立ち上がった新規事業を継続させるには?|WE戸田 |HR NOTE

立ち上がった新規事業を継続させるには?|WE戸田 |HR NOTE

立ち上がった新規事業を継続させるには?|WE戸田

  • 組織
  • 人材育成・研修

※本記事は、株式会社WEの戸田裕昭さんより寄稿いただいた記事を掲載しております。

皆様ご無沙汰しております。株式会社WEの戸田です。

前回は、「新規事業を立ち上げる人材を社内でどう育成するか」について書かせていただきました。

今回は、その続編として、「立ち上がった新規事業をどう継続させるのか?」について書かせていただきます。

執筆者】戸田 裕昭|株式会社WE 代表取締役 / 上智大学非常勤講師 / 総務省地域力創造アドバイザー

大学卒業後、オフィス家具メーカーにて新規事業創出・地域活性化に携わる。総務省地域力創造アドバイザーや国土交通省スマートアイランド推進実証事業コーディネーターなどを担い、全国各地の地域における事業振興のアドバイスを行なっている。 また、個々人のやりたいことが起点となる事業創出を目的とした伴走型教育プログラムを開発・構築。小学校から大学までの教育機関や自治体、民間企業と連携し、人材育成を軸とした「組織変革」「事業創造」「地方創生」を行う。 

1.私の経験

前回書かせていただきましたように、私自身、企業内で事業を立ち上げさせていただいたのですが、その事業を継続させることができずに終わってしまいました。

今思えば全て自分の力不足だったのですが、当時どのような事に苦しんだのかということについて、書かせていただきます。

1-1.数字

事業計画は、「3年で“短黒”になるように」との指示を受けて作成し、事業を開始しました。

皆さんは、3年という期間を「長い」と思いますか?それとも「短い」と思いますか?

当時の私にとっては、とても短く感じました。なぜなら、事業の立ち上げ初期は当然お客さんがいないため、売上0円という状況であり、その状態から3年で単年黒字をできるのかという焦りが強くあったからです。

既存事業であれば、長く行われているからこその信頼と商品そのものがあります。しかし、私には信頼も商品も「これから」でした。 ですから、3年という期間は短く感じ、「急いで売上を作らなければならない」という焦りが生まれていました。

もちろん、役員からは焦らないよう言われていました。しかし、やはり焦りました。営業職の経験もあったからかもしれません。

既存事業で頑張って稼いで生み出した利益で新規事業を行っていると思うと、「早く返さなければ!」「早く自走しなければ!」という気持ちになり、誰に何を言われても焦るような状況だったからです。

その結果、色々と立ち上げましたが、どれも中途半端な結果になってしまいました。

1-2.スケールさせるための本業との連携

それでも、ありがたいことにいくつかの事業は顧客を獲得することができました。

しかし、事業の黒字化はまだまだ遠く、0→1の事業で0→1の商品を作ることができたのは、当時のお客さんのおかげだと思います。

では、この1をいかにして大きくしていくか? 事業をスケールさせていくために必要なのは、まず「営業」です。私はもともと営業職だったので、営業職には先輩も後輩も多く、たくさんの仲間がいました!

ただ、先輩や後輩に頼るということは個人的な行動になってしまうので、きちんと組織として営業の責任者に話しに行きました。その結果「忙しいから無理だ。」と一蹴されてしまいました。

責任者にとってみれば、できるなら営業を増やしたいと考えるでしょう。そもそも営業が稼いでいるから新規事業ができるのに、「更に手伝わせるのか?」と思いますよね。

このように、社内における既存事業の営業職との連携がなかなかできずに苦しみました。

新規事業に取り組まれている方は、新規事業が自社にとって必要であるということを社内で理解してもらう必要があると思います。

1-3.制度

今の時代では多くの企業で新規事業に対する取り組みは仕組みが構築されていっているのではないかと思います。

先述したように、重要なことは、「新規事業は自社として取り組んでいくべきこと」として、きちんと全従業員に周知していくことだと思います。

2.なぜ新規事業が必要なのか?

新規事業の必要性や意義を、社内の人たちが理解していない状態で新規事業を立ち上げても悲劇しか起こりません。

「あいつらは楽しそうでいいよな!」「自分の業務が忙しいから協力できない!」という意見を持たれ、せっかく立ち上がった事業がスケールせずに終わってしまいます。

制度や仕組みでは人の気持ちを動かすことはできないので、会社の代表者や人事が全社員に対して、熱を持って伝えていくことが必要です。

自社の元々の事業も新規事業も、「人」が行なっているので、制度や仕組みだけでは急に新しいことへ変えることは難しいと思います。

3.新規事業と本業の連携を生み出すには

やはり、この「自社の既存事業と新規事業の連携」が肝となる、と私自身は感じています。

私自身は、事業終盤には色々な営業担当から連携のオファーをもらえるようになってきたので結果的には連携ができました。 考えてみると、それが可能となった理由は、「やっていることの見える化」をしていったことです。

新規事業だと、その新規性を担保するためにもどうしても公にできないことがあったり、何を目的に活動しているか、他の社員に伝えることなく活動してしまったりしてしまいます。

そうなると他の社員からは「何やってるかわからない」とか「楽しそう」とか、自分の意図しない見られ方になってしまいます。

ですから、私は自分がやっていることを積極的に話したり、他の社員が関わってもらえるような場を作っていったりしました。

その結果、「そんなことやってるなら一緒にやろうよ!」「こんなお客さんいるんだけど話に行ってくれないか?」と声をかけてもらえるようになり、当初できなかった既存事業との連携ができるようになりました。

私自身が営業職だったのでこのようなことができたのかもしれませんが、会社として取り組まれている事業であれば、既存事業同様に社内への発信は積極的に行なった方がいいと思います。 社内報で発信する、といった機会もきっとあります。

4.最後に

新規事業も本業も「人」が行なっているということを忘れないでください。

そしてどちらも真剣にやっている。既存事業には既存事業の苦しみがあり、新規事業には新規事業の苦しみがある。

そこを理解しあって支え合うことができればきっと新規事業はうまくいきますし、新規事業は既存事業にも好影響を与えると思います。

組織として新規事業や人事に関わっている皆さんが熱を持って動けば、そうした環境や関係性がきっとできると思います。

これから、活き活きと事業を作れる人が増え、そこから生まれた事業が今よりもっと良い社会を創り、その結果、本業にも好影響を与え会社としてのVisionが実現していく。

そんな社会ができていくことが楽しみですね!私自身も今も挑戦中です!一緒に挑戦していきましょう!

次回も楽しみにしていてください!!

人事業務に役立つ最新情報をお届け!メールマガジン登録(無料)

HR NOTEメールマガジンでは、人事/HRの担当者として知っておきたい各社の取組事例やリリース情報、最新Newsから今すぐ使える実践ノウハウまで毎日配信しています。

メルマガのイメージ

関連記事

社員の年収アップが企業成長につながる——公平で納得度の高い昇給制度をどう設計するか|エッジコネクション大村

社員の年収アップが企業成長につながる——公平で納得度の高い昇給制度をどう設計するか|エッジコネクション大村

人事担当者にとって、「昇給制度」は常に悩みの種ではないでしょうか。 どのような基準で昇給を決めれば不満が出ないのか、誰の給与を上げるべきなのか、そして、給与を上げた分のコストをどのように業績につなげていくのか——。 一方 […]

  • 組織
  • 人事評価
2025.12.16
金井 一真
インテージホールディングスの人事に聞く、 従業員サーベイを「因果分析」する意味と実践方法

インテージホールディングスの人事に聞く、 従業員サーベイを「因果分析」する意味と実践方法

昨今、人事業務における「データに基づいた意思決定」の必要性が高まる中で、「因果分析」の手法が注目されています。 そこで今回は、国内大手マーケティングリサーチ企業グループのインテージホールディングス様に、エンゲージメントサ […]

  • 組織
  • エンゲージメント
2025.12.04
金井 一真
年間4911億円の労働損失。企業が気づいていない、働く女性の87%が感じる「見えない不調」

年間4911億円の労働損失。企業が気づいていない、働く女性の87%が感じる「見えない不調」

働く女性の多くが抱える“見えない不調”は、いまや企業の生産性や人材定着に大きな影響を与える社会課題となっています。にもかかわらず、日本では女性の健康課題は長く「個人の問題」として扱われ、組織としての対策は十分とはいえませ […]

  • 組織
  • ダイバーシティ&インクルージョン
2025.12.03
金井 一真
「CQは国境を越える共通言語」ベトナム・ビジネスの突破口に三谷産業株式会社が据える“文化の知能指数”とは【現場を変えるCQ白書 第4回】

「CQは国境を越える共通言語」ベトナム・ビジネスの突破口に三谷産業株式会社が据える“文化の知能指数”とは【現場を変えるCQ白書 第4回】

異なる国や地域の人とのビジネスで、しばしば課題となる“文化”の違い。あなたも思い当たる節はありませんか? 「文化の違いは対処のしようがない……」。もし、そう思っているならちょっと待ってください。文化の違いは乗り越えられま […]

  • 組織
  • 企業文化・組織風土
2025.11.05
金井 一真
「アサーティブ・コミュニケーション」で相互理解を深める|NineDomains Institute 桑原

「アサーティブ・コミュニケーション」で相互理解を深める|NineDomains Institute 桑原

執筆者桑原 寛二氏NineDomains Institute株式会社 代表取締役 1982年より外資系日本法人7社に約29年間勤務し、一貫して欧米アパレルブランドの日本市場におけるブランドポジショニング確立に従事。リーバ […]

  • 組織
  • 人材育成・研修
2025.10.30
金井 一真

人事注目のタグ