最近、「ブラック企業」や「ブラックバイト」ということばがメディアで注目されています。
ブラック企業の定義は諸説あるようですが、一般には労働基準法を違反した雇用管理をしている企業を指すことが多いようです。あなたの会社は大丈夫でしょうか?
雇用契約は法律に則った方法で対応しなければ、従業員とのトラブルになりかねません。
当サイトでは、「自社の対応が適切か確認したい」という人事担当者様に向け、雇用契約の方法から、雇用契約についてよくある質問までをまとめた資料「雇用契約手続きマニュアル」を無料で配布しております。
雇用契約業務を適切に進めるための参考としてご利用いただけますので、気になった方はこちらから資料をダウンロードしてご覧ください。
1. アルバイトでありがちな法律違反まとめ
法律を違反すると、お金や信用に関して、厳しいリスクを負うことになります。ついつい見逃してしまいがちなアルバイトの雇用管理における法律違反を確認してみましょう。
1-1. 残業代がつかない
今どき、まったく残業代が支払われないという会社は、重度のブラック企業といえるでしょう。そうでなくとも、残業代は支払われているのですが、計算に間違いがあったり、計算の仕方が理解できていなかったりする会社が意外に多いのです。
休憩時間を除き1日8時間を超えて労働させたり、週40時間を超えて労働させたりした際には、時間外手当を支払わなければいけません。また、深夜手当も気をつけるべきことの一つです。
夜22時から早朝5時までの間に労働をさせた場合、深夜手当を支払う必要があります。さらに労働させたのが、週に1日設定されている法定休日に該当すれば、休日手当の支払いも必要になるのです。
【割増賃金の種類と割増率】
アルバイトの場合、短時間の勤務が多いため、ついつい労働時間×時間給といった単純な計算で済ませてしまうケースが見受けられます。割増賃金の考え方は、正社員と何ら変わりません。
違反した場合には、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が定められています。
1-2. 罰金制度がある
アルバイトの場合、仕事へのモチベーションを維持させることが大切です。報奨制度を設けるのはよいのですが、逆に罰金制度で縛っている会社があります。しかし、罰金制度の中に法律違反になってしまうものもあるようです。
たとえば、一定のノルマを設けて、達成できなければ罰金を支払わせるような場合です。しかし、労働基準法では「賠償予定の禁止」という法律で、責任を従業員に負わせることを許していません。
法律では、ノルマが達成できないのは会社に責任があると判断しているのです。アルバイトにノルマを与えること自体に問題はないのですが、達成できないときに罰金を支払わせるのは法律違反になります。
違反した場合には、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が定められています。
1-3. 遅刻・欠勤時のペナルティーが重い
遅刻や欠勤時に対してペナルティーや制裁をおこなうことは、労働基準法で認められていません。就業規則に懲戒規定を設けて、遅刻や欠勤をしたときに懲戒処分として給与を減給することは可能です。
ただし、減給ができるとした場合でも、「制裁規定の制限」という法律により1回の事案につき平均賃金(1日あたりの賃金)の半額を超えたり、複数回の事案につき一賃金支払い期における賃金の10分の1を超えたりすることはできないと定められています。
違反した場合には、30万円以下の罰金が定められています。
なお、上記の範囲内の処分でも、たとえば10分程度の遅刻に対して、平均賃金の半額を減給するような処分は、重すぎるとして認められないでしょう。
1-4. 最低賃金を下回る
「最低賃金法」という法律で、時間単価の最低額を定めています。最低賃金は、都道府県別に定めています。また特定の産業については、産業別の最低賃金として定めています。定期的にインターネットなどで、最低賃金を確認してください。
最低賃金を下回る金額を定めても、法律により無効になり、最低賃金と同額で定めたことになります。最低賃金を支払っていない場合には、最低賃金と実際に支払った額との差額を支払わなければなりません。
違反した場合には、50万円以下の罰金が定められています。
アルバイトであっても、従業員に変わりはありません。雇入れの時には雇用契約書や雇入れ通知書を交付しなければなりません。
1-5. 雇用契約書の作成
雇用契約書の作成については、法律上の作成義務はありませんが、労働基準法により、労働条件を明示しなければならない事項が定められています。
【労働契約書(雇入れ通知書)に記載しなければならない事項】
- 労働契約の期間
- 仕事をする場所や仕事の内容
- 勤務時間・休憩時間・休日・残業の有無・交代制勤務の場合のローテーション
- 賃金の決定や計算と支払の方法・締切りと支払時期
- 退職に関すること・解雇事由
さらに、パートタイム労働法により下記の事項も記載しなければなりません。
【労働契約書(雇入れ通知書)に記載しなければならない事項】
- 昇給の有無
- 退職手当の有無
- 賞与の有無
ここまで解説してきたように、アルバイト従業員でも正社員と同じく雇用契約の締結が必要です。
法律に沿った対応をしていない場合、監査が入った際に法律違反として罰則になってしまう危険性もあり、「知らなかった」では済まされません。
当サイトでは、雇用契約で起きうる問題に関して、Q&A形式でまとめた資料を無料で配布しております。
自社の対応が違法ではないか不安な点があるご担当者様は、こちらから「雇用契約手続きマニュアル」をダウンロードしてご確認ください。
2. アルバイトの労働条件で気をつけること
労働基準法では、雇用契約書で定める内容について、労働基準法や就業規則を下回る条件を定めることはできないとしています。
優先する順序でいうと「労働基準法>労働協約(※1)>就業規則(※2)>労働契約(雇用契約)」となります。つまり、順位が上のものに違反する条件を定めても無効になるのです。
よって、就業規則が正社員用のものしか作成されていなければ、正社員の就業規則が適用され、アルバイトも正社員と同じ条件で雇用しなければならないとうことになります。
パートやアルバイトを、正社員と異なる条件で雇用するのであれば、パート就業規則やアルバイト就業規則を別に作成する必要があるでしょう。
- ※1:会社と労働組合のあいだで定める約束
- ※2:会社が従業員の意見を聞いて定める会社のルール
一度、ブラック企業としてのレッテルを貼られてしまうと、会社のイメージへの影響は計り知れません。社員募集のみならず、会社の営業活動自体にも悪い影響を与えるでしょう。
これらの事態を防ぐためにも、ブラック企業にならないための対策が必要になります。
3. 勤怠管理を徹底する
ブラック企業にならないためには、法律に則った労務管理をしなければならないことは、言うまでもありません。
3-1. 適正な時間管理をする
たとえば、タイムカードの打刻において、打刻のタイミングを揃えるなどの勤怠管理を徹底することが必要でしょう。ある人は会社に着くなり打刻し、ある人は仕事の準備ができてから打刻するといった、タイミングのずれを修正するのです。
特に、退勤時の打刻は、トラブルになるケースが多いといわれています。たとえば、退勤時の打刻は、定時を過ぎていたとしても、休憩した後で打刻しているので残業扱いしないという会社があったとします。
この場合、仮に裁判になったとしても、休憩していることを立証できるでしょうか?立証できなければ、タイムカードの打刻により残業があったと判断されます。ブラック企業の仲間入りです。
対策としては、従業員が残業する場合には、残業申出書や残業支示書を使用して勤怠管理をします。タイムカードと、申出書や指示書の2本立てにすることで、時間管理を徹底してください。
3-2. 残業代未払いを防ぐ
残業代を支払っていたとしても、未払い分が生じている場合があります。労働時間の端数処理については注意が必要です。
たとえば、残業代について勤務時間を毎日30分単位で切り捨てにより計算していれば、労働基準法違反になります。
法律に則ると、1か月の勤務時間数の合計に対して、1時間未満の端数があるときは30分未満を切り捨て、それ以上は1時間に切り上げる必要があります。
1か月という期間のうち、1時間未満の端数であることや、切り捨てだけではなく切り上げもあることで、従業員が不利にならないようになっています。
3-3. 飲食店アルバイトなど、時間帯で給料が異なる場合への対応
飲食店の場合、ランチの時間帯だけではなく、ディナーの時間帯も営業するなど、長時間の勤務が想定されます。最近は、24時間営業のお店も多いのではないでしょうか。
法律で、深夜と指定される時間帯が含まれる場合も多くなるでしょう。たとえば、シフトで時給1000円のアルバイトを18時から0時まで勤務させた場合、18時から22時までと、22時から0時までの給与計算の方法は異なります。
給与計算の方法は、「18時〜22時→1000円×4時間」+「22時~0時→1250円×2時間」になります。午後10時から午前5時までは、深夜割増として、25%割増の賃金になるからです。
3-4. 18歳未満の労働時間を管理
学生のアルバイトであれば、18歳未満の従業員もいるかもしれません。18歳未満の者を労働基準法では「年少者」といいます。年少者の場合、保護する必要があるため、法律でいくつか規制が設けられています。
年少者であれば、法定労働時間を超えて勤務させることができません。つまり、1日8時間/週40時間の範囲内となります。原則として、時間外・休日・深夜労働や変形労働時間で勤務させることは禁止です。
年少者を雇用する場合には、会社に年少者の年齢を証明する「年齢証明書」を備え付けておく必要があります。
さらに、原則として、満15歳に達した日後の3月31日が経過しない者を雇用することはできません。高校生のアルバイトを雇用している会社も多いかと思います。はたして、年少者の規制を守れているでしょうか?
4. アルバイトの勤怠管理向け勤怠管理システムの導入
アルバイトの勤怠管理を効率化する方法として、アルバイトの勤怠管理向けの勤怠管理システムを導入することとおすすめします。限られた期間に限られた担当者の数で、アルバイトの勤怠管理を手作業でおこなうことは、効率的とはいえません。
そもそも、アルバイトの勤怠管理や給与計算は、担当者に負担をかけているようです。なぜなら、時給単価も異なれば、労働時間も異なります。さらに、シフトにより深夜割増が必要になる場合もあるかもしれません。
たとえば、以下のような勤怠管理システムは、アルバイトの勤怠管理を効率化することに役立ちます。『ジンジャー勤怠管理』は、今までの勤怠管理システムでは対応しきれなかった、アルバイトなどあらゆる雇用形態のシフト管理にもフレキシブルに適応しているようです。
4-1. アルバイトの勤怠管理に使える勤怠管理システム例:『ジンジャー勤怠管理』
「ジンジャー」は、採用・勤怠・人材管理など、人事領域に関する業務を一貫して管理できる、プラットフォームサービスです。
国内ほぼすべての給与管理システムとの連携も可能で、GPSや顔認証を含む多様な打刻方法、わかりやすいシフト作成といった機能があります。最新の労働基準法にも常に対応し、安心してアルバイトの勤怠管理をすることができます。
勤怠管理システムを導入することで、手計算によるミスをなくすことができ、「知らない間に法律違反をしていた」というリスクも回避できるでしょう。さらに、担当者は本業に専念し、業務の効率化ができるというメリットも期待できます。
アルバイトの雇用管理には、法律によるさまざまな規制があります。法律に則った管理をしているつもりでも、思い違いや計算ミスにより違法行為をしてしまう場合があるかもしれません。
「ブラック企業」といわれないためにも、適切な雇用管理がされているかを定期的にチェックする必要があります。勤怠管理システムの導入も含めて、本記事を参考にリーガルチェックをしてみてはいかがでしょうか?
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