メドピアCOO林光洋氏に聞く、組織の力を引き出し事業を加速させるチームづくり | 人事部から企業成長を応援するメディアHR NOTE

メドピアCOO林光洋氏に聞く、組織の力を引き出し事業を加速させるチームづくり | 人事部から企業成長を応援するメディアHR NOTE

メドピアCOO林光洋氏に聞く、組織の力を引き出し事業を加速させるチームづくり

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※本記事は、主催企業や登壇者/登壇企業に内容を確認のうえ、掲載しております。

株式会社JAM主催のトークLIVE「アレすご」。

今回は、メドピア株式会社 取締役COOの林光洋さんをゲストに迎え、組織づくりの裏側についてお話をされました。

上場後に業績が停滞した同社は、林さんの参画後に業績が回復。林さんがどのようにチームの力を引き出し、どのように成長基調に戻していったのか、その内容をご紹介します。

【人物紹介】林 光洋 | メドピア株式会社 取締役COO 

1996年藤田観光株式会社に入社。2003年12月に株式会社ディー・エヌ・エーに入社。子会社の社長を経て、2009年に執行役員EC事業本部長に就任。大手企業とのJV設立や協業を手掛け黒字化まで推進。2013年3月に同社を退社後、ベンチャーや大手企業の各種プロジェクトを支援。2015年4月にインキュベーションを主業とする株式会社ベータカタリストを創業し、取締役に就任。2015年11月に同社が設立した医療プラットフォームを提供する株式会社Mediplatの代表取締役CEOに就任。2016年7月にメドピア株式会社に参画し、同年12月に同社取締役COOに就任。

【人物紹介】水谷 健彦|株式会社JAM 代表取締役社長

(株)リクルートエイブリック(現リクルートキャリア)などを経て、2001年創業間もないリンクアンドモチベーションに入社。事業責任者、取締役を歴任。リアリティと再現性を兼ね備えたコンサルティングの提供を目指し、株式会社JAM設立。急成長企業の組織課題解決に向け、クライアントの組織戦略策定および実行に携わっている。

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【Before】上場後の成長の踊り場 次の一手が出せず苦しむチーム

水谷:「『変える』のではなく『引き出す』ということ~組織の力を引き出し事業を加速させるチームづくり~」というテーマで内容を伺っていきたいと思います。

林さんが入社されたのは2016年の第4クオーターですので、年度が終わりそうなときにジョインされている。売上を見ると2016年度はそれなりに厳しい状況だったようですね。


:ご縁があってメドピアに参画することになったのですが、当時は新しい事業機会を見いだせずに苦労していました。

そのときに驚いたのが、何人かのメンバーが、「新規事業をやったことないので分からないんです」と言ったことです。

私としては、「メドピアは創業から事業を立ち上げてるし、上場までしてる。それなのに立ち上げ方が分からないってどういうこと?」という感覚で、違和感がありました。

水谷:新規事業のやり方が分からないというのは、原因①のことですよね?


:そうです。メドピアの事業の主戦場は製薬会社さんの医薬品マーケティング支援です。製薬会社さんの販促費の中心というのはMR関連費用で、そこに1兆円以上が使われています。

また、製薬会社は、医薬品マーケティングにおいていろいろ課題も抱えている背景もあり、ここで起こせるイノベーションやチャレンジはいっぱいあると思いました。

メドピアは、医師が立ち上げたユニークな会社で、「Supporting Doctors, Helping Patients.」という理念の元、医師の集合知から成り立つサービスをここまで創り上げてきました。

これは絶対活用できるはずと、私には、事業を考える上で宝の山のように見えました。しかし、競合が強くみんな悲観的でした。別に誰が悪いとかは全然なく、会社全体がそういう雰囲気になってしまっていたんです。


水谷
:②理念と利益の非両立意識に関してはどうですか?


:「Supporting Doctors, Helping Patients.」という理念へのこだわりが強く、何かあると「それがSupporting Doctorsになるのか」という話になりがちでした。

理念が軸にあることは悪くないんですが、どこか売上・利益計画の達成から逃げる言い訳に使ってしまっている印象がありました。

でも同時に、すごくいいなとも思いました。当時50人程度の組織でしたが、ここまで全員が口を揃えて「Supporting Doctors, Helping Patients.」と連呼する会社なんです。

これは私自身、これまで経験したことのない組織で、この風土はすごく貴重に感じました。

ですので、この風土の良いところは尊重しながらも、「でも利益が出ないと事業は持続できないし、持続できないと社会的インパクトを起こせない。」とみんなに呼びかけていきました。

【After】メンバーのオーナーシップに火がつき、成長する組織へ

:とにかく創りたかったのは、「コトに向かう」組織です。これは、私が以前いたDeNAで、現会長の南場さんがよく使っていた言葉です。

「コト」というのが事業ということなのですが、DeNAでは誰と話しても全ての議論の中心に事業があったんです。

この事業はどうだったらうまくいくか。つまり、世の中のためになり、人に使われるもので、売上・利益がちゃんと出て継続できるものです。

私はすごくこのDeNAの組織へのリスペクトがあるので、メドピアの良い部分を活かしながら、「コトに向かう」風土にしていきたいと思いました。何よりまずは事業からです。事業をつくる活動を通じて、組織をつくっていきました。


水谷
:メンバーのオーナシップに火がついて成長する組織になったそうですね。どれくらいでメンバーの意識は変わったのですか?


:感覚的には1ヶ月です。


水谷
:めっちゃ早くないですか?1ヶ月でそこに至ったということですか?


:100%じゃないですが、そもそも50名程の組織だったので、それほど大変ではなかったです。

もちろん50人全員がいきなり変わったわけではないです。ここは本当に恵まれていたと思いますが、まず6人くらいいた部長たちが瞬間的に自らリーダーシップを発揮してくれました。

彼らは、元々コミットメントもしっかりとあって、なんとかしなくてはと思っている状態でした。しかも私のような外から来た人の話をちゃんと聞いてくれました。

成長の踊り場を抜け出すための5つのポイント

1.組織の上から着手する

水谷:組織が変わって再成長できた背景にあるポイントを、1個ずつみていきたいと思います。まずは、「組織の上から着手する」について詳しく教えてください。


:これは先ほどの部長陣の話です。とにかく最初は仲間を増やしたほうがいい。弊社の場合、幸いにも部長陣がすぐに同じ意識になってくれたのが本当によかったです。

当然私なんかより彼らのほうが、やるべきことも、医療・製薬業界のこともよく知ってるわけです。私はそれを“あえて”ですが、「そんなことないでしょ」と真っ向否定しました。

しかし、若干いじわるに否定したことも、素直に「確かにそういう見方もあるな」と言って再考し始めたり、背景をすごく丁寧に説明してくれたんです。


水谷
:新しく入ってきた人が否定する。これってよく聞く組織が崩壊していく失敗例じゃないですか。なぜそうならなかったのですか?


:私は、否定はしますが、言うだけにはしなかったつもりです。

例えば、営業の場合はほとんど製薬会社に一緒に行きました。否定した後も、提案書の作成から提案まで、ぜんぶ一緒にやってみるのは、結構心がけていたことです。

2.じわじわやらない。一気にやる

水谷:2番目はスピード感の話です。外から来て2週間くらいの間に、ミーティングに入り自分の意見を言い、客先にも行き直接やり取りをすると。この濃密度がすごいです。


:こういうことは、ゆっくりやっていても変わらないのでスピードは重要です。ただ、やっている自分自身は、粛々とやるべきことをやっていただけでした。

藤田観光からITのDeNAに移ったときもそうでしたが、事業をうまくいかせるための考え方は業界が違っても何も変わらないだろうと思っていたので、メドピアに来た時も同じでした。

別にテーマや産業が違うだけで、やることはそんなに変わりはないだろうと。

3.成果が出なければ意識は変わらない

:これは逆の意味でもあり、成果が出れば意識が変わるんです

第4クオーターのタイミングでメドピアにはジョインしたと言いましたが、このままいくと通期で赤字という状況でした。

しかし、あと数千万頑張れば黒転するんじゃないかという状況でもあった。ここで、もし音頭をとってうまくいけば、一気にムーブメントが変わるなと思いました。

まずやったことは営業ミーティングへの参加ですが、これが一番ショッキングでした。営業なので会議のアジェンダは基本的に数字の進捗確認のはずです。

ところが、当時やっていたのはアポイントの確認だけで、さすがにこれには驚きました。営業のミーティングのファシリテートを見直したり、KPIの設定から再設計し始めました。

それ以外にも、とにかく何でもいいからやろうと、ヘルステック系のセミナーを数回開催したりもしました。


水谷
:第4クオーターの中だけで?


:みんな本当によく頑張ったんですよ。びっくりするくらい。そうやって、「達成したじゃん!」となったときは、やはり1つステージが変わりましたね。

つらいながらも歯を食いしばって前向きにやって、セミナーで「チケット何枚売れました!」となってきたときは、私も非常に嬉しかったです。

4.1on1で可能性を引き出す

水谷:難しいことを実現してきている中で、林さんの1対1で個の関係を作って「一緒にやりましょう」と導いていく力がすごいのだろうなと思っているのですが、どうですか?


:まず自分の性格がそうなのですが、一生懸命じゃない人が嫌いなんです。そういう人は一喝します。「やりたくないならなんでやってるの?やりたいことはじゃあ何なの?」と。

ただ、なるべく本人が主体的にできるように、私がサポートできることだったら、全部ではないけれど、適切なサポートをするようにしています。

5.アサインメントで成長機会を与える

水谷:人の成長において、アサインメントを重要視しているのはなぜでしょうか?


:私は、DeNAに入社して1年後に、人生初の社長を子会社でやることになったんです。やってみたらいろいろなものの見方が一気に変わり、すごく良い機会でした。

やはり仕事でしか人は成長しないなというのも、そういうアサインメントを通して、私自身が本当に実感してきたことです。なので、なるべく成長意欲のある人には、そういう機会を増やしたいなと思っています。


水谷
:アサインメントは誰の何を見て選ぶのですか。何か共通するものがあるんですか?


:成長意欲があって、忍耐力や実行力等のポテンシャルが高い人には、どんどん難易度の高い仕事にアサインしていきます。ものによってアサインメントを変えるとすれば、難易度の違いだけです。

あとは、「誠実」というキーワードは、どのアサインメントでも変わらない。もう一つ最近意識しているのは、どこまで「たくましい」かということ。

ポテンシャルに磨きをかけるアサインメントは、「優秀な人」に行いますが、「誠実さ」と「たくましさ」の2つは、アサインメントの前提として見る重要なポイントですね。

一方、マネジメントをする立場へのアサインメントのキーワードは「人間力」です。

例えば弱いメンバーと強いメンバーへの扱いが同じでは困る。そういう部分で相手によってコミュニケーションの取り方を調整できるかどうかって、完全に人間力じゃないでしょうか。

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