役員は福利厚生の対象?定義や判断に迷うケース別の対応を解説 |HR NOTE

役員は福利厚生の対象?定義や判断に迷うケース別の対応を解説 |HR NOTE

役員は福利厚生の対象?定義や判断に迷うケース別の対応を解説

  • 労務
  • 福利厚生

福利厚生は、企業が従業員に対して提供する、給与と賞与以外の報酬です。従業員の生活の質を向上させることや、モチベーションアップを目的として提供しています。

「役員の福利厚生は認められる?」

「役員と従業員で変わる福利厚生はある?」

上記のような疑問をお持ちではないでしょうか。本記事では、福利厚生の定義や条件、役員と従業員で扱いが変わる福利厚生の種類など、判断に迷うポイントを解説します。

福利厚生についての理解を深め、今後の経営に役立ててください。

賃上げよりも低コストで福利厚生を充実させる方法とは?

福利厚生を充実させることは採用・定着にもつながるため重要ですが、よく手段としてとられる賃上げよりも低コストで従業員満足度をあげられる福利厚生サービスがあることをご存知でしょうか。

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1. 役員も福利厚生が適用される

結論として、役員も福利厚生が適用されます。福利厚生と認定されるためには、すべての従業員が対象でなければいけないためです。

常識範囲内の金額の福利厚生であれば、役職にかかわらず従業員とともに適用されます。ただし、福利厚生の種類によって細かいルールが定められているため、正確に理解しておかなければいけません。

2. 役員のみに適用される福利厚生は存在しない

役員も福利厚生を利用できますが、役員のみに適用される福利厚生は存在しません。均等待遇の基本に反するため、役員「のみ」に福利厚生を適用させることができないのです。

均等待遇とは、同じ業務をこなしている従業員に対して、給与や労働条件を均等にすることを指します。雇用形態が異なっても、賃金や福利厚生などの待遇面でも平等でなければいけません。

また、福利厚生は基本的に非課税対象で、法人税・所得税・源泉徴収処理などの税額に関わってきます。

役員だけに適用される福利厚生があると、法人税の軽減目的で制度を濫用される可能性があるのです。リスクヘッジのために、役員のみに適用される福利厚生は存在しないといえるでしょう。

例えば、役員だけの旅行や宴会などの経費は、福利厚生費として認定されません。福利厚生費として認定されるためには、すべての従業員がターゲットでなければいけないためです。

法定外福利厚生については、種類ごとに条件が異なるため、ケースごとに判断しなければいけません。

参照:税について調べる|国税庁

3. 福利厚生の定義・条件

福利厚生の定義と条件についてあらためて理解しておきましょう。

  • 福利厚生の定義
  • 福利厚生の条件

3-1. 福利厚生の定義

福利厚生とは、従業員や従業員の家族に対し、健康や生活の質を向上させることを目的として企業が提供する報酬のことです。毎月の給与や、年に数回の賞与は含まれません。

福利厚生は、企業で働く従業員すべてに適用されます。企業が従業員に提供するサービスともいえるでしょう。

福利厚生は、以下の2つに分類されます。

法定福利厚生

法定外福利厚生(代表例)

・健康保険料

・介護保険料

・厚生年金保険料

・子ども・子育て拠出金

・労災保険料

・雇用保険料

・通勤手当

・住宅手当

・健康診断

・慶弔見舞金

・育児休暇

・社員旅行

・食事手当

「法定福利厚生」は法律で義務付けられた福利厚生のことで、いわゆる「社会保険」とよばれるものです。法定福利厚生は、事業主・役員・従業員すべてがターゲットとなります。

一方で「法定外福利厚生」は、法律で義務付けられているものではありません。企業側の任意で導入するもので、法定外福利厚生の種類は多岐にわたります。

法定外福利厚生は、働き方の変化とともに注目されている施策の一つといえるでしょう。

3-2. 福利厚生の条件

福利厚生費として認定されるためには、以下の3つの条件を満たす必要があります。

  1. 現金支給ではないこと
  2. 企業の役員・従業員すべてをターゲットにしていること
  3. 社会通念上、妥当な金額の範囲であること

法定外福利厚生にかかる費用も福利厚生費での計上となり、非課税対象となります。だからといって、無条件で福利厚生費として会計処理できるわけではありません

例えば、レクリエーション旅行は4泊5日以内、創業記念品は1万円以下など、国税庁では福利厚生の種類によって細かいルールを定めています。

福利厚生を際限なく認めると、個人的な経費を企業の経費として計上できることは明らかでしょう。

3つの条件を満たしていない場合、税法上非課税として取り扱えない場合があるため注意が必要です。誤った法定外福利厚生の使い方をすると、税務調査で所得税を追徴されることもあります。

参照:給与所得の範囲|国税庁

4. 役員と従業員で扱いが異なる福利厚生

従業員と役員で扱いが異なる福利厚生は以下の2つです。

  • 慶弔見舞金
  • 社宅

4-1. 慶弔見舞金

慶弔見舞金は、ほかの福利厚生と条件が変わります。慶弔見舞金とは、従業員や従業員の家族が結婚をした場合や、亡くなった場合などに見舞金として支払われるお金です。

慶弔見舞金は、企業の判断で役職や勤続年数などに応じて金額に差をつけられます。役員に対する慶弔見舞金も、福利厚生として認定されています。

ただし、ほかの従業員と比較して著しい差があった場合、福利厚生費として認定されないケースがあるため注意が必要です。

役職に応じて金額を変更する場合でも、社会通念上の妥当な金額の範囲を超えないことを念頭に置いておきましょう。

4-2. 社宅

役員が社宅を借りる場合と、ほかの従業員が借りる場合とでは福利厚生の条件が変わります。それぞれの違いは以下のとおりです。

福利厚生費として計上できる条件

従業員

賃貸相当額の50%を従業員が負担

役員

賃貸料相当額の100%を役員が負担

「賃貸料相当額」と「実際の家賃」の金額は違うため注意しましょう。また、役員と従業員で、月額の適正家賃の金額は異なります。

役員に対する社宅の貸与に関しては、適正家賃の以上の家賃を企業が「社宅家賃」として役員から受け取れば、福利厚生費として計上可能です。

ただし、以下のようないわゆる「豪華社宅」の場合は、計上方法が異なります。

  • 床面積が240平米以上の場合
  • プールやゴルフ場などの役員個人の嗜好を著しく反映した設備のある住宅

賃貸料相当額の詳しい計算方法は、国税庁のホームページに記載されています。適切に計算できるよう確認しておきましょう。

参照:役員に社宅などを貸したとき|国税庁

5. 役員の福利厚生で迷うケース別の対応

役員の福利厚生で迷う対応を、以下のケース別で解説します。

  1. 役員と従業員を兼任している場合
  2. 個人事業主の場合
  3. 社長と役員のみの場合
  4. 家族経営の場合

5-1. 役員と従業員を兼任している場合

役員と従業員を兼任している場合、福利厚生は認められます。福利厚生は、すべての従業員をターゲットとしているためです。

中小企業などでは、役員と従業員を兼任している方も少なくないでしょう。ただし、役員のみをターゲットとする福利厚生は認められないため注意が必要です。

5-2. 個人事業主の場合

個人事業主かつ従業員が存在しない場合、福利厚生の概念は存在しません。個人事業主は社長、つまり役員であり従業員ではないためです。

また、役員報酬との差がわかりにくいことから、福利厚生は認定されにくくなります。ただし、従業員を雇用している場合は、福利厚生の適用が認められる点に注意しましょう。

自社で法定外福利厚生を取り決め、基準や要件を満たしていれば、役員も従業員と同様に福利厚生の利用が可能です。

5-3. 社長と役員のみの場合

社長と役員のみの場合、法定外福利厚生が認定されないケースがほとんどです。従業員がいないことが理由となります。

家賃補助や、慶弔見舞金などの一般的な法定外福利厚生でも認定されません。

5-4. 家族経営の場合

家族経営かつ、家族以外の従業員がいない場合、福利厚生は認定されません。家族を従業員として雇用していても、税法上では事業主と同じ会計上にあると判断されるためです。

福利厚生を導入したい場合、家族以外の従業員を雇用しなければいけません。福利厚生が利用できるケースと、そうではないケースをしっかり理解しておきましょう。

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