ITを導入する企業が急増したことを背景に、ITエンジニアの価値は年々高まってきています。しかし、エンジニアの需要の増加に供給が追い付いておらず、エンジニア採用に苦労している企業は少なくないでしょう。
また、新卒のITエンジニア採用の伸びしろは無限大であるものの、採用段階で技術やスキルで能力を測れないため、中途のITエンジニア採用より難しい部分もあるといわれています。この記事では、新卒エンジニア採用の課題とコツを解説します。また、新卒エンジニア採用におすすめの手法や媒体・サービスも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
1. 新卒エンジニア採用の現状
テクノロジーの変化が激しい現代において、商品・サービスの価値はエンジニアの働きによって左右されることもあります。そのため、優秀なITエンジニアの採用が企業成長にとって不可欠です。エンジニアを確保する仕方として、大きく「新卒採用で可能性のある人材を獲得して育成する」「中途採用により即戦力の人材を確保する」の2つの方法があります。
この記事では、新卒エンジニア採用について解説します。まずここでは、新卒エンジニア採用の現状について詳しく紹介します。
1-1. IT人材不足は年々加速している
経済産業省のデータに基づくと、2030年には約79万人のIT人材が不足すると推測されています。
IT人材とは、情報技術分野で活躍する人材のことで、エンジニアも含まれます。エンジニアが不足する理由の一つとして、少子高齢化が挙げられます。少子高齢化により、労働人口が減少することで、日本社会全体として人手不足が加速します。
また、DX推進への注目の高まりやテクノロジーの発展によって、エンジニアの需要が伸びていることも、エンジニア不足の原因の一つです。「老朽化システムの刷新」「人工知能(AI)・クラウド技術などの最先端技術の活用」などのように、ITを活用してビジネスに変革をもたらし、競争優位性を獲得することが各企業の課題となっています。このような背景もあり、新卒でエンジニアを確保しようとする企業も増えています。
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1-2. 約7割の学生が、2022年7月までに就職活動を開始している
近年、学生の就職活動開始時期が早期化していると言われています。レバテックルーキーの調査によると、24年度卒エンジニア志望学生のうち約7割が2022年7月までに就職活動を開始するとされています。
また、本選考が始まっているのであれば、約6割の学生が早期の内定獲得を希望しているようです。さらに、 約7人に1人の24年卒の学生が、2022年内に就職活動終了を希望しているという結果も出ています。このように「就職活動の早期化」が進む現在において、他社よりも早く、ITエンジニア志望学生と接点を持っておくことが新卒エンジニア採用を成功させるカギといえます。
1-3. ITエンジニア志望学生の約半数は、 「5社〜8社」の選考を受ける予定
レバテックルーキーの調査によると、ITエンジニアを志望する学生のうち約半数は「5社~8社」を受ける予定だそうです。そのほかの回答としては、「1~4社」が23.5%、「9~12社」が20.2%となっています。
以上から、最新の24卒のITエンジニア志望学生の9割近くは1~12社を比較検討したうえで、就職先を決めたいと考えていることがわかります。また、「最低でも何社の内定が欲しいですか」という質問に対しては、全体の66.4%の学生が「2~4社」と回答しています。
このような結果から、新卒採用に臨む学生は数十社の選考を受けるというより、自分の希望する要件を満たす企業に絞って選考を受ける可能性が高いです。そのため、企業側も早期にエンジニア志望の新卒学生と接触し、自社の魅力をきちんと伝えることが重要といえます。
2. 新卒エンジニア採用のメリット
中途採用でエンジニアを獲得すれば、即戦力として働いてもらうことができます。しかし、新卒採用でエンジニアを採用するメリットも十分にあります。ここでは、新卒エンジニア採用のメリットについて詳しく紹介します。
2-1. 大量採用によりコストを抑えられる
一人の従業員を採用するには、多くのコストがかかります。また、中途採用で優秀なエンジニアを確保しようとすると、高待遇を提示しなければならず、人件費がかさむ恐れもあります。新卒採用であれば、一定のコストで大量な人材を確保することが可能です。また、選考・研修などもまとめておこなえるので、コストを大幅に抑えられる可能性があります。
2-2. 柔軟な価値観や発想力を持っている
エンジニアは経験やスキルだけでなく、発想力も要求されます。新卒エンジニアは型にはまっていないため、柔軟な発想により、新しいアイデアを出してくれる可能性が高いです。結果として、大きなビジネスチャンスを獲得したり、組織の改革につなげたりすることもできるかもしれません。
2-3. 自社の求める人物像にゼロから育成できる
新しく中途採用でエンジニアを雇用した場合、他社でのやり方を重視するあまり、スムーズにプロジェクトや案件を進められない可能性もあります。しかし、新卒エンジニアであれば、自社の理念・ビジョンにあわせて、求める人物像にゼロから育成することが可能です。このように、強固な組織づくりのためにも、新卒エンジニアの採用は役立ちます。
2-4. 既存エンジニアの成長の場にもなる
新卒エンジニアは、社会人としてのスキルや経験が未熟なので、既存エンジニアから指導を受けながら成長していくことになります。このような場を通じて、既存エンジニアの指導力の向上も期待できます。また、新卒エンジニアが成長していくことで、既存エンジニアのモチベーションが高まることもあります。
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3. 新卒エンジニア採用の課題
新卒エンジニアを採用することで、さまざまなメリットが得られます。しかし、新卒エンジニア採用には課題もあります。ここでは、新卒エンジニア採用の課題について詳しく紹介します。
3-1. ブラック企業と思われがち
ITエンジニアは労働時間が長い割に給料が安いなど、ブラックに思われる傾向があります。「長い残業時間」「休日出勤も当たり前」という話を聞くと、学生もエンジニアを職業にすることにためらいを感じてしまうかもしれません。
3-2. 新卒エンジニアでも採用が難しい
IT社会の発展に人材が追いついていないことがリアルな課題としてあげられます。それは新卒においても同様です。ITの発展に伴って、学生の中でもエンジニア職への人気が出てきました。しかし、それでもIT人材の充足には至らないため、新卒ITエンジニアといえど、あらゆる企業からひっぱりだこという状況です。そのため、自社の魅力をきちんとアピールしなければ、他社に流れてしまい、新卒エンジニアを獲得できない可能性も十分にありえます。
3-3. 育成までに時間がかかる
新卒採用の従業員は、ビジネススキルが不足しているため、挨拶やマナー、仕事の進め方など、社会人としての基礎から教育しなければなりません。また、プログラミングやサーバー、ネットワーク、データベースといったIT技術に全く触れてこなかった新卒エンジニアも少なくないです。そのため、新卒エンジニアを一人前のエンジニアに育てるまでには、それなりの時間が必要であることを押さえておきましょう。
3-4. 現場とのミスマッチの可能性がある
ITエンジニアの経験がない新卒とはいっても、採用段階では適性をみながら選考をおこないます。その際、採用担当者が求めるものと、現場が求めるものが一致していないと、現場に配属されたときにミスマッチが発生してしまう可能性があります。ミスマッチが起きると、「現場のモチベーションの低下」「新卒エンジニアの離職」といった事態が生じる恐れもあります。
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4. 新卒エンジニア採用を成功させるポイント
ここでは、新卒エンジニアの採用を成功させるポイントについて詳しく紹介します。
4-1. 自社の働き方を伝える
これまでは「ブラック」というイメージも強かったエンジニア職ですが、働き方改革などの影響もあり、大幅な改善がみられています。新卒学生のエンジニア職に対するネガティブイメージを聞き、自社ではそれを解消するための施策をおこなっていることを伝えましょう。このように、自社のエンジニアの働き方がホワイトであることを伝えることで、学生に安心感を与え、自社に興味・関心をもってもらうことができます。
4-2. エンジニアの魅力をアピールする
ITエンジニアは、今後の日本の根幹をつくっていく職種であるという意味でも魅力的な職種です。また、エンジニアは需要も高く、今後さらに重宝される職種です。社会全体としてITエンジニアの魅力を発信していくことは、エンジニアを目指す学生を増やすために不可欠です。エンジニアを目指したい学生が増加することで、エンジニア採用の課題の解消につながります。
4-3. 企業の情報を具体化して提供する
ITエンジニアに限ったことではありませんが、学生が企業を選ぶ際、もっとも気にすることは「自分が会社で働くイメージを持てるか」ということです。仕事の内容や職種、必要なスキル、稼働時間、働く企業先などの情報を詳細に伝えることで、学生に働くイメージを抱かせ、安心感を与えることができます。
4-4. 選考方法を見直す
新卒学生は社会人としての経験がないため、選考段階でエンジニアとしての適正を完璧に見抜くのは難しいかもしれません。そのため、新卒学生の性格やこれまでの経験をもとにポテンシャルや伸びしろを見定め、採用をおこなっていく必要があります。その際には、先を見据えて「技術力の向上が期待できるか」を見極めることが重要になります。このように、選考の仕方を見直すことで、自社にマッチする人材を獲得できる可能性が高まります。
4-5. 現場のエンジニアと連携を取りながら進める
採用担当者は、エンジニアに必要な経験やスキルを把握しきれていないこともあります。それが原因で、採用した新卒エンジニアと現場のエンジニアの間で軋轢が生じ、プロジェクトを上手く進められない可能性があります。
そのため、採用担当者は現場のエンジニアと連携を取りながら、どのような新卒エンジニアが必要なのかを明確にすることが大切です。また、一次面接を現場に任せるなど、採用担当と現場エンジニアが一緒になって採用を進めていくことで、新卒エンジニア採用を成功につなげることができます。
4-6. エンジニアを志望する新卒学生は理系だけとは限らない
エンジニアを志望する新卒学生は理系が多いと思われがちです。もちろん、数学や物理などの理系分野の知識が必要になることもあり、理系が向いている場面もあります。しかし、エンジニアの職種は幅広いです。
プロジェクトマネージャーやITコンサルタントなどの職種では、コミュニケーション力や管理スキルが重視されることもあり、言語や経営を学んできた文系学生が向いている可能性もあります。このように、新卒エンジニアの採用に悩みを抱えている場合、視野を広く持ち、文系・理系問わず、自社の求める人物像にマッチした人材を採用できるようにすることが大切です。
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5. 新卒ITエンジニア採用サービス・媒体7選!
それでは、具体的に、どのようにすれば採用をスムーズに進めることができるでしょうか。ここでは、新卒エンジニア採用をおこなっているサービスや媒体をまとめてみました。ITエンジニア採用に特化したサービスから地方理系学生に特化した紹介サービスまで詳しく紹介します。
(1) paiza|独自テストで学生の技術レベルを可視化できる
【特徴】
- ITエンジニア業界を志望している、IT素養の高い学生だけが登録・応募している
- paiza独自のコーディングテストを受けてもらうことで、学生のスキルレベルを可視化。応募者のスキルをみて安心してアプローチできる。
- 初期/掲載費用は0円。成果費用も40万円〜。
運営会社:paiza株式会社
(2) HIGH-FIVE|クリエイター・IT/WEB系人材の採用に特化したサービス
【特徴】
- 総合職・デザイナー職・プログラマー職などのノンコア業務の面接代行
- AIによる面接プロセスに進む人材を自動でスクリーニングの実績あり
- ニーズに合わせて柔軟なオーダーメイドのプランをご提案。需要の増加や減少に合わせて採用サポートを拡張・縮小が可能。
運営会社:株式会社クリーク・アンド・リバー社
(3) サポーターズ|国内最大級のITエンジニア学生データベースを保有する新卒採用支援サービス
【特徴】
- 1on1イベント、大規模イベント、スカウト、人材紹介と多様なソリューションから自社に合うサービスを選べる
- 7000名以上のITエンジニア学生が登録する国内最大級のエンジニア学生データベース
- テックカンファレンス、ハッカソン、技術勉強会などのエンジニア学生向けイベントを年間150回以上開催しているため意欲的な学生が多数登録
運営会社:株式会社サポーターズ
(4) レバテック|ITエンジニア・デザイナーに特化したエージェント
【特徴】
- 新卒採用、中途採用、派遣、フリーランス(業務委託)など、採用ニーズに合わせた人材を紹介してくれる。
- Web ITエンジニアやインフラITエンジニアなど職種別の専門チームが採用をサポートし人材のミスマッチを防げる。
- コンサルタントが採用課題や開発状況に合わせて採用要件を整理し、求人票/案件票の魅力付けまでおこなってくれる。
運営会社:レバレジーズ株式会社
(5) 理系ナビ|包括的な理系学生向けの就活サイト
【特徴】
- 広く理系業種を扱っている
- 就活生の約立つ情報を提供
- プログラマーやシステムITエンジニア、テクニカルサポートなど、さまざまなITエンジニア採用を検討可能
運営会社:株式会社ドリームキャリア
(6) Career Select|ITエンジニアとデザイナーに特化した就活サイト
【特徴】
- 専門職種(ITエンジニア)に特化した新卒就職活動サイト
- 業界に特化したキャリアアドバイザーの面談やフォロー体制
- 企業やキャリアアドバイザーからのスカウトが貰える
運営会社:株式会社ローカルイノベーション
(7) エンジニア就活|日本最大級のITエンジニアの新卒採用求人サイト
【特徴】
- スマホアプリ、Webアプリケーション開発経験のある学生が多数登録
- 企業・就活生に向けて必要なコーチング、就職相談を実施
- 面接掲載費用は採用者が出るまでは一切不要(完全成果報酬型)
運営会社:シンクトワイス株式会社
6. 優秀な新卒エンジニアを獲得して事業を成長させよう
ITエンジニアの新卒採用も容易ではありません。しかし、課題を認識し、企業の魅力をきちんと伝えられれば、取りたい人材を採用することができます。ITの重要が高まっている現代において、優秀なエンジニアを採用できるか否かは、今後の成長に大きくかかわってきます。新卒エンジニアの採用に悩みを抱えている場合、ぜひサービスの利用を検討してみましょう。