退職金制度なしの会社の割合とは?メリット・デメリットも解説 |HR NOTE

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退職金制度なしの会社の割合とは?メリット・デメリットも解説

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退職後資金の確認

「退職金制度なしの会社について、違法性や割合を知りたい」

「退職金制度なしに関して企業・従業員のメリット・デメリットを知りたい」

上記のような疑問をもつ方も多いでしょう。

実際、2023年時点において4社に1社の割合で退職金制度なしの会社が存在しており、退職金制度なしの会社に違法性はありません。

本記事では、退職金制度なしについて、企業・従業員それぞれのメリット・デメリットを紹介しています。

退職金制度なしの会社の違法性や割合についても詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。


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1. 退職金制度なしでも違法ではない

労働基準法では、使用者から労働者への退職金の支払いを義務化していないため、退職金制度なしでも違法ではありません

ただし労働基準法により、会社に従業員への退職金の支払い義務が生じるケースがあります。例えば、退職金の支給条件が就業規則や雇用契約書などに明記されており、労働契約の内容に退職金の支払いが含まれている場合です。

上記のケースでは退職金を賃金と考えるため、従業員が退職金の支給条件を満たす場合には、会社が従業員へ退職金を支払わなければなりません。

なお労働基準法による賃金とは、名称に関係なく会社に支払い義務のある金銭のことで、労働の対象として会社が従業員へ支払うすべてのものです。

会社が従業員へ賃金を支払わない場合には、労働基準法違反となります。

参考:労働基準法|e-Gov法令検索

2. 退職金制度なしの会社の割合は24.8%

厚生労働省による令和5年の就労条件総合調査の結果によると、退職金制度なしの会社の割合は24.8%です。一方、退職金制度がある会社の割合は全体の74.9%を占めています。

上記の調査結果による、企業規模別の割合は以下のとおりです。

企業規模

あり

なし

1,000人以上

90.1%

8.8%

300~999人

88.8%

11.1%

100~299人

84.7%

15.1%

30~99人

70.1%

29.5%

参考:令和5年就労条件総合調査概況 3退職給付(一時金・年金)制度|厚生労働省

上記の表より、企業規模が小さくなるにつれ、退職金制度なしの企業割合が増えることがわかります。

3. 退職金制度なし|企業のメリット

退職金制度なしの企業のメリットは、次のとおりです。

  1. 退職金制度の金銭的なコストがかからない
  2. 退職金制度の運用の手間がかからない
  3. 従業員の退職時期に応じた資金準備の必要がない

各メリットの詳細を見ていきましょう。

3-1. 退職金制度の金銭的なコストがかからない

退職金制度なしの企業のメリットの一つは、退職金制度の金銭的なコストがかからないことです。退職金を自社で準備する場合、退職金のための内部留保であっても、会計上では利益とみなされるため法人税の課税対象となります。

企業年金制度や共済制度を利用する場合でも、掛金を損金扱いできるものの、運用会社や共済機構などに払いこむ掛金が必要です。

一方、退職金制度なしの場合には、上記のような金銭的コストがかからないため、支出の抑制につながります。

3-2. 退職金制度の運用の手間がかからない

退職金制度なしの企業のメリットとして、退職金制度の運用の手間がかからないことも挙げられるでしょう。退職金制度ありの場合、企業年金制度や共済制度の掛金の計算をしたり、退職給与引当金の計上をしたりするため、会計上の手間が増えます。

加えて、自社で退職金を用意する場合には、中途退職者が出るたびに退職金を計算したり、資金繰りを検討したりしなければなりません。

一方、退職金制度なしの場合には、上記のような業務が必要ないため、会計業務の負担を減少できます。

3-3. 従業員の退職時期に応じた資金準備の必要がない

従業員の退職時期に応じた資金準備の必要がないことも、退職金制度なしの企業のメリットです。

自社で退職金を用意する場合、中途退職者が出た際には、経営状態に関係なく、都度まとまった資金を準備しなければなりません。中途退職者がまとまって出た際には、資金繰りが悪化するケースもあるでしょう。

また確定給付企業年金制度を利用して退職金を準備している場合も、退職金のための資金が突然必要となるケースがあります。確定給付企業年金では、退職金額が事前に決まっているため、運用結果が悪い場合には不足分を企業が支払わなければなりません。

一方、退職金制度なしの企業では、上記のような資金準備が必要ないため、退職金制度ありの企業と比べて資金計画を立てやすいです。

4. 退職金制度なし|企業のデメリット

退職金制度なしの企業のデメリットは、次のとおりです。

  1. 従業員の勤続意欲の低下につながる
  2. 求職者へのアピールポイントが減る
  3. 退職金支給に関する節税メリットを得られない

各デメリットの詳細を見ていきましょう。

4-1. 従業員の勤続意欲の低下につながる

退職金制度なしの企業のデメリットとして、従業員の勤続意欲の低下につながることが挙げられます。退職金の支給条件として勤続年数や加入年数があることは、従業員が会社で長く働き続けたいと考える理由の一つとなるためです。

同条件であれば、退職金制度ありの会社へ転職したいと考える従業員も少なくないでしょう。結果、従業員の勤続意欲の低下が予想されます。

4-2. 求職者へのアピールポイントが減る

求職者へのアピールポイントが減ることも、退職金制度なしの企業のデメリットの一つです。

同様の待遇であれば、労働条件が少しでもよく、長く働きやすい会社を選びたいと考える求職者が多いでしょう。つまり同様の待遇であれば、退職金制度ありの会社の方が選ばれる可能性が高いです。

求人に対する応募者が少ない結果、求人コストが増加する可能性もあります。

4-3. 退職金支給に関する節税メリットを得られない

退職金制度なしの企業のデメリットとして、退職金支給に関する節税メリットを得られないこともあります。

次のような退職金制度を実施する会社が得られる節税メリットの一つが、会社負担の掛金の全額を損金扱いできることです。

  • 確定給付企業年金
  • 企業型確定拠出年金
  • 中小企業退職金共済制度

また給与や賞与の支払いとは異なり、退職金の支払いにおいては社会保険の負担がありません。加えて、勤続年数に応じた非課税枠も設けられています。

退職金制度なしの場合、上記のような退職金支給に関する節税メリットを得られません。

5. 退職金制度なし|従業員のメリット

退職金制度なしの従業員のメリットは以下の3つです

  • 退職金の支給に伴う手続きが必要ない
  • 従業員が退職金に依存しない資産形成を早い段階から計画・実施できる
  • 給与や賞与の水準が高い

退職金制度ありの場合、従業員は退職金の課税手続きを終了する必要があります。会社に源泉徴収してもらうために必要書類を提出しますが、書類を提出しない場合には自分で確定申告しなければなりません。

一方、退職金制度なしの場合は、上記のような退職金の支給に伴う手続きが不要です。

また退職金制度ありの場合でも、企業の業績悪化により退職金が減額した場合には、老後の資金計画が狂う場合もあります。退職金制度なしの場合は、従業員が退職金に依存しない資産形成を早い段階から計画・実施できることもメリットの一つです。

退職金制度ありの企業では、積立金や掛金など、将来支払う退職金のための準備金を用意しなければなりません。退職金制度なしの企業では上記の準備金を必要としないため、同規模の他企業よりも給与や賞与の水準が高い場合があります。

給与や賞与の水準が高い場合も、退職金制度なしの従業員のメリットといえるでしょう。

6. 退職金制度なし|従業員のデメリット

退職金制度なしの従業員のデメリットとして、老後のための資産形成の計画や実施が必要なことが挙げられます。

退職金制度ありの場合は将来的にまとまった老後資金が入る予定がありますが、退職金制度なしの場合は自身で用意しなければなりません。現在の生活費などを捻出しながら、老後資金のためにコツコツと貯蓄したり、資産を運用したりすることになるでしょう。

また従業員が万が一死亡した場合、遺族が受け取る死亡退職金としての役割もあります。退職金制度なしの従業員は、家族への万一の備えを自身で用意しなければなりません

7. 退職金制度なしの場合は退職金共済への加入も検討

退職金制度なしの場合には、次のような共済型の退職金制度である退職金共済への加入も検討してみましょう。

制度名

共済契約対象

中小企業退職金共済

一般の中小企業

特定退職金共済

商工会や一般社団法人

社会福祉施設職員等退職手当共済

社会福祉法人

特定業種退職金共済

建設業・清酒製造業・林業

上記の退職金共済の加入対象は、基本的に従業員のみです。内部留保などを原資としない方法で、従業員のために退職金を準備したい企業にも適しているでしょう。

中小企業退職金共済では、事業主が掛金を全額負担しますが、損金計上できたり、掛金の一部を国から助成してもらえたりします。

小規模企業の役員層の退職金準備を目的とする場合は、対象者が個人の小規模企業共済の利用もおすすめです。

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