組織における現場での「とはいえ」にどう向き合うか?人材マネジメント講座 | 人事部から企業成長を応援するメディアHR NOTE

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組織における現場での「とはいえ」にどう向き合うか?人材マネジメント講座

  • 組織
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※本記事は、株式会社JAMの菊地美希さんより寄稿いただいた記事を掲載しております。

こんにちは、株式会社JAMの組織コンサルタント菊地です。

このたび、2018年11月~2019年1月で全4回にわたり、人事コンサルタント坪谷邦生さん主催の勉強会に参加させていただいたのですが、面白すぎて、勉強になりすぎて…!

そこで今回、参加者目線で感じたことをHR NOTEで記事にさせていただきました。

勉強会のポイントは「実践知」にこだわること

坪谷さんが今回の勉強会を企画した目的は「“型(仕組み)”だけではなく、日々の実践・運用」について学びを深めること。

そのため、体系的な知識だけではなく、それを現場で実践した際の「とはいえ、こういう問題が起こるよね」という葛藤をメインで取り扱ったことが大きなポイントでした。

実践知をもとにした「問い」を経営者や人事・人事コンサルタントである参加者が持ち寄り、ディスカッションをおこなう形式だったのですが、この進め方が秀逸でした。

本記事では、第1〜3回に参加者から出された「問い」の一部をご紹介。

実践知から生じる問いや、今の時代だからこその問いとそれに対する各自の持論が飛び交い、、、2時間のディスカッションでは足りず、その後のランチでも議論は続きました。

全4回の勉強会で何をしたのか?

簡単に全4回にわたり実施した内容をまとめてみました。各回でテーマがあり、それをAチーム、Bチームにわかれて議論をしていくという形式になります。

■第1回:リソースフロー(採用→異動→代謝)
  • 必要ポジションに対して、既存メンバーの教育を採用に切り替える見極めのタイミングと観点とは?
  • 採用要件の時間軸とは?適応のゴールとは?短期業績、社外リソース重視の場合と、長期社内リソース重視の場合の採用、適応支援のあり方の違いは?
■第2回:人材開発
  • 「所属」の概念が変わっていく中で、どこが教育を施していくことになるのか?
  • リソースが限られている環境下で有効な教育方法はOJT以外にどのようなものがあるのか。
■第3回:組織開発
  • 誰が風土を作るのか? どこから風土は変わるのか? 組織の信頼は何によって築かれ、そして壊れるのか。
  • 行動科学を応用した組織の効果性を高める計画的な取り組みとは?
■第4回:チームで解を出す

最終回となる4回目は、リソースフロー・人材開発・組織開発におけるお題について「チームで解を出す」ことに挑戦。

<各回における議論の方法>

  • 1問1分で、各自で付箋に回答を書く
  • 各自の意見をチームで集約し、15分でチームとしての回答を出す

今まで学んできたことの答えを、1分という限られた時間の中で出すというのは非常にエネルギーを使います。

しかし、このワークの設計は持論がないと成り立たないため、個人的には今までの知見を総動員するエキサイティングな時間でした!(久しぶりにテストの感覚を思い出して焦った瞬間でした…)

アウトプットをひねり出したい時には、あえて時間でプレッシャーをかけるのはおすすめです。

第1回目のテーマは「リソースフロー」
Aチーム、Bチームで話し合った結果はいかに??

まずは、以下のように7名ずつの2チームをつくります。

Aチーム

  • コデアル株式会社 代表取締役社長 愛宕 翔太さん
  • 株式会社アカツキ 事業企画・経営企画 江畑 聡美さん
  • 株式会社リンクアンドモチベーション  プロジェクトマネジャー 大野 亜希さん
  • 株式会社アカツキ 人事採用担当 田中奈緒さん
  • シーメンスヘルスケア株式会社 ヒューマンリソーシス 残間 朝子さん
  • 株式会社リクルートマネジメントソリューションズ シニアコンサルタント 浜岡 範光さん
  • 株式会社i-plug  Co-Founder 取締役 CFO 山田 正洋さん

Bチーム

  • 株式会社リクルートマネジメントソリューションズ 経営企画部 荒井 理江さん
  • フリーランス(人事) 秋山 紘樹さん
  • 株式会社チームスピリット 経営企画室 小倉 将さん
  • 株式会社S.O.W.ホールディングス People Development Dept. 大谷 康文さん
  • 株式会社JAM 組織コンサルタント 菊地 美希
  • SENSY株式会社 人事担当執行役員 下平 達也さん
  • 株式会社ITMONO 代表取締役 山田崇司さん

実際のアウトプットは、このような感じで付箋にまとめていきました。

両チームのディスカッションの結果はこちら!

ちなみに、坪谷さんが考える解は、この勉強会で教科書として使用した『人材マネジメントの壺 テーマ5.リソースフロー ーー働く人の適応を支援する 採用→異動→代謝』 の「まとめ」にすべて載っていました。気になる方はぜひチェックしてみてください。

リソースフローはどうしても採用に目がいきがちですが、その後の「適応」についてはなかなか着手できていない企業が多いように思います。

特に中途は、成果を出して組織適応をしていくためにも、会社からの最初のタスク出しの仕方は需要だよねということを再確認しました。

第2回目のテーマ「人材開発」

2回目のテーマ「人材開発」でも、チームごとにディカッションをおこなっていきます。

各チームでまとめた内容を以下にご紹介します。

この問いに対する坪谷さんが考える解は、『人材マネジメントの壺 テーマ6.人材開発: 一人ひとりの成長に組織が意志を持っておこなう投資』にまとまっております。

坪谷さんによるとリーダーに適した「行動」はあるが、適した「性格」は研究上出ていないとのこと。

管理職については研究された結果が出ており、ユングのライプ論を元にした分類といくとESTJ型のようです。

第3回目のテーマ「組織開発」

組織開発では、以下のようなアウトプットになりました。

この問いに対する坪谷さんが考える解は、『人材マネジメントの壺 テーマ7.組織開発: 人間を見ろ』にまとまっております。

テーマを追うごとに、質問の抽象度があがり、時間内で答えをまとめることが困難なワークの設計になっていたため、Aチームは最後に回答が出ませんでした。

ですが、これこそHRが言葉の定義を大切にしないとそもそも議論にもならないということを物語っている瞬間だと感じました。

全4回を振り返って

全4回を振り返っての感想を、4名の参加者の方にお話いただきました。

コデアル株式会社 代表取締役社長 愛宕さん

実例をもとに話ができたことで、自社の組織開発・人材開発の実践にも生かすことができました。

経験と知識がセットになって、初めて思考が変わって行動が変わると考えており、実際にここで学んだことをもとに今月から人事制度を導入しました。

お取引先にもここで学んだことをシェアして、世の中の組織を良好にする取り組みを必ず実践していきたいと思います。本当に良い機会でした。

株式会社リンクグローバルソリューション プロジェクトマネジャー 大野さん

日頃、組織人事の仕事をしているのですが、これまで活用してきたフレームワークや整理方法と一般的な考え方を接続できたことが価値でした。

また、いつもお客様先の組織や人材について考えることが多いのですが、自分自身のマネジメントや事業推進に携わる中で抱いていた違和感を素直に出せました。

社外の方々との場だったからだと思います。結果として、このメンバーで議論できたことは(溜めていた認識はなかったのですが)デトックス効果めいたものを感じました。

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ シニアコンサルタント 浜岡さん

参加者の皆様方の「今直面している問題」をケースに議論が出来たことで自分の中でとても手触り感のある知見がストック出来たと感じています。皆様、本当にありがとうございます!

議論をさせていただいている中で自分のこれまでの経験や知識が整理されていく感覚があり、それが大変心地よく、かつ今後にもつながるものになったと感じています。

シーメンスヘルスケア株式会社 ヒューマンリソーシス 残間さん

人事として、自分の視野、自分が切れるカードが、自分がこれまで経験したことに限られてしまっているなあとも感じました。

本当はもっと他のやり方、他のアプローチがたくさんあるのに、自分が知っているものという箱におさまってしまっていることに気づきました。

多種多様なバックグランドの皆さんとお話しする機会があってこその気づきだと思います。みなさん、ありがとうございました。

<編集後記>

今まで数々の勉強会に参加させていただきましたが、その中でも群を抜くほど知的好奇心をそそれられる刺激と学びがあったと感じています。

HRという答えのない領域に対して、

  • 事前課題を読む
  • 問いを持ち寄る
  • 持論を持ち寄り、ディスカッションする
  • 持論を再形成する

というこのサイクルで、自分の中に新たな視点が加わり、言葉になっていなかった知見が言語化される瞬間が何度もありました。

私の最大の学びは、「組織の感情」について改めて考える機会になったことだと思います。制度や仕組み・ノウハウというハードの技術と、それを運用する際のソフト(感情、対話等)を両輪で回すことの大切さ。

どんな出来事が起きたかではなく、その出来事をどう組織・社員が解釈するかで、組織は変わっていくと思うのです。

机上の空論ではない組織の「とはいえ」に向き合い、様々な持論に触れられる場は本当に少ないと思うので、組織づくりに携わっている方には心からおすすめしたいと感じています。

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