リモートワーク導入における注意点|効果的な導入に役立つ企業事例 | 人事部から企業成長を応援するメディアHR NOTE

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リモートワーク導入における注意点|効果的な導入に役立つ企業事例

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こんにちは!HR NOTE編集部の岩田です!

政府が提唱した「働き方改革」は2017年に盛り上がりを見せ、中でもリモートワーク(在宅ワーク)という働き方の浸透が注目を集めました。リモートワークとは、オフィス以外の自由な場所で、遠隔で業務をおこなうワークスタイルです。

リモートワークについて他社の事例を知っていたり、実際に導入・または導入を検討したりしたことがある人事も方も多いのではないでしょうか。

しかしリモートワークも一歩間違うと、社員の働き方に対してむしろ悪影響を与える結果となることも。

リモートワークの効果を最大限に高めるためのポイントを、企業事例をもとに探っていきましょう!

なぜ、リモートワークが注目を集めてきたのか

政府は、労働力確保の必要性や過労死などの労働問題を受け、働き方改革の一環としてリモートワークの導入を推進してきました。リモートワークは一般的に、以下のようなメリットがあるといわれています。

  • 自分に合った働き方の選択が可能に

介護や育児、自身の健康状態、居住地とオフィスまでの距離など、さまざまな要因に対して最適な条件で仕事をすることができます。

  • 社員にかかるコストの削減

デスクなどの備品、光熱費などの固定費、交通費など、社員1人あたりに必要なさまざまなコストを削減することができます。

  • 業務の生産性向上

社員が業務をおこなう環境を自分で選択できるため、生産性を上げるために必要な人や情報がそろっている場所へ移動したり、集中できる状態へ環境をマネジメントしたりと、業務の効率が上がることに期待されています。

このようにリモートワークが推し進められる中で、世間ではどのような考えが見られるのでしょうか。

Twitterより、意見を集めてみました!

・リモートワークで「自分に合った働き方」が実現できるという、肯定的な意見が見られます。

・リモートワークが導入されていない現状を嘆く声も見られます。

・リモートワークが招くデメリットを指摘する声も見られます。

 

これらの意見からもわかる通り、リモートワークにはメリットと課題の両面が存在します。そのため、有効に活用するためには制度の導入だけではなく、その他の取り組みも不可欠なようです。

次は、実際の企業の成功事例をもとに、リモートワークの導入による効果を最大化するためのポイントについて見ていきましょう。

リモートワークを導入して働き方改革を進める企業事例

リモートワークを導入することで成果を出している企業事例と、そこから読み取れる導入・運用のポイントについて説明していきます。

株式会社キャスター|リモートワークを当たり前にするための組織改革

キャスターは『リモートワークを当たり前にする』というミッションを掲げ、社員はほとんどがリモートワークを利用しています。

『リモートワーク開始、導入、廃止の企業3社に聞く「リモートワーク制度導入の可能性と実現方法」/IBASHO』によると、キャスターはリモートワークを機能させるためのポイントとして、「会社の柔軟性」「人間関係」を挙げています。

リモートワークを機能させるためには、事業のビジネスモデルとそれに関係する職種を、リモートワークに対応したものに変える必要があるといいます。

大企業では組織変革にかかるコストが大きいため、リモートワークを導入するためには強力なリーダーシップが必要です。

リモートワークでも「普段の働き方が再現できるか」が重要になります。

オフィスでの勤務とリモートワークの違いは「コミュニケーションの取り方」くらいであるとのこと。オフィスに出社して会話を始めるように、同じ時間にチャットを開いてコニュニケーションを取れるようにすることで、全員が意識的に正しい人間関係を築いていくことができるといいます。

また、先日東京で34年ぶりに7日連続の積雪を観測した際、キャスターの取締役COOである石倉氏のツイートが、リモートワークの可能性を示すうえで象徴的でした。

 

日産自動車株式会社|リモートワーカー社員の現状に対する透明度を高める

リモートワークの導入にあたって独自のオンラインツールを使用するケースは多く見られますが、日産自動車はその運用方法に特徴があります。

リモートワークでの業務中は常にリアルタイムで社員の顔を表示し、仕事の状況に応じて「連絡可能」「取り込み中」「応答不可」「一時退席中」といったように表示の切り替えが可能で、社員の現状が可視化されているとのこと。

日産自動車が取り組むリモートワークがうまく作用している理由の1つとして、キャスターの事例で言及した「普段の働き方の再現」がおこなわれていることが挙げられるのではないでしょうか。

オンラインツールをうまく活用して、リモートワーカーでも、まるでオフィス内にいるような状況を再現することで、リモートワーカーとオフィスワーカーの間で生じうるコミュニケーションの欠如など、リモートワークで生じうるさまざまな問題点を回避しています。

株式会社リクルートホールディングス

リクルートホールディングスは2016年1月より、すべての雇用形態の従業員を対象に、リモートワークを導入しています。

場所や上限日数などの制約は一切設けず個人の評価は成果をもっておこなうと明記したところに、主体的な「自由な働き方の選択」を目指すリクルートの姿勢が読み取れます。

働き方の選択も、受ける評価もすべて自己責任のもとおこなわれることで、「働き方の選択肢を増やす」だけでなく、その先にある「成果」や「成長」を重んじる、本質的な働き方改革ができるのではないでしょうか。

【参考:上限日数なし・雇用形態にかかわらず全ての従業員を対象としたリモートワークを2016年1月より本格導入 働き方の選択肢を増やし、個の更なる成長と新しい価値の創造につなげる/リクルートホールディングス

リモートワークの導入効果を高めるためのポイント

上記、実際の企業例から見るリモートワークの効果を高めるためのポイントとして、以下のようなものが挙げられます。

  • リモートワーク導入で生じる課題を補完する取り組みをする
  • 自由な働き方の選択で生じうる不平等を取り除く
  • リモートワークの導入によって、何を目指すのかを明確にしておく

リモートワーク導入の課題・注意点

リモートワークはこれまで紹介してきたようなメリットがあり、それらの効果は適切なやり方で運用することで得られることを見てきました。

しかし、中には思うような効果を得られず、リモートワークの制度を取り下げてしまう企業も見られるようです。2013年に米ヤフーがリモートワークを廃止したことに続き、2017年には米IBMも廃止を決断したことは、大きな注目を浴びて印象に残っていることでしょう。

【参照:米ヤフーや米IBMが在宅勤務廃止に チームワーク不足や節約失敗が原因か/livedoor NEWS

リモートワークを導入することで陥りがちな課題や、導入することで逆効果をもたらさないための注意点には、どのようなものがあるのでしょうか。以下にいくつかまとめてみました!

リモートワークの導入で、長時間労働につながるケースも

リクルートワークス研究所がおこなった「全国就業実態パネル調査2016」によると、「働く場所を選ぶことができる男性の17.3%が週に55時間以上働いている」という結果が出たようです。

本来なら業務にあたり障害となりうる周囲の環境や必要なリソースといった条件を取り除き、仕事の生産性を高めるというメリットも期待されているはずのリモートワーク。

その導入によって、反対に生産性向上を阻害する「長時間労働」を助長してしまっているのはなぜでしょうか。

  • リモートワークは上司や同僚からの監視の目がないため、ダラダラと仕事をしてしまうことがある
  • オフィスワークでは残業削減の取り組みがなされるが、リモートワーうではその制約がなくなってしまう

といった理由も考えられます。

しかし、『「リモートワークのデメリット」から見える「本当の課題」:調査結果/ lifehacker』によると、『仕事の評価制度』の問題がリモートワーカーの長時間労働を助長しているといいます。

「成果を出さないと、仕事をサボっていると思われる」というプレッシャーをリモートワーカーに与え、結果として長時間労働につながってしまうというケースも考えられます。

会社として考慮すべきは「リモートワーカーをどのように評価するべきか」です。リモートワークという枠組みだけの導入でなく、「どのような働き方をして、どのような結果を出してほしいか」を社員に共有する必要があります。

評価の曖昧さがリモートワーカーの不安要素になるのであれば、個人やチームのKPIなど、評価の指標をチームメンバーや上司と共有することが大切です。

その上で仕事の進捗も随時共有し合うことで、リモートワーカーは成果を出すことへのプレッシャーだけにとらわれることなく、「自分は適正に評価されている」と安心して業務に取り組むことができます。

しかし、先ほど紹介したリクルートホールディングスの例では「個人の評価は成果をもっておこなう」としていたように、会社の方針や社風に適した評価方法を設計するのが良さそうです。

マネジメント次第で、リモートワークは転職意欲を促進する

先ほどのリクルートの調査ではまた、リモートワークをしていない男性のうち転職を考えている割合は1/5なのに対し、リモートワークをしている男性のおよそ1/4が転職を考えているという結果となったようです。

リモートワークをすることで同僚や上司との対面のコミュニケーションは減り、会社への帰属意識もある程度は下がってしまうのは予想できます。

リモートワークをしていても、「会社の仲間の一員」として仕事をしてもらうためのマネジメントや、対面のコミュニケーションに代替するコミュニケーションの構築が必要でしょう。

リモートワークで「孤独感」を感じやすいことや、オンラインとオフラインのコミュニケーションの性質の違いを、リモートワーカーとチームメンバー全員が共通認識をもっておくことが大切です。

リモートワークの効果を高めるために必要なこと

これまで見てきたように、リモートワークは導入すればそのメリットを得ることができるわけではなく、制度を適切に運用できなければむしろ社員や会社に悪影響を与えうるものであることを見てきました。

それでは、リモートワークがうまく作用するために必要なことや、より効果を高めるための取り組みには、どのようなものがあるのでしょうか?

上司のリモートワークに対する意識の向上

会社で働くことを当たり前として長く仕事をしてきた社員に対して、リモートワークは対面の親密さやスピード感のあるコミュニケーションができない、懐疑の対象のように受け取られてしまうことがあるようです。

そのため会社としては、まずは上司にあたる管理職のような社員に対してこそ、リモートワークへのリテラシーを高めるために働きかける必要があるでしょう。

自社にとって、リモートワーク制度の導入にはどのような意図があるのかを明確にして、当事者意識を持たせることが大切です。

リモートワーク制度がうまく機能するかどうかは、管理職の社員がリモートワークにいかに理解があるのかもポイントとなります。

上司にあたる社員がリモートワークをポジティブに捉えていなければ、部下にあたる多くの社員もリモートワークを安易に利用できず、名ばかりの制度になってしまう恐れがあるからです。

その上で、上司だからこそ、リモートワーカーの部下がいる際のマネジメントや、先述の評価体系の設計などに対して意欲的に学んでいくことが、リモートワークの効果を高めるために役立つでしょう。

コミュニケーションツールを活用する

リモートワークの効果を高めるためには、「対面でのコミュニケーションができないことで生じる欠陥を補う」ことが必要です。

chatworkslackを導入する企業が多いように感じますが、自社に適したツールの選択、または自社ツールの作成が重要となるでしょう。

リモートワークを円滑化するためのシステムについては、HR noteの記事でもまとめられているので、ぜひ参考にしてみてください。

◆リモートワークを円滑化するためのシステムについて、もっと詳しく知りたい方はこちら

→「働き方改革!リモートワークを円滑化するweb会議システム7選

おわりに

「働き方改革の代名詞」のように捉えられがちなリモートワーク制度も、安易に導入するだけでは社員の混乱やコミュニケーションの欠陥を生み、結果として会社としての損失につながってしまうことがあるということを説明してきました。

しかし、自社に合った”正しい”方法で適用することで、大きな効果をあげることもできます。

パーソナライズされた自由な働き方が広まりつつある時代だからこそ、社員一人ひとりの働き方について、会社としても真剣に向き合う必要があるのではないでしょうか。

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