住宅手当とは?相場や支給条件の決め方を解説 |HR NOTE

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住宅手当とは?相場や支給条件の決め方を解説

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住宅とお金

「住宅手当について知りたい」

「住宅手当の相場がわからない」

「住宅手当を支給するのに条件はあるの?」

上記のような悩みを抱える労務担当者は多いでしょう。

住宅手当とは、企業が従業員に対して賃料を補助する福利厚生の一つです。

本記事では、住宅手当の相場や支給条件、メリットとデメリットについて解説しています。負担のない範囲で住宅手当を支給するために、ぜひ参考にしてください。

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1. 住宅手当とは

広い家のリビング

住宅手当とは、従業員が住んでいるアパートの家賃や、持ち家の住宅ローンの一部を補助する目的で支給する手当です。給与と一緒に毎月支給するケースが多いでしょう。

住居手当や家賃手当などと呼ばれることもありますが、基本的には同じものです。また、住宅手当の有無は企業によって異なりますが、支給する場合は、一律で1万5,000円などとするケースや、賃料に対して10%程度を支給するケースがあります。

1-1. 住宅手当は福利厚生のひとつ

住宅手当は、従業員に対する福利厚生のひとつとして位置付けられます。ただし法定外福利厚生であるため、法律による支払い義務などはありません。支給するかしないかは、企業が自由に決定できます。また、支給金額に関する法律上のルールもないため、企業が自由に設定することが可能です。

ただし、住宅手当の有無を判断基準のひとつとして、入社や転職を決める従業員もいるため、必要に応じて制度を導入するとよいでしょう。

2. 住宅手当と家賃補助・社宅・引っ越し手当の違い

家の違い

住宅手当と家賃補助・社宅・引っ越し手当の違いは、以下の通りです。

名称

内容

住宅手当

企業が従業員の賃料や住宅ローンの一部、または全額を補助する福利厚生

賃料の支払いは従業員が行う

家賃補助

企業が従業員の賃料の一部を補助する福利厚生

賃貸の家賃のみに限られる

社宅

企業が用意した住宅を従業員に貸与する福利厚生

賃料の支払いは企業が行う

引っ越し手当

入社・転勤時の引っ越し費用を補助する福利厚生

住宅手当は、従業員が支払っている賃料や住宅ローンなどの住宅費について、企業が一部または全額を補助する制度です。一方で、家賃補助は従業員が住んでいる賃貸物件の賃料に限り、補助する福利厚生となります。

住宅費を補助する点では同じですが、家賃補助は賃貸物件の家賃のみが対象であるため、労務担当者は違いを理解しておきましょう。

なお、社宅は企業が従業員の居住する物件を提供する点で異なります。賃料の大部分を企業が負担するため、従業員にとって住宅費を大幅に抑えられる福利厚生です。

また引っ越し手当とは、従業員が入社・転勤するときに転居が必要な場合、その費用を補助する福利厚生です。会社までの距離や通勤時間などの条件によって、支給の有無や金額を変えるケースもあります。

2-1. 住宅手当は課税対象

住宅手当は福利厚生費として計上することができず、給与として扱う必要があるため、所得税や住民税の課税対象です。節税にはつながりにくいため注意しましょう。

先ほど紹介した社宅については現物支給と見なされるため、従業員が賃料相当額の50%以上を負担している場合、福利厚生費として計上できます。

3. 住宅手当を支給する条件の決め方

フローチャートを作成する

以下のような条件を設定して、住宅手当を支給するかどうかを決めるケースが多いでしょう。

  1. 世帯主である
  2. 正社員である
  3. 通勤距離が一定以上である
  4. 賃貸住宅である

住宅手当は、従業員全員に支給するものではありません。支給するためには、条件をクリアする必要があります。労務担当者は、社内で取り決めている条件を理解しておきましょう。

3-1. 世帯主である

世帯主であることを、住宅手当の支給条件のひとつしている企業も多いでしょう。住宅手当の支給を世帯主に限定することで、不正受給を防ぐ目的があります。

公平性を担保するためにも、住宅手当の支給条件の一つに、世帯主であることを設けるのがおすすめです。世帯主を確認する方法として、住民票の提出を求めましょう。

実家の場合

従業員が実家で親と一緒に暮らしているような場合は、親を扶養に入れていること、親と世帯を分けていることなど、細かい支給条件を設定するとよいでしょう。

たとえば、世帯主が従業員の父親である場合には支給しないなど、公平性を確保しておくことで不満の発生を防げます。

同棲の場合

パートナーと同棲しているような場合は、世帯主であることを証明できれば住宅手当を支給する、といった条件設定にするよいでしょう。世帯主であることを確認するために、住民票や賃貸借契約書の提出を求める必要があります。

また、2人とも自社の従業員である場合はどちらか一方にのみ支給する、といったルールにすることで、住宅手当の二重取りを防止可能です。

3-2. 正社員である

正社員であることを、支給条件とする企業もあります。

住宅手当は、企業が内容を制定できる法定外福利厚生であるため、支給対象を正社員に限定していることが少なくありません。

ただし、雇用形態による条件は、今後変化する可能性が高い項目になります。2020年にパートタイム・有期雇用労働法の律改正により、同一労働同一賃金が整備されました。

派遣社員や契約社員が正社員と同じ条件や環境で労働する場合、待遇に差があると法律違反と見なされる可能性もあります。

労務担当者は、雇用形態ごとに契約条件が異なるのか、同一になるのか把握しておきましょう。

3-3. 通勤距離が一定以内である

通勤距離が一定以内であることを条件として、住宅手当を支給するケースもあります。

企業を起点に2km圏内に住んでいる、電車で3駅以内に転居したなどの条件を設けているケースは少なくありません。通勤距離が短くなることで交通費を削減し、従業員の働きやすさをサポートすることが目的です。

ほかには、職場付近に住むと家賃相場が高い場合があるため、通勤距離を条件に含めている企業もあります。

3-4. 賃貸住宅である

賃貸住宅に住んでいることを条件として、支給を決定する企業もあります。持ち家の場合、住宅ローンの一部を補助するケースもありますが、まったく支給しないルールにしている企業もあるでしょう。

企業が自由に条件設定できるため、予算や従業員のニーズに合わせて適切な判断をすることが大切です。

4. 住宅手当の申請時に提出してもらう書類

住宅手当の申請時には、次のような書類を提出してもらうのが一般的です。

  • 住民票
  • 賃貸借契約書
  • 住宅ローンの明細書
  • 登記簿謄本

どのような書類を提出してもらうかは企業が自由に決定できますが、不正受給が発生しないよう適切な書類を準備してもらいましょう。以下、各書類について簡単に解説します。

4-1. 住民票

住宅手当を申請する際は、住所や世帯主であることを証明するために、住民票を提出してもらいましょう。住民票は市役所や区役所の窓口などで取得可能です。

従業員から住民票を受け取ったら、内容をよく確認してから住宅手当の支給を決定しましょう。

4-2. 賃貸借契約書

賃貸借契約書とは、賃貸住宅を借りる契約を締結したときに発行される書類です。契約時に控えを渡されるのが一般的ですので、従業員にそのコピーを提出してもらいましょう。

賃貸借契約書を受け取ったら、契約者名や家賃、住所などをしっかりと確認することが大切です。

4-3. 住宅ローンの明細書

持ち家の住宅ローンの一部を補助する場合は、明細書を提出してもらいましょう。住宅ローンの明細書は、金融機関から郵送されてくるのが一般的です。

従業員から提出された住宅ローンの明細書を見て、金額や支給条件に合っているかを確認します。

4-4. 登記簿謄本

持ち家の場合は、登記簿謄本も提出してもらいましょう。登記簿謄本とは、マンションや持ち家などの不動産の所有者や住所を記載した書類です。法務局の窓口やオンラインで請求できます。

5. 住宅手当を従業員に支給する4つのメリット

メリットを案内する

住宅手当を従業員に支給するメリットは、以下の4つです。

  1. 優秀な人材を確保できる
  2. 企業のイメージアップを図れる
  3. 企業側の負担を抑えられる
  4. 従業員の負担が減る

住宅手当を支給する意図は、従業員が働きやすい環境を整備することです。労働人口が不足している現在、人材確保は容易ではありません。

獲得した人材を早期に流出させないためにも、住宅手当のメリットを理解しておきましょう。

5-1. 優秀な人材を確保できる

メリットの1つ目は、優秀な人材を確保できることです。

住宅手当を支給することで、従業員の生活をサポートできます。その結果、従業員は勤続し続けたいと考えるでしょう。

現在の日本は、転職や早期離職が増加してきました。優秀な人材ほどより良い環境を求めて離職しやすいため、企業には人材を定着させる努力が求められます。

住宅手当があることで生活満足度が向上し、優秀な人材の確保・定着につながるでしょう。

5-2. 企業のイメージアップを図れる

メリットの2つ目は、企業のイメージアップです。

求職者は同じ仕事をする場合に、より良い条件で勤務したいと考えるでしょう。住宅手当があることで福利厚生が充実し、迷った際の比較材料になります。

また、住宅手当は福利厚生のなかでも金額が大きく、従業員を大切にしていることがわかりやすいです。

5-3. 企業側の負担を抑えられる

メリットの3つ目は、企業側の負担が少ないことです。

住宅手当は、従業員の給与にプラスして賃料を補助するため、ほかの福利厚生と比較して負担が少なくて済みます

社宅を企業で用意する場合、物件探し、契約、維持管理と時間とお金がかかるでしょう。住宅手当の支給は、従業員への補助金額が同じでも、企業負担は軽減されます。

5-4. 従業員の負担が減る

メリットの4つ目は、従業員の負担が減ることです。毎月の家賃や住宅ローンの支払いは、従業員にとって大きな負担となります。住宅手当を支給することで生活をサポートすれば、従業員の経済的な負担軽減と満足度向上につながるでしょう。

また、社宅とは異なり、住む場所を自由に選べることも大きなメリットです。自由な場所で暮らすことで、精神的な負担も軽減できるでしょう。

6. 住宅手当を従業員に支給する3つのデメリット

注意を促す

住宅手当を従業員に支給するデメリットは、以下の3つです。

  1. 企業側の負担が増加する
  2. 住宅手当の廃止が難しい
  3. 従業員間で不公平が生じる

住宅手当は、従業員にメリットが大きい制度です。安易に採用すると、企業の首を絞めることになるため、デメリットについてもよく理解しておきましょう。

6-1. 企業側の負担が増加する

デメリットの1つ目は、企業側の負担が増加することです。

住宅手当は福利厚生のなかでも金額が大きいため、住宅手当を支給するほど企業の経済的な負担が増加します。

さらに、給与が上がることで従業員の所得税や社会保険料が増加し、労使折半である企業側の負担額も増加します。

6-2. 住宅手当の廃止が難しい

デメリットの2つ目は、住宅手当の廃止が難しいことです。

住宅手当の廃止には、従業員の同意が必要になります。そのため、企業側の都合のみで廃止できません。

住宅手当の廃止が、労働条件の改悪になるためです。将来、住宅手当の支給を考えている労務担当者は、注意してください。

6-3. 従業員間で不公平が生じる

デメリットの3つ目は、従業員間で不公平が生じることです。

住宅手当の支給条件に当てはまらない従業員は「〇〇さんは支給されて、自分は支給されない」と不満を抱えるおそれがあります。

従業員間の不公平さは、従業員のモチベーションや生産性に影響するため、住宅手当の支給条件を明確にして説明を十分にすることが大切です。

7. 住宅手当の相場

住宅にかかる費用

住宅手当の相場は以下の通りです。

従業員数

住宅手当の平均

1,000人以上

21,300円

300〜999人以上

17,000円

100〜299人以上

16,400円

30〜99人以上

14,200円

参考:令和2年就労条件総合調査の概況|厚生労働省

従業員数が多い企業ほど、住宅手当の金額が高くなる傾向があります。住宅手当の金額に悩む労務担当者は参考にしてください。

8. 住宅手当を支給する企業は減少傾向にある

家にかけるお金が減る

住宅手当を支給する企業は減少傾向にあります。

減少の背景には、法定福利厚生費の負担額が増加したことが挙げられるでしょう。負担が増えた分、法定外福利厚生である住宅手当を削減する企業が増加しました。

日本経済団体連合会によると、法定福利厚生の負担額は調査を開始した1955年から増加傾向にあります。2003年には7万円、2013年に8万円を突破しました。

その反面、法定外福利厚生は1995年の29,495円をピークに、2020年には24,125円にまで減少しています。

上記の調査から、法定福利厚生の負担が大きくなり、法定外福利厚生にかける費用が減少していることがわかるでしょう。

参考:第64 回福利厚生費調査結果報告|一般社団法人日本経済団体連合会

9. 住宅手当のメリット・デメリットを把握して導入を検討しよう!

今回は、法定外福利厚生のひとつである住宅手当について解説しました。住宅手当を支給すれば、従業員の家賃や住宅ローンの支払いをサポートでき、満足度や帰属意識の向上を図れます。ただし、住宅手当を支給するためには大きなコストが発生するため、自社の予算をしっかりと確認しておくことが大切です。

また、支給条件についても明確にしておきましょう。世帯主であること、会社からの距離が一定以内であることなど、不公平感が生まれないようなルールを設定しておくことが重要です。

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