調の際はボーナスの支給額が減るため、業績にあわせて人件費のコントロールを行いやすいことも挙げられます。

また、一定の時期にまとまった金額を手にすることができるため、従業員側としては貯蓄もしやすいのではないでしょうか。

ボーナスありのデメリット 

反対に、ボーナスを支給する場合のデメリットはどのようなものでしょうか。

ボーナスを支払う大きなデメリットは、離職が同一期間に固まってしまうリスクがあることが考えられます。

中途採用市場でよく見られますが、ボーナスをもらってから離職を考えている方は多く存在しており、人員が大きく変動するリスクは組織運営に多大な影響を及ぼします。

また、業績が悪化した際などは、最悪の場合ボーナスの支給が0円なんてときも考えられ、業績によって支給額が左右され、従業員のモチベーションが下がるということもデメリットにあげられるのではないでしょうか。

さらに2003年4月から新たに、ボーナスにも月給と同じ社会保険料率をかける「総報酬制」という制度が生まれました。

これにより、ボーナスをどのくらい支給するか、年何回支給するか、どんな形で支給するかによって、社会保険料の負担金額が変わってきます。

総報酬制を考慮せずに高額のボーナスを支給していると、実は社会保険料の負担によって損をしている可能性があります。 

「ボーナスがない企業」の場合

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ボーナスなしのメリット

ボーナスがない企業には、そもそも基本給が高めに設定されているため、相対的にボーナスが出ないという特徴があります。

年棒制などの会社も同様で、多めの基本給が企業から支給される場合には、ボーナスがでません。

メリットとしては、ボーナスは業績と連動させるケースが多いため、基本給が多くてボーナスがない企業の方が従業員にとって有利とする見方もあります。

基本給は一度上げたら下げにくいことから、業績が悪くなったとしても、月給が一度に大きく下がることはあまりなく、安定した収入を得ることができます。

ボーナスを支給する代わりに月々の給与に賃金を転化させている企業側にとっては、ボーナス支給の手間を省け、ボーナスのためにお金を用意しなくても済むメリットがあります。

また、年俸制だと従業員に支払う人件費が明確になるため、経営計画を立案しやすく企業運営にとって大きなプラスになるのではないでしょうか。

ボーナスなしのデメリット

逆にデメリットとしては、従業員側はボーナスという目に見えたご褒美がないので、年に何度かある「お楽しみ」がなくなってしまい、給与面からモチベーションをあげにくいことがあります。

また、ボーナスがないことで大きな買い物や貯金ができにくいということもあるのではないでしょうか。

また、ボーナスなしの企業は基本給を多めにしているケースがほとんどですが、その中に残業代が含まれている場合も多く、残業代が出にくいこともモチベーションの低下につながる可能性があります。

まとめ

ボーナス
支給あり
メリット
  • 給与面における従業員のモチベーション向上が見込める
  • 業績に合わせた人件費のコントロールが可能になる
  • 従業員は大きな買い物や貯蓄がしやすい
デメリット
  • 同一期間に離職する人が固まるリスクがある
  • 業績悪化の際に従業員のモチベーションが低下する恐れがある
  • 年俸制と同じ年収でも社会保険料を多く支払うことになる可能性がある(「総報酬制」を考慮しなければならない)
ボーナス
支給なし
メリット
  • 基本給が高めに設定されており、従業員は安定した収入を得やすい
  • そもそものボーナスを支給する手間が省ける
  • 年俸制であれば人件費が年間で固定されるため、企業運営にプラスになり得る
デメリット
  • 給与面から従業員のモチベーションを上げにくい
  • 従業員は大きな買い物や貯金がしにくい
  • 年棒制は残業代も含まれていることが多く、残業へのモチベーション低下につながる可能性がある

最後に

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いかがでしたでしょうか?

「ボーナスがない会社=年収が少ない」と思っている方がいるかもしれませんが、ボーナスがないほうが年収が多くなる場合も当然あります。

特に新卒採用に関してありがちですが、ボーナスがないことを懸念に感じる学生がいた際は、そのあたりをしっかりと訴えて安心感を与えていきましょう。

もちろん、今回取り上げさせていただいた内容がすべてではなく、各企業、自社に合わせた形態で実施していることかと思います。

ボーナスのある・なし、どちらも企業の状況次第でメリットやデメリットがあり、よく社内状況を鑑みた上で比較検討していくことが重要でしょう。

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