「人事から事業を強くする」を目指す株式会社ディー・エヌ・エー(以下DeNA)によるイベント『HRBP CRUNCH』の第4弾が1/22(水)に開催。
今回は、『HRがビジネスパートナーになる方法』をテーマに、GEヘルスケア・ジャパンとDeNAの2社が描くそれぞれのHRBP論をきっかけに事業に資する人事のあり方についてのお話をまとめました。
また、後半におこなわれた2社のクロストークの内容の一部もご紹介します。
【HRBP CRUNCHとは】
経営者や事業責任者のパートナーとして、人事面から経営戦略・事業戦略の実現を推進するHRBP(ヒューマンリソースビジネスパートナー)。HRBP CRUNCHは、「戦略人事の実践」を追求するコミュニティとして、一方的な発信ではなく相互の発信を通して戦略人事としてのあり方を議論し、「人事から世の中の事業を強くする」というコンセプトの実現に向けてイベントの参加者同士が切磋琢磨できる場になっています。
目次
4回目のHRBP CRUNCHは100名超が参加!
【ファシリテーター】坪井 一樹 | 株式会社ディー・エヌ・エー ゲーム・エンターテインメント事業本部 組織開発部 HRBP
組織人事コンサルティングファームやIT系ベンチャー企業での勤務を経て、前職ではHRBP機能の立ち上げを経験し、社員数と売上が3倍に成長する過程の組織開発に従事。2018年にDeNAへ入社後はHRBPを担当しながらHRBPの社外発信もフルスイング中。
坪井さん:『HRBP CRUNCH』はこれまで3回開催していますが、『HRBP CRUNCH』でお伝えしたいことは、1回目から変わっておりません。
「事業に資する人事は強い」という話を、事例と共にメッセージも込めて伝えていきたいと思っています。
DeNAでは、HRBPは「戦略人事を実践するHRのゼネラリスト」と定義して、どのように取り組んでいくべきかを日々議論していますが、今後のHRBP CRUNCHでは、DeNAだけでなく他社の人事やHRBPの方をゲストとしてお招きし、さまざまな会社の戦略人事のあり方や実践例をお伝えしていきます。
このようなイベントを通じてみなさんと一緒にディスカッションして世の中に発信することで人事から世の中の事業を強くする世界観を目指していきたいと考えております。
GEヘルスケア・ジャパン|HRBPになるために振り返るべき4つのプロセスと取るべき3つの行動
桜庭 理奈 | GEヘルスケア・ジャパン株式会社 執行役員 人事本部長
玉川大学外国語学科学士課程修了、英国エセックス大学大学院博士課程(前期 )修了。2 0 0 6 年 に GEフリートサービス(現・三井住友ファイナンス&リース)へ営業・企画推進担当として入社。その後人事へとキャリアの舵を切り、ロゼッタストーン・ジャパン、アリアンツ火災海上保険・シンガポール勤務。2016年にアジアパシフィック地域統括のHRビジネスパートナーとしてGEヘルスケア・ジャパンへ入社。2017 年より同社人事本部長、2019年より執行役員として現職。2019年からはフリーランスとしても、多様な業態や成長ステージにある企業への組織コンサルティング、アドバイザリー活動をパラレルで開始。PADI ダイビング アシスタントインストラクターとしても伊豆大島、八丈島を中心に活躍中。
桜庭さん:今回は、今の時代に求められるHRの役割をテーマにお話します。そのうえで私からは、HRBPになるために実践するとよいことや、持つべき心構えについてお話します。
まず、私はHRBPの役割を「経営判断をする上ではなくてはならない対等な相棒となること」だと考えています。HRBPの役割を担うためには、「時代とともに変化する事業をマクロ的な観点で理解する」ことが必要です。
これまで世界では、4度の革命を経て産業が発展してきました。
蒸気機関をつかったものづくりが始まった第1次産業革命、石油、電力、重化学工業からなる第2次産業革命を経て、第3次産業革命でインターネットとIoTが発達しました。
そして現在は「IoT(モノのインターネット)」や「ビックデータ」、「AI(人工知能)」といった技術革新により、第4次産業革命が起きています。
第4次産業革命が進み産業の構造が変化する中で、組織やリーダーに求められる姿も時代とともに変わりつつあります。
特にリーダーの役割は、「完璧に仕事をこなす」という役割から、「人を成長させる」役割に変わっています。
かつては決められたタスクを納期までに、完璧にこなすことが期待されていました。
ところが、現在は「社員の可能性を引き出して成長をさせること」そして「会社が成長する源泉を素早く発見できること」の2つが求められています。
ビジネスのゴールは市場において持続的に勝ち続けることです。変化の激しい今の時代で持続的に利益を上げ続けるには、社員のマインドセットを変えて違うエリアを開拓しなければなりません。
そのために、人事は1人ひとりのエンゲージメントを高めるだけでなく、高いパフォーマンスを上げ続けるための組織を作り、その成果を業績につなげることが求められているのです。
桜庭さん:HRBPとして、強い組織を作る役割を担う前に、みなさんに振り返ってほしいプロセスが4つあります。
まず、「顧客が自分たちの会社を3年後も選び続けてくれるか」と客観的に考えてみてください。今必要な組織の力だけでなく、未来を切り開くうえで必要な組織としてのパワーを持っているかどうかを理解することが重要です。
次に、「チームメンバーに求められる能力をどの程度内製化するか」考えましょう。特にGEのようなものづくりの会社では、秘密保持の観点から外部のリソースを使うことを避けがちです。
しかし、全てのスキルを内製化すると時代の変化に乗り遅れるため、GEでは必要に応じて外部との連携を図っています。
そして、「自分たちの会社を成功に導くHR戦略が事業戦略のミッションと紐づいているか」をチェックしましょう。
GEでも、事業のミッションを成し遂げるにあたって、適時の人材配置や人材活用、そして人材育成ができているかを適宜振り返っています。
最後に、「社員の入退社や、新しいスキルを習得する社員の増加によって組織に生産的な変化がもたらされているか」をチェックしましょう。組織も生き物ですので、時代とともに変化できる流動性があることを覚えておくことは大切です。
【HRBPになるために振り返るべき4つのプロセス】
- 顧客が自分たちの会社を3年後も選び続けてくれるか
- チームメンバーに求められる能力をどの程度内製化するか
- 自分たちの会社を成功に導くHR戦略が事業戦略のミッションと紐づいているか
- 社員の入退社や、新しいスキルを習得する社員の増加によって組織に変化がもたらされているか
桜庭さん:4つのプロセスを振り返った上で、HRBPになるために3つの行動をとりましょう。
1つ目は、ビジネスの洞察力と決断力を養うために、特にファイナンスの知識をつけることです。
経営陣と経営戦略に関わる話をする場面では、必ず経営的な数字が出てきます。経営に関して話される場面でPLを簡単に読み解くことができれば話が円滑に進むため、ファイナンスの勉強には力を入れたほうがいいでしょう。
2つ目は、自分のパートナーである事業部長やリーダーと意見の壁打ちをおこないましょう。売上や利益率などの数字を吟味すると、事業戦略に対して違和感を感じるケースがあると思います。その際は、しっかりと上層部と議論することが重要です。
HRBPの役割の一つに、リーダーとなった人をコーチングし、品格を磨かせる役割があげられます。組織の品格を決めるのはリーダーです。自分のパートナーである事業部長やリーダーに建設的な衝突を仕掛け、その人の品格を磨くこともHRBPの仕事です。
3つ目は 理想や感覚だけで意見をしていると感じられないよう意識しましょう。
具体的には、離職率や異動の頻度、あるいは成功している人のペルソナ分析をして、データに基づいて話すことを心がけてください。
また、データだけでなく守りの法務やガバナンス、コンプライアンス、そしてオペレーションなどのベースとなる知識も合わせて必要です。人事業務の基礎知識と人事データの両輪で説明することが経営陣を納得させる近道になるかと思います。
【HRBPになるために取るべき3つの行動】
- ファイナンスの知識を身につける
- 事業部長やリーダーと意見の壁打ちをおこなう
- データに基づいて話す
桜庭さん:HRBPは、時代の風の匂いを嗅ぎつける敏感さを持つことが大切です。
前に進むことを恐れずに、HRBPという役割を楽しみましょう。
DeNA|HRBPに求められる7つの要素と3つのスキル
菅原 啓太 | 株式会社ディー・エヌ・エー ゲーム・エンターテインメント事業本部 組織開発部 部長
IT系ベンチャー企業での勤務を経て、2009年にエンジニアとしてDeNAに入社。Mobageの事業責任者や新規事業の立ち上げを経験した後、2015年からHR本部へ。現在は組織開発部の部長としてゲーム・エンターテインメント事業本部のHRBPに従事。経営と人事をつなぎ、事業に資する人事として戦略人事を実践中。
菅原さん:私からは、「経営陣・事業リーダーのビジネスパートナーとなるために求められるスキル」とDeNAのHRメンバーにHRBPに必要なスキルを身に着けてもらうために実践したことについてお話します。
現在、DeNAのHRBPは経営陣・事業リーダーのパートナーとして人事戦略を構築するだけでなく、組織デザインや採用、評価、人材開発、組織開発まで広範囲を担っています。
広範囲を見るHRBPには、7つの要素が求められます。
【HRBPに求められる7つの要素】
- 管理職と同等水準の事業理解
- 社長並みの全社目線
- ヒト・組織の変化に気づく力
- 適切な打ち手を考える力
- 考えた打ち手を実行する力
- 相手を選ばない信頼関係を構築する力
- 圧倒的な人間力
菅原さん:DeNAのHRメンバーに自己評価をおこなってもらったところ「管理職と同等水準の事業理解」と「社長並みの全社目線」の2つの項目に課題感を感じていることがわかりました。
彼らは人事的な観点で経営陣とコミュニケーションを取るのは問題ないと考える一方で、事業・経営目線で経営陣と議論することは難しいと感じていたのです。
そこで、HRメンバーに事業・経営目線を持ってもらうために3つのスキルを身につけてもらいました。
1つ目は「事業の知識を身につける力」です。事業リーダーとの共通言語は人事よりも事業であるため、事業知識がなければ事業リーダーと話が通じません。
次に、「事業にコミットする力」です。HRBPが目指す先は経営陣・事業リーダーと同じゴールです。事業としてのあるべき姿を、経営陣・事業リーダーと一緒に実現していく必要があります。
そして最後が「コトに向かう力」になります。「コトに向かう」とは、本質を見て仕事をするという意味です。
HRBPは経営陣・事業リーダーに気圧されることなく、本質的に価値ある着地点に落とし込むことが求められます。
【HRBPになるために必要な3つのスキル】
- 事業の知識を身につける力
- 事業にコミットする力
- コトに向かう力
菅原さん:では、3つの力を身につける方法を説明したいと思います。
1つ目の「事業知識の身につけ方」については、事業部の「御用聞き」をしながら学んでいくことがオススメです。
HRとして事業部内の人事イシューの対応をしながら事業部に帯同し、その事業のビジネスモデルの理解を深めることはひとつの方法だと思います。
ビジネスモデルを理解するためには、まず自分が携わる事業がユーザーに届ける「価値」を見定めましょう。
次にコストや売上利益が生じる仕組みを知り、経営資源、特にビジネスにかかる時間を把握しながら、業務プロセスを知ることが大事だと思います。
2つ目の「事業にコミットする力」は、事業部と同じ目標を追うことで身につきます。
DeNAでも、HRBPが目指す目標は事業部の目標に紐付かせています。さらに、HRBPも事業部と同じ基準で評価を受けると良いのではないでしょうか。
事業部の評価基準に合わせると、事業部と一緒に目標達成を目指す覚悟が決まります。
3つ目の「コトに向かう力」を育むためには、事業リーダーと対等に話せる信頼関係が必要です。そのためには、相手の言葉をすすんで傾聴する姿勢や態度、質問力を磨くことです。
本質的な価値に向かうと、時に事業リーダーと意見が対立することがあります。そこで折り合いをつけるためには、ファシリテーションスキルが活きるでしょう。
菅原さん:DeNAのHRBPも皆「御用聞き」から始まり、事業部内の人事面のパートナーとなります。そして、経営陣や事業リーダーとの信頼関係を築いていき、事業理解、経営理解を深めてビジネスパートナーとして立場を確立していきました。
HRBPになるまでの過程で、「事業の知識を身につける力」「事業にコミットする力」「コトに向かう力」の3つを習得できます。
3つの力を習得し、事業・経営目線で経営陣と議論できるようになることで、HRBPとして事業に貢献できるようになると考えます。
クロストーク|HRBPとしてスキルやマインドを高めるために実践できること
イベントの後半は、ファシリテーターの坪井さん、GEの桜庭さん、DeNAの菅原さんの3名によるクロストークがおこなわれました。
クロストークでは、HRBPとしてのスキルやマインドを高めるために2社が実践していることや、大切にしている考え方、また過去に印象的だったエピソードなどについてお話がありました。
桜庭さん:菅原さんの発表の中で、「コトに向かう」という表現がいいなと思いました。ゲーム・エンターテインメント事業に携わる人たちの中で、「コトに向かっている」人はどのくらいいらっしゃいますか?
菅原さん:程度の差はありますが、みんな「コトに向かう」ことは常に念頭に置いています。
たとえば 「それってコトに向かっているの?」や「それって本質的に何を解決しようとしているの?」といった質問が、日々の会話の中でも多く見受けられています。
また、問いに対する解決策を検討しているときに、「そもそも問いが違うんじゃないか」といった前提から確認することもあります。DeNAには「世の中で常識だと思われていることに疑問を持とう」という考え方が浸透しており、みんな本質を考えるところに意識が向いているんです。
桜庭さん:本質的な問いかけから始めないと、間違った方向に進んでしまう可能性がありますよね。
菅原さん:私からも桜庭さんに聞きたいことがあります。「HRBPには、経営陣・事業リーダーの品格を磨く役割がある」というお話がありましたが、事業リーダーに品格を求めるためにはHRBP自身にも品格が求められますよね。 HRBPが自身の品格を磨く方法はありますか?
桜庭さん:HRBPが自身の品格を磨く方法は2つあると思っています。
1つは、間違いや嘘、羞恥心といった自分の人としての弱さを認め合い、その上で、組織やチームの大義が何だったかを改めて確認することです。
2つ目は、自分の個性を理解して相手に「あの人、おもしろい」と興味や魅力を感じてもらうことです。自身の品格を磨くためには、個性を最大限活かすべきだと思います。
菅原さん:自分を知るって結構難しいと思いますが、桜庭さんはどのようにして自分の個性を知りましたか?
桜庭さん:フィードバックをもらいました。
たとえば、自信を持って提出した案に対してシビアなフィードバックをもらったときは、ショックでしたけど自己評価と周囲からの評価にギャップがあると知りました。そのギャップから、自分の強みや弱みを発見できたんです。
坪井さん:他社認知を知ることによって自分のことを知るって大事ですよね。
では次に、ビジネスパートナーとして求められる「事業理解」についてお聞きしたいです。HRBPが事業理解をできるように意識的にやっていることがあれば教えてください。
菅原さん:私は事業の経営会議に呼ばれるので、その議事録や資料をなるべくオープンにHRBPのメンバーには共有しています。
情報の透明性を高めなければ、視座を高めることはできないので、議論の温度感も含めて伝えるようにしています。
桜庭さん: GEでも、HRBPメンバーは経営会議に呼ばれます。加えて、年始や四半期に開かれる事業部のキックオフミーティングにも参加しています。
経営会議とキックオフミーティングに参加すると、事業の状況から事業部内の人間関係まで把握することができます。
また、毎月各事業の数字を報告する月例会議にも参加します。
月に1度の定例会議では、事業部の担当者だけでなく人事担当者にも説明や意見が求められます。「特に業績を上げている人は誰か」といった現場寄りの質問に、人事担当者も答えられないといけないんです。
事業部の細かい質問に対する答えを準備することで、事業知識も自然と身につきます。
坪井さん:ありがとうございます。次は会場からの質問にも触れたいと思います。“HRBPという役割を作るメリットを事業や経営サイドに理解してもらう方法を教えてください。”という質問ですが、いかがでしょうか?
菅原さん:私は、DeNAがHRBPを立ち上げた当初は事業部側にいたため、HRBPについてよく知りませんでした。
ですので、自分がHRBPになったときに、自分が事業リーダーだったときにHRにやってほしかったことを、事業部に対してアプローチしていくことでメリットを感じてもらうように心掛けてきました。
桜庭さん:私は最初、事業の責任者や社長に対して経営にまつわる悩みを尋ねました。
経営陣から話を聞くと、人に関する悩みが出てきたんです。そこで、人事としてその問題を解決する方策を提案し、徐々に「HRBP」という役割の重要性を伝えていきました。
坪井さん:なるほど、そうやって少しずつ着実に信頼関係を築いてメリットを体感してもらったのですね。
ちなみに、お二人がHRBPとして活動する中で、失敗した経験をあげるとしたらどんなことがありますか?
桜庭さん:私がHRBPとして1番壁にぶつかったのは、シンガポールで仕事をしたときのことです。
シンガポールに行く前に、日本人メンバーとシンガポール人のメンバーの両方から360度サーベイに回答してもらったんです。
すると、日本のメンバーたちの評価が高かった項目に対して、シンガポールの多国籍メンバーからは、同項目への評価は逆に厳しいものでした。
具体的には、日本人らしい遠回しな言い方が日本のメンバーには信頼を高める要素として捉えられていたのが、逆に、シンガポールオフィスのメンバーには、「目的がわかりづらい」「本心を言っているのかわかりづらい」と、受け入れられていなかったのです。
そこで、シンガポールオフィス勤務時には、より指示や要求をはっきりと伝えることを徹底しました。
そして、しばらくしてから再び360度サーベイを回答してもらったところ、シンガポールオフィスのメンバーからの信頼度は改善しました。
しかし今度は、日本人メンバーからは、はっきりとした物言いがきつい印象を受けると評価されることもあり、混乱することもありましたね。
この経験を通して、メンバーに合わせてリーダーシップのとり方を変える必要性を学びました。
菅原さん:私は、「自分がやったほうが早い」と思ってしまうことが課題であり、気をつけている部分ですね。
自分が過去に責任者をやっていた事業の内容は細部まで把握しているため、今の事業の課題に対してどのように動けばいいか具体的に思い浮かびます。
ただ、自分が現場に足を踏み入れることはHRBPの役割ではありません。
現在の事業リーダーに解決策を提示して、動いてもらうことがHRBPとしての役割であるため、介入しすぎないよう意識はしています。
坪井さん:もし、事業リーダーのマネジメントやスキルレベルに疑問があったとき、HRBPとしてはどう対処するように心掛けているのでしょうか。
菅原さん:そもそも完璧な人などおらず、リーダーでも何かしら課題はあります。その課題を解決に導くのがHRBPだと考えています。
桜庭さん:私も同意見です。あとは、リーダーは決断を下す上で孤独になりやすいため、HRBPはリーダーにとって弱みを見せられ、相談できる相手となることも重要です。
リーダーから、「HRBPは弱みを見せられる相手だ」と認識されると、悩みに直面したときに本音でフィードバックを求められるようになります。
フィードバックを求められたときに、改善点を行動ベースで伝えてあげると、相手の成長につながるはずです。
坪井さん:HRBPは相手の成長を促すと同時に、HRBP自身も成長しないといけないと思います。ご自身がHRBPとしてレベルアップするために、どういった工夫をされていますか?
菅原さん:私は、チームのみなさんにフィードバックや意見をもらうことを心がけています。
前職のエンジニアには正解がありましたが、人事やHRBPの仕事は答えがありません。相互にフィードバックをする機会を通して、相互に気づきや学びを得ています。
桜庭さん:私もチームのメンバーからフィードバックをもらうようにしています。
実際に、1年に2回ほどワークショップを開催して、参加メンバーとチームの改善点を話し合っています。そして、リーダーである私に期待することや、私の長所や短所を全部書いてもらい、メンバーからフィードバックをもらっています。
坪井さん:ありがとうございます。お二人とも「人」から学ぶ姿勢を大切にされているのですね。
それでは最後に、HRBPとしての今後の目標を教えてください。
菅原さん:私はHRBPの活動を通して、人事が頑張ると事業が強くなって、日本の国力も豊かになると信じています。ですので、人事から事業を強くして、日本を強くして、良い社会を作りたいですね。
桜庭さん:私は、企業に属するメンバー全員がCHRO(最高人事責任者)になる組織を目指したいと考えています。
人事は組織のメンバー全員に関わる立場です。組織を良くしようとなった際に、一部の人事という機能に属している人たちだけが組織全体に働きかけるのではなく、組織のメンバー全体が人事を自分事と捉える観点を持っていたら、改善スピードは格段に上がるのではないでしょうか。
人事が経営目線を持つことも大切ですが、組織のメンバー全員が人事目線を持っている組織が理想ですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
第4回目のHRBP CRUNCHでは、HRBPの役割から持つべきスタンス、求められるスキルについてお話がありました。
これからの時代、人事は経営者と伴走して強い組織を作り、結果的に事業の成果につなげることが求められているとわかりました。
HRBPを目指す人事担当者の方にとって、大変有益なイベントとなったのではないでしょうか。
・HRBP CRUNCH #04 HRがビジネスパートナーになる方法
・開催日:1月22日(水)19:30〜21:30
・渋谷ヒカリエ21F DeNA セミナールーム
▷URL:https://hrbpcrunch.connpass.com/event/158536/