【社会保険】従業員が退職する際の対応|手続きや保険料の取り扱いについてもご紹介! | 人事部から企業成長を応援するメディアHR NOTE

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退職時の社会保険手続きや保険料の取り扱いについて詳しく解説

  • 労務
  • 社会保険

従業員が5名以上の事業所の場合、原則として社会保険への加入が義務付けられています。

したがって、家族規模の事業所を除き、従業員が退職する際や従業員を解雇するときには、社会保険の退職手続きをおこなわなければなりません。さらに、従業員の経歴次第で手続きが異なってくることがあるので、注意が必要です。

本記事では、従業員が退職するときに対応しなければいけない社会保険の手続きについて取り上げていきます。

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社会保険料の支払いは従業員の給与から控除するため、従業員が入退社した際の社会保険の手続きはミスなく対応しなければなりませんが、対象者や申請期限、必要書類など大変複雑で漏れやミスが発生しやすい業務です。

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1. 従業員が退職するときの手続きの流れ

従業員が退職するときは、社会保険の手続きを含め、さまざまな対応をしなければなりません。ここでは、従業員が退職するときの一般的な流れを紹介しますのでチェックしておきましょう。

1-1. 退職届を受理する

退職の意思は、退職届によって表明してもらうことが一般的です。就業規則に記載されている期日、または民法上の規定である退職予定日の14日前までに退職届が提出された場合、企業側は退職を拒否することはできません。労使間のトラブルを防止するためにも必要な手続きをスタートしましょう。

1-2. 業務の引き継ぎを指示する

退職する従業員に業務の引き継ぎをおこなってもらうことも重要です。新しい担当者を決めたうえで、作業内容の説明やクライアントへの挨拶を進めてもらいましょう。

口頭での説明だけではなくマニュアルを作成すると、抜け漏れを防止できるのはもちろん、今後の引き継ぎや業務内容の共有に役立ちます。

1-3. 貸与物を回収する

従業員へ貸し出しているものを忘れずに回収しましょう。最後の出勤日にまとめて回収するのが一般的ですが、有休消化などにより退職日に出勤しない場合は、早めに回収しなければなりません。回収すべきものは以下の通りです。

  • パソコン
  • スマートフォン
  • タブレット
  • 社員証
  • 名刺
  • 制服
  • 健康保険証

機密情報の流出を防ぐため、作成した資料や顧客リストなども回収しましょう。

1-4. 社会保険の手続きをおこなう

退職者に関する社会保険の手続きをおこなう必要があります。具体的には以下の保険の手続きを進めましょう。

  • 健康保険
  • 厚生年金
  • 介護保険
  • 雇用保険
  • 労災保険

それぞれの手続きの詳細は、後ほど詳しく解説します。

1-5. 所得税・住民税の手続きをおこなう

従業員が退職する際は、その年に納税した所得税額を記載した源泉徴収票を発行する必要があります。退職日までに支払った給与や賞与などと一緒に所得税額を記載し、退職後1カ月以内に交付しましょう。

また、給与から住民税を天引きしている場合は、「給与支払報告に係る給与所得異動届書」を従業員が居住する市町村に提出しなければなりません。退職日の翌月10日までに提出する義務があるため、遅れないようにしましょう。

1-6. 離職票などを郵送する

従業員が退職した後、以下のような書類を郵送する必要があります。

  • 離職票
  • 源泉徴収票
  • 雇用保険被保険者証
  • 退職証明書(本人希望時)
  • 健康保険資格喪失証明書(本人希望時)

従業員が引っ越している可能性もあるため、郵送先を確認しておきましょう。

2. 退職時に必要な社会保険手続き

従業員が退職する際、社会保険についての対応はどのようにおこなえばよいのでしょうか。そもそも退職の効力は、原則として従業員から退職の意思が表示されてから14日(2週間)後に生じます。

しかし、多くの場合は業務の引継ぎに要する時間が2週間では足りないため、1カ月以上前に退職の旨を伝えるように設定しているケースが多く見られます。

退職を希望する従業員がいるということが早めにわかれば、準備もスムーズにおこなうことができますので、退職希望者にはなるべく早めに伝えてもらい、人事などの必要な部署に共有してもらうことが大切です。

退職する従業員がわかり次第、手続きなどをスタートします。社会保険に関する対応は以下の通りです。

2-1. 健康保険・厚生年金

健康保険と厚生年金については「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届」という書類に必要事項を記入したうえで、従業員が退職した日から5日以内に管轄の年金事務所へ提出しなければなりません。書類の郵送以外にもインターネットによる申告もできます。

「協会けんぽ」に加入している事業所の場合、健康保険被保険者証も書類と一緒に返却する必要があります。インターネットによる申告の場合においても同様です。

万が一、保険証をなくしてしまって原本を返せなくなったら、資格喪失届に理由を記載するか、「健康保険被保険者証回収不能・減失届」も一緒に提出しなければなりません。

▼社会保険の資格喪失届に関する記事はコチラ

社会保険の資格喪失届とは|記入方法や、注意点をご紹介

2-2. 介護保険

介護保険については、健康保険や厚生年金と同じ書類によって手続きするため、特筆すべきことはありません。ただし、保険料については退職する月は徴収しないため、注意しましょう。

2-3. 雇用保険

従業員の在籍していた期間などによって失業保険が給付されるタイミングが異なるため、注意が必要です。

事業主には、「雇用保険被保険者喪失届」を従業員が離職した日から10日以内にハローワークへ提出することが義務付けられています。

また「雇用保険被保険者離職証明書」も同様ですが、本人が交付を望まない場合は、この限りではありません。

雇用保険被保険者喪失届」については、ハローワークで直接受け取る以外にもホームページからダウンロードすることもできます。記入ついては資格喪失日の箇所は退職した日の翌日にしておきましょう。

一方で「雇用保険被保険者離職証明書」は3枚1組の複写の専用紙を利用しているので、ホームページからダウンロードすることができません。ハローワークへ足を運ぶか、文具屋や文具のオンラインショップで購入する必要があります。また、電子申請という手段もありますので、こちらを活用すると便利でしょう。

失業保険の受け取れる期間や金額はこの書類によって決まります。離職者の生計に大いに関わってくるので、確認のうえで本人に署名してもらうようにしましょう。

2-4. 労災保険

雇用保険の手続きをおこなうことで労災保険も自動的に手続きされますので、退職時においてとくにすべきことはありません。また保険証そのものがないので、回収することもないです。

ただし保険料については、被保険者が在職した月まで申告することになっています役所から配送される「労働保険年度更新申告書」に必要事項を記入したうえで郵送しなければなりません。

本章で解説したように、退職時に対応が必要な社会保険は、健康保険、厚生年金保険、雇用保険の3種類になります。

提出期限に遅れた場合において、とくに罰則が生じることはありませんが、失業給付金が受け取れないなどの問題が起きることがあり、そこから労使間トラブルに発展する可能性があるので注意が必要です。

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3. 退職者における社会保険料の取り扱いについて

従業員の社会保険料の負担額は、社会保険の資格を取得した日が属する月から、資格喪失日(退職日の翌日)が属する月の前月分となっています。

退職者が月の途中で退職するのか、それとも月末なのかによって社会保険料の控除方法が異なりますので、以下で確認してください。

<月途中に退職する場合>

退職前月の保険料を退職月の給与から控除

<月末に退職する場合>

退職前月+退職月の2カ月分の保険料を、退職月の給与から控除

社会保険料は事業主と従業員が半額ずつ支払う制度です。上記のルールを確認したうえで、双方にとって最適な退職日を相談することもできるかもしれません。

4. 社会保険に関する退職者の個人情報はどう取り扱う?

社会保険に加入する際に、従業員の個人情報を収集することがあったと思います。従業員が退職した後は、個人情報をそのまま放置するのではなく、ファイルや電子データに整理してきちんと管理しましょう。

また、法律により、社会保険にまつわる個人情報を記載した書類は、数年間保管する必要があります。社会保険ごとの保管期間は以下の通りです。

  • 健康保険・厚生年金保険:2年
  • 労災保険:3年
  • 雇用保険:4年

保管期間が過ぎるまではしっかり保存し、期限を超えた個人情報はシュレッダーにかけたり、完全にデータを消去したりするなどの対応をしなければなりません。

5. 従業員がおこなうべき退職時の社会保険手続き

ここまで、退職者が出た場合における事業所の対応について説明しました。それでは、退職者自身はどのような手続きをおこなう必要があるのでしょうか。

事業所が退職者に伝えることで、退職者の生活が守られるほか、企業のイメージ向上につながるかもしれません。ぜひ理解を深めておきましょう。

5-1. 健康保険について

健康保険について、日本には「国民皆保険」という制度が設けられているため、何らかの健康保険に加入しなければなりません。しかし、転職ではなく独立する場合や無職になる場合は、転職先で社会保険に入るというわけではなくなります。

よって、「国民健康保険」「任意継続」「家族の扶養に入る」の3つから選択する必要があります。

国民健康保険に切り替える場合

資格喪失日より14日以内に国民健康保険に切り替える手続きをします。

保険料は自治体によって異なりますので、各市区町村にて確認してください。また、手続き自体も各自治体の窓口に申し出ることで可能になります。

必要書類は以下の通りです。

  • 健康保険資格喪失証明書
  • 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証等)
  • 通帳
  • 印鑑
  • マイナンバー

任意継続制度を選択する場合

任意継続とは、退職以前の会社の社会保険に引き続き加入する制度であり、退職者の意思によって20日以内に手続きをおこなえば2年まで利用可能です。

ただし、退職以前に2カ月以上、健康保険の被保険者であったということが条件になりますので注意が必要です。

なお、保険料の負担額は全額自己負担となり、納期を超えると任意継続の資格喪失となってしまいますので、こちらもきちんと押さえておきましょう。

任意継続制度に必要な書類は以下の通りです。

  • 健康保険任意継続被保険者資格取得届
  • 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証等)
  • 印鑑

家族の扶養に入る場合

配偶者などの家族が社会保険に加入している場合、扶養に入ることが可能です。とくに、退職後すぐに転職をしない場合に扶養に入ることを検討するとよいでしょう。

ただし、被保険者と一緒に住んでいる場合と住んでいない場合で、扶養には入れるか否かの条件が変わってきます。詳しくは、以下で確認してください。

扶養者とは?|全国健康保険協会

5-2. 転職先が決まっていない場合は年金の切り替えが必要

すぐに転職しない場合、国民年金保険に切り替えるか家族の扶養に入る必要があります。国民年金保険に切り替える場合は、退職後14日以内に各市区町村の年金窓口で手続きをしましょう。

2024年度の国民年金保険料は16,980円となっています。また、まとめて前払いをおこなうと割引が適用されます。

必要な書類は以下の通りです。

  • 国民年金保険料口座振替納付(変更)申出書兼国民年金保険料口座振替依頼書
  • 基礎年金番号がわかるもの(年金手帳、納付書等)
  • 通帳、キャッシュカード
  • 印鑑

▼詳しくは以下で確認してください。

国民年金保険料|日本年金機構

5-3. 失業保険を受ける場合

失業保険を受ける場合は、退職日から10日以内を目安に送られてくる離職証明書を持参し、速やかに各市区町村のハローワークで手続きをしましょう。

退職日の翌日から1年間が受給期間であり、それを超えると打ち切りになりますので注意が必要です。

必要書類は以下の通りです。

  • 離職票
  • 通帳
  • 雇用保険費保険証
  • 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証等)
  • 3カ月以内に撮影した写真2枚
  • 印鑑
  • マイナンバー確認証明書

6. 退職時の社会保険手続きが遅れるとどうなる?

退職時の社会保険手続きが遅れると、転職先での健康保険証の交付が遅れたり、退職した従業員の健康保険料を支払うことになったりします。以下、手続きが遅れるとどうなるのか解説しますのでチェックしておきましょう。

6-1. 健康保険の手続きが遅れると?

健康保険の手続きが遅れると、従業員が転職先で新しい健康保険証を受け取れなくなる可能性があります。医療費を全額自己負担することになるため、従業員にとって大きな負担となってしまうでしょう。

また手続きを怠ると、毎月送られてくる健康保険料納付通知書に、退職したはずの従業員の健康保険料まで記載されてしまいます。無駄な支払いを防ぐためにも、速やかに手続きを進めることが大切です。

6-2. 国民年金の手続きが遅れると?

退職後に国民年金に切り替える場合は、退職日翌日から14日以内に手続きしなければなりません。手続きを忘れることで未納期間ができてしまうと、将来受け取れる年金額が減ってしまいます。

市役所などでの手続きを忘れないよう、退職する従業員へ伝えてあげるとよいでしょう。

6-3. 雇用保険の手続きが遅れると?

雇用保険の手続きが遅れると、従業員が失業給付を受け取れる期間が短くなってしまう可能性があります。退職時は雇用保険の手続きを素早く進め、離職票を発行するようにしましょう。

7. 退職時は社会保険の手続きを忘れないようにしよう!

今回は、従業員が退職する際におこなうべき社会保険の手続きについて解説しました。

書類によっては提出までの期間が短いものもあるため、早めに退職の旨を教えてもらうことや素早く資料作成をおこなうなどの工夫が重要になります。

企業と従業員の双方にとってより良い未来のために、退職が伝えやすい環境づくりや情報共有のスムーズさを徹底するなどの取り組みが大切だといえるでしょう。

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