DMMの躍進を裏で支える、変化に強い「事業ドリブン」な人事戦略|大嶋 悠也 |HR NOTE

DMMの躍進を裏で支える、変化に強い「事業ドリブン」な人事戦略|大嶋 悠也 |HR NOTE

DMMの躍進を裏で支える、変化に強い「事業ドリブン」な人事戦略|大嶋 悠也

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※本記事は、DMM.com BPグループ マネージャーの大嶋さんより寄稿いただいた記事を掲載しております。

HR NOTEをお読みのみなさま、はじめまして。DMM.comでBPグループ マネージャーを担当している大嶋と申します。

近年、動画配信サービスから、ゲーム、FX、英会話、テクノロジーなど、急成長を遂げているDMMですが、その躍進の裏側を支えているのが、「HRBP」という職種になります。

DMMという会社で働く魅力や、そこにおけるHRBPの重要性を伝えていきたく、DMMのHRBPが何をしているのか、そのミッションや実践してきた内容など、ご紹介させていただきます。

これまでのDMM、これからのDMM

創業22年目を迎えるDMM。

右肩上がりに成長を続けていく中で、FX、ゲームなど、グループ内で大きく収益化した事業は分社化し、DGホールディングス配下にするなど、組織構造もあらゆる変化を遂げてきました。

現在のDMM.comは動画配信・電子書籍・エナジー事業が大きく収益化しており、次の柱を育てる基盤の役割として、既存事業のグロース/DX推進、新規参入、M&Aなど、幅広く展開しています。

事業が10→100で伸びていくフェーズでは、中途採用だけで年間500名ほどの採用をする時期もありました。

そして、今のDMMに求められることは、大きな収益の柱と化した基盤事業の100→100をしっかりとキープしつつ、0→1、1→10となる事業をたくさん生み出すとともに、さらなる収益の柱を作り続けることだと考えています。

そして、その実現に向けた、人事戦略・採用戦略を考えていくことが求められています。

特に、非連続な成長に耐えうる「柔軟な仕組みづくり」と、それを支える「バックオフィスの変化」が必要不可欠だと考えています。

ただでさえ事務処理に忙殺されやすいのがバックオフィス業務です。しかし、それらの状況を打破せねばならず、そのためにテクノロジーを活用しながら解決していくことが不可欠となっています。

人事領域であれば、採用・評価・育成などのカテゴリーにおいて、あらゆる素敵なサービスが溢れています。

それらを有効に活用するとともに、必要に応じて内製で開発し、従業員の課題解決時間の短縮にもつなげていくことが大切です。

人事に関する窓口の一本化や、様々なワークフローの単純化を着実に進めていくことにより、従業員の満足度向上にも努めていけるのが理想ですね。

自律的に変化に対応し続ける組織づくり

とはいえ、「仕組み」だけでは変化に耐えきれないところが出てくるため、それぞれの事業部が自律的にDMM全体の変化に対応し続ける組織になっていく必要があります。

自律的に変化するというのは、DMM Tech Visionにも上げているキーワードを体現していくことだと捉えています。

どういったことかというと、変化に対してアジリティ高く、科学的(サイエンティフィック)に行動し続ける組織をマネジメントすることです。

組織は常に形を変えて動的に変化し続けるので、その場だけの合理的な判断だけではうまくいかないことがあります。

状況や情報量に応じて合理性の定義が変わるため、その時やその人は合理的だと思っても、別のタイミングや別角度から見たときには合理的に見えないのです。

その不合理さに対し、不満をもったり、失敗を責めたりしないで、今よりも良い答えを極力合理的に判断できるように、「Agility」や「Scientific」といったDMM Tech Visionで掲げているバリューを大切にしつつ、情報量の差による意思決定のブレをなくすような努力をしないといけないのです。

だからこそ、求められる「HRBP」という職種の重要性

たとえば、新規事業が生まれるたびに、新任の事業部長が生まれるため、最低限担保すべき事業責任者としての目線や責務をバックオフィス観点から支えていく必要があります。

また、新規事業が生まれる一方で、事業撤退ももちろん発生します。

組織解体時の異動調整など、組織が変化や進化を遂げる過程で、組織が多角化し、それに伴い調整難易度が上がってきている状況です。

日々の当たり前に起きる戦略変更に合わせて事業部とバックオフィスと従業員の間に立って、調整していく役回りが重要になってきています。

人事だけではなく、バックオフィスのあらゆる部署で同様の調整事は発生しており、それぞれ同じような役回りをしている担当も存在しています。

一方で、人事という役割においては「従業員の能力と意欲を最大化していく」という責務があり、従業員一人一人のキャリアや生活と向かい合いながら、慎重かつ親身に調整を進めていく必要があると考えております。

そのために、HRBPという役割が重要になってくると考えています。

DMMにおける「HRBP」の役割とは?

DMMは「変化と進化。成長と拡張」を続けてた結果、事業は多角化し、組織は多様化していきました。

さらにこれからも「変化と進化。成長と拡張」をしていく中で、当たり前に起きる日々の戦略変更に対して、強力で柔軟なPeople Managementが求められるようになっています。

我々HRBPは、そのような中で意思決定やマネジメントのサポートしていくことが求められています。

そのため、特にDMMの人事においては 「それって人事の仕事じゃないのでは」 というような、細かな役割分担を会話することは少ないです。

事業成長のために我々が機能補完できる事柄があれば本来当該事業部がおこなうべきことであっても一時的に代替してリードすることもあるくらいです。

領域をはみ出しても段階的にあるべき姿に収束すればよく、コミットするのは常に事業成長です。本稿においてはHRBPという表記をしますが、スタンスはシンプルに「Business Partner」だと考えています。

ここでは、私がHRBPとして取り組んできたことを振り返って、ご紹介していきます。

データを可視化して武器にする(見える、使える)

意思決定やマネジメントに有用なHRデータとはいったい何か?

その答えはいまだ模索中ではありますが、採用してから成長・活躍のフェーズを経て、最終的には退職に至るまで、定量的な情報と定性的な情報の両側面のデータを収集できる体制を作ることを目指しています。

まず重点的に取り組んだのは、「どこにどんな人がいるのか」という属性データをタイムリーに取得できるように、システムを修正し、運用ルールを整え、さらには欠損データの修復です。

過去のデータも含めて分析したい項目を綺麗に整えていく作業はとても地道ではありましたが、2年ほど経過してやっとそのデータの重要性を実感し始めています。

つぎに、「どこにどんな人がいるのか」だけではなく「だれがどのような評価と期待値で採用したのか」まで将来的に分析していくために、採用時の面接評価や、入社時の上司の期待値などのデータも合わせて取得出来るように整理していきました。

分析出来るようになるまでにはまだ時間がかかると思っていますが、準備が大切というのは属性データの整理で身をもって体感しているので、運用が回り続けるようにしっかりと仕組みを構築していきたいと考えています。

さらに、「いま、どんな状態でいるのか」という情報を取得することで、マネジメントのサポートにつなげていきたいと考えています。

これに対しては、入社時・3か月・6か月と入社者と上長に対して同じ設問でアンケートをおこない、時間軸による比較が出来ようにしました。

また、そこにリアルな情報をかけ合わせるため、入社後ヒアリングやアトラエさんのwevoxという組織診断サーベイも活用しながら、組織状態の機微を把握できるようにいたしました。

これらの大量の情報を収集したことに満足してしまいがちなのですが、それらをしっかりと可視化し日次や週次のMTGの資料の中にダッシュボードとして組み込んでチェックしていくようにしました。

ダッシュボードで大局を掴むことはもちろんですが、人事情報は個別対応が求められるものも多いため、定期的にローデータにも目を通して、小さな問題が生じていないか、確認するようにいたしました。

すると、いままでは見落とされていたような細やかなことに気が付いたり、逆にマネジメント層のマネジメント力の不足さを感じることが出来るようになってきました。

現場ヒアリングと事業責任者との関係構築(知る、認められる)

従業員側の情報を拾えるような体制や仕組みが整いつつある中で、そこから得られた知見や課題を現場に反映させていくべく、各事業部の事業責任者やマネジメント層にヒアリングを開始しました。

事業部側の意見や考えを知ることで、従業員側が感じている課題を見極めるという側面もありましたが、基本的には「事業責任者が感じる組織課題に対して、人事として何か支援できることがあるのではないか」という考えのもと、ヒアリングを実施していきました。

しかし、急に人事が「何か困っていることはありませんか?」と言ったところで、人事に対する「期待値」はほとんどない。これは本当にそうなんですよね。

そもそも本質的な事業課題について分かっていたら既に事業部内で何かしら対策を打っているもしくは、人事に相談が来ている。

顕在化している「労務問題」と、上手くいっていない「採用」「教育」をどうにかしたい、ということ以外、事業部から出てくる話はほとんどないのが現状でした。

なので、まず顕在化している課題に対して、真剣にスピーディに課題解決に向けた動き出しをするところから始めました。

それこそ「労務問題」「採用」「教育」に関するところが序盤は多かったです。

それらの進捗共有を目的として最初は隔週や毎月の頻度でミーティングを入れさせてもらい、そこから徐々に「組織」をどうするか、「評価」をどうするか、「事業」をどうするかといった話も聞かせてもらいながら、次第に一緒に打ち手を考えていくようになっていきました。

このタイミングで、徐々に信頼されていくが実感が生まれてきました。

最初は御用聞きのように目の前の課題に対して情報提供をしたりすることくらいしか出来なかったのですが、次第に事業理解や組織理解が進んでいく中で、アドバイスさせてもらったり、その実行の実働部隊として一緒に時間を過ごしていく中で、少しずつ会話の深度が深くなっていくんです。

課題が顕在化する前に頭出し程度に小耳情報を教えてくれるようになったり、そういう目に見えにくい小さい変化ではあるのですが、事業の一員として認められていく感覚がありました。

HRBPは、雲をつかむような感じで手触り感があまりないのですが、こういう感覚を持てた瞬間は、「あ、いまがHRBPなのかも」と思えますね(笑)。

施策とモニタリングとレポートは一式セット(継続する、改善する)

結局のところ、課題に対してしっかりと提案を持って事業部と会話をして、その改善の状況をモニタリングし続けるということが一番重要です。

最初は課題が見えなかったりするので、関係性構築に四苦八苦するのですが、課題が見えるようになってきたら、そこに対して「データの集約・整備」「集計・可視化」「分析・解析・課題解決」というサイクルがちゃんと回るようにしていく。

可視化による「気づき」がトリガーになって物事は動くこともあるので、「グラフにしてわかりやすく管理をする」だけで、現場とのコミュニケーションに花が咲きます。

そういう当たり前のことを徹底してやっていくことが、信頼の土台作りにつながるので、手を抜かずにデザインにもこだわっていきたいですね。

DMMが目指す、これからの組織のありかた

DMMの事業は本当に様々あって、同じ本部の中であっても、全然違う事業セグメントだったり、事業ステージだったりします。

それを無理に統合したり、シナジーを生まれるような工夫をするより、個別事業の自由度を保てるように調整していくことの方が重要だと感じています。

新規事業に予実の精度やイレギュラーを抑制するようなことを求めていたら、事業成功しにくくなりますし、既存事業と同じ評価フレームで従業員を評価しても適切な評価は出来ないと思っています。

ただ、会社全体として従業員がキャリア自律をしていくための支援の体制は整えておきたいなという想いもあります。

そこで、異動調整や抜擢人事の判断材料になるような基礎データは、同じ枠組みの中でデータを見比べられるようにしたり、多様な事業状況をタイムリーに把握して、挑戦したい人に挑戦出来るような環境を提案してあげたりするような体制を構築しようとしています。

2018年に合同会社になるタイミングから2年ほどかけて人事制度の大きな枠組みを揃えつつありますが、評価や属性データを見える化していくことで、DMMの多様性を活かした挑戦の機会や幅を増やしたり、若手を抜擢するための根拠を明確にして抜擢しやすい風土を作ったり、様々な想いがあって取り組んでいます。

「新規事業に挑戦する人をもっと増やしていきたい」という想いもあるのですが、やらされて新規事業をやるのではなく、「自律的に働き甲斐を持って挑戦したい」という想いのある人を増やさなければなりません。

そのためには、そもそも心身ともに健康で前向きであることが大前提に必要だったりするので、それらも支える人事部でもありたいなと思っています。

さいごに

DMMでは多様な事業に触れることができます。

新規事業の意思決定のスピード感や資金投入のしがらみのなさを感じることも出来れば、既存事業の中でスケールの大きい利益捻出のための業務改善など、様々なキャリアを形成する機会が点在しています。

事業開発者が事業開発に専念できるような環境構築や支援機能、広報機能なども充実しているため、事業家にとっても魅力的でおもしろい会社であること間違いなしです。

社内外問わず、DMMで新しい一歩を踏み出すことが、未来を魅力的にする第一歩になるようなそんな会社にしていきたいと思いますので、そんな想いに共感してくれる人がいましたらその一歩をお待ちしております。

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