従業員を1人でも雇用している場合は、年に1度労働保険の更新手続きをしなければなりません。
年に1度の手続きではありますが、ミスや記入漏れがあると追徴金が発生する恐れもあります。
労働保険の更新とは何なのか、実際の手続き方法や注意点を解説します。
社会保険の更新・改定マニュアル完全解説版
年度更新や定時決定、随時改定と、労務担当者は給与の改定と並行して、年間業務として保険料の更新に関わる業務を行う必要があります。
一方でこのような手続きは、実際に従業員の給与から控除する社会保険料の金額にダイレクトに紐づくため、書類の記入内容や提出はミスなく確実に処理しなければなりません。しかし、書類の記入欄は項目が多く複雑で、さらに申請書や届出にはそれぞれ期限があり、提出が遅れた場合にはペナルティが課せられるケースもあります。
当サイトでは社会保険の手続きをミスなく確実に完了させたい方に向け、「各種保険料の更新・改定業務のマニュアル」を無料配布しております。
ガイドブックでは、年度更新の申請書から定時決定における算定基礎届、随時改定時の月額変更届、さらには賞与を支給した場合の支払報告書の書き方から、記入例、提出方法までまでを網羅的にわかりやすくまとめているため、「社会保険の更新・改定業務のマニュアルがほしい」という方は、こちらから資料をダウンロードしてご覧ください。
1. 労働保険は更新が必要
従業員を雇用する際は労働保険に加入しなければなりません。
労働保険は年に1度の更新が義務付けられており、毎年保険料率の見直しが必要です。
1-1. そもそも労働保険とは?雇用保険との違い
そもそも、労働保険とは労災保険と雇用保険を指します。
労災保険は事業の種類によって保険料率が変動しますが、一般的に危険度が高い職業ほど保険料率が高くなっていきます。
また、労災保険は全額事業主が負担します。
一方で雇用保険は事業者と被保険者である労働者が負担します。
負担する割合は事業の種類ごとに違います。
関連記事:労働保険とは|労災保険と雇用保険の制度概要と仕組み・加入手続きを詳しく解説
1-2. 労働保険の年度更新とは
労働保険の年度更新とは、賃金によって労働保険料が変動することによって、労働保険を毎年更新することです。
労働保険料は各従業員の賃金によって変動するため、毎年年末に保険料を確定したあとに清算手続きをおこないます。
労働保険の毎年の手続きは義務であり、従業員を雇用している限りは労働保険に加入しなければなりません。
そのため、すべての事業主が労働保険の定期的な更新手続きをする必要があります。
1-3. 年度更新の期間とタイミング
労働保険の更新は、4月1日から3月31日までを一定期間として毎年更新します。
労働保険の更新手続きのタイミングは決められていて、毎年6月1日から7月10日の間でおこなわなければなりません。
この期間は決められているので、手続きが遅れないように余裕を持って行動する必要があります。
1-4. 手続きが遅れるとどうなる?
7月10日までに手続きを完了させなかった場合は、政府が労働保険料を計算したうえで、追徴金とあわせて請求されます。。
通常の労働保険料にプラスして10%の追徴金が請求されるので注意してください。
この場合、概算保険料に対しては追徴金は請求されません。
従業員にも影響を及ぼしかねないので、手続きが遅れないように対応しましょう。
2. 労働保険の更新手続き方法
労働保険の実際の更新手続きの方法を解説します。
上記で紹介したとおり更新手続きの期間は毎年定められているので、ギリギリになったり遅れたりすることのないように注意しましょう。
2-1. 申告書類を入手する
まずは手続きに必要な書類を入手します。
自ら取得しに行く必要はなく、毎年5月になると各都道府県から事務所に申告書類が送付されます。
送付書類の内容は、一般拠出金申告書、確定保険料・一般拠出金算定基礎賃金集計表、保険料率表です。
さらに、申告書の書き方を指南してくれる資料も送付されるので、手続きが初めての場合でもスムーズに書類を作成できます。
2-2. 賃金集計表を作成する
書類が届いたら、最初に賃金集計表を作成します。
賃金集計表がなければその後の書類の記入ができないので早めに取りかかりましょう。
賃金集計表は書類作成のために必要な書類ですが、提出する義務はありません。
自身で表を作成する方法もありますが、厚生労働省のホームページから年度更新申告書計算支援ツールをダウンロードすれば簡単に表を作成できます。
必要事項を埋めていくだけで良いため、先にこちらをダウンロードしておくことをおすすめします。厚生労働省の以下のリンクからダウンロードすることができます。
参考:年度更新申告書計算支援ツール(継続事業用)| 厚生労働省
2-3. 申告書を記入する
賃金集計表の結果を参考に申告書を記載していきます。
労災保険、雇用保険のそれぞれに情報を記入する必要があります。
申告書は、上段に前年度の基礎賃金額、確定保険料を記入してください。
下段には今年度の見込み賃金額、概算の保険料を記入します。
さらに、期別納付額の欄には集計結果として根気の保険料額を記入します。
記入例は厚生労働省のホームページで公開されているので、以下のリンクからご確認ください。
参考:令和4年度事業主の皆様へ(継続事業用)労働保険年度更新申告書の書き方|厚生労働省
2-4. 申告書を提出する
申告書を作成したら、社会保険・労働保険追徴事務センターに提出します。
基本的には下記で解説するとおり、申告書の提出と同時に保険料を納付しなければなりません。
2-5. 保険料を納付する
申告書の提出と同時に保険料を納付するのが一般的です。
各金融機関と、都道府県の労働局、労働基準監督署、社会保険・労働保険追徴事務センターでは書類の提出と同時に納付ができます。
金融機関、労働局、労働基準監督署では申告書の提出だけは認められないので注意が必要です。
保険料は一般的には一括での納付が求められます。
しかし、概算の保険料が40万円を超える場合は分割での納付が認められます。
分割納付は3回までです。
3. 労働保険を更新するときの注意点
労働保険を更新する際の注意点を解説します。
各従業員の賃金の計算に間違いがあると正しい保険料を計算できないので注意が必要です。
また、近年高齢者に対する保険料の義務が変更されたので更新を忘れないようにしましょう。
3-1. 労働保険料の算出に用いる賃金に注意する
労働保険料を算出する際には従業員の賃金の情報が必要です。
賃金には基本の給与や手当、賞与、その他の労働に対してのすべての報酬も含まなければなりません。
ただし、役員報酬や災害見舞金、傷病手当、出張旅費、宿泊費は賃金には含みません。
どの賃金、手当を賃金総額に含めるのかを正しく理解していなければ、計算結果にミスが生じるため、注意しましょう。
また、給与は支払った日ではなく締め日を基準に計算します。
例えば、5月末が締め日で6月に賃金が支払われる場合は、5月分の賃金として計算します。
3-2. 2020年4月から65歳以上の従業員も納付義務がある
以前は雇用保険は65歳以上の従業員には適用されず、2020年までは雇用保険料の支払いは免除の扱いである一方、雇用保険の対象でした。
しかし、2020年4月からは65歳以上の従業員の免除期間が終了しています。
65歳以下の従業員と同じく雇用保険料を納付しなければならず、毎年の更新も必須です。
労働保険の更新の際は65歳以上の高齢者の更新手続きも忘れないようにしましょう。
このように、法改正などによって社会保険の対象者は変わることがあります。社会保険料は条件にあてはまった場合、納付義務があるものなので、法律によって定められた対象者を正しく把握することが重要です。
当サイトでは、最新の法律の内容に沿った社会保険の対象者や手続きの手順を解説した資料を無料でお配りしています。特に2022年10月から社会保険の対象者について変更がありますので、不安な方はこちらから「社会保険手続きの教科書」をダウンロードして、ご確認ください。
3-3. 年度更新は電子申請ができる
労働保険の年度更新は電子申請でも可能です。
電子申請を選べば提出のために各窓口へ出向く必要がなく、時間がなくても、近くに窓口がなくてもスムーズに手続きをおこなうことができます。
電子申請をおこなう場合は電子証明書とICカードリーダライタが必要なのであらかじめ準備が必要です。
e-Govと呼ばれる電子政府の総合窓口から電子申請をおこなうことはできますが、事前にGビズIDの取得が必要な場合もあります。
e-Gov電子申請アプリケーションをパソコンにインストールし、所定の申告書に必要事項を記入していきます。
電子証明書を添付し、申告書を送信します。
その後インターネットから保険料を電子納付して更新手続きは終了です。
4. 労働保険の年度更新を正しく理解しよう
労働保険の年度更新を解説しました。
従業員を雇用しているすべての事業者は、毎年定められた期間に従業員の労働保険の更新手続きをおこなわなければなりません。
一定期間を超過すると追徴金が課せられてしまうので、毎年忘れないように手続きをおこない、適切な保険料を納付しましょう。
保険料の算出には正しく賃金総額を算出する必要もあります。賃金総額の算出方法に注意して計算しましょう。
また、2020年からは65歳以上の高齢者も雇用保険の納付対象になっています。
他にも毎年ルールが変更される可能性があるので、申告書類が届いたら同時に基本のルールも確認する習慣をつけましょう。
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