こんにちは!組織コンサルティングを行う株式会社JAMの菊地です。
研修の内製化を積極的に実施している株式会社サイバーエージェント曽山氏、株式会社LIFULL羽田氏に対し、弊社代表の水谷がインタビューを実施した「研修の内製化 3社対談」の5回目の記事となります。
組織づくりにおいて重要なのは、採用なのか、配置なのか、それともマネジメントなのか、育成なのか、、、。
様々な組織論がありますが、今回はその中でも「育成」について、お二人のお考えをお伺いしました。「人材育成なんて意味がない」という社長と意見が食い違っている人事の方、必見です。
※本記事は、以下5つのテーマに分けて連載形式でお届けします。
[連載記事はこちら]
曽山 哲人(そやま てつひと)|株式会社サイバーエージェント 取締役 人事統括
羽田幸広(はだ ゆきひろ)|株式会社LIFULL 執行役員人事本部長
水谷 健彦(みずたに たけひこ)|株式会社JAM 代表取締役社長
「人材育成なんて意味がない」という社長がいたら人事はどうする?
水谷氏:サイバーエージェントさんとLIFULLさんは全然そんなことないんですけど、「人材育成なんて意味がない」っていう社長もいるじゃないですか。人は育たない、採用100%だと。
僕も採用はすごい大事だと思っていますが、採用の後に育成をきちんとしたら更に伸びるじゃないですか。育成なんて意味がないと思っている社長ともし一緒に仕事をしたとしたら、お二人はどうしますか?
曽山氏:これはもう最近出した「強みを活かす(PHP研究所)」に書いてあります(笑)。才能が開花しているかという考え方が大事だと思うんです。なので、その人が入社したあとに、その人の才能がフルに発揮できているのであれば業績は上がるはず。
でも、できていないのだとするとスキルが足りないのかもしれないし、マインドセットがされていない可能性があるので、ここには何かしらのアプローチが必要です。なので、研修や能力開発が必要かもしれないし、マンツーマンの対話やエモーションを動かすスイッチも必要かもしれません。
才能開花が一番重要であり、その中の手段としての育成だから、育成が嫌いという経営者の言うことも半分は分かるんですよ。例えば研修をやれば育つわけではないというのは分かります。ただ、育成のその先にあるのは才能の開花であり、才能が伸びることであり、それは業績につながりますよね。「それはやった方がいいんじゃないですか?」という議論は、僕の中ではすると思いますね。
水谷氏:才能の開花ですね。「全員が本当に才能開花してますか?」っていうことですね。多分NOってなりますよね。
曽山氏:100%開花してるとは言い切れないとなるとずっと自問自答できるんです。何が引っかかっているんだろうとか。
水谷氏:才能開花のために、人材開発は1つの手段としてあるということですね。
曽山氏:そうです。当然スキルがなければできないのは誰でも分かっているので、「才能開花」という意味での能力開発が必要だよねということです。マインドを変えるための研修だったら、それこそマインドフルネスで自分の頭を整理するのもそうでしょうし。
水谷氏:羽田さんはどうですか?
羽田氏:曽山さんと同じ考えですが、「人は育たない、採用100%」ということは、ずっと採用時のまま、プロフェッショナルとして採用される中途入社者はともかく、新卒入社者はずっと新卒のままってことですよね。
曽山氏:みんな横ばい・・・(笑)。
羽田氏:そうじゃないですよね!(笑)。
育成=研修って思っていると、育成はいらないってなるんでしょうね。研修は社員の成長機会の一つですよね。
水谷氏:「人は勝手に育つものだ」っていう捉え方はありますよね。
曽山氏:社長の方とお話していると、ベンチャーのカオスな環境で育った方も多いので「俺は研修受けてないし」というロジックが成り立っちゃうんですよ。
水谷氏:俺はそうではなかったと。
曽山氏:そう。「俺研修受けてないし」と。この理論は正しいんです。なのでこのギャップってすごく大きいんですよね。研修を受けたいという人と、研修で育っていない自分と、このギャップなんです。そのギャップはすごく大きいですよね。
水谷氏:そこを埋めるのは、才能の開花だと?
曽山氏:才能が開花していればいいんじゃないかなと。
羽田氏:研修を受けなくても、本を読んだりとか、話を聞きに行ったりするじゃないですか。スキルや仕事のやり方を記憶として定着させる活動の1つが研修ということなので、研修は仕事のやり方を学ぶ手段の1つですよね。実務経験と並んで研修も一つの有効な成長手段だと思います。
水谷氏:能力開発のインプットは絶対に必要で、その手段は何なのかという話で、研修も1つありますよということですよね。
研修は意味がないというストロークというよりは、「研修で人は育たない」というストロークの経営者って結構いますよね。
曽山氏:います、います。
水谷氏:確かにおっしゃる通り、本人が研修で育っていないから「俺は受けなくても育ったじゃん」ってなりますよね。
曽山氏:それを汲み取ってあげることも、人事として重要だなと思いますね。それも分かると、あなたは確かにそうだと。社長が育ってきた環境と同じカオスな状態は当然ないので、育成に再現性を出すために、どうやって良い状態に近づけていくかということが大切だと思いますね。
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