2019年3月1日。2020年度の新卒採用サイトがグランドオープン!!
人事の方々は、いよいよ本格開始する新卒採用に対し、期待と不安が入り混じっているのではないでしょうか。
そこで昨年に引き続き、採用コンサルタント/アナリストの谷出 正直さんによる、リクナビ・マイナビ・キャリタスのグランドオープン時の状況比較を記事にしてご紹介していきます。
3月1日グランドオープン時点での速報値です!みなさまのご参考となれば幸いです。
2018年度新卒採用サイト徹底比較|リクナビ・マイナビ・キャリタスのグランドオープン時の状況まとめ
2019年度新卒採用サイト徹底比較|リクナビ・マイナビ・キャリタスのグランドオープン状況まとめ
【人物紹介】谷出 正直(たにで まさなお)| 採用コンサルタント/アナリスト
目次
新卒採用サイト2020|グランドオープン比較
各就職サイトの特徴・傾向
- リクナビ
・サイト掲載企業数が、昨年に続き3万社を超える。No.1。
・セミナー受付率は、昨年よりも少し増え33%で推移。
・会員学生数は、マイナビに次いで2番目。 - マイナビ
・掲載企業数、エントリー受付企業数は、リクナビに次いで2番目。
・説明会情報の公開企業数が大きく増え、その公開率は昨年の50%から約60%に。
・エントリー受付企業数、受付率もNo.1。
・会員学生数が、昨年の80万人を大きく上回り、90万人を超える。No.1。 - キャリタス
・エントリーや説明会の予約ができる企業数、および割合が、3つのサイトの中で一番低い。
・大学の連携や新卒紹介の強化を実施。
【1】就職サイト掲載企業数
- リクナビ:31,564社(19年:30,199社)|前年比:105%
- マイナビ:24,013社(19年:22,619社)|前年比:106%
- キャリタス:15,725社(19年:15,699社)|前年比:100%
主要就職サイトの利用企業数は9年連続増加しています。
しかし、掲載企業数の伸びは、16年卒をピークに毎年、抑えられる傾向にあります。次に紹介するエントリー受付企業数も同様の傾向があります。
【2】エントリー受付企業数
- リクナビ:28,404社|掲載企業の90%がエントリー受付
(19年:27,346社|掲載企業の91%) - マイナビ:21,963社|掲載企業の91%がエントリー受付
(19年:20,097社|掲載企業の89%) - キャリタス:2,684社|掲載企業の17%がエントリー受付
(19年:2,640社|掲載企業の18%)
3サイト全体のエントリー受付企業数は延べ53,051社、昨年比1.1倍とのこと。
就職サイトごとにみると、エントリー受付企業数に関しても、掲載社数と同様にリクナビが一番多くなっています。
リクナビ・マイナビはグランドオープン時点で掲載社数の約90%がエントリー受付をしており、キャリタスは例年のように約17%にとどまっています。
【3】説明会情報の公開企業数
- リクナビ:10,579社|掲載企業の34%が公開
(19年:9,075社|掲載企業の30%) - マイナビ:13,919社|掲載企業の58%が公開
(19年:11,536社|掲載企業の51%) - キャリタス:1,636社|掲載企業の10%が公開
(19年:1,583社|掲載企業の10%)
グランドオープンと同時に説明会情報を公開している企業は、例年増加傾向となっています。特にマイナビが一番多く説明会情報が公開されており、その数は50%を優に超えています。
週単位で見た時の説明会開催企業数は、3月中の開催が大きく増える傾向になりました。
それだけ、説明会を早期から開催し、学生との接点を積極的に作りたいという、企業側の戦略が見られます。
説明会への集客において「学生の取り合い」になる可能性が考えられますね。
その背景には、学生の行動量の減少があります。
年々、インターンシップからの活動、就職サイト以外のツールの活用など、かなり早期から学生には企業を知る機会があります。
グランドオープンは言ってみれば選考情報解禁程度で、学生としても、ここから新たに選考を受ける企業を探す行動は少なく、企業側は学生接点量を増やすことがより難しくなってきています。
【4】登録学生数
- リクナビ:約80万名(19年:約76万人)|前年比:105%
- マイナビ:約90万名(19年:約80万人)|前年比:113%
- キャリタス:約37万名(19年:約36万人)|前年比:100%
登録学生数は3サイトすべてで増加しており、昨年に引き続きマイナビが1番多くなっています。
前年比の増加率は、マイナビ、リクナビ、キャリタスとなっており、各サイトでの登録学生数の差は拡大しています。
マイナビは初めて約90万人、リクナビは初めて約80万人を超える結果に。
就職希望の大卒が約43万人とのことで、大卒以外の学生や既卒者、第二新卒者の登録が増えている傾向は、昨年同様です。
また「優秀な学生」は、主要就職サイト以外も活用して就活をしている傾向が見られ、他の採用手法との併用も視野に入れても良いかもしれません。
◆各就職サイトの特徴
- リクナビ
・サイト掲載企業数はNo.1。3万社を超える。
・エントリー受付企業数はNo.1。
・会員学生数は、80万人を超える。
・学生の志向を分析して、オススメの企業を紹介してくれる。 - マイナビ
・掲載企業数の増加率、エントリー受付率はNo.1。
・説明会情報の公開企業数が大きく増え、公開率は58%を超える。
・会員学生数はNo.1。なんと90万人以上!
・マイナビTV、マイナビWEB就職EXPOなどウェブを積極的に活用。 - キャリタス
・エントリーや説明会の予約ができる企業数、および割合が3つのサイトの中で一番低い。
・地元就活&U・Iターンの情報が、各地域ごとに分かれて検索できる。
・大学と連携や新卒紹介の強化を実施。
まとめ|谷出さんによる考察
◆新卒採用全体について
谷出氏:企業側の主要就職サイトの利用状況を見ると、各社の採用意欲の高さが伺えます。
この数年採用人数を充足できていない企業や中途採用が難しい企業、若手人材の採用をしたい企業が、就職サイトに大きな期待を寄せていると感じます。
しかし、これまでの新卒採用と明らかに異なることは、3月1日の広報解禁前の動きが大きく変化してきたこと。インターンシップをはじめ、グランドオープン前のかなり早い時期から、企業と学生が出会う機会が作られ、選考実施や内定出しまでもが進んでいる状況です。
就職サイトを通して、大勢の学生からエントリーを集めるという動きは、これまでと比べ、かなり難しくなると予想されます。
企業の特徴ごとに見ていくと、エントリー数の格差はより顕著です。エントリーが集まる企業(人気企業・知名度のある企業・大手企業・都市部の企業・人気職種の採用)には、より集まる傾向があり、反対に、集まらない企業にはまったく集まらないという事態が、去年よりもさらに起きる可能性も考えられるでしょう。
エントリーが減少することで、説明会への参加人数も減少すると思われます。
そのため、説明会に参加した学生が選考に進みたくなるような説明会ができるかどうか、選考活動そのものが学生にとって有意義かどうかが採用成功に大きな影響を与えます。学生に選ばれる企業が、採用成功となるでしょう。
◆補足:採用スケジュールの変遷
- 20採用:3月広報、6月選考 ※4年連続の同じスケジュール。就活ルールは経団連から政府主導に変更。
- 19採用:3月広報、6月選考 ※前年と変わらず。3年連続の同じスケジュール。
- 18採用:3月広報、6月選考 ※前年と変わらず。
- 17採用:3月広報、6月選考 ※前年より、選考時期のみ前倒し。
- 16採用:3月広報、8月選考 ※前年より、広報、選考時期を後ろ倒し。
- 15採用:12月広報、3月選考
◆参考:就職サイト以外のサービス
- 実施者:谷出 正直 氏|採用コンサルタント/アナリスト
Facebook:https://www.facebook.com/masanao.tanide - 調査対象(主要就職サイト)
リクナビ
マイナビ
キャリタス(旧日経ナビ)※日経ナビは、17採用から「キャリタス」に名称を変更。 - 調査項目
サイト掲載企業数
エントリー受付企業数、受付率
説明会情報添付企業数、添付率、説明会開催予定(週単位)
会員学生数
編集部より
今年も谷出さんにご協力いただき、3月1日のグランドオープン速報として、主要3サイトの利用状況をまとめてみました。
これまでHR NOTEで取り上げてきたように、インターンシップに注力する企業や参加学生の増加に伴い、グランドオープン以降に新しく企業と学生が接点を作ることが難しい状況が続いています。
就職サイトを通したエントリーには「個別エントリー(個社の企業情報・採用情報を確認して1つずつエントリー)」と「一括エントリー(業界や職種などのセグメントで絞り込み、該当企業を一括でエントリー)」の2種類ありますが、現状は企業エントリーの7割が一括エントリーとなっているようです。
これは、インターンシップ期間から公開されている企業情報と昨年の採用情報を元に、学生側が「企業エントリー予約リスト」を作成できる仕組みが導入されているから。
学生側が企業探しに「効率性」を求めるあまり、企業側としては説明会参加につながりにくいエントリーばかりが増える傾向にありますが、それでも定期的な情報更新、メールでの選考案内など、様々な仕掛けをおこなっていくことで、少しでも多くの学生に自社の採用情報を届けることができるでしょう。
こうした学生とのオンラインコミュニケーションも、効率化できるよう見直していくことも、採用成功のキーかもしれませんね。