採用の戦闘力とは|学生の意思決定を左右する「口説く力」 |HR NOTE

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採用の戦闘力とは|学生の意思決定を左右する「口説く力」

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※本記事は、主催企業や登壇者/登壇企業に内容を確認のうえ、掲載しております。

こんにちは! HR NOTE編集部の野上です!

売り手市場の今、自社に合った優秀な人材を採用するために悩まれている採用担当の方は多いかと思います。その中でも、新卒採用における「口説き」は、学生の入社意思決定を後押しする大きな要因のひとつです。

そこで今回は、2万人以上の面接を担当されてきた人材研究所の曽和氏が、学生との面接の際に実践している「口説き方」に関してご紹介します。

曽和さん1

曽和 利光(そわ としみつ) | 株式会社人材研究所 代表取締役社長

採用後ろ倒し対策のコンサルティング、面接官・リクルータートレーニング、イベント選考アウトソーシングなどの採用をすべて一気通貫でおこなう。京都大学で学んだ心理学とリクルート人事部GMとして培った営業スキル・2万人の面接経験を融合しワンランク上の人材を採用する独自手法を確立。リクルート、ライフネット生命、オープンハウスで一貫として人事畑を進み、株式会社人材研究所設立。

曽和氏のセミナーに関する記事はこちら

本記事は、採用面接において「この学生は優秀だ、採用したい!」と思った学生を逃さないようにフォローする曽和氏のノウハウをまとめております。前回の記事では優秀な学生を「見抜く力」にフォーカスを当てて記事にさせていただきましたが、この記事では優秀な学生を「口説く力」と題して、面接で会社の志望度の高め方から内定出しをするまでのノウハウについてご紹介していきます。

学生を口説くには順番が大事

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曽和氏:ジャッジをして優秀だと分かった学生を採用するためには口説いていかないといけません。なかには、いきなり学生を説得をしようとする採用担当者もいますが、まずは学生との信頼関係構築が必要です。

基本的に学生は社会人を怖がっています。「どこまで本音で話しをしたら良いんだろう」「本音で話しすぎると落とされるんじゃないか」と思っている学生が多いです。

学生を口説くためには、まずは学生が本音で喋ってくれる信頼関係を築くことが大事になってきます。社会人の信頼関係は、「仕事を約束の時間までにきちんと終わらせる」「期待以上の成果を出す」といったことで築かれていきます。しかし、新卒採用は短期決戦なので、学生と信頼関係を築くためには、こちらから自己開示をしなければいけません。

【自己開示が重要な理由】

  • 自分が何者かを相手に伝えないと、信頼できないから、本音や深い話をすることなどできない
  • 深い話を聞きたければ、同じ深さまで自分から降りていく

この2点は当たり前の話で、自分だけ鋼鉄の鎧を着ていて「裸になってください」と学生に言っても裸になるわけありませんよね。採用担当者の方は学生目線に合わせて話しをするということがあまりできていないように感じます。

自己開示をするといっても、社会人になってからのことを色々語ることが多いと思いますが、共感性を生むためには学生が経験した世代に自分が経験したことを話してあげたほうがいいです

学生に伝えたいメッセージを間接的に伝えることで、興味を持ってもらいやすくなる

曽和氏:これは1つのノウハウですが、面接時の情報提供時には「間接的に本質を伝える」ということが大事です。

たとえば、「うちの会社は若いうちから任せる会社だよ」というメッセージを直接伝えてはいけません。このメッセージを間接的に「あのビッグプロジェクトをやっているのは25歳なんだよね、プロマネで」と伝えてあげることで、学生は「この会社は若いうちから頑張れるんだ」というふうに捉えてくれます。学生に本質的なメッセージを間接的に伝えることで関心を持ちやすくなります。

また、学生を口説く際に社員を紹介するときには「あなたにこういう点でとても似ていて、こういう話をしてくれる人がいてすごく話が合うと思うから会ってみない?」と言って会わせるのもあまり良くありません。

効果的なのは、「面白いやついるんだけど会わない?」と学生に言って実際に会わせることです。「たまたま紹介してくれた人がすごく合っているな」と自発的に感じるわけです。そのように思ってくれるので紹介の仕方一つだけでも学生に良い印象を与えることができます

入社動機はドラマチックに語れ!

曽和氏:学生から「面接官の〇〇さんの御社への入社動機をおしえてください」と聞かれたときの返答でもったいないことをしている担当者が多いように感じます。なので、採用担当者が入社動機を語る際には「ドラマチックに語れ」と私は言っています。

入社動機は会社を好きになったWhat(何が)とWhy(なぜ)で成り立っています。よく私が採用担当者のトレーニングをする際に「あなたの入社動機を書いてみてください」とアンケートを採ると、Whatしか書かないんですよね。

Whatというのは「人が良い」「風通しが良い」と言った抽象度の高い説明のことをさします。そういう説明は学生がナビなどを見ると掲載されています。ここで学生が聞きたい入社動機というのは、採用担当者個人がなぜ入社することを決めたのかということなんですよね。

優秀な学生からエピソードを聞き出すのと同じように、採用担当者も自分のライフヒストリーを分析しておく必要があります。「こんな環境で生まれ育って、こういった人に出会って、こういう出来事を経験してきた。だからこんな価値観が芽生えて、この会社の方針に僕はすごく共感しました」といったようにドラマチックに語ることができれば、学生は「あーなるほど。じつは、私にもこんなことがありました。」と言って心を開いてくれるようになります。

採用担当者に理解をしていただきたいのは、あなたが入社動機を語る理由は、学生の入社動機を聞き出すためではなく、採用担当者自身の自己開示をするチャンスだと思ってほしいです

この入社動機を使って自分の歴史をどんどん伝えていこうと思ったら、やっぱりこのWhyを語らないといけません。すると学生の自己開示を促すことができます。だから採用担当者はぜひ自身の入社動機をブラッシュアップしてみてください。

学生から聞き出すべき情報とは

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曽和氏:優秀な学生の見抜き方とは正反対にはなりますが、じつは学生を口説く時に重要なのは事実ではなくて主観です。学生の主観、妄想、誤解、思い込みや偏見といった「心理的事実」を聞かないといけません。

社会人になるとファクトベースでロジカルに喋ることを訓練されてしまうので、学生が主観的なことを喋っていると「それはファクトじゃない、論理的におかしいよ」とつついてしまいがちになります。

ただでさえ怖い社会人にそんなことを突っ込まれると、学生の心はシャットダウンしてしまいます。なので、学生が主観的な話をしていても全て聞き入れて、「心理的事実」を全部ダウンロードするようにしましょう。

ネックを聞き出して解消をする

曽和氏:採用担当者は学生の自社に対する不安要因を聞き忘れがちです。いわゆる、何がネックになっているのかを聞き出さないといけません。そして、ネックに対するカウンタートークを作らないといけません。そのためには、学生たちが自社に対してどのようなネックをもっているのかを洗い出す必要があります

ネック例

ネックを否定するときは数字を使って具体的に

曽和氏:たとえば、「御社ってすごく忙しいんじゃないですか」というネックに対しては「弊社では労働時間のマネジメントをとても厳しくやっているので、月に200時間を超える労働をしないように管理しています。20日の営業日数で割ると1日10時間なので、朝9時に来たとしたら遅くても7時か8時にはみんな帰っているよ」と答えると学生のネックは解消されます。

ネックに対して否定をする時はできるだけ定量的に数字を使って具体的事実を伝えるようにしましょう

採用担当者というのは会社の色々なことについての数字を絶対覚えておくようにしましょう。たとえば、「女性が働きやすい環境ですか?」といったネックに対しても、「産後の育児休暇から帰ってくる復帰率が98.5%だよ」と小数点第一位まで言えるようにしておくとか。

数字をちゃんと把握しないで「御社は忙しいですか?」と質問されて、「いや、昔は忙しかったけど最近はあまり忙しくないよ。」って答えたりすると、「あれ?それって本当のことかな」と学生に見透かされてしまいますよね。だから数字は絶対覚えた方が良いです。

ネックを認めるときは経営視点で語る

曽和氏:会社にネックがある場合、変にごまかすことなく素直に認め、そこに対して今後どうしていくべきかを話していきます。「会社として認識しており、対策を打って改善を試みている段階です」など、伝えていきましょう。

しかし、難しいのはトレードオフ(交互作用)です。たとえばIT企業を例にだすと、同業他社と比べると給料が少し低いIT企業があるとします。そのときに学生から「御社の給料水準って他社と比べると少し低いですよね?」と聞かれて「そうなんだよね…」と答えていると何も解決ができません。報酬ってお金だけではないということを明確に伝えることが大切です。

【給料水準が低いネックのカウンタートーク例】

  • 何十万円もする研修が受けられる
  • 最新鋭の機器が揃っている
  • 頭数が多いので1人当たりの負荷を減らせる

金銭的ではないけどメリットがあると説明できれば、私はそれで良いですという人もいるはずです。この、トレードオフというのは実は経営レベルの話なんです。経営視点で説明ができないと、学生の不安要因を取り除くことができません。

意思決定スタイル

曽和氏:最後は学生の意思決定スタイルを把握することが大事ということです。就職活動というのはものすごく大きな意思決定をする場です。だからその人の意思決定スタイルが色濃く出ます。

学生の意思決定スタイルは、この図のように4つに切り分けることができます。

意思決定スタイル

縦軸に「情報量」、横軸が「決断にかかる時間」で4つに分かれています。職務適正を考える上でも意思決定スタイルは大事ですが、面接段階でも聞いておくべきです。

決断型

曽和氏:決断型というのは少しの情報でバシッと決めきることができる人のことです。決断型の人はベンチャーに向いているといえます。経営者や金融ディーラーも意思決定をスピーディーにしなくてはいけないため、ここに位置します。

「一ヶ月だけ待つから色々と考えた上で決めてください」と決断型タイプの学生に伝えると、「私の評価は低いんだ」と思ってしまいます。決断型の学生は「もう、この会社においで」って早く言って欲しいんですよね。

決断型の学生はやっぱり「自分を買ってくれる人のところに行きたいな」という思いが強いです。だから待ってしまうと、他の会社から声がかかって戻ってこなくなります。決断タイプの学生はタイミングを逃すと戻ってこない可能性があります

論理型

曽和氏:論理型というのは、コンサルタントや経営参謀あたりの方が多いです。情厚なんだけど、判断は早い。だからその人は論理型と書いてあるように、矛盾が大嫌いなタイプの人が多いです。

論理型の人を相手にやってはいけないことは、「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」式の情報提供です。会社というのは矛盾だらけなので、そのやり方だと色々なことを言っているうちに、言っていたことが違うと思われてしまうときがきます。しっかり情報を見せつつも矛盾がないような話を進めて口説いていく必要があります

柔軟型

曽和氏:柔軟型は少ししか情報を集めないのに考えてしまうタイプの学生です。噂とかデマとか、「みんしゅう」とか「2ちゃん」の情報を信じて恐れています。だからそういう人にはネックのだと思われているようなことに対して、「弊社はこういう風に思われているけど違うよ」と先に伝えてあげることが重要です。

最後の方に言い訳のようなことをいうと柔軟型の学生はすごく疑ってしまいます。柔軟型というのはクリエイターとかクリエイティブな職種に多いですね。

統合型

曽和氏:統合型というのは、基礎研究とか学者とかに多いです。エンジニアなどに多いような気がします。このタイプは決断型と正反対のため、まさにオワハラ(就活終われハラスメント)をすると即辞退につながるでしょう。ですので統合型の場合は継続的に多量の情報提供しながら学生の決断を待つしかありません

内定出しはすごく大事なものですが、多くの採用担当者は「うちはこういう風に内定を出している」とワンパターンの内定出しをしているように感じます。私は、内定出しには色々なパターンがあってもいいと思っています。学生に合わせてケースバイケースで意思決定スタイルに当てはめてやれば良いと思います

親を説得することも重要

曽和氏:学生の親御さんが意思決定に強い影響を与えている場合があります。ですので、学生が親御さんを説得できるような情報を与えてあげないといけません。親御さんは、子供に対しては保守的です。なので、そういう保守的な人に受け入れられる情報を提供するというのが大切です。

たとえば、日経新聞に会社が取り上げられているというのをコピーして学生に渡してみたり、第三者が会社について書いてくれている記事を渡したりするのはいいですよね。そのために会社のパンフレットとかを親御さん向けに作るのもいいと思います。

手っ取り早い方法として、「親御さんは何かいってた?」と聞くのも良いと思います。それを聞いた上で、学生に与える情報を取捨選択してフォローをしていきましょう。

最後に

いかがでしたでしょうか?

今回は曽和氏のセミナーから優秀な人材を獲得するために採用担当者に求められる採用戦闘力についてご紹介をさせていただきました。採用面接において、優秀な人材の意思決定を大きく作用する「口説く力」はお役立ちできる情報だったのではないでしょうか。18新卒の採用が間近に迫り、会社から経営戦略の一貫として優秀な人材の採用が求められている担当者も多いかと思います。

ここまでお伝えしてきた曽和氏の計4本に及ぶ採用ノウハウ記事に目を通していただければ、新卒採用担当者の何かしらの課題解決方法が見えてくるかもしれません。新卒採用を成功させるために皆様のお役に立てれば幸いです。

なお、曽和氏は今回お話された内容をもとに、「会社を成長させる、新卒採用の教科書~採用弱者でも優秀な人材を取って会社を伸ばす方法~(仮題)」というタイトルの本を執筆予定です。

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