近年の新卒採用マーケットをみると、売り手市場であるだけでなく、「就活ルール」についてのニュースもあり、採用活動の激化・早期化が叫ばれています。また、採用活動のオンライン化も進んでおり、母集団形成が難しくなりつつあります。この記事では、近年注目されている有効な母集団形成の手段の一つである「送客サービス」について解説します。
目次
1. 送客とは?意味や読み方は?
送客の読み方は「そうきゃく」です。送客とは、一般的に「客を送る(送迎)」を意味することが多く、旅行業界などでよく使われています。
しかし、採用やマーケティングにおける送客とは、他メディアから自社メディアに客を誘導することを意味します。このように、送客の使われ方は業界・業種によって異なるので注意が必要です。
1-1. 送客と集客の違い
送客と似た用語に「集客」があります。集客とは、自社メディアや店舗に客を集めることを意味します。たとえば、自社メディアに客を集める場合、Web広告やSNS活用などの方法があります。実店舗に客を集める場合、チラシ提供や展示会開催などの方法があります。また、集客の手段として、送客サービスを活用する方法があります。このように、集客の意味の中に送客が含まれていると考えれば理解しやすいかもしれません。
2. 送客サービスとは?
送客サービスとは、自社の採用基準を満たしている学生を、選考や説明会などに動員してもらえるサービスです。送客サービスの提供企業は、独自の学生データベースを保有しています。送客サービス提供会社が、その学生データベースに対してアプローチをかけることで、依頼企業はターゲットとする学生を代わりに集客してもらうことが可能です。
ここでは、送客サービスの特徴について詳しく紹介します。
2-1. 送客結果に応じて手数料が発生する成功報酬型
各社の送客サービスは、一人あたりの送客費用が決まっており、ほとんどが成功報酬型です。送客された学生数に応じて費用が発生するため、コストにムダをつくらず有効な母集団を形成することが可能です。ただし、送客する学生の特徴によって、単価が違う場合もあります。
2-2. ターゲット層に効率よく接触できる
送客サービスでは、大学や学部、学科、住所、性別などの集客したいターゲット層のデータを指定したうえで、送客してもらうことができます。あらかじめスクリーニングをかけたうえで送客ができるので、自社の採用基準を満たした人材を効率よく集めることが可能です。
2-3. 選考フェーズに合わせた送客プランを提供
送客サービスでは、送客手数料が発生する段階を相談して決めることができます。たとえば「エントリー段階(学生情報取得)」「エントリーシート提出段階」「説明会やイベントへの動員段階」など、柔軟に送客プランを設計することが可能です。
送客プランの一例
- 説明会に参加した学生一人あたり〇〇円
- 1次選考に参加したターゲット学生数に応じて費用発生
3. 送客サービスとそれ以外の母集団形成手法の比較
母集団形成を強化する場合、送客サービスだけでなく、さまざまな方法が考えられます。ここでは、送客サービスとその他の母集団形成手法について比較して紹介します。
3-1. DM・スカウト
DM・スカウトとは、就活ナビなどで登録学生に対し直接的にアプローチをかける集客方法です。近年では、多くの企業がDM・スカウトを導入しているため、アプローチに対する反応率は下がりつつあります。DM・スカウトにより、自社のニーズとマッチする人材を獲得できていない場合、送客サービスを活用して確実な母集団形成につなげていくのがおすすめです。
3-2. 合同説明会・イベント
合同説明会・イベントでは、多くの学生に自社の存在をアピールすることができます。また、学生側にとっても複数の企業の情報を集められる場として有効活用されています。しかし、合同説明会・イベントで直接アプローチできたとしても、選考フェーズに至る学生は少数という可能性もあります。合同説明会やイベントで学生を獲得できない場合、送客サービスを利用するのも一つの手です。
3-3. 就活ナビオプション
就活ナビのオプションを活用すれば、企業検索で自社を上位に表示して、自社の存在をアピールすることができます。母集団形成のために有効な手段の一つですが、時間が経つにつれて学生の反応率が下がる傾向にあります。就活ナビオプションと送客サービスを使い分けて、効率よく集客につなげるのがおすすめです。
4. 送客サービスを利用するメリット
ここでは、送客サービスを利用するメリットについて詳しく紹介します。
4-1. 母集団のターゲット比率を高められる
DM・スカウトや合同説明会・イベントなど、さまざまな方法で集客を試みても、自社とマッチする人材を集められないという企業もあるかもしれません。送客サービスを活用すれば、あらかじめターゲット層を決めたうえで、自社のニーズにあった人材だけを集客することができます。
4-2. 初期コストがかからない
就活ナビに登録する場合や、合同説明会に参加する場合、初期コストがかかります。そのため、結果が得られないと、コストが無駄になってしまいます。
送客サービスであれば、成功報酬型を採用しているため、初期費用がほとんど不要です。そのため、初期コストをかけず、安定して集客をおこなうことができます。
4-3. 集客業務を一任できる
自社で学生を集客しようとしても、勤怠管理や給与計算などのコア業務に集中しなければならないため、時間や手間をかけられないケースもあるかもしれません。送客サービスを活用すれば、学生集客を専門家に一任することができます。そのため、人事労務担当者は、自社のコア業務に集中することが可能です。
5. 送客サービスを利用するデメリット
ここでは、送客サービスを利用するデメリットについて詳しく紹介します。
5-1. 採用単価が上昇する可能性がある
送客サービスは、成功報酬型の費用体系を採用しており、一人集客するごとに費用が発生します。自社の知名度が高く、既にターゲット層が多く集まる企業の場合、送客サービスを利用したほうが採用単価が上昇し、コストの負担が大きくなる恐れがあります。このような場合は、就活サイトを見直し、自社とマッチする人材を獲得できるよう改善することが大切です。
5-2. ターゲット層によっては送客できない
送客サービスを活用すれば、自社がターゲットにする学生を集客することができます。しかし、学歴やスキルなどにより、ターゲットがニッチすぎる場合、送客サービス会社のデータベースにいない可能性があります。その場合、送客サービスを使ったとしても、自社とマッチする人材を集客できない恐れがあります。送客サービスを提供している会社によって、得意とする領域が異なるので、送迎サービス会社選びに注意が必要です。
5-3. 決定率が低い場合はコストがかさむ
送客サービスにより自社とマッチする人材を選考フェーズまで集客できたとしても、入社に至らなければ、コストをかけた意味がありません。このような場合は、完全採用成功報酬で、入社決定までフォローしてもらえる「新卒紹介サービス」の利用を検討してみるのもおすすめです。
関連記事:新卒紹介おすすめサービス比較29選!特徴・導入事例のご紹介
6. 送客サービス活用事例
ここでは、送客サービスを利用した企業の事例を紹介します。
6-1. |A社|優秀な応募者と接触したい
A社は、送客サービス提供会社により学生約40名を集客し、単独面談会を開催しました。イベントに参加した学生の中から、最終的に内定者6名の輩出に成功しました。
6-2. |B社|海外経験者にアプローチしたい
B社は、送客サービス提供会社と連携し、ターゲット学生(海外経験者)に対してPRを実施したうえで、送客学生限定のリアルイベントを開催しました。B社唯一の採用ルートであるインターンシップ採用に動員し、採用枠15名のうち、4名が送客経由により内定しました。
6-3. |C社|上位校の学生のエントリー数を増やしたい
C社は、送客サービス提供会社の学生データベース(上位校)に対し、オンライン上でのPRを実施しました。グループディスカッションを企画したうえで、その場で学生をスカウトするイベントを開催し、500名以上のエントリー送客と、20名の内定者の輩出に成功しました。
7. 送客サービスの検討は今からでも間に合う!|6サービスをご紹介
自社の採用にマッチするかどうかを見極めるには、各サービスの下記ポイントをチェックしてみましょう。
送客サービス見極めポイント
- どのような学生データベースを持っているか
- 送客までの流れ
- 送客費用はどのくらいか
ここでは、新卒採用の送客サービスを実施している5サービスを紹介します。
7-1. キャリアチケットスカウト|価値観によるマッチングを実現
【サービスの特徴】
- 条件や資格ではなく価値観でマッチングするため、自社に合う学生にピンポイントで接点を持てる
- 企業ページの作成、オファー文書の添削、定期お打ち合わせ、レポートの共有など企業ごとのサポートが充実
- 企業の知名度に左右されない採用活動が可能で、平均オファー承諾率が20%と高いのが特徴
- サービス名:キャリアチケットスカウト
- 運用会社:レバレジーズ株式会社
- URL:https://careerticket.jp/partner/lp/200aa/00/00/00/
7-2.ビズリーチ・キャンパス|出会いたい学生に出会える
【サービスの特徴】
- スカウト機能・イベント開催・社員訪問受付機能など、新卒採用ツールとして必要になる機能を網羅
- 企業が出会いたい優秀な学生のデータベースに直接アプローチ可能
- ダイレクトリクルーティングに関する確かな実績で、これまでにKDDIやアサヒビールなどの導入実績
- サービス名:ビズリーチ・キャンパス
- 運用会社:株式会社ビズリーチ
- URL:https://site.br-campus.jp/company/
7-3. 就職エージェントNEO送客サービス
【サービスの特徴】
- 新卒紹介では学生登録拠点数業界トップクラス。 東京、大阪、名古屋、仙台、福岡にて、唯一常駐社員によるカウンセリングを通年実施し、学生を集客
- 登録学生数は、年間16万人以上。GMARCH以上約20%、男性49% 女性51%。
- 費用は、ターゲット学校層により決定。説明会・イベント・選考動員は¥20,000~/1名 期間内動員目標数パッケージプランもあり
- サービス名:就職エージェントNEO送客サービス
- 運用会社:株式会社ネオキャリア
- URL:https://www.neo-career.co.jp/humanresource/agent_sokyaku/
7-4. PORT送客サービス
【サービスの特徴】
年間約55万人が利用する就活ノウハウメディア「キャリアパーク」「就活会議」のデータベースを活用し、新卒または既卒第二新卒を対象とした事業・サービスを運営している企業様の集客をサポート。
[見極めポイント]
- 就活関連サービス:月間7,000件以上のサービス登録数
- 人材紹介サービス:月間1,000件以上のカウンセリング予約者獲得
- マッチングイベント:月間1,200件以上のイベント予約獲得
- 送客費用 都度問い合わせ
- サービス名:PORT送客サービス
- 運用会社:ポート株式会社
- URL:https://careerpark.jp/service/
7-5. Rebe
【サービスの特徴】
就活生向けのTwitterアカウントを約50個保有。フォロワー数は、延べ100万。 年間約200本の就活イベントを実施。延べ15,000名以上の学生が来場する。
[見極めポイント]
- 学生データベースの特徴 登録学生数約15,000名、GMARCH以上約65%
- 送客までの流れ 契約 → 学生に告知メール配信 → 送客実施
- 送客費用 都度問い合わせ
8. 送客サービスを有効活用しよう!
先日、ある就活生と話していて、「1月にインターンシップに参加したけれど、スタートが遅かったなぁと反省しています。もっとインターンシップに参加して、いろいろな企業の情報収集をしておけばよかった。」という言葉を聞いて衝撃を受けたのを覚えています。
秋・冬インターンシップは、単なる仕事体験・職場体験の場でなく、学生も企業研究の一環で参加していて、会社説明会のような役割なんだと再認識しました。内定も意識していて、自分の力を試す意味合いの強い、夏のインターンシップとはまた異なり、より就職活動に近づいた意味のインターンシップであることがわかります。
できるかぎり、リスクヘッジの一手を考え、時期・タイミングに合わせ打ち手を打っていければいいですね。
この記事が、少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。