DVDレンタル事業から、世界有数の企業へと大きく変貌を遂げたNetflix。その急成長を支えたのは、社員に対して「自由」を与え、その代わりに「責任」を持たせるNetflix独自の組織カルチャー形成にありました。
本記事では、2022年8月23日・24日に開催したHR NOTE CONFERENCE2022より、【NO RULES 世界一「自由」な会社、NETFLIX】の書籍を、Netflix創業者のリード・ヘイスティング氏と共著で執筆した組織行動学者のエリン・メイヤー氏が登壇した基調講演の内容をご紹介いたします。
Netflixで形成された企業文化を紐解きながら、日本企業に応用できる考え方や人事施策とは何か考える参考にしていただければと思います。
【登壇者】エリン・メイヤー|INSEAD(欧州経営大学院)教授 作家/組織行動学者
1971年米ミネソタ州生まれ。ピースコープ(平和部隊)のボランティア、米医薬品卸売り企業マッケソンの人事などを経て、現在はINSEAD教授。INSEADでは異文化マネジメントに焦点を当てた組織行動学を専門とする。異文化間交渉、多文化リーダーシップについて教鞭をとり、グローバル・バーチャル・チームのマネジメントや、エグゼクティブ向けの異文化マネジメントなどのプログラム・ディレクターを務めている。著書は『NO RULES 世界一「自由」な会社、NETFLIX』『異文化理解力─相手と自分の真意がわかるビジネスパーソン必須の教養』。
【モデレーター】浅枝 大志|株式会社メルカリ 採用戦略
青山学院大学経営学部卒業。デジタルハリウッド大学院デジタルコンテンツマネジメント修士。2012年米国デラウェア州に音楽スタートアップBeatrobo Inc.を設立、CEOに就任。事業売却後、AIスタートアップ・スタジオ All Turtles のプロダクトマネージャーを経て、2020年より株式会社ミラティブに入社し、営業推進部長に就任。2021年8月より株式会社メルカリ経営戦略室に所属。米国育ちのバイリンガル。著書に『ウェブ仮想社会「セカンドライフ」: ネットビジネスの新大陸』(アスキー)、翻訳書で『WHO YOU ARE』(日経BP社)、『爆速成長マネジメント』(日経BP社)をてがける。
目次
1. Netflixの急成長は「奇妙な組織文化」に支えられている
基調講演のモデレーターを務めます、株式会社メルカリの浅枝と申します。
本日は、【NO RULES 世界一「自由」な会社、NETFLIX】の著者である、エリン・メイヤー氏にご登壇いただきます。
彼女はINSEAD(欧州経営大学院)教授で、クロスカルチャーマネジメントのエキスパートです。今回は、エリン氏が研究に携わったNetflixの人事戦略の裏側についてお話いただきます。
本日は、「革新性」と「柔軟性」を生み出す組織文化の作り方をお伝えするために、非常に珍しくユニークな組織文化のケーススタディであるNetflixの事例をご紹介します。
私は、職場環境における組織文化を研究する中で環境の変化に合わせて頻繫に業態を変えながら事業を成功させているNetflixに関心を持ちました。
ご存知の通り、Netflixは少し前まで大量のDVDを抱える倉庫を全米各地に持ち、DVD郵送事業を展開していました。
その後、時代や環境の変化に合わせて、古い映画やテレビ番組の再放送を配信するストリーミング事業に移行。さらに、環境のシフトに合わせてメディア企業へと生まれ変わりました。
現在は、俳優や監督を雇い、ロサンゼルスにオフィスを構え、ディズニーのような企業と競争する立場にまで変貌を遂げています。
周囲の変化に応じて方向転換し、革新を続け、柔軟に対応できる能力は極めて珍しく、この分野に関して大規模な研究をする機会を得た私は、何百人ものNetflix社員に取材をおこないました。
創業者兼CEOであるリード・ヘイスティングス本人とも多くの話をしましたが、リードは、この会社の俊敏性について「奇妙な組織文化によって実現されている」と語っています。
今日は、リードと共にまとめた【NO RULES 世界一「自由」な会社、NETFLIX】の中身について、ご紹介したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
2. 「絶対的な肯定表現」を避けて組織文化を表現する
まず、私は、企業の取り組みやビジネススクールで教えられていることの大半が、実は「工業時代の残骸」であると考えています。
工業時代において、人々はエラーの排除や一貫性、再現性にこだわってきました。しかし、多くの組織やチームにおいて最大のリスクは、もはやミスを犯すことではありません。
今日では、革新のスピードや柔軟性が不足することによって、組織が無用の長物と化してしまうのが最大のリスクとなります。これを念頭に置きながら、私が研究で新たに学んだことをいくつかお話したいと思います。
Netflixの組織文化を知る第一歩『カルチャーデック』
私がNetflixの組織文化について知ったきっかけは、数年前にインターネット上で公開された『カルチャーデック』という企業文化を明文化した資料です。2,000万回以上もダウンロードされているこの資料は、次の言葉から始まります。
『多くの企業では、耳障りの良い標語がオフィスロビーに掲げられている。誠実さ、コミュニケーション、敬意、卓越性などだ。』
これらの耳障りの良い言葉は、経営陣が刑務所送りになり、詐欺で倒産したエンロン社でも掲げられていたそうですが、ここでお伝えしたい最初の教訓は、『組織文化を表現するとき、絶対的な肯定表現は避ける』というものになります。
たとえば、「Integrity(誠実さ)」という言葉を挙げましょう。誠実というのは美しい言葉です。しかし、誠実さには選択の余地がなく、絶対的な肯定です。私たちは「裏切りが全て」と語る会社を見たことがありません。
自社の組織文化を表現するときは、絶対的な肯定表現を使ってはならず、ジレンマを想定し表現する必要があります。社員が日常的に対応する業務において、「こういうジレンマに直面したら、この会社ではこちらの方を向く」という、方向性を示すことが重要です。
ジレンマ①「後で影響を及ぼす可能性のある変化について、今、従業員に伝えておくか?」
たとえば、あなたがマーケティングマネージャーとして、8名のマーケティングスペシャリストのチームを率いているとします。
ある日、あなたは上司から組織変更の可能性について聞かされました。組織変更の可能性は60%程度で、時期は4か月後くらい。組織変更が起きるとチームは大きく影響を受けてしまいます。あなたは他のチームに異動するかもしれませんし、上司や同僚が変わって引っ越しを要求される人も出てきます。
このような場合、あなたは組織変更の可能性について、現時点でチームメンバーに情報を共有するでしょうか?AかBの二択で、回答を選んでください。
選択肢Aを選んだ方は、チームメンバーが知ったらパニックを起こすのではないかと考えています。メンバーがこれから起こるか確定していない変化について悩み、業務に集中できなくなることを懸念しているため、しばらく様子見をして、結果が分かったうえで伝えるべきか判断したいと考えています。
対して、選択肢Bを選んだ方は、あなたが常に自分の知っていることを、出来る限りチームに共有すべきと考えているのではないでしょうか。チームに透明性が伝わることで信頼が構築され、チームの協力体制が作り上げられると考えています。
今皆さんに回答いただいているのがジレンマです。私がお伝えしたいのはただ一つ、AとBに回答が割れ、ジレンマが起きている事実についてです。
このように、今皆さんに回答いただいているのがジレンマです。今回のケースでは「組織の透明性を高める文化」と「チームの安定性を優先する文化」の間にあるジレンマが起きています。
この状況では、AとBの回答が互いに緊張関係にあり、どちらを選ぶにしても明確な理由があります。そして、あなたの組織が「透明性を重視している」と伝えたいのであれば、マネージャー陣には選択肢Bを選ぶように伝える必要があります。
社員の行動に影響を与え、会社の個性を形成する組織文化を明確にする方法を考える際に、このようなジレンマに注目する必要があるのです。
ジレンマ②「失敗すると思うプロジェクトに従業員を投資させるか?」
続けて、ジレンマのケーススタディをもう1つ見てみましょう。
あなたは今も、8名マーケティング・スペシャリストのチームを管理するマーケティング・マネージャーです。
ある日、チームメンバーの一人であるシーラという女性が興奮状態でやってきました。シーラは、新たな事業アイデアをあなたに提案してきますが、その実現にはかなりのコストがかかるようです。多くのリソースが必要になるものの、彼女はアイデアの成功を心の底から信じています。
上司であるあなたはシーラの熱意を素晴らしいと感じていますが、彼女のアイデアが成功するとは思えません。彼女にアイデアの懸念事項を伝え、翌週もう一度話し合おうと話しましたが、翌週も彼女はオフィスにやってきて「このアイデアは会社に大きく貢献するから取り組ませてほしい」とプレゼンしてきました。
さて、あなたはこの後どう対応しますか?彼女のプロジェクトに、会社の時間、資源、資金を投下するかどうか、AかBで答えてください。
選択肢Aを回答した方は、上司であるあなたも過去に失敗したことがあるし、自分の判断が間違っている可能性もあるので、シーラがやるべき準備をしていることを前提に挑戦を許可したいと考えます。
対して、選択肢Bを回答した方は、シーラがうまくいかないことに会社のお金と時間を使うことをためらい、「シーラ、あなたの熱意と取り組む姿勢には本当に感謝していますが、着手中のプロジェクトからブレないようにしましょう」と伝えます。つまり、彼女にこれ以上、新たなアイデアへの取り組みをさせません。
また回答が2つに割れていますが、これがまさしくジレンマです。今回のケースでは、「失敗を防ぐ組織文化を作りたい」「イノベーションを推奨する組織文化を作りたい」という2つの間にあるジレンマが起き、両者が互いに緊張関係となっています。
このように、マネージャーの役割に対する期待が生産性を最大化し、エラーを排除することが求められる一方で、イノベーションを起こすためには、成功と失敗を問わず、さまざまなことに挑戦する必要があります。
この2つの組織文化を同時に実現することは現実的ではなく、必ずどちらかを選ばなければなりません。
ここで大事なことは、「どちらを選ぶべきか」「どちらが正しくてどちらが間違ってるか」ということではなく、社員の行動に影響を与えるような組織文化を育てるためには、「絶対的な肯定論で語ることを避けるべき」という点であり、これが一つ目のポイントです。
3. 着目すべき「ジレンマ」とは~能力密度を高めるNetflix実験~
では、皆さんが「革新性」と「柔軟性」を育む組織文化を作りたいと考えた場合、どのようなジレンマに着目すべきでしょうか?
私は、この問いについて掘り下げるために、リードにインタビューをおこないました。そこで彼は、彼の起業した最初の会社であるPure Softwareの話をしてくれました。
リードがPure Software犯した「組織文化作りの失敗」とは
Pure Softwareは、立ち上げた当初は少人数かつ非常にゆるい組織体制で、社内ルールやプロセスは存在せず、社員の行動を厳しく管理しない文化でした。誰もが、自分のできる範囲で最善の判断をしながら働いていたのです。
しかし、その後会社が成長し、数百人・数千人規模になるに連れて、与えられた自由を悪用する社員が出てきました。
たとえば、ジムという男は毎週サンフランシスコからロサンゼルスまで飛行機で移動する際に、旅費規定がないことを理由にファーストクラスに乗るようになりました。シャーロットという女性は、自分の飼い犬を一人ぼっちにさせたくないと考え職場に連れてくるようになり、その子犬が会議室のカーペットを噛り大きな穴を開けてしまいました。
こうしてトラブルが増え、苛立ちを覚えたリードは、人事部と共に社員ハンドブックを作成しました。ハンドブックには多くのルールやポリシーが表記され、やって良いことと悪いことを明文化しました。このハンドブックが定着し始めると、会社の生産性が上がり、経費も削減されていきます。
しかし、そこで新たなトラブルが起きてしまいます。なんと、ハンドブックの定着後に、最もハイパフォーマーでありクリエイティブな発想を持つ優秀な社員たちが組織を離れ始めたのです。ここで、リードが当時を語ったビデオをご紹介します。
『人生で二つの会社をやれて良かったことは、同じ失敗を繰り返さずに済むことです。最初の会社では、成長に従い、失敗する可能性を排除するために多くのプロセスを導入しました。何か失敗をするたびに新しいプロセスを導入し、仕組みを再現して対策できたことを誇りに思ったのです。しかし、仕組みばかりが整った会社は、無能しか働きたがらないことに私は気づけませんでした。その後、市場環境が変わり、革新的でクレイジーな考え方をする人材は去り、規則に従うことが上手な人たちだけが残りました。しかし、市場は待ってくれません。Javaやインターネットが台頭し、会社はそれに適応できなかったのです。効率のための短期的な最適化は、長期的な成功やイノベーションを殺すことをそこで学んだのです。そこで次に立ち上げたNetflixでは短期的なカオスを許容し、常にカオスの先端に立つことに成功しました。その本質的価値は、素晴らしい思想家達を定着させ、刺激を与え続けることにあります。DVDからストリーミングへ、あるいはライセンシングからオリジナルコンテンツ展開へと市場がシフトしたとき、すでに社内にあらゆる種類のオリジナリティを持つ社員たちが揃っているわけです。それこそが長期視野での最適化で組織にいる皆このことに価値を感じています』
この経験から、彼はPure Softwareを売却し、Netflixを立ち上げたとき、原動力となる二つの学びを得ています。一つ目は社員の自由がイノベーションを生むということ、二つ目はプロセスが柔軟性を殺すというものです。
Netflixは、社員に膨大な量の自由を与えて、イノベーションとアジリティが生まれる組織にしたいと、彼は取り組み始めたのです。
能力密度を高め、率直なフィードバックを増やす「Netflix実験」
しかし、社員に自由を与えるとはいえ、会社が大きくなるうえで何かしらのコントロール・メカニズムは必要となります。コントロール・メカニズムを導入しなければ、会社はカオスの先端に立つどころか混乱や崩壊に向かうことでしょう。
そこで、彼は「Netflix実験」とも呼ぶべき施策を導入することにしました。
①まずは社員の「能力密度」を高める
Netflix実験はとてもシンプルなものです。ほとんどの会社では、ポリシーやプロセスの存在理由は平凡な社員のためのものであり、そもそもトップ層にいる社員は管理される必要がありません。
そこで、「もしNetflixの組織をハイパフォーマーしかいない構成にできたらどうだろう」と考えました。ハイパフォーマーだけの組織にすれば、彼らに膨大な自由を与えられると考えたのです。
このNetflix実験を進めるにあたり、無名で資金力がないNetflixは、ハイパフォーマー人材をどう集めていくかも課題でした。そこで彼が試したのは、「ロックスターの原則」というコンセプトです。
この原則は、同じ教育を受けた、同じレベルの専門性を持つソフトウェア・エンジニアやクリエイティブな仕事をする人間10名にあるタスクを与えた場合、トップの1名は平均的な人材よりも10倍から25倍の成果を出すことが実証された一連の研究成果です。
つまり、平均的な能力のソフトウェアエンジニア10名を雇った場合と、同じ予算で再優秀な人材を1名雇った場合、得られる成果は同じという意味になります。
彼は、ロックスターの原則がNetflixのクリエイティブな仕事にも当てはまると確信し、全ての予算を集約して雇用条件の待遇を良くして、採用人数を絞りながら最高の人材を惹きつけようと考えました。そうすれば、「能力密度」を高められると考えたのです。この能力密度は、Netflixの生み出した言葉です。
②次に「率直なフィードバック」をおこなう
また、能力密度を高めて優秀な人材が集まったとしても、与えられた自由を悪用される可能性は残ると考えたリードは、社員同士が正直で率直なフィードバックを言い合える組織文化を構築する必要があると考えました。
率直なフィードバックができれば、ジムが勝手にファーストクラスに乗ろうとしても、他の社員が「ジム、そのお金の使い方は良くないんじゃないか」と諭すだろうと考えたのです。
能力密度が高まり、率直なフィードバック量を増やす。この二つがそろったうえで、社員に前例のないほどの自由を与えられるのがNetflix実験です。
ジレンマ③「平凡な仕事をしている勤勉な社員を手放すか?」
Netflix実験を掘り下げるために、三つ目の物議を醸すジレンマを出題します。
あなたは今も、8名のマーケティング・スペシャリストのチームを管理するマーケティング・マネージャーです。
1年前にこのチームを立ち上げたとき、ハイパフォーマーのみで構成するチームにすべく力を注いでいました。予算を集約し、少人数に高給を支払い、何か月も採用ポジションを空けた状態で、適任者を採用するまで耐えました。そして、最高の人材を見つけた後は、フィードバックやコーチングに心血を注ぎました。
1年後、8名のうち7名は最高レベルの人材であることがわかりましたが、残りの1名フリッツだけは能力が平均的であることに気が付きます。
フリッツは決して駄目な社員ではありません。しかし、「普通」レベルの人材です。彼はとても善人で、何事にも全力で取り組みます。しかし、1年間のコーチングとフィードバックを続けた結果、あなたの期待するハイパフォーマーにはなれないと確信しています。
このとき、あなたはフリッツを解雇しますか?それともチームに残しますか?
選択肢B :「解雇する」
またしてもジレンマが発生していますね。実は、リードがNetflixを立ち上げたとき、Aを選択した皆さんと同じ考えでした。
リードはパフォーマンスの高い労働環境を作ることが目標でしたが、一方で優秀な社員のみで構成されたチームで働いた経験がありませんでした。現実的には、普通レベルの社員と、優秀な社員が混在するのが一般的と思っていたようです。
リードは1997年に会社を設立した後、最優秀な人材を探すために、あらゆる手段を講じます。駄目な社員がいれば、もちろんすぐに彼らを解雇しましたが、善人であまり成果は出さない(フリッツのような)社員は雇い続けたのです。
その後、2001年には社員数120名となり、業績も向上していきました。しかし、同年秋に金融危機が発生します。そして、残念ながら、リードは社員の3分の1を解雇するか、会社そのものを閉鎖する選択を迫られます。
彼は人事部に相談し、リストにある社員名に目を通し、少しでも感じの悪い者やチームプレイの下手な社員はもちろんのこと、フリッツのような努力家の善人で成果が出せない人材も解雇すると決断します。社員に解雇を告げる日、人々は叫び、泣き、ドアを叩きつけひどい有様でした。
しかし、3か月ほどで驚くべき変化が起こります。残った社員は80名にも関わらず、120名の頃よりも明らかに多くの業績を出すことに成功したのです。
加えて、オフィスの雰囲気が劇的に改善しました。まるで、組織が自分の仕事を愛して夢中になっている人たちのみで構成されているような感覚でした。
リードはこの経験から、『本物のトップパフォーマー層、最優秀層の社員にとっての素晴らしい職場とは、豪華なオフィスや美味しいランチがあることではない。素晴らしい職場とは、素晴らしい同僚に囲まれている』という教訓を得ました。
素晴らしい社員だけが働く環境になれば、彼らはお互いから学び、切磋琢磨し、パフォーマンスが上昇スパイラルに入ります。パフォーマンスは伝染することに気付いたのです。
個人のパフォーマンスはチーム全体に伝染する
パフォーマンスが伝染することを発見したのは、リードが初めてではありません。ここで、私の同僚であるウィリアム・フェルプス教授の研究事例をご紹介します。
フェルプスは、MBA学生を4名ずつ研究室に招き入れ、彼らに課題を与え、その出来栄えによって金銭報酬を与えるという実験を試みました。
この研究では、参加者には知らされない形でニックという役者をグループに紛れ込ませており、彼は特定の好ましくない行動を意図的にするよう指示されています。
たとえば、つまらなさそうな態度をとったり、椅子の背にもたれかかってガールフレンドにメッセージを送ったり、不愉快な態度をとるよう指示されていました。
研究の結果、ニックがいたチームは、成績が50%ほど低いものとなりました。グループ4名のうち3名がMBA生がクラス内で最上位であった場合でも、同様の結果です。ここで、フェルプス教授のコメントをご紹介します。
『大変驚かされたのは、チームメンバーたちが役者の態度に対してからかうような態度をとることでした。研究のビデオを見てみると、役者が嫌なヤツなときは周りも嫌なヤツになるのです。彼らが侮辱的になったり、無愛想になったり、不愉快な態度をとり始めるのです。また、役者に対しての直接的な振る舞いだけでなく、他の普通の人たちにも同じような態度をとっていた点も興味深いです。つまり、波及効果のようなものが起きていたのだと分かります』
MBAの学生3名とニックが部屋に一緒に入る際は、彼らは非常に興奮しており、本気で賞金を手にいれようとやる気に満ちあふれていることが伝わってきます。
しかし、ニックが憂鬱な悲観論者を演じて、勝てると思っていない態度を取り元気も無いと、毎分ごとにMBA学生たちの元気がなくなっていきます。そして、25分ほど経つ頃には、MBAの学生が頭ごと机につけて「一体いつになったら終われるの?」と発言したのです。
先ほど、フリッツをどうすべきか質問をしたとき、多くの人は「個人のパフォーマンスの問題は、個人に関する問題である」と考えていたかもしれません。しかし、多くの研究から「個人のパフォーマンスの問題は、チーや組織全体に悪影響を起こす構造的な問題であること」が分かっています。
残念なことに、チームのパフォーマンスを予測する最善の方法は、ベストパフォーマーや平均的なパフォーマーを基準とせず、最もパフォーマンスの悪いメンバーを基準とした場合です。言い換えれば、低いパフォーマンスは特に伝染しやすいということになります。
4. Netflixが取り入れている「キーパーテスト」
高いレベルのパフォーマンスと、能力密度を重視する環境をどうしても実現したいと考えたリードは、「キーパーテスト」と呼ばれる非常に刺激的な手法を取り入れることにしました。
このキーパーテストでは、全てのマネージャーが半年~1年に一度、自分自身にこう問いかけます。
『もしスタンレーが今日出社して、私に会社を辞めると伝えてきたとしたらどう感じますか?もしあなたの社員の一人が会社を辞めると言ったら、あなたは絶望しますか?ああ、やめてくれスタンレー、お願いだから私を置いて行かないでくれと引き留めますか?』
スタンレーが辞めないために何でもする覚悟があるならば、スタンレーは適任の人材です。
一方で、辞めると聞いてほっとしたり、「ああ、よかった。これでやっと私の時間と体力をするべきことに割り当てられるし、トップパフォーマーに向けて集中できる」などと思うのであれば、答えは一目瞭然です。
特定の社員が辞めると聞いたときに、空いたポジションに誰を割り当てようか考えて楽しくなったり、安心したりするならば、その社員は当該ポジションにふさわしい人物ではないという明確なサインなのです。
ジレンマ④「同僚に率直なフィードバックをするか?」
あなたは今も8名のマーケティングのスペシャリストからなるマーケティングチームに所属していますが、そのチームのマネージャーではなく、マーケティング・スペシャリストの一人となりました。
ある日、同僚と一緒に顧客との会議に参加しました。その同僚は、組織の中ではあなたより少し年上ですが上司ではなく、まだ相手のことを深く知りません。
顧客との会議の際、同僚は強い圧をかけながら、大きな声で話をしました。顧客は大人しい人で、同僚の圧力に押されて後ずさりしているようにも見え、顧客関係に悪影響だと感じます。
ここで質問です。会議が終わった後、あなたは同僚にフィードバックをおこないますか?
選択肢Aを選んだ方は、彼がフィードバックを受け入れる姿勢があり、それを正しく受け止めてくれれば、それは彼のためになると考えます。フィードバックは顧客のためになり、チームのためにもなる。さらに、自分のためにもなる。そのため私はフィードバックをする方法を見つけます。
選択肢Bや選択肢Cを選んだ方は、そもそもフィードバックについて彼から求められてはいないので、彼がフィードバックを求めているか分からないと答えるかと思います。また、「私は彼の上司ではないため様子見をしたい」「ちょうど良いタイミングが来たらフィードバックする」と答える方もいることでしょう。皆さんの回答はいかがでしょうか?
アメリカやフランスでこのジレンマを出した際、Aと回答した方が100%になったことがありました。
しかし、続けて「同僚たちはあなたにフィードバックすると思いますか」と尋ねたところ、なんと参加者たちは「彼らはフィードバックをしないだろう」と答えました。よく考えると、自分がフィードバックをもらっていないことに気付いたんですね。
人間は「直接的なフィードバックが有用だ」と知っている
このケーススタディから分かるように、正直で率直なフィードバックをおこなう際、私たちは自分の脳の中にジレンマを抱えています。そのジレンマは、前頭葉と扁桃体によるものです。
- 前頭葉:脳で最もロジカルな部分であり、直接的なフィードバックが大好き。直接的なフィードバックをより受けたいと求めている。
- 扁桃体:脳の中で最も原始的な部分であり、大樹の陰に寄ることを非常に重視する。
前頭葉に従えば、他社からのフィードバックが直接的であるほど、より良いパフォーマンスを発揮することが可能です。反対に、他人に直接フィードバックを与えることで、彼らもまたパフォーマンスが向上すると考えます。
問題は扁桃体です。扁桃体は脳の中で最も原始的な部分で、もしあなたがフィードバックをおこなえば、私の扁桃体ではサイレンが鳴り響くことになります。
扁桃体がサイレンを鳴らすと、私の体は自動的に戦闘または逃避モードに突入します。戦うモードであれば、「そんなことない。私に問題はない。むしろ問題はあなただ」と言い返し、逃避モードであれば、「ありがとうございます。そのようなフィードバックをいただけることに感謝します。そしてあなたとは二度と話さないようにします」と、関係性をシャットダウンしてしまうでしょう。
人間は論理的には、直接的なフィードバックが有用であるとわかっています。しかし、偏桃体によって、非常に危険であることも知っています。
率直なフィードバックの価値をあなたのチームで生かしたいのであれば、扁桃体を落ち着かせることが重要です。
Netflixが実践する360度ライブフィードバックディナー
このようなことから、私は、会議のアジェンダにフィードバックを追加する方法をお勧めします。顧客との打ち合わせの後に、お互いに相手がどう改善すればより良くなるかを話し合う「振り返り会議」を設定してみるのです。振り返り会議をおこなえば、以前よりも確実に率直なフィードバックを得られるようになるはずです。
フィードバック会議を設定する際は、事前に社員に通達し、二人組に分けて、相手がどうすればより良くなるか率直なフィードバックを伝え合います。意図的にフィードバックが起きる場を整えることで、参加者は率直で正直なフィードバックがしやすくなります。
Netflixでは、360度ライブフィードバックディナーという制度を導入しています。このディナーでは、年に一度チームで集まり、食事をしながら、互いにフィードバックをおこないます。
私は、この取り組みを初めて聞いたとき、「自分の弱点や落ち度を全体に晒す意味があるの」「他者がいない場で言ってもらえないの」と疑問に思いました。
しかし後に、360度ライブがとても面白い仕組みであると気付きます。なぜなら一人からフィードバックを受けるとき、それが私のために言っているのか、相手の都合なのかがわからないからです。
360度ライブでは、周りがどのような視点を持ち、それぞれの成長余地がどこにあり、何をするとより良くなるかが見えるようになるのです。ここで、Netflixのある社員のコメントをご紹介します。
「公然でズタズタにされるのはまるで拷問です。360度ライブフィードバックに参加するたびに緊張します。でも、始まってみると、みんなが見ているからこれは大丈夫、と感じるようになります。参加者はあなたに成功して欲しいという一心で、寛容になり協力的な態度でいるよう気を配っているのです。誰もあなたを陥れようとしていないし、攻撃しようとも思っていない。全員がそれなりに厳しいアドバイスを受け止めます。集中的に狙われるわけでもありません。あなたの番のときには他者のコメントを聞くのは辛いかもしれませんが、あなたの人生において最も成長を促す機会であると考えられます」
5. 「自由」とは「責任感」に向かうための道である
皆さん、これでようやくチーム・組織全体の能力密度を高めることに成功できました。
Netflixのメソッドを機能させるには、最初に苦手なことを実行に移す必要があります。苦手なことを乗り越えることで、能力密度と率直さが浸透し、社員により多くの自由を与えることができます。
Netflixには存在しないコントロール・メカニズム
たとえば、Netflixには休暇のポリシーがなく、存在するのは「適切に取れ」という指示のみです。経費や旅費に関するポリシーもなく、「会社の最善の選択とすること」だけあります。
ポリシーに従ったり承認を得る必要はなく、各社員が自身で判断をしています。これを私は自由のシンボルと呼んでいます。
これらは項目としては最重要なものではありませんが、シンボルには役割があります。社員を信頼していることを会社が示すとき、これを見せることで、「会社は大人として行動するであろう君たちを信頼している」というメッセージを提示します。
このメッセージが社員の責任感に火をつけて、より大人として行動するようになるのです。つまり、責任を得るために自由を与えるのです。
また、Netflixには重要業績評価指標がありません。目標管理や成果報酬も存在しません。目標管理や成果報酬は、社員にある程度の自由を与えつつ、彼らが意図する方向に進んでいるかを見張る機能です。
もし社員全員がハイパフォーマーで、日ごろから率直なフィードバックが行き交っているのなら、これらは必要ありません。
そして最後に、Netflixがこれほどまでに革新的で柔軟であることができた一番の理由は、Netflixでは意思決定の承認や、承認プロセスが存在しないことにあります。
社員は上司の承認を得ることなく、必要であれば自身のプロジェクトに何千ドルでも使うことができるのです。
「ピラミッド型」から「ツリー型」の組織へ
Netflixでは2つのメッセージが通達されています。
- 上司を喜ばせようとせず、会社にとって最善となることを追求せよ
- コントロールではなくコンテクストで牽引せよ
多くの企業では、意思決定モデルはピラミッドの形をしています。ピラミッドの頂点に会長がいて、下に一般社員がいる構造です。社員は、重要でない小さな決断はできますが、高額な稟議などはピラミッドの上部に承認を得なければなりません。
しかし、いくつかの成長企業では、ピラミッド型ではなくツリー型で運営されています。ツリー型では、CEOや会長は頂点ではなく木の根っこと共に土の中にいます。彼らは決断や社員への指示をおこなわず、会社の方向性を示します。
シニア管理職層は木の太い枝の箇所や幹の部分にいて、担当部署向けにコンテキストを設定します。さらに低い管理職層は細い枝や葉っぱに位置し、ときには数百万ドルの決断を下すこともあります。彼らは承認を求めず、それまでに設定されたコンテキストを念頭に決断します。
ツリー型組織について、3つのポイントをお伝えします。
- 日本の優秀な社員はツリー型の環境を望んでいる
- ツリー型組織は柔軟性が高く環境の変化に適応しやすい
- ツリー型組織は急成長、急拡大が可能である
一つ目は、日本市場にいる若く、最高なパフォーマンスを発揮する人材は、ツリー型の環境で働くことを臨んでいるということです。つまり、ツリー型を実現できれば、才能ある若手を採用できるようになります。
次に、ツリー型組織はピラミッド型よりもずっと柔軟性があるため、コロナのような想定外の環境変化が起きても容易に方向転換が可能です。ピラミッド型は変化が遅くなります。
三つ目に、ツリー型組織はピラミッド型組織よりもずっと早く成長、拡大が可能です。最後にリードの言葉を紹介して、締めくくりたいと思います。
『社員に自身の人生や仕事に関して自由を与えるにつれ、あることを悟りました。過去に私が思っていたのと違い、自由とは、責任感の反対語ではないのです。むしろ、自由とは責任感に向かうための道なのです。
社員を大人として扱えば、大人として振る舞うようになる。社員に大きな決断をする権限を与えれば、社員はますます責任感を持ち、誠実に取り組む。責任感を育てるには自由を与える必要があるということです』
6. 質疑応答
Q1 Netflixのような組織文化の原則は、どのような会社・組織に当てはまるのか?
Netflixはクリエイティブ産業であり、個人に自由を与える取り組みが合うことはよく理解できます。
しかし、同社の取り組みは革新的である一方で、他の会社では災いをもたらすかもしれません。Netflixの組織文化の原則は、どういうタイプの会社やチームにうまく当てはまるのでしょうか?
皆さんの所属する組織において、イノベーションがエラー防止よりも重要なのか、それともエラー防止がイノベーションよりも重要かについて自問してみてください。
たとえば、あなたが製造工場や鉱山を経営していて、エラーを起こすと命を落とす危険があるような、安全性が最重要とされる産業に従事しているのならば、今日お伝えした取り組みは実施してはいけません。一歩間違えたら大惨事になるような領域は、工業時代の教訓をしっかり守り、組織を運営していってください。
しかし、どの会社にもイノベーションが求められる領域があるはずです。あなたがその会社の一員で、「エラーは防ぎたいのは当然ですが、イノベーションの方が重要だ」と感じているのであれば、Netflixの原則に取り組む価値はあるでしょう。
80年代から90年代にかけての日本経済の繁栄は、自動車産業のようなエラー防止やプロセス構築によってもたらされました。しかし今では、自動車産業は電気自動車の開発に取り組まなければならなくなりました。
この変化のように、日本でもイノベーションの必要性を強く感じる場面は多くなっているため、Netflixの原則を正しく理解することは重要なのでしょう。
まだ組織全体の文化ができあがっていない会社のチームに対しては、この原則は適用できるのでしょうか?
小さな組織においても適用可能とお答えします。
会社全体がピラミッド型からツリー型に変わるには、会長などトップのメンバーがこの考えに深く理解を示す必要があります。
実用レベルで考えると、どのチームリーダーも、イノベーションを起こしたいのであれば、このメソッドのいくつかを取り入れて機能させられるはずです。
組織文化を「家」にたとえて考えてみましょう。家の構造には、基礎構造があり、外壁があり、外壁はペンキで塗られています。家の中にいるマネージャーはそれぞれ自分の部屋を持っていますが、マネージャー達は家の基礎構造の範囲内で活動しなければなりません。
もしあなたの家全体に全社員に対する休暇規定があれば、どの部屋にいたとしてもその休暇規定に従わなければなりません。
とはいえ、まだ自由は与えられています。各部屋でドアを取り外したり、新しい色の壁紙を貼ったりすることは可能です。
つまり、各マネージャーが「小さな部分からよりイノベーションを起こしたい」と考え、能力密度や率直さ、自由の原則を取り入れていくことはできるはずです。
Q2 大企業がNetflixの原則に取り組み始めたい場合、具体的にどういった手段があるのか?
スタートアップ企業であれば少しずつ取り組めるかもしれません。しかし、既に自社の制度をある程度構築している大企業がNetflixの原則に取り組みたい場合、何から始めればいいのでしょうか?
「私たちはピラミッド型だけど、ツリー型になるには何から手を付ければ良いですか?」という質問は、今まで一番聞かれた質問です。当然ですが、明日の朝目覚めたらピラミッド型の組織が「今日から私たちはツリー型になりました」と、急に変化するわけではありません。
もし皆さんは本気でチームや組織をツリー型にしたいと思うのなら、能力密度を高めるために今すぐできることは何かを考えてみてください。フリッツをクビにする覚悟はまだないかもしれませんが、三つの採用枠を変更して、予算を集約し、一人の優秀な人材を雇う方針に変更できるかもしれません。
どんな取り組みでも構わないので、能力密度を高めるためにできることを探し、そこから一歩ずつ踏み込むのです。
チームで率直なフィードバックを増やすために今日からできることはありませんか?
360度フィードバックディナーを実施するにはまだ早いかもしれません。
ですが、「私は上司として、チームメンバーからフィードバックをもらうように呼びかけます。専用の会議を設定し、どうすればもっと良いリーダーになれるか取り組みます。」と話して取り組むのはどうでしょうか?
そしてフィードバックをもらったら、それが率直なものであればあるほど、フィードバックを伝えてもらえたことがいかに嬉しいかを話してください。率直なフィードバックを増やすための機会に着手し、能力密度と率直さを一段階ずつ上げることに成功したら、社員に一段階分の自由を与えていってください。
以前、ある人に「エリン、あなたの話したことのほとんどは私にはできません。しかし、社員に今よりも決定権を与えることならできると思いました。明日彼らに対して、もう私の承認を得ずに意志決定して良いと伝えます」と言われたことがあります。
彼のように、自分の組織でできることの中から一つずつ自由に近づける。そして、一歩進んだらそれを繰り返せば良いのです。
そうすれば、半年ないし1年経つ頃には、能力密度や率直さ、自由度が高まり、ピラミッド型の組織はツリー型へと劇的な変化を遂げていることでしょう。
Q3 率直なフィードバックは、日本文化でも通用するのか?
私は13歳までアメリカで育ち、日本に来て、授業中に手を挙げたらみんなに驚かれた経験があります。自分自身をストレートに表現しない日本文化において、率直なフィードバックは通用するのでしょうか?
日本文化でも、率直なフィードバックは通用します。
Netflixのアジアヘッドクォーターは日本にあるので、私は何度もNetflix東京でインタビューをおこなった経験があります。
当初は、カリフォルニアと同じ手法で日本メンバーにフィードバックのトレーニングをおこないましたが、日本人は自発的に率直なフィードバックをおこなうことはなく、非常に攻撃的な職場環境が生まれてしまいました。多くの社員の扁桃体が、良くない意味でサイレンを鳴らしていたのです。
また、日本だけでなく、ブラジルのサンパウロやシンガポール、その他の国のオフィスでもフィードバック文化がうまく構築できなかった経験があります。
Netflixは各国の失敗から学び、それぞれの文化に適切な方法でアプローチをおこなうよう思考錯誤し、結果的に日本では360度フィードバックディナーが一番効果を発揮しました。
360度フィードバックディナーは、実施方法と流れを理解して心の準備ができるので、日本人には取り組みやすかったようです。
日本人の360度フィードバックディナーは、アメリカ人よりも良い成果を出せていると感じましたし、意外と自国の文化とは異なる形でも人々は行動できるのだと学びました。
360フィードバックディナーが日本で通用するのは間違いなく賛成です。
「空気読めない」をわざと実施するのを参加者が理解することで、それぞれが覚悟できるからこそ前向きな気持ちで学べるのだと思います。私も自分の会社に戻ったら、早速360度フィードバックディナーにチャレンジしたいと思います。
それでは最後に、エリンさんからのコメント、皆さんへのメッセージをお願いします。
本日はありがとうございました。Netflixは特殊な事例かもしれませんが、皆さんが自身の会社で、皆さんなりの方法で通用するようなアイデアを持ち帰っていただけると嬉しいです。
次回は、オンラインではなく直接お伺いできたら嬉しいです。浅枝さんも素晴らしい質問をありがとうございました。