皆様ご無沙汰しております。株式会社WEの戸田です。
これまでは、弊社プログラムWill Based Learningについて書かせていただきましたが、これからは人事やHRに関する幅広いテーマについて書かせていただきます。
今回は「新規事業を立ち上げる人材を社内でどう育成するか」についてです
【執筆者】戸田 裕昭|株式会社WE 代表取締役 / 上智大学非常勤講師 / 総務省地域力創造アドバイザー
大学卒業後、オフィス家具メーカーにて新規事業創出・地域活性化に携わる。総務省地域力創造アドバイザーや国土交通省スマートアイランド推進実証事業コーディネーターなどを担い、全国各地の地域における事業振興のアドバイスを行なっている。 また、個々人のやりたいことが起点となる事業創出を目的とした伴走型教育プログラムを開発・構築。小学校から大学までの教育機関や自治体、民間企業と連携し、人材育成を軸とした「組織変革」「事業創造」「地方創生」を行う。
目次
【豪華ゲスト多数登壇!】変化に負けない「強い組織」を育むためにHRが果たすべき役割を考える大型カンファレンス『HR NOTE CONFERENCE 2024』
「人的資本経営」「ウェルビーイング」「DEI」といったトレンドワードが、HR領域だけでなく社会全体に拡がり始めた昨今。自社組織に漠然と"停滞感"を感じ、「うちは取り残されていないだろうか?」「何かやらないといけないのでは・・・」といった不安や悩みを抱える人事・経営者の皆様も多いのではないでしょうか。
本カンファレンスでは、HR領域の有識者の皆様に、様々な組織課題を解決するためのアプローチ方法について解説いただきます。強い組織を育む企業が実践している事例には、組織強化に必要な考え方や人事が果たすべき役割について学べるポイントが多くあります。ぜひ有識者の皆様と一緒に、組織を強化する「共通原理」について考えてみていただければと思います。
1. 私の経験
私自身、企業に勤めているときに「新規事業開発」をミッションにした組織に所属していたり、テーマを決められたうえで新規事業を考えるミッションを与えられたりしたこともありました。
個人としても、覚えていないほど事業企画を提案し、採用されたものが2件、実際に事業として稼働したものが1件ありました。提案件数に対する採用件数の割合はとても低いのですが、事業の稼働までやらせてもらえた経験は、他社さんと比較してもとっても恵まれていたほうだと思っています。
2.新規事業開発において大変だったこと
新規事業を考えるときに苦戦したことが「マネタイズ」です。
「どうすれば収益が上がるのか?」ということは、とっても真剣に考えました。
事業計画も3年で“短黒”になるように考えましたが、社内で説明するとなかなかうまくいきません。
「これぐらいの利益じゃ事業とは言いにくい」と言われたり、なんとか黒字になるような事業計画にするために人件費等を少し甘めに見積もってしまい、詰めの甘さを指摘されてしまうこともありました。
「本当に儲かるのか?」「失敗するリスクはないのか?」といったことを聞かれることもありましたが、儲かるかどうかということは提案時点ではわからないですし、失敗しない事業なんて無いだろうし、どうやって答えたらいいか、かなり頭を悩ませました。
3.事業企画が採用されたケース
それでも採用してもらえた2件については、とっても変わった形で採用してもらいました。
結果的には、事業を継続することができなかったのですが、採用される事業という観点から、ご参考になるかもしれませんので、簡単にご紹介させていただきます。
(1)地方創生に関する事業企画
この事業では、会社が持つリソースと会社の事業を活用することで、「地方がどうなるのか?」という未来の話をプレゼンしました。
その結果、「儲かるかどうかより、描いた未来が面白そう」との理由で採用してもらえました!
私の話を聞いた役員が「儲かるイメージは全くわかないけど、この世界は面白そうだ!やってみろ!」って言ってくれたのです。
この事業は、次の件が大がかりな事業になってしまったため、採用したまでとなってしまいましたが、世界観を認めてもらえたという点で、新規事業開発のヒントになるかと思います。
(2)オープンイノベーションに関する事業企画
こちらは、まず「A社と協業し事業企画を考えてほしい」と、会長・社長から指示を受け始まりました。
個人的に、A社さんとはずっと行動を一緒にしてきたのでこれはとても嬉しく、A社さんと何度も打ち合わせを重ねて事業企画を練り、プレゼンを行いました。
しかし、こちらは何度も何度もプレゼンしましたが、なかなか会長・社長を納得させることができず苦戦していました。
そうした苦戦の先に、OKをいただいた時のことが今でも忘れられません。
私はプレゼンテーションの初めに、事業説明ではなく、私自身の志(今で言うとWill)から説明しました。
その後、事業の説明をし、次に事業計画の説明をしようとしたところで会長が、止めたのです。
そして、「事業計画の説明はいらない!お前の志が気に入ったからやってみろ!どうせ失敗してもこれぐらいの”赤”ならなんとかなる。」と言われました。
その場にいた全員がとても驚いていましたが、私はとっても嬉しかったです。自分の志を伝えることで新規事業が採択された、という大きな経験でした。
4.新規事業を立ち上げる人材
私の経験は例外的なのかもしれませんが実際に採用された事実があります。この経験からどのような人が新規事業を立ち上げることができるか、ということに対しては、2つ考えられます。
儲かるかどうか、というマネタイズはもちろん大事ですが、
- 作りたい未来を熱く語れるか?
- 自身が絶対に成し遂げたいことを事業にしているか?
この二つが重要なのだと思います。
絶対に儲かる事業があるとしたら、誰でもすでに行っているでしょう。大切なことは、「やってみないとわからない不安がある中で、それを実行するだけの動機がちゃんとあって、その動機が人(意思決定者)に本気だと伝わるかどうか」だと思います。
5.意思決定者に納得してもらうためのコツ
「結局覚悟だ!」といったフワフワした話になるじゃん!と思われたでしょうか。しかし、もちろん覚悟だけではダメです。
未来の話も志も、言おうと思えば誰でも言えます。
それは言い方を変えれば、「口だけの評論家」です。新規事業は評論家のままではは実現できません。行動することに意味があるのです。
ですから、意思決定者等に納得してもらうためには、「言っていることが本当にできる人である」ということを証明しないといけません。
ではどうしたら証明できるのでしょうか?答えは簡単です。
まずは小さな成功体験を作ることです。
大きな成功を目指すのが新規事業ですが、いきなり大きな成功なんて難しいです。
いきなり大きな成功をおさめることができたらラッキーですが、そんなに世の中は甘くないと思います。
実際に覚悟を決めて起業しているスタートアップも、“Jカーブ”と表現される状況の変化があります。これは、日の目を浴びずに「潜る」時期と、潜る時期を経て一気に事業か加速する状況を示します。
ただ、個人的には「企業内の新規事業はそんなことしなくてもいいのでは?」と、思います。なぜなら、所属する企業が積み上げてきた財産(信用やお金やリソース)がすでにあるならば、それらをうまく活用しながら徐々に成果を出していくのがいいと考えるからです。
ですから、やはりまずは、大きな成功を目指すための小さな成功をする。それがあれば成功する可能性があることを証明できますし、0から1が生み出されれば、あとはすでにある財産を使って成長させていけばいいのです。
6.最後に
2件事業が採用された経験から、なんだか偉そうに書かせていただきましたが、すでに触れたように、現在私は起業しています。立ち上げた事業は続いていません。
立ち上げるのと続けるのはまた違ったスキルが必要です。
今回は立ち上げるためのコツを書かせていただきました。次回は続けるためのコツ(失敗体験から)について、書かせていただきたいと思っています。
次回も楽しみにしていてください!!
【豪華ゲスト多数登壇!】変化に負けない「強い組織」を育むためにHRが果たすべき役割を考える大型カンファレンス『HR NOTE CONFERENCE 2024』
「人的資本経営」「ウェルビーイング」「DEI」といったトレンドワードが、HR領域だけでなく社会全体に拡がり始めた昨今。自社組織に漠然と"停滞感"を感じ、「うちは取り残されていないだろうか?」「何かやらないといけないのでは・・・」といった不安や悩みを抱える人事・経営者の皆様も多いのではないでしょうか。
本カンファレンスでは、HR領域の有識者の皆様に、様々な組織課題を解決するためのアプローチ方法について解説いただきます。強い組織を育む企業が実践している事例には、組織強化に必要な考え方や人事が果たすべき役割について学べるポイントが多くあります。ぜひ有識者の皆様と一緒に、組織を強化する「共通原理」について考えてみていただければと思います。