「働き方改革」という言葉は、既にほとんどの方が一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
しかしその一方で、実際に何をすれば良いのか分からないという方や、働き方改革によって日々の業務の何が変わるのか疑問に感じている方も多くいらっしゃるかと思います。
そこで今回は、「働き方改革」について、実際にどのようなことに取り組めば良いのかということから、関連する法律や実際に働き方改革に取り組んでいる企業の事例について解説します。
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働き方改革やコロナ禍の影響で、多くの企業でテレワーク・リモートワークが当たり前のように行われるようになりました。しかし「テレワークやリモートワークだと、メンバーのはたらき方が見えない…」といった管理職の声を聞く人事担当者は非常に多いのではないでしょうか。
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目次
1.そもそも働き方改革とは
働き方改革とは、日本政府が掲げる「一億総活躍社会」の実現に向け、国民一人ひとりが働き方を柔軟に選べるよう、労働環境を見直す取り組みのことを指します。
1-1.働き方改革の背景
ではなぜ働き方改革は推進されるようになったのでしょうか?
背景としては、以下のことが考えられます。
1-1-1.労働人口の減少
働き方改革が推進されている背景の1つ目として、労働力となる生産年齢人口(15歳以上65歳未満)が、他の国と比較して急速に減少しているという現状があります。
総務省が発表した、国立社会保障・人口問題研究所の将来推計によると、総人口は、現在の1億2512万人から、2030年には1億1,662万人、2060年には8,674万人にまで減少、生産年齢人口は、現在の7,413万6千人から、2030年には6,773万人、2060年には4,418万人まで減少すると見込まれています。(参照:総務省|平成29年度版 情報通信白書「我が国の人口の推移」)
こうした問題を改善するため、働きたい全ての人が働ける社会づくりとして、政府は働き方改革を進めることになりました。
1-1-2.労働生産性の低さ
2つ目の背景として、日本の労働生産性が低いという問題があります。
日本の労働生産性を世界と比較してみると、「時間当たりの労働生産性」ではOECD加盟37か国中21位(先進7か国中最下位)、「一人当たりの労働生産性」は26位、「製造業の労働生産性では16位となっており、他の先進国に比べて全体的に低い水準といえます。
労働人口が減少している日本において、労働生産性の改善はまさに急務といえるでしょう。
2.働き方改革で企業が取り組むべき4つの課題
では、企業はどのように働き方改革に取り組めば良いのでしょうか?
考えられる課題として、以下の4つが挙げられます。
2-1.長時間労働の解消
1つ目に挙げられるのは長時間労働の改善です。
日本人の労働時間は国際的に見ても長い傾向にあり、近年では過労死も問題となっています。その他にも年次有給休暇取得率の低さなど、見直す必要がある問題はまだまだ残っています。
2-2.雇用形態による格差の是正
厚生労働省が昨年に発表した資料にある以下の表の通り、非正規雇用者は年々増加しており、2020年時点では労働者全体のうちのおよそ37%が非正規雇用者となっています。
また、非正規雇用労働者は正規雇用労働者に比べて賃金が低いという問題があります。こうした雇用形態による格差を無くしていくことも企業の課題といえるでしょう。
2-3.柔軟な働き方がしやすい環境整備
新型コロナウイルスの感染拡大によって、多くの人の働き方が変化しました。
それによってリモートワークなどといった柔軟な働き方が社会に広まりました。
こういった多様な働き方に対応することで多くの人が働きやすい環境を作ることができるでしょう。
2-4.ダイバーシティの推進
障害を持った人や高齢者など、様々な人材を受け入れることで、より多くの就労意欲を持った人が働くことのできる社会への貢献になります。
実際に、内閣府が発表したデータによると、70歳以上まで働きたいと考えている人はおよそ8割となっています。
3.働き方改革に関連する法律
働き方改革に際して、政府は2019年4月から働き方改革関連法を順次施行しています。
そしてそのポイントとして挙げられているものが以下の3つです。
- 年次有給休暇の時季指定
- 時間外労働の上限規制
- 同一労働同一賃金
それぞれについて詳しく解説します。
3-1.年次有給休暇の時季指定
年次有給休暇とは、
①半年間継続して勤務している
②全労働日の8割以上を出勤している
という2つの条件を満たしていれば取得できる、法律で定められた労働者に与えられた権利のことを指します。
労働基準法の改正により、使用者は法定の年次有給休暇付与日数が10日以上の全ての労働者に対して年に5日、年次有給休暇を確実に取得させることが必要になりました。
厚生労働省によると法改正のポイントは以下の2点です。
・対象者は、法定の年次有給休暇付与日数が10日以上の全ての労働者(管理監督者を含む)に限ります。
・労働者ごとに、年次有給休暇を付与した日(基準日)から1年以内に5日について、使用者は「労働者自らの請求」、「計画年休」及び「使用者による時季指定」のいずれかの方法で年次有給休暇を取得させる必要があります。
また、年次有給休暇については以下の記事にて詳しく解説しています。
3-2.時間外労働の上限制限
法改正前は、法律上は時間外労働の上限が設けられていませんでしたが、法改正によって上限規制を設けられることになりました。
この改正によって、残業時間の上限は、原則として月45時間・年360時間となり、臨時的な特別の事情がない場合にはこれを超えてはいけなくなりました。
また、臨時的な特別の事情があり労使が合意する場合でも以下の時間を超えて残業をすることはできないとされています。
3-3.同一労働同一賃金
同一労働同一賃金とは、正社員と非正規雇用労働者との間にある不合理な待遇差を禁止するための規定です。この規定によって以下の3つのことを整備するとされています。
3-3-1.不合理な待遇差を無くすための規定の整備
同一企業内において、正社員と非正規雇用労働者との間で、基本給や賞与などのあらゆる待遇について、不合理な待遇差を設けることが禁止されます。
具体的には以下の通りです。
また、派遣労働者については、
- 派遣先の労働者との均等・均衡待遇
- 一定の要件を満たす労使協定による待遇
のいずれかを確保することが義務化されています。
3-3-2.労働者に対する待遇に関する説明義務の強化
非正規雇用労働者は、「正社員との待遇差の内容や理由」など、自身の待遇について事業主に説明を求めることができるようになりました。
また、事業主は非正規雇用労働者から待遇に関する説明が求められた場合に説明をすることが必要になります。
3-3-3.行政による事業主への助言・指導等や裁判外紛争解決手続き(行政ADR)の規定の整備
都道府県労働局において、無料・非公開の紛争解決手続きがおこなえるようになりました。
これに加え、「均衡待遇」や「待遇差の内容・理由に関する説明」についても行政ADRの対象となりました。
4.働き方改革に取り組んでいる企業例
働き方改革に対して、実際にどのように取り組めば良いのでしょうか。
ここでは実際に働き方改革に取り組んでいる企業の事例を紹介します。
4-1.花王株式会社
・フレックスタイム制のコアタイム廃止
「夜型の長時間残業の抑制」と「より柔軟で多様な働き方の実現のため。2015年7月から午前7時から午後8時までをフレキシブルタイムとし、コアタイムを廃止。
・時間単位の休暇取得制度の新設
年次有給休暇のうち5日間と子の看護休暇・家族の介護休暇を1時間単位で取得できる制度を設けたことで、育児や介護などの私事都合と両立できる柔軟な勤務時間設定が可能に。
花王株式会社では、ワークライフバランスを、「仕事と生活の調和」の観点だけでなく、「効果・効率的な仕事のしかたの実現」「社員の健康増進」といったことを含め、フレキシビリティとメリハリを両立する生産性の高い働き方の実現を目的とし、働き方改革に取り組んでいます。
詳しくはこちら→https://work-holiday.mhlw.go.jp/detail/04224.pdf
4-2.ヤマキ株式会社
・在宅勤務のガイドライン作成・インフラ整備
可能な範囲で在宅勤務を推奨すべく、ガイドラインの作成や、ノートPC・モバイルルーター、スマートフォンの支給拡充をおこない、在宅でも仕事ができる環境の整備を実施。
・正社員登用
期間契約社員・無期契約社員が一定の条件を満たし、正社員転換を希望した場合、試験等の実施によって正社員への転換が可能になる制度。
ヤマキ株式会社は、全国の拠点を在宅勤務の対象とし、週3~4日の在宅勤務を推奨、各部署の在宅率7割を目安に在宅勤務への転換を進めています。
また、一定の条件を満たし、試験等を受けることによって正社員への転換が可能となるなど、ユニークな働き方改革に取り組んでいるといえるでしょう。
詳しくはこちら→https://work-holiday.mhlw.go.jp/detail/04434.pdf
4-3.株式会社富山富士通
・所定労働時間の削減
毎週水・金曜日に「定時退社日」を設定し、館内放送をおこなうことで定時退社を促進する他、時間外や休日に業務をおこなう場合、事前に「残業申請」をおこなわなければパソコンの使用を制限する残業申請システムを導入。
・年次有給休暇の取得促進
労働時間委員会によって取得目標日数を設定するほか、誕生月に年次有給休暇を優先的に取得するバースデー休暇も含め、3か月ごとの休暇取得計画を個人別に立てるなどして有給休暇の取得を促進。
株式会社富山富士通は「多様で柔軟な働き方」「長時間労働を前提としない働き方」による生産性の向上を目的として掲げ、2017年度から「働き方改革」に対して本格的に取り組んでいます。
上にあげた取り組みのほかにも、多様な働き方に向けての制度も拡充しており、2019年9月時点でテレワークの実施者率は83%となっています。
詳しくはこちら→https://work-holiday.mhlw.go.jp/detail/04419.pdf
5.まとめ
いかがでしたでしょうか。
働き方改革に取り組むことによって、従業員の労働生産性が上がることになり、最終的には企業の成長にもつながります。
まずは可能な範囲から働き方改革に取り組んでみてはいかがでしょうか。
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