ストレスチェックの義務化が平成27年12月に始まり、2年が経過しました。
去年ストレスチェックをやってみたけれど、なかなか組織の改善につながらないと感じている企業の方も多いのではないでしょうか。
中でも多い問題が、高ストレス者への対応。高ストレス者がいるはずなのに、面談を希望しない、面談しても改善に繋がらないなど、せっかくおこなったストレスチェックが意味のないものになってしまうケースも。
では高ストレス者がいた場合、一体どんな対応をすればよいのかについてお伝えします。
1. 高ストレス者の基準
まず、高ストレス者と判断する基準は、大きく分けて2つあります。
どちらもストレスチェックの作り方となるものですが、一つ目が事業所の中でおこなう衛生委員会にて、産業医の意見をもとに判定基準を設ける方法、二つ目が厚労省が決めた点数によって、高ストレス者を判断する方法です。
一般的に厚労省では、チェックの結果上位10%の方を高ストレス者として定めています。
ただ、業種や職種によって出る数値が違いますので、判定基準は一つ目の、衛生委員会にて産業医の意見をもとに、判定基準を作っていくのがベストです。一度厚労省の基準で実施して、その傾向をもとに独自で基準を作っていくという方法も有効です。
次にストレスチェックをして、万が一「高ストレス者」がいた場合の具体的な対処についてみていきます。
2. 高ストレス者の面談プロセス
高ストレス者がいた場合の面談からその結果報告に至るまでのフロー例は下記になります。実際は企業にあったフローをあらかじめ決めておくと事後の処理も混乱することなく進めることができるようになります。
- 健康状態確認セルフチェック票への記入(高ストレス者)
- 情報提供書(企業から産業医)
- ストレスチェック後の面接指導結果報告書(産業医記入)
- ストレスチェック後の面談指導事後措置に掛かる意見書(産業医記入)
3. 高ストレス者への通知
まずは、たとえ高ストレス者であっても、ほかのストレスチェック受験者と同じように通知します。
受験した方一人ひとりに通知されますので、社員の上司や事業者に、本人の同意なく結果が開示されることはありません。当然会社も、ストレスチェックの結果を開示するよう強要することはできません。
また面談も高ストレス者だからといって、義務にすることもできません。高ストレス者と判定され対象となる方は個別で産業医へ面談を申し込むことはできますが、それは義務ではなく、本人の希望によって面談をするかしないかを決定できます。同じように、会社が産業医と面談するよう強要することもできません。
面談の申し出をした場合(申し出があった場合)は、人事の方が結果を見て、産業医との面談の日程調整をおこないます。
もし面談の申し込みがない場合は、前述したように結果は本人の同意なしに知ることができないため、個別の対応が事実上不可能になります。
ストレスチェックの実施者や産業医は、その方へ個別に面談を申し出るよう推奨しますが、意思がない限りは強要できず、面談もできません。
高ストレスですが、面談を希望せず、対処ができないという方は全体の9%に上るとされ、現状では何らかの対策が求められています。
ただし、全く何もできないというわけでもありません。実施者や産業医などがその社員本人へ推奨することは可能です。つまり、「働きかけ」です。
4. 面談の申し出がない高ストレス者への対応
面談の申し出をおこなわない理由として
- 高ストレス者が面談を受けることで昇進や給与的に不利益を被るのではないかという不安がある
- 産業医の面談に優位性を感じていない
- 高ストレス者であることを周囲に知られたくない
などがあげられます。
上記の理由を払拭する内容を対象者に提示することで、産業医と面談をして、改善へ向かってもらうというのが、事業者側ができる唯一のことです。
たとえば、ストレスチェックを実施する意味をきちんと伝えたり、高ストレスで放置しておくと業務に支障が出る可能性があるなどを伝えることです。
また、ストレスチェック後に希望者と面談とするだけではなく、産業医との面談をいつでもおこなえるオープンな場にすることで面談への行きづらさを払拭することも有効的です。
また結果を開示したくないが、産業医面談を希望したいというケースも多いです。その場合は実施者と対象者との間で産業医面談の日程の調整をおこなうことになります。
5. 高ストレス者へのフォローの仕方
高ストレス者は、文字通り高いストレスを受けている状態ですので、うつなどの病気になるリスクが極めて高いです。ストレスチェックや面談が形骸化しては、まったく意味を成しません。
高ストレス者の社員の方が見られたら、必ず何らかのケアをしてください。
6. おわりに
ストレスチェックは義務であるとされていますが、ストレスチェックの結果をうまく活用できないケースも多く、隠れ高ストレス者といわれる人が多くいると言われています。
ストレスチェックも有効に活用することで「うつ」から休職へとつながる社員を防ぐことができます。
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