最近、新卒採用が売り手市場なこともあって、採用活動に頭を悩ませている採用担当の方も多いのではないでしょうか。
そのような中、同じ若手採用ということで、新卒でもなく中途でもない「第二新卒」が、新しい位置づけを確立させ、注目をあびています。
しかし、ある程度の職務経験を積んだ若い社会人を採用できるということでメリットに感じる部分がある一方で、「職場をすぐに辞めているし、本当に優秀なのだろうか?」と第二新卒を採用することに不安を感じためらってしまう採用担当の方もいるかと思います。
今回は「第二新卒のニーズがなぜ広がっているのか」「第二新卒とはどのように採用するのか」そして「どのように自社にあったを見極めるのか」その具体的な方法をご紹介します。
- 若手を採用する新たな手法として第二新卒採用が注目を浴びている
- 新卒採用よりも社会人スキル重視、中途採用よりもポテンシャル重視で選考をおこなう必要がある
- 応募者の、数少ない経験からの学びをいかに引き出せるかが重要になる
目次
拡大する第二新卒の採用ニーズ
企業における近年の大きな課題は、新卒をはじめとした若手人材を確保できないということです。その影響もあり、多くの企業では、慢性的な人手不足に陥っています。
求職者数よりも掲載している求人数のほうが多くなり、厚生労働省が発表した一般職業紹介状況(平成30年7月分)について、2018年7月の有効求人倍率は1.63倍で、2009年以降ずっと上がり続けています。
さらに、少子高齢化の影響や3割にのぼる新卒3年以内の離職率など、集まらない、集めても留まらないということが非常に課題とされています。
そのような背景があり、何か打つ手はないかということで広まり始めたのが「第二新卒」や「既卒採用」という手法でした。
第二新卒、大手各社が熱い視線 博報堂は採用数2倍に
社会人経験の浅い第二新卒の採用に力を入れる動きが大手企業の間で広がっている。三菱電機が今秋入社から採用を始めるほか、博報堂は採用数を2倍に増やす。経団連に加盟する企業の新卒採用面接が6月1日に解禁されたが、今年の新卒・中途採用は空前の売り手市場。第二新卒に間口を広げ、優秀な人材を獲得しようとしている。 出展:日経新聞
日経新聞によると、多くの大手企業が第二新卒の採用を始めていることが分かります。
- 三菱電機:秋入社の第二新卒採用を開始
- 博報堂:第二新卒の採用数を前年比の2倍、30-40人の採用を計画
- 三井住友銀行:総合職で20-30人程を第二新卒から採用
- ソニー:卒業後3年までを新卒として採用
- 楽天:社会人経験3年未満までを対象、ネット事業などの経験は不問
といったように、各企業が若手人材の採用を試みています。
第二新卒とは? 採用のメリット
第二新卒の採用が進められた背景をみていきました。
ところで、そもそも「第二新卒」とはどういった方を対象としているのでしょうか?
第二新卒とは、一般的に入社3年未満・25歳以下の転職者のことを第二新卒と定義しています。
ただし、企業によっては20代前半や、就業1年未満の転職者とあらわすこともありますので、明確な定義があるわけではありません。
新卒採用と違って企業が第二新卒をおこなう理由は大きく3つあります。
ビジネスマナーを習得済み
一社目で基本的なビジネスマナーを習得している方が多いため、ビジネスマナーを教えるコストを省くことができます。また、社会人スキルもある程度はそなわっているといえるので、会社の理念や業務を教えるだけすみます。研修にかけるコストを削減でき、即戦力としての期待も高いです。
会社への適応力
一社目において、企業文化などの影響をそこまで受けていないと考えられるため、会社に馴染みやすいといえるでしょう。
企業の偏見などもなく柔軟であるため、会社にとってプラスになる人材として活躍してくれる可能性が高いです。
新卒では巡り会えない人材との出会い
第二新卒で多いのが、「新卒のときは適性などはあまり考えずに大手企業しか目を向けていなく、入ってみたら自分には合わなかった。」という転職者です。多くの人が、その経験を元に、第二新卒のときは自分の適正を見極めてより自分のキャリアについて考えます。
その結果として自分の適性にあった中小企業に入社するというケースも多々あります。
中小企業側の視点から考えると、これまで目を向けてくれなかった優秀な人材を採用できるといったメリットがあり、新卒採用のときにはできなかったいい出会いをすることができます。
第二新卒の採用はココに注目すべし!
そのような第二新卒ですが、自社にマッチする人材にあるかどうかは、どのようにして見極めることができるのでしょうか?
まず第二新卒は中途採用にはなりますが、社会経験が3年未満の社会人の中途採用であることから、スキル採用よりもポテンシャル採用の側面が大きいということを認識しておくことが大切です。
このことを踏まえた上で、少ない実務経験をどのような点から判断すればいいのか3つの視点から見ていきましょう。
自己PR・志望動機
転職者と採用担当者、双方にとっての共通ゴールは採用がお互いにとってプラスになることです。転職者にとっては、志望動機がそこにつながるかと思いますが、転職者本人がどのようなキャリアプランを立てているのか、そのキャリアプランにおいて、前職はどのような位置づけにあったのかをヒアリングしてみましょう。
新卒では自分の興味を持った仕事や理想の働き方を話すことが重要でしたが、第二新卒を含めた転職の面接では前職では実施できなかった仕事や働き方ができるかもしれない企業に応募をすることになるので志望動機は非常に大切になります。
事故PRや志望動機を深掘りすることで、転職者の人となりを見ることができるかもしれません。
退職理由
転職をするきっかけが、どのような要因から生じたものであったのかをしっかりと聞くようにしましょう。志望動機にもつながるものもあるかもしれませんが、前職で転職者がどのような状況であったのかなどを聞くことは採用を進めていく上で非常に重要です。
例えば、「転職することで何がしたいのか?」「何ができるようになるのか?」という質問から、前職ではどんなことに不満を感じていたのかを知ることができます。給与なのか、評価や人事制度なのか、それとも労働環境なのか、何かしらの理由が出てくるはずです。
前職と転職者との間でどのようなことがあって今回の転職を希望したのか、その関係性をみることで転職者が自社にあう人材であるのかが見えてきます。
成功体験・失敗体験
転職者にとっては、成功体験を話すことは自分をアピールすることができる最大の場です。担当者が転職者を採用するかしないかの判断をする場合、材料として重要なのは目的とプロセス、気づきになります。
どのような課題を感じたところから目的を見出し、どのようなプロセスで動いたことで、転職者が何を感じたのが、どのようなスキルを身につけたのかに注目すべきです。そのため、失敗体験であっても、気づきの内容によっては採用の材料になることは十分考えられます。
成功・失敗どちらの体験でも、どんな課題があり、そこからどのような目的を掲げ、施策立案→実行までのプロセスもしっかりと聞きましょう。前職の仕事の様子も見えてきますので、転職者の仕事に向き合う姿勢も知ることができます。
さいごに
いかがでしたでしょうか?
第二新卒は早期離職をした方々なので、なんとなく大丈夫なのか?と疑問を持つ採用担当者もいらっしゃるかもしれません。
しかし、早期離職をする方の中にはただ辛いだけでやめたのではなく、しっかりと次のステップと考えて転職をする人もいます。
本来の中途面接と違い、ポテンシャル面も評価しなければならないことから一度の面接で全て知るのは難しいかもしれませんが、複数回の面接を開催し、理解するプロセスをしっかり確保するのが大切です。
そのような工数を割くことが難しいという採用担当者様には、企業の人材に求めるニーズを把握し、第二新卒人材の特性を理解した上で、紹介してくれる第二新卒に特化した紹介サービスもあるのでそちらを活用するのも一つの手かもしれませんね。
本記事が貴社の採用に少しでもお役にたてれば幸いです。