会社の発展や健全な運営には、ロイヤリティやエンゲージメントが重要です。近年注目されるようになったこの2つの考え方は、経営者や人事関係者が十分に理解しておかなくてはいけません。
本記事ではロイヤリティとエンゲージメントの違いと、高める方法を分かりやすく解説します。愛社精神を育み、離職率を下げて優秀な人材を育成しましょう。
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
組織マネジメントに課題感をお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご確認ください。
目次
1. ロイヤリティとは?
ロイヤリティ(Loyalty)には、もともと忠誠や忠実、愛着といった意味があります。ビジネスシーンでのロイヤリティは、従業員のロイヤリティ、つまり従業員が持つ会社への忠誠心や愛着を指します。
ロイヤリティが高い従業員は、仕事に励み、成果を出します。また、転職や退職を考える率も低く、従業員全体のロイヤリティを高めることで離職率を下げることも可能です。
近年は少しずつ変化していますが、日本の会社はこのロイヤリティを重視する傾向が強いです。これは終身雇用や年功序列など、昔から根強く残っている意識に関係しています。
一方で個人を尊重する傾向が強い海外企業では、ロイヤリティという考え方が薄いです。
また、ロイヤリティは顧客に対しても使われることがある言葉です。
顧客ロイヤリティは、顧客が企業やブランド、製品などに持つ愛着や忠誠を示します。ロイヤリティが高い顧客はリピート購入や新商品の購入率が高いです。
2. エンゲージメントとは?
エンゲージメント(Engagement)は、約束する、契約する、婚約するなどの意味を持つ言葉です。ビジネスシーンでの従業員エンゲージメントは、従業員と会社の間にある絆や信頼を指します。
婚約指輪をエンゲージリングと呼ぶのと同様に、従業員と会社が精神的にも結ばれていると考えると分かりやすいかもしれません。
エンゲージメントが高い社員は、会社のためにできることをしたいと考えて高いパフォーマンスを発揮します。会社を信頼しているため、離職や転職率も低いです。
エンゲージメントには従業員エンゲージメントの他に、ワークエンゲージメントがあります。ワークエンゲージメントは自分の仕事に対する熱意や活力を意味しています。
ワークエンゲージメントが高い社員は仕事に没頭し、高いパフォーマンスを示します。
3. ロイヤリティとエンゲージメントの違い
ロイヤリティとエンゲージメントは、どちらも愛社精神を指す言葉です。しかし、従業員と会社の関係性はロイヤリティとエンゲージメントでは大きく違います。
3-1. ロイヤリティは主従関係に近い
ロイヤリティが持つ意味のとおり、従業員ロイヤリティは会社に対する忠誠心や忠実さを意味します。そのため、ロイヤリティは会社と従業員が主従関係に近い関係性になります。
会社の方が強い立場で縦の関係になるため、上司や上層部の指示がないと動けないケースが多くみられます。また、上の指示で動く機会が増えることで、受け身の従業員が増えるリスクがあります。
ロイヤリティを重視する際は、会社が主導して成長を目指しつつも、押さえつけるだけではない関係性を構築することが求められます。
3-2. エンゲージメントは対等な立場
従業員エンゲージメントを考える際の会社と従業員の立場は対等です。横のつながりで結ばれており、会社と従業員が助け合いながら成長していく関係性になります。
ロイヤリティは従業員が会社に尽くすイメージですが、エンゲージメントは双方的なつながりです。
対等であるため、個人の考えや意欲を尊重しやすく、さまざまなアイデアや意見が出やすいです。
4. ロイヤリティを高める方法
ロイヤリティを高めるには、経営陣と従業員が会社の理念を理解し、信頼関係を築くことが重要です。そのためには、以下のような意識や変化が求められます。
4-1. 会社の理念や強みを従業員と共有する
会社の理念や強みを従業員が理解すれば、定められているルールや上司の判断にも納得できることが増えます。その結果、ロイヤリティが高まりやすくなります。
しかし、会社の理念や強みは、社員全体にはなかなか行き渡りません。文字として掲げられていて認識されている場合でも、本当に理解している従業員は多くないでしょう。
そうした従業員にも本当の意味で理念や強みを理解してもらうためには、会社の沿革や理念に込められた気持ち、創業者の人柄やエピソードなどと合わせて伝えることが大切です。
どんな歴史を経た会社に自分が所属しているのか、改めて知ることで会社への愛着も深まるでしょう。
4-2. 経営陣と従業員のコミュニケーションを増やす
従業員にとって経営陣は、接する機会が少ない場合には別次元の人や命令を下すだけの人だと思われがちです。そんな関係性ではなかなか会社に対してのロイヤリティは高まりません。
縦の関係が強い会社でも、経営陣も感情を持った人間であり、会社や従業員のことを考えて判断しているということを知ってもらう必要があります。
そのためには経営陣と従業員が接する機会を増やすことが有効です。ミーティングや1on1を増やしたり、社内行事や旅行などを開催したりして、経営陣としての役割以外の部分も見せて信頼関係を構築しましょう。
4-3. プロセスも考慮した評価をする
頑張ったのに認めてもらえない状況が繰り返されると、どのような人も不信感や不満を持ってしまいます。ロイヤリティを高めるには、結果や成果だけでなくプロセスも重視した人事評価をするようにしましょう。
結果を出した1人だけを評価せずに、その結果を出すために誰がどのようなかたちで関係し、何をしたのか十分に確認することが大切です。
また、日ごろの勤務態度や成果にならない細かい業務にも目を向け、納得感のある評価を出せるようにしましょう。
4-4. 貢献度に応じた賞与や休暇制度を作る
会社への貢献度に応じた待遇の変化があると、従業員はやりがいや充実感を持って仕事に励めます。自分の仕事が分かりやすいかたちで認められれば、もっとこの会社で頑張ろうという気持ちが芽生え、ロイヤリティが高まります。
そのためには賞与や休暇制度などの特典を作り、分かりやすく平等な評価をできるようにすることが効果的です。
5. エンゲージメントを高める方法
エンゲージメントを高めるには、チームワークが取りやすい環境と従業員の満足度を高めることが重要です。以下のポイントを意識してみましょう。
5-1. 会社として目指す方向性を定める
会社と従業員が協力して成長していくエンゲージメントでは、全員が同じ方向を向いていなくてはいけません。会社をどのような方針で成長させるのか、何を重視するのか、どうなりたいのかなど、ビジョンを共有しましょう。
考え方や仕事の方法が違う人同士でも、同じ目標に向かっていればお互いに協力し合い、理解し合うなかでエンゲージメントを高めていけます。
5-2. リーダーシップの取り方を考える
エンゲージメントを重視する場合、リーダーシップの取り方はサーバントリーダーシップが適しています。サーバントリーダーシップでは、リーダーは支援する立場でメンバーをまとめます。
支配型のリーダーシップでは、リーダー以外のメンバーが受け身になってしまうことが多いですが、サーバントリーダーシップではメンバー同士が積極的に行動します。
その結果、コミュニケーションも増えてエンゲージメントが高まりやすい環境が作られていくでしょう。
5-3. ライフワークバランスを取る
エンゲージメントを高めたい場合は、従業員が公私ともに充実した生活を送れていることが大切です。長時間労働やキャパシティを超えた業務はできるだけ減らし、プライベートも充実できるようにバランスを取りましょう。
ライフワークバランスが取れている従業員は幸福度が上がり、自然と会社と従業員の間の絆は深まっていくはずです。
5-4. 社員が成長できる機会を作る
会社で毎日ただ働くだけでは、なかなかモチベーションを保てずエンゲージメントも下がりやすくなります。従業員が成長し、新しいことへの挑戦やキャリアの構築ができる環境を作りましょう。
研修制度や資格取得支援制度を作ったり、書籍の購入費を補助したり、さまざまなかたちでスキルアップをサポートできます。
従業員の成長はエンゲージメントの向上に加えて、優秀な人材の育成にもつながるため、ぜひ実践しましょう。ここまで読んでみて、従業員のいまの状態をはかりたいと考えてらっしゃる方もいらっしゃるのではないでしょうか。そのような方に向けて当サイトでは「従業員満足度のハンドブック」という資料を無料配布しております。従業員満足度の基礎知識から、調査の方法、また調査する際のツールまでも網羅的に記載しており、従業員満足度調査を始める際のマニュアルとして有効活用できます。 興味のある方はこちらから無料でダウンロードしてご覧ください。
6. ロイヤリティとエンゲージメントの違いは従業員との関係性
ロイヤリティとエンゲージメントは、どちらも愛社精神を示す言葉で、高いほど従業員の定着率が上がり、パフォーマンスも向上します。
ロイヤリティとエンゲージメントの違いは会社と従業員の関係性で、ロイヤリティとは主従関係、エンゲージメントは対等な関係です。どちらがよいということはなく、会社の方針や考え方に合わせて重視するものを決めましょう。
近年はエンゲージメントを重視する会社が増えてきました。ロイヤリティを重視する会社でも、社員との精神的なつながりを大切にすることが企業発展への鍵です。
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
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