最近メディアでは過労死問題が騒がれています。同様に、長い間問題となっているのが「サービス残業」です。うちの会社は残業代を出さないのが通例だから…そう思って、残業代をもらっていない人も多いのではないでしょうか。
しかし、法律上は、社員が残業をした場合会社は社員に賃金を支払わなければならないと決められています。今回は、残業にまつわる知識を把握し、支払われるべき残業代がどういうものか調べてみました。
そもそも残業時間が各従業員でどれくらいあるのかが分からなければ、削減しなければならない残業時間数や、対象の従業員が誰かが分からないためです。
現在、残業時間を正確に把握できていないなら、勤怠管理システムを導入して残業時間を可視化することをおすすめします。
具体的な残業時間数が把握できるようになったことで、残業の多い従業員とそうでない従業員を比較して長時間労働の原因をつきとめ、残業時間を削減した事例もあります。
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【監修者】石原 昌洋|特定社会保険労務士・中小企業診断士
トライデントコンサルティング株式会社 代表取締役。東洋大学大学院経営学研究科ビジネス・会計ファイナンス専攻博士前期課程修了。中小企業を中心に労務管理から研修、人事制度構築など幅広く支援を行っている。『人事労務「攻め」と「守り」の勘所』マネジメント社(共著)2023/06
1. サービス残業とは
そもそもサービス残業とは何を指すのでしょうか?これを理解するためには、法律上「残業」とはどのような意味かを知る必要があります。
実は、「残業」という言葉は法律用語ではありません。残業とは一般に労働基準法における「時間外労働」と「法内残業」のことを指します。
時間外労働は「1日の実労働時間-8時間(法定労働時間)」。すなわち、労働基準法で定められた労働時間を超えた労働のことをいいます。
これに対して、法内残業とは会社で決められた所定労働時間を超えていますが、その労働時間が労働基準法で定められている労働時間以内の範囲でおこなわれた労働時間のことをいいます。
社員が時間外労働をした場合には、会社は必ず割増賃金を支払わないといけません。これは法律により決まっています。しかし、「法内残業」であれば割増賃金の支払い義務はありません。しかし、一般的には「法内残業」であっても割増賃金を支払うと、就業規則において定めている企業が多いです。
時間外労働においては、割増賃金を払うとその分、人件費がかさんでしまうため、会社はなるべく残業代を払いたくはないと考えます。その場合に本来支払うべき残業代を支払わずに働かせる、「無給労働」がおこなわれています。それがサービス残業の実態なのです。
2. サービス残業はなぜ起こる?
では、どうしてサービス残業という事態が生じてしまうのでしょうか?この背景には、企業の体質と制度の悪用という2つの原因があるようです。
2-1. 会社の体質
残念なことに、日本ではサービス残業の体質が残っている会社がいまだに存在します。そもそもタイムカードを用意していなかったり、定時にタイムカードを押させた上で残業をさせたりといった慣習が続いている会社もあるようです。
しかし会社は残業をさせた分の割増賃金を社員に支払わなければいけません。したたかな社員は残業時間を把握するために、手帳やアプリなどで退社時間を記録し、急に残業代を請求する、最悪のケースとして民事訴訟になる可能性もあるので、そのようなことが起こらないように人事の方はちゃんと残業について把握しておく必要があります。
またその残業時間にも上限が決められているため、勤怠管理の担当者が正しく把握をしていないと、気づかぬうちに労働基準法違反につながってしまう可能性があるため、注意が必要です。
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2-2. サービス残業になりうる3つの制度
会社によっては、サービス残業をさせている場合があります。代表的な制度としては、以下の3つの点があげられるでしょう。
2-1-1. 固定残業代制
「固定残業代制」は残業代がいくらと、あらかじめ固定されている賃金体系のことをいいます。この「固定残業代制」は法律で認められているものではなく、会社が定めている制度になります。
本来、この制度は一定額を払えばいくらでも働かせてよい、という制度ではありません。あらかじめ残業時間を決め、これを超えた場合には追加の残業代を支払う必要があります。しかし会社の中にはこの制度を把握せず、低額な残業代で長時間労働をさせている場合があるかもしれません。
2-1-2. みなし労働時間制
「みなし労働時間制」は実働時間にかかわらず、一定時間労働したこととみなす制度です。なぜこのような制度があるのかというと、職場での時間管理が難しい人が存在するからです。
たとえば、外回りの営業マンやツアーガイドを考えてみると良いでしょう。みなし労働時間制を採用するためには厳しい要件をクリアする必要があるのですが、中には賃金を払うべき労働時間を短縮できるとあって、悪用される可能性がある制度の一つです。
2-1-3. 残業代の対象から外れる「管理監督者」
「管理監督者」(労基法41条3号)にあたるとして、残業代の対象から外すという方法もあります。
法律上、「管理監督者」には残業代を支払う必要はありません。使用者同様人事を統べることができ、立場上給与も高いことからこういった運用が認められています。しかし「管理監督者」の認定には厳しい要件をクリアする必要があり、誰でもなれるわけではありません。
店長、マネージャー、支店長など役職名前はたくさんありますが、管理職というだけでは認められず、職務や給与の内容から総合的に判断する必要があります。
3. まとめ
いかがでしたでしょうか、思い当たる節はありませんでしたか?
残業をした場合、その分の賃金はしっかり支払わなければなりません。社員が直接会社に請求する場合や、労働基準監督局に申し出る可能性もあります。また賃金債権は給料日から2年で時効にかかり請求できなくなります。そのためいきなり社員に未払いの残業代を請求されるという場合もありますので、社員ともめることがないよう会社は社員の残業時間を把握しきちんと残業代を支払える環境を整えていきましょう。
そもそも残業時間が各従業員でどれくらいあるのかが分からなければ、削減しなければならない残業時間数や、対象の従業員が誰かが分からないためです。
現在、残業時間を正確に把握できていないなら、勤怠管理システムを導入して残業時間を可視化することをおすすめします。
具体的な残業時間数が把握できるようになったことで、残業の多い従業員とそうでない従業員を比較して長時間労働の原因をつきとめ、残業時間を削減した事例もあります。
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