勤怠管理システムは業界を問わず必要になりますが、特に物流業界は従業員の雇用形態が独特なので「勤怠管理が難しい」と悩まれている担当者も多いかと思います。
そこで今回、物流業界における勤怠管理の問題点や、課題の解決につながる、物流業の勤怠管理に特化した管理システムを紹介していきます。
数多くある勤怠管理システムの中から、自社に見合うシステムを探す際、何を基準にして選べばいいのか、悩まれる方も多いのではないでしょうか。
そのような方のために今回、社労士監修のもと、「勤怠管理システムの比較表」をご用意いたしました。資料には以下のことがまとめられています。
・勤怠管理システムの5つの選定ポイント
・社労士のお客様のシステム導入失敗談
・法対応の観点において、システム選定で注意すべきこと
お客様の声をもとに作成した、比較表も付属しています。これから勤怠管理システムの導入を検討されている方はぜひご活用ください。
1. 物流業界の勤務管理にはどのような悩みがあるのか
まず、物流業界における勤怠管理の担当者は実際にどのような課題を抱えているのか、調べてみました。
1-1. 物流業の従業員は勤怠状況をごまかしやすい
物流業界は他の業界と異なり、従業員の実際の勤務状況が勤怠管理者の目に比較的届きにくいという特徴があります。深夜や早朝に出退勤をする人だと、責任者が不在ということもあるので、タイムカードの打刻を他の従業員仲間にお願いするなど、不正打刻をおこないやすいといえるのではないでしょうか。
結果として、「働いていないのに給料を支払わなければいけない」という事態になるかもしれません。徹底した勤怠管理をおこなえないことで従業員のモラルも低下し、人件費もかさんでしまうのは、何としてでも避けたいことでしょう。
1-2. 物流のドライバーは正確な勤怠管理が困難
運送業においてドライバーの存在は欠かせません。短距離輸送で日帰り勤務の場合は、事業所でタイムカードを切るだけなので単純かと思います。しかし長距離輸送の場合、事業所に24時間以上戻らないことも多く、出退勤の手続きをおこなうことが難しくなります。
また実働時間の報告も本人の自己申告に委ねなければならないため、正確な勤務時間を把握することは困難といえるでしょう。
1-3. 物流業での事業所勤務は勤務時間のパターンが多様なため、勤怠管理にミスが生じやすい
物流業において、荷物の仕分け作業は時間帯によって仕事の量が大きく異なります。そこで人員を調整しやすいように、配送センターで働く従業員の多くは非正規雇用となっているようです。
正規雇用の社員と異なり、非正規雇用にはさまざまな勤務時間のパターンがあります。従業員一人ひとりの勤務時間の集計を手作業でおこなうと、管理が煩雑になってしまうでしょう。家計が苦しいパート従業員の勤務時間を誤って実働時間よりも短く計算してしまうと、未払い給料が発生し、訴訟問題になってしまうケースもあるようです。
2. 物流業に特化した勤怠管理システムを導入するメリット
物流業の勤怠管理には、これまで説明してきたような多くの課題があるようです。しかし、物流業の勤怠管理に特化したシステムを導入することで、これらの問題の多くを解決することができます。
物流業向けの勤怠管理システムを導入することで得られるメリットにはどのようなものがあるのか、説明していきます。
2-1. 従業員の勤務時間を集計する手間とコストを省くことができる
従業員がカードで勤怠打刻をするやり方は、多かれ少なかれ人事担当者の負担となっているのではないでしょうか。
勤怠管理システムを導入すれば、自動的に入力・集計をすることができます。その分担当者は、他の業務に打ち込むことができるでしょう。
2-2. 給与の計算も簡単にできる
手作業だと従業員の勤務時間を計算してから、時間給を当てはめて給与計算をおこないます。
物流業界だと、早朝や深夜勤務は割り増し賃金にするなど、時間帯に応じて時給に差を設けている場合があります。また、仕分け作業・事務・配送補助など、職種別で時給に差をつけている場合もあるようです。
このように勤務時間帯と職種を意識して給与計算をおこなうと、かなり煩雑な作業になってしまいます。
しかし、近年では多くの勤怠管理システムは給与計算ソフトとの連携に対応しているため、このような勤怠管理と給与計算の組み合わせが作業員の頭を悩ますようなことはありません。
2-3. 従業員による勤怠状況の虚偽報告を防止できる
物流業において、タイムカード、自己申請、事後報告などで打刻をおこなっている場合、従業員は簡単に勤務時間を偽ることができるでしょう。
例として、ドライバーが実際の勤務時間より早めに帰宅しているにも関わらず、他の従業員にお願いして実際より遅くタイムカードを切らせることで、違法に余剰賃金を得ることなどが挙げられます。
後述しますが、勤怠管理システムにはGPS機能を用いて従業員の勤務場所をリアルタイムで把握したり、生体認証や顔写真打刻機能などで従業員の代理打刻を防止したりする機能が備わっているものが数多くあります。これらは物流業に独特な不正打刻を防ぐことにも役立つでしょう。
2-4. 場所に関係なく遠隔で出退勤を申告できる
勤怠管理システムには、GPS機能が搭載されているものがほとんどです。
荷物の配送が重要な仕事の一つである物流業では、社員がどこで勤務しているのかを把握することが勤怠管理の課題となります。遠距離輸送の場合だと輸送時間が24時間を超えることもあり、自己申告やタイムカードだと従業員の正確な勤務状況を把握することはほぼ不可能かと思います。
勤怠管理システムを利用することで従業員の現在地をリアルタイムで確認でき、例えば自己申告に合わせて「飲食店にいるから、休憩時間だろう」というように判断できます。よって、外回り業務の場合にも正確な勤怠管理をおこなうことができるのです。
2-5. 外部環境の変化に対応しやすい
法律の改正などがこまめに起こる現代において、労働基準法の改正も例外ではありません。改正されると賃金体系なども変わり、対応する必要があります。
勤怠管理システムではアップデートするだけで最新の制度に適応されるため、法律に詳しくなくても安心して業務に取り組むことができます。
3. 物流業に特化した5つの勤怠管理システムを紹介
物流業の独特な勤務体系に対応した、勤怠管理システムをご紹介します。それぞれの特徴や機能を参考にして、自社の勤務体系に適したシステムを選択して頂ければ幸いです。
3-1. ジンジャー勤怠
ジンジャー勤怠は、PC、スマホ、ICカードなどの複数の打刻方法があるため、各企業や従業員にあった方法で打刻が可能です。
GPSの記録もできるため、不正打刻を防止したり、打刻できる範囲を制限することもできます。
勤務時間が多様な物流業界や、正確な勤怠の把握が難しい運送業界の勤怠管理にくわえ、集計にかかる手間やコストを削減することも可能になります。
3-2. 勤怠ドライバー
実際に労務問題を抱えた運送会社の経験や・意見をもとに設計されている勤怠管理システムです。トラックに搭載されている主要なデジタコメーターにも連携が可能なので、不正打刻を防ぐことができます。また、運送会社を多く見られてきた社労士が参画しているので、法令を遵守した勤怠管理ができます。
3-3. Disynapse (デシナプス)
労働時間を徹底管理するために、デジタコを活用した勤怠管理がおこなえます。運輸業界のコンプライアンスを徹底網羅したシステムとなっています。ITを活用した従業員の点呼記録が可能で、アルコールチェックが連動しているので、従業員と企業のつじつまがあった管理ができます。また配車システムや運行指示書も連携しているので、一元した管理が可能になります。
3-4. バイバイタイムカード
スマートフォン、PC、QRコード、ICカード、静脈認証などを活用した打刻が可能で、企業のスタイルに合わせた勤怠管理ができます。また、専任のコンサルタントがお客様のニーズに合わせて、カスタマイズやバックアップをおこなってくれ、従来のシステムでは導入が難しかった物流業などの業界の勤怠管理にも対応。
3-5. ちゃっかり勤太くん
クラウド型の勤怠管理システムの中では低価格帯であるにも関わらず、スケジュール機能や工数管理といったグループウェアをはじめ、多岐にわたる機能を搭載しています。そのため、外部との連携や工数の多い物流業の業務形態にも対応することが可能です。
また、生態認証、ICカード認証、位置情報GPSなど多様な打刻方法ができる点で優れており、物流業の勤怠管理において大きな問題の一つである不正打刻の防止にも特化しています。
4. おわりに
近年では、他のシステムと連携可能な勤怠管理システムも増え、機能の種類も多岐にわたって充実してきています。
本記事で紹介したように、物流業に特化したサービスも提供されています。物流業界の企業に従事されている担当者様は、ぜひ導入を検討されてみてはいかがでしょうか?
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