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最低賃金とは、雇用者が従業員に支払わなければならない最低限の給与(時給)のことをさします。都道府県ごとに設定され、都会部は高く、地方が安い傾向があります。
全国共通で毎年最低賃金が上昇する傾向があります。最低賃金が上昇することによって人件費が圧迫されるだけでなく、社会保険の対象者が増えるなど、企業の負担は増えるばかりです。
このままでは支出が利益を圧迫し企業の経営に支障をきたすリスクも高まるため、企業としては、何かしらの対策を打たなければなりません。最低賃金が上がるのを直接的に防止することは不可能ですが、たとえば最低賃金が上がることに対して、支出を減らすなどの工夫できる部分を改善していく必要があります。
本記事では、最低賃金引き上げの対策として「企業・店舗ができる支出低減方法」について紹介します。
1. 地域別最低賃金ランキング!
最低賃金を把握しておくことは、雇用する側にとっても非常に重要です。最低賃金は都道府県によってまちまちです。最初に、「都道府県別(地域別)の最低賃金ランキング」を紹介します。
引用元:https://www.saitei-chingin.com/ranking/2018/
東京や大阪をはじめとする都市部の賃金が高く、人口が少ない地方の賃金は低い傾向にあります。特に関東や関西の大都市部と九州や東北などの地方に大きな差ができています。
1位の東京と最下位の鹿児島では、最低時給が224円も違います。単純に1日8時間働いたとすると、日給で1,792円も差が出る計算になります。つまり、月に20日間働くとすると35,840円もの差がでるというわけです。
都市部の最低賃金が高くなるのは、例えば家賃など生活するためにかかるお金が多くなるというものが考えられ、致し方ないともいえます。
都市部は家賃が高いために、住居は都市部に近い田舎にもち、毎日時間をかけて都市部に通勤する人も多くいます。これが、ドーナツ化現象(都市部で働くが都市部には住まない。その都市部の周辺に住む)の1つの要因です。
2. 最低賃金の推移、今後どうなる?!
以下は、平成14年度から平成29年度までの地域別最低賃金の推移です。
最低賃金の推移をみると、最低賃金が高い東京の伸び率が高く、最低賃金が低い鹿児島の伸び率が鈍いことがわかります。平成15年度時点では約100円だった差が、この14年の間で約2倍以上(平成29年で221円)になっています。政治においては格差を減らす動きがありますが、経済的にはまだまだこれからもこの差が大きくなると予想されます。
とはいえ、近年の労働者不足問題は、特に地方部で顕著となってきています。人材を確保するためには労働条件を高める必要があります。労働条件は職場環境や休日の数などがありますが、なんといっても求人の結果を一番に左右するのは「賃金」です。
最低賃金の差は大きいものの、地方は時給を高い時給を提示しなければそもそもの労働者確保が難しいため、実際の賃金格差は小さくなる可能性も少なくありません。最低賃金は今後もあがっていくことが予想されます。それに対して、企業・店舗が考えておくべき対策にはどのようなものがあるのでしょうか?
3. 最低賃金引き上げに対して企業・店舗がおこなうべき対策とは?
最低賃金の引き上げに対して、企業および店舗はどのような対策をおこなう必要があるのでしょうか?ここでは、「労務面」と「採用面」に分けて考えていきたいと思います。
◆「労務面」で注意すべきこと
大前提として、時給が増えることにより人件費が増えます。時給が10%増えたら人件費も10%増えます。
また、保険料の支払いも増える可能性があります。時給が増えることにより月額賃金が8.8万円を超える人が増えます。月額賃金が8.8万円を超えると、社会保険に加入しなければなりません。企業は社会保険加入者の社会保険料の支払い義務があります。
このように、何も対策を行なわずこれまでと同じようにアルバイトを雇用していては、支出は増加するばかりです。そこで、以下のようなことの実施を検討する必要があります。
従業員の勤務時間をコントロール
まずは、時間ごとの1人あたりの売上高を計算してみましょう。そうすると、売上高/人員が高い時期と低い時期がでてきます。たとえば週末の夕方などはパートやアルバイトを確保するのが難しいという状況はあるにせよ、こまかなシフト調整をおこなうことで、売上高/人員が常に一定になるように、従業員の勤務時間をコントロールしましょう。
希望シフト収集や募集、休暇申請/承認もスムーズに
操作のしやすさを重視した管理画面で誰でも簡単にシフトを作成することができます。従業員からの希望シフトも1クリックで集められ、効率的なシフト作成を可能に!休暇と残業の申請と承認をスマホだけで完結することもできるので、余計な手間が掛かりません。
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アルバイトに任せるべき業務かを見直す
人件費や社会保険料の高騰が見込まれるいま、特にルーチンワークなど誰でもできるような仕事は、自社のパート・アルバイトに任せるのではなく、外部に委託したりシステムを導入したりする方法に切り替えられないか検討してみましょう。本当に任せるべき仕事だけ自社で雇用したパート・アルバイトに任せることで、人件費の増加を少しでもおさえることができます。
◆「採用面」で注意すべきこと
最低賃金引き上げに伴って、募集をおこなう際にも実態がそれに合わせた形になるよう、注意が必要です。また、世の中の平均給与も上がる傾向があるため、これまで通りの募集をかけるだけでは求職者が集まらなくなってしまう企業・店舗も出てくるでしょう。
具体的には、以下のような点の見直しが必要です。
問題のある求人内容になっていないか確認する
アルバイトやパートを募集する際、雇用条件として「時給」を提示していれば問題ありませんが、月給で提示する場合には注意が必要です。月給で提示している場合にも、時給換算して最低賃金を下回ることがないようにしなければなりません。もし、最低賃金以下の時給で就労させた場合、最低賃金法により罰せられる(罰金50万円以下)ので、十分に注意しましょう。
求人を掲載する際には、支払われる賃金が最低賃金を下まっていないかを必ず事前に調べなければなりません。以下では、最低賃金の計算方法をご紹介します。
【最低賃金の計算方法】
(※以下「最低賃金額以上かどうかを確認する方法|厚生労働省」引用)
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1. 時間給の場合
時間給≧最低賃金額(時間額)2. 日給の場合
日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
ただし、日額が定められている特定(産業別)最低賃金が適用される場合には、日給≧最低賃金額(日額)3. 月給の場合
月給÷1箇月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)4. 出来高払制その他の請負制によって定められた賃金の場合
出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額を、当該賃金算定期間において出来高払制その他の請負制によって労働した総労働時間数で除した金額≧最低賃金(時間額)5. 上記1〜4の組み合わせの場合
例えば基本給が日給制で各手当(職務手当等)が月給制などの場合は、それぞれ上の2、 3の式により時間額に換算し、それを合計したものと最低賃金額(時間額)と比較します。※最低賃金計算のケーススタディーなど、詳しくは厚生労働省ホームページ「最低賃金額以上かどうかを確認する方法|厚生労働省」をご覧ください。
効果的な求人内容になっているか確認する
単に最低賃金に合わせた時給で募集をかければ良いかというと、そうではありません。求職者は企業を選ぶ際、エリアや業種・職種を見ていますが、それと同じくらい給与面の待遇を重要視しています。
よほどニッチな業種や職種を除けば、同じ業種や職種で求人を出している企業は数えきれないほど多く存在します。最低賃金を下回ってさえいなければ法律的には問題ないのですが、全体的な平均給与が上がるため、そのなかで選ばれる企業になるためには、やはりそれなりの募集条件を提示する必要があります。
しっかりと同エリアや同職種・業種の競合他社の募集状況を把握し、企業のできる範囲内で、募集条件が少しでも他社を勝るように求人の内容を考えましょう。
4. さいごに
いかがでしたでしょうか。近年は、毎年のように最低賃金が更新されていきます。特に都市部においては、もうすぐ1000円を超えるといわれています。学生にとっては笑みのこぼれる出来事ですが、一部企業や店舗にとっては、非常に悩ましい出来事かもしれません。
最低賃金が高くなるのに併せて、人件費や保険料などの負担が増え、利益を圧迫することも想定されます。今後もさらに最低賃金が上昇する可能性が高いため、早めに対策を練っておく必要があります。
本記事でご紹介した賃金引き上げに伴って企業ができることは大きく以下の4点です。
- 無駄のないシフト管理をおこなう
- 誰でもできる業務や、繰り返し作業が多いルーチンワークは外部に委託する
- 競合他社の募集内容と比較し、効果的な求人を掲載する
誰もができるルーチンワークに費やしていた時間を自分にしかできない、本来企業・店舗が望む業務に割り当てることができれば、企業・店舗の利益向上につながります。
最近では、経費精算やシフト管理の業務を簡単に、かつ最適にしてくれるシステムも多数でてきています。是非、さまざまな方法を検討してみてください。
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