皆さんは「タレントプール」という言葉を聞いたことがありますでしょうか?
採用は、「求人を出している企業」と「仕事を探している応募者」がお互いの要望や条件を刷り合わせ、マッチングして成立するものです。
ただ、中には選考途中で不合格にしてしまった応募者や、内定を出しても辞退されてしまった応募者がいて、人手不足の際に「あの時のあの人、実はもったいなかったんじゃないか」と後で思い起こすこともあるのではないでしょうか。
採用での縁は一度切りというケースが多くありますが、タレントプールはそういった「もったいなかった」と感じる応募者とのつながりを保っておくための手法です。
今回はタレントプールとその方法に関して紹介します。
目次
タレントプールとは?「優秀人材のデータベース」を構築しよう
採用は恋愛と似ていると言われますが、たとえば恋愛で好きな人ができたとき、「付き合えそうか」または「付き合ってうまくやっていけそうか」など、その人のことを理解しようと努め、また自分をアピールして気にかけてもらおうとします。
そこでうまくいけば付き合えることになりますし、いろいろ知っていくうちに「自分が思っていた人じゃなかった」「結婚していて子供もいる」「自分はあの人の好みのタイプじゃないみたいだ・・・」「やっぱり自分と合わないかも」と、どこか気持ちが冷めてしまうこともあります。
採用も同様に、企業と候補者、お互いのことを理解しようと面接や面談を行い、「本当にこの人、この企業でいいのか」と納得できるまで見極め、その後入社に至ります。
しかし時には、「もう少し経験があれば採用基準に届くが、今は内定が出せない」「内定を辞退された」「採用基準は超えているが、他にもっと優秀な人材が数人がいて採用人数の関係で内定を出せない」「ものすごく優秀で欲しい人材だが、空きポジションがない」「是非自社で働いてもらいたいが、現職で働いているためタイミングが合わない」など、惜しくも良縁とならなかったケースもあります。
恋愛において「今は付き合うことが難しそうだが、あきらめきれない」という場合、皆さんはどうしますか?
定期的にコンタクトをとっておきながら様子を伺い、付き合えそうなタイミングがきたらプッシュするなど、そのようなお考えをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そして「タレントプール」は、恋愛のように来るべきタイミングを逃さず、意中の人材と継続的につながっておくための、『自社の採用候補者となり得る“優秀人材のデータベース”』を意味します。
過去に面接した応募者も含め、自社に合いそうな人材を把握しておき、定期的にコミュニケーションをとってタイミングが合えばあらためて自社求人への応募を促すなど、タイミングのズレなどによる機会損失の解決手段として活用することができます。
タレントプールを構築して活かすには?
タレントプールを活用するための方法として、大きく以下が挙げられます。
- 自社の求める人材をプールしていく
- プールした人材のデータベースをつくっていく
- 定期的にコミュニケーションをとり、タイミングをみて求人案内を行う
自社の求める人材をプールしていく
内定を辞退されたり、惜しくも不合格であった方をプールしていくことはもちろんですが、Facebook、LinkedinなどのSNSを活用して自社に合いそうな方に対して積極的にメッセージを送ってアプローチしてつながりを築いたり、Switch.やWantedly、TalentBaseなどの転職サービス、マッチングサービスで候補者とつながるなど、さまざまな方法で人材をプールしていくことができます。
また、自社の求める人材が興味を持ちそうなイベントや勉強会、交流会を定期的に実施して、多くの方々とつながる機会をつくっている企業もあります。
ここで重要なのは、誰でも良いわけではなく、あくまでも自社に合いそうな人材を中心にプールすることです。せっかくタレントプールができても、質が伴わなければ意味のないものとなってしまうことでしょう。
プールした人材のデータベースをつくっていく
そこから、自社に合いそうな人材を見つけた場合、プールしていくための受け皿をどうするかという問題があります。
そちらに関しては、LinkedInを活用していればLinkedIn上でプールすることができますし、Facebookであればファンページなどを活用することができます。
もちろん、Switch.やWantedly、TalentBaseなどでもタレントプールをつくることは可能です。
さらには、採用管理システムを活用してタレントをプールすることもでき、応募をしてくれたけれど入社に結びつかなかった優秀な候補者のデータを管理することができます。
採用管理システムは安価に利用できるものも多くでてきているため、今後導入が進んでいくのではないでしょうか。
定期的にコミュニケーションをとり、タイミングをみて求人案内を行う
せっかく自社に合いそうな優秀な人材とつながり、データベースにプールすることができても、その後の連絡を一切怠ってしまうと、自社に対するマインドシェアが下がってしまい、採用可能性が低くなってしまう恐れがあります。
そこでFacebookへの投稿、ブログ記事の更新、メルマガ配信、交流会などをおこない、イベント情報やニュース・トピックなどの自社情報の発信をしていき、「最近いかがお過ごしでしょうか」「今度のイベントに参加しませんか」と定期的に連絡をとっていく必要があります。
そして、採用ポジションに空きが出たときに最適な候補者に対してコンタクトをとっていきましょう。
また、どうしても口説いきたい人材の際は「タイミングさえあえばいつでも歓迎する」といったようなラブコールを送り続けても良いでしょう。
最後に
いかがでしたでしょうか?
タレントプールの形成には時間と労力がかかるかもしれませんが、仕組みができてしまえば、求人広告や人材紹介に頼ることなくコストを抑えて優秀な人材を採用できる可能性もあります。
採用に応募してきた人との縁を一度きりにしないで、「数年後にタイミングが会えばお願いします」といったコミュニケーションが、今後多く生まれてくるかもしれません。