マネージャーが効果的な部下育成ができない理由と解決法 |HR NOTE

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マネージャーが効果的な部下育成ができない理由と解決法

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※本記事は、アイディア社のJASON DURKEE(ジェイソン・ダーキー)氏より寄稿いただいたものになります。

こんにちは。ジェイソン・ダーキーです。

執筆者JASON DURKEE(ジェイソン・ダーキー)IDEA DEVELOPMENT株式会社(アイディア社) 代表取締役

米国シアトル生まれ。1992年に来日し上智大学に入学。卒業後,研修企画会社に就職し10年間勤務。2003年に独立起業。日本を代表する大手企業から外資系企業まで幅広い業種のクライアントに対して,研修プログラムの企画および講師として,5万人以上の能力アップとビジネス成果の向上に貢献した実績を持つ。著作に『ビジネス英語の技術』『ガツンと言える英会話』(Japan Times)ほか。

ビジネス環境は目まぐるしいスピードで変化していますが、マネージャー研修については20年前からほとんど変わっていないため、昨今いろいろな問題が出ています。なかでも問題となっているのは部下育成です。企業からの部下育成研修のリクエストは、この数年で急に増えてきています。

その代表的な理由は、

  • 若手社員は自分の成長とキャリアに対して関心が高く、マネージャーからのサポートを求めている
  • 若手社員は以前とは違い、より手厚くソフトタッチなフォローを期待している
  • マネージャーは今の若手社員に効果的な成長支援テクニックを知らない、できない

今回は、講師として数千人のマネージャーに部下育成と成長支援テクニックの研修を教えてきた経験に基づいて、若手社員に効く成長支援テクニックを紹介します。

マネージャーに必要な部下育成テクニック

細かいテクニックは様々ありますが、必ず押さえたほうが良いのはティーチング・コーチング・定着させるの3つです。

テクニック若手社員の状態教えるポイント
テクニック 若手社員の状態 教えるポイント
ティーチング(教える) 知らない 分かりやすく伝える
巻き込みながら説明する
コーチング(気づかせる) 一人で考えて答えにたどりつけない

心理的安全性のある雰囲気をつくる
効果的に質問をする

定着させる 分かる、けれどできない 忘れないようにさせる
使う機会を与える
成功体験を通じて自信を持たせる

テクニックを一つずつ詳しく見ていきましょう。

①ティーチング(教える)

部下育成で必要なテクニックと聞いてすぐ思い浮かぶのはティーチング、教えることでしょう。ティーチングとは、分からない相手に内容を丁寧に詳しく説明することです。

必要な場面

新入社員のように知識がなく何をすればいいか分からない相手には、ティーチングが必要です。狙いは、相手の知らないことや持っていない知識を教えることです。

マネージャーの現状

ティーチングはイメージしやすいですが、実際にやるとなると様々な問題が起きます。

例えば、マネージャーのティーチングに対してよく出てくる問題は、

  • そもそも実施できない。「部下と長い時間をかけて1対1の対面で教えないといけない」と思い込んでいる人が多いため、スケジュール調整が難しくいつまでたっても機会がつくれないケースは残念ながら多々ある
  • 専門家の立場から丁寧に詳しくすべてを説明しようとするため、情報量が多すぎて難易度も高くなり、相手はついていけなくなる
  • 分かりやすくロジカルに説明するが、話が一方的なため若手社員は十分吸収できず、分からないままで終わってしまう

こうならないためのポイントを説明します。

ポイント

効果的なティーチングのポイントは、まずこの2つです。

分かりやすく説明する

教える必要がある場合、当然ながら相手は内容を知りません。初めて聞く人でも理解できるよう、分かりやすくロジカルに説明する必要があります。また、持っている情報をすべて教えるのではなく、分からない人にとって最低限の、知らないと困る情報のみに絞ることをおすすめします。

一方通行ではなく、相手を巻き込みながら説明する

一気に最初から最後まで説明すると、聞き手は途中からついていけなくなる可能性が高くなります。そうならないように、説明をしながら問いかける、巻き込む、相手にしゃべらせるなどすると良いです。

一方的な説明ではなく、対話をしながら相手の理解を確認します。そうすれば、リアルタイムで相手がついて来れているかが分かり、ゆっくりしたほうがいいのか、もう少し掘り下げて説明する必要があるのかなどが判断できます。

講師の経験から言うと、双方向での説明は多くのマネージャーにとっては慣れていないものなので、研修で強化したほうが良いテクニックです。

②コーチング(気づかせる)

ティーチングは想像しやすい部下育成のテクニックですが、最も効果的というわけではありません。もう一つ、大切なテクニックとしてよく耳にするのはコーチングです。

「コーチングは大切」だとここ数年でよく聞くようになりましたが、「なぜ大切か?」「そもそもコーチングとは?」という明確なイメージを持つマネージャーはそう多くありません。まずはそれを教えたうえで、具体的なテクニックを教える必要があります。

必要な場面

ティーチング同様、コーチングはどの場面でも使えるオールマイティーなテクニックではありません。

部下はある程度知識はあるが、自分の力で考え抜くことができない、答えにたどりつけない、頭が整理されていない、大事なことに気づいていないといった場合にコーチングは最適です。

マネージャーの現状

多くのマネージャーはコーチングというキーワードは知っており、コーチング関連の本も読んだことも、研修でコーチングテクニックを学んだこともあります。

ですが、数千人のマネージャーに教えた経験から言えるのは、コーチングが非常にうまいマネージャーはほんの一握り、1%以下です。

といってもこれはマネージャーへの批判ではなく、コーチングというスキルがとても難易度が高く、優れたスキルとセンスが必要なものだからです。

研修中のロールプレイでも、職場に戻ってからの実際の1on1やコーチングセッションでも、多くのマネージャーがやってしまう問題はこちらです。

  • コーチングしているつもりだが、一方的なティーチングやアドバイスで終わってしまう
  • コーチングのテクニックを使っていても、心理的な安全性のある雰囲気がつくれていないため、部下は自由に話せない
  • いろいろな質問はするが、相手に気づかせるより相手のことを飽きさせないような雑談で終わってしまう
  • コーチングでよく使われる質問はするが、結局相手の考えを広げたり深めたりする効果につながらない

ポイント

マネージャーにコーチングスキルを身につけさせたいと思ったときに大事な大前提の一つは、「マネージャーをプロコーチにさせようとしない」ことです。

プロコーチは相当な量の勉強、何百時間もの練習、そもそもの高い関心とセンスがあってコーチをしています。短い研修を受けた普通のマネージャーでは、どう頑張ってもその域に達することはできません。

ですから、プロコーチの育成プログラムをそのままマネージャーに提供してもあまり効果はありません。

逆に、マネージャーだからこそできるのはこの2つです。

心理的安全性のある雰囲気づくり

上司と部下には当然のことながら上下関係があり、バックグラウンドも異なり年齢差もあります。そのため、上司が意識していなくても若手社員は話しにくい雰囲気を感じてしまう、距離があると思ってしまう、あまり自由に話せないと感じてしまうケースがよくあります。

そのため、上司が思っている以上に相手が話しやすい雰囲気をつくる必要があります。一言で言うと、心理的安全性のある環境づくりです。

テクニックというよりは「心理的安全性が大事」「相手が話しやすい雰囲気をつくるんだ」というマインドが大切です。そのマインドがあれば、あとは簡単な聞くコツや傾聴の基本だけでだいたいうまくいきます。

効果的な質問術

心理的安全性と違い、効果的な質問の仕方はけっこう難しいものです。プロコーチはクエスチョンの引き出しが多く、相手に合わせて最適な質問を選んで使うことができます。

ですが、マネージャーはプロコーチとは違い、意図的に質問を使うことに慣れていませんし、戦略的に鋭い質問をすることが得意ではなく、数多くの質問の引き出しも持っていません。

現実的に見て、研修を通じてマネージャーが身につけられるのは、意図的に質問を使うマインドと2~3種類の質問を使い分けるコツです。

③定着させる

これまで紹介したティーチングとコーチングはよく知られたテクニックですが、意外と知られていないが重要なテクニックの一つが「定着させる」です。

必要な場面

定着は、部下は分かるけれどできない、知っているがやらない場合に使う、効果的な成長支援テクニックです。研修や自己学習と違って定着は職場でしかできないため、上司の役割は非常に大きくなります。

さらに言えば、今はITの普及とAIのおかげで情報があふれており、情報がなくて何も知らない部下自体がだいぶ減っています。そのため、昨今はティーチングより定着が重要になってきています。

マネージャーの現状

現状、そもそも多くのマネージャーは「定着とは何か、なぜ大切か」が分かっていません。

分かっていたとしても、

  • どのように定着すればいいかが分からないため、結局ティーチングを繰り返してしまう
  • 定着のバリエーションを知らないため、適切な対応ができない
  • 定着テクニックをいくつか知っていても、部下の状況に合わせた最適なテクニックのマッチングができない
  • 部下に新しいスキルを活かす機会は与えるが、必要なサポートやフォローをしないため部下の学びにつながらない

といったことがよくあります。

ポイント

マネージャーに定着の支援ができるようにさせるには、まず「定着とは何か、なぜ大切か、マネージャーにはどんな役割があるか」を教えるところからスタートします。

ここで大切なのは、マネージャーに「定着をきちんとやれば自分の負担は少なく、部下の成長は大きくなる」という利点を説明することです。

定着のテクニックとしては、

  • 部下に新しい知識をしっかりと覚えてほしいときに忘れないようなレビュー、振り返り、リマインド、復習をさせる
  • 部下に新しいスキルをしっかりと身につけてほしい場合、きちんとできるまで練習する機会をつくり、仕事上で試すチャンスを与えて、それに対してフィードバックを伝える
  • リスクを恐れない、レジリエンスを高めるといったマインドを強化したい場合、部下を安心させたりプチ成功体験をさせたりして、少しずつ自信を高めさせる

といった内容です。

まとめ

マネージャー研修にはいろいろなスキルが含まれますが、部下育成については今すぐ時代に合わせて内容をアップデートすべきです。

その際、少なくとも今回紹介した3つのスキル、ティーチング・コーチング・定着させるを全マネージャーがマスターできるようにさせれば、部下や若手社員はスムーズに成長でき、学習風土を整える第一歩を踏み出すことができます。

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