働き方改革や価値観の多様化によって、リモートワークなど、さまざまな働き方が導入されるようになってきました。働き方が多様化しているなか、会社は従業員と良好な関係性を築くことが求められます。会社と従業員が良好な関係を築くうえで役立つのはワークエンゲージメントです。
今回は、ワークエンゲージメントについて、メリットや高める方法について解説します。
目次
人材不足が課題の昨今、職場定着率の低さ・若年層の早期退職は深刻な問題です。
このようなケースに該当する企業において、考えられる要因のひとつに従業員満足度の低さがあげられます。
この解決方法として、職場改善を目的とした従業員のモチベーション管理の仕組みを積極的に取り入れる企業が増えており、従業員満足度の調査ツールが注目を集めています。
当サイトでは、「モチベーション管理において、まず何から始めていいのかわからない」「具体的にどのような分析・活用をすべきなのか知りたい」という人事担当者の方に向けて「従業員満足度調査のハンドブック」を無料配布しています。
ツールの選び方から調査方法、結果の活用方法までわかりやすく解説していますので、従業員のモチベーション向上や社内制度の改善を図りたい方はこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
1. ワークエンゲージメントとは?
ワークエンゲージメントとは、従業員のメンタル面の充足度合いを示す考え方です。具体的には熱意や活力、没頭という3つが満たされている状態を指します。熱意、活力、没頭とは次のような状態です。
- 熱意:業務にやりがいを感じていて積極的に取り組める状態
- 活力:業務に対してのエネルギーが満ちていて、メンタル面での回復力があり、仕事への努力を惜しまない状態
- 没頭:業務に取り組んでいる際に幸福感を感じられる状態
これら3つの状態が満たされていることで、業務の効率化などが期待できます。
1-1. ワークエンゲージメントが注目される背景
ワークエンゲージメントが注目される背景として挙げられるのが、働き方の多様化や生産年齢人口の減少です。
2018年に厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を発表するなど、副業が促進される状況になっているうえに、転職市場の活発化、テレワークの導入などにより、従業員と会社が従来のような継続的な関係性を築きづらくなっています。[注1]
このような状況に加えて、生産年齢人口の減少がワークエンゲージメントのニーズを高めています。生産年齢人口とは15歳以上65歳未満という生産活動の中心にいる人口のことです。
生産年齢人口は1995年にピークを迎えてから減少傾向にあり、2020年には7,406万人になりました。生産年齢人口は今後も減少が予想されていて、2070年には4,535万人になる予想されています。[注2]
生産年齢人口が減少しているうえに、働き方が多様化していることで、会社はワークエンゲージメントで従業員の状況を把握して、人材の流出を防ぐことが求められます。
[注1]副業・兼業|厚生労働省
[注2]令和6年版高齢社会白書|内閣府
1-2. ワークエンゲージメントと従業員エンゲージメントの違い
ワークエンゲージメントに似た言葉として、従業員エンゲージメントがあります。従業員エンゲージメントとは、従業員が会社に対して感じている愛着や信頼などのことです。
一方のワークエンゲージメントは、仕事に対する熱意やモチベーションなどを意味します。それぞれ異なる意味をもつ言葉ですが、ワークエンゲージメントが高まれば、従業員エンゲージメントも高まる可能性があるため、両者は関連しているといえるでしょう。
1-3. ワークエンゲージメントとワーカホリック・バーンアウトなどの違い
ワークエンゲージメントのように、仕事に対する従業員のメンタルヘルスを表わす言葉として、ワーカホリックとバーンアウトがあります。
ワーカホリックとは?
ワーカホリックは仕事に対する活動水準は高いものの、仕事に対してはネガティブな意識を持っている状態です。ワークエンゲージメントが高ければ、楽しみながら自発的に仕事をするのに対して、ワーカホリックの状態は「この仕事をしなければ」という観念に駆られて仕事をする状態です。
バーンアウトとは?
バーンアウトとは、ワークエンゲージメントの反対にある概念です。バーンアウトは献身的に仕事に取り組んだにもかかわらず、結果や成果がともなわず不満感・疲労感からやる気をなくしてしまう状態です。燃え尽き症候群の名前でも知られています。
リラックス(職務満足感)とは?
リラックス(職務満足感)という言葉もあります。この状態は仕事に対してポジティブな心理を指します。ワークエンゲージメントと異なるのは、リラックスは活動水準は低いのに対して、ワークエンゲージメントは活動水準は高いのが特徴です。
2. ワークエンゲージメントを高めるメリット
ワークエンゲージメントを高めるメリットとして以下が挙げられます。
- 離職率の低下
- 生産性の向上
- 他の従業員の満足度向上
- コミットメントの向上
- 顧客満足度の向上
- メンタルヘルスの安定
それぞれのメリットの詳細は以下の通りです。
2-1. 離職率の低下
ワークエンゲージメントが高い従業員は、離職率が低い傾向にあります。そのため、ワークエンゲージメントを高めれば、人材の流出防止につながるでしょう。離職率が低下すれば採用にかけるコストも低下するうえに、長期的な人材育成に取り組めます。
2-2. 生産性の向上
ワークエンゲージメントが高い従業員は離職率が低いだけでなく、生産性が高いのが特徴です。ワークエンゲージメントが高いと積極的に新しい知識の習得やスキルアップに取り組んでくれます。従業員がより活躍してくれるようになり、組織全体の生産性が向上するでしょう。
2-3. 他の従業員の満足度向上
ワークエンゲージメントが高まることで、従業員同士によるコミュニケーションの活性化が期待できます。ワークエンゲージメントが高い従業員の影響を受けることで、他の従業員も業務への参加姿勢に変化が生まれ、満足度の向上につながる可能性があります。
2-4. コミットメントの向上
ワークエンゲージメントが高まることで、コミットメントの向上も期待できます。コミットメントとは、自分の仕事に責任をもち、主体的に関わろうとする姿勢のことです。コミットメントが向上すれば、仕事への貢献度が高まり、組織全体が活性化するでしょう。
2-5. 顧客満足度の向上
ワークエンゲージメントが高く、業務に対して熱意をもって取り組む状態は、顧客から見ても頼りがいのある姿でしょう。またワークエンゲージメントが高い従業員は顧客に対して、積極的にポジティブな提案ができるという点も顧客満足度の向上につながります。
2-6. メンタルヘルスが安定する
ワークエンゲージメントが高い従業員は仕事におけるストレスが少なく、メンタルヘルスが安定している傾向にあります。そのため、仕事において、高いパフォーマンスを発揮することが期待されます。
3. ワークエンゲージメントを高めるための2つの要素
ワークエンゲージメントを高めるには、仕事の資源、個人の資源という2つの要因に着目する必要があります。仕事の資源、個人の資源どちらもワークエンゲージメントを高めるうえでは重要なポイントです。
3-1. 仕事の資源
仕事の資源とは過度な業務量や労働時間を削減して、働きやすい環境を整えることでワークエンゲージメントが高まる要因のことです。具体的には、1on1のミーティングで業務量を把握しておく、ITツール導入による業務の効率化などが挙げられます。
3-2. 個人の資源
仕事の資源に対して個人の資源とは、従業員のストレスやモチベーションといった、従業員一人ひとりの内面の要因を指します。具体的には、業務の成果に対してポジティブなフィードバックをおこなう、ネガティブなフィードバックをおこなう場合は成功のためのサポートを心がけるなどが挙げられます。
とはいえ、そもそも現状の従業員のワークエンゲージメントが高いのか、低いのわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。そのような方に向けて当サイトで「従業員満足度のハンドブック」という資料を無料配布しております。現状の従業員満足度の調べ方(調査方法)や調査の手順、また調査する際のツールの選び方まで網羅的に解説しており、これ一つで従業員調査を完結できます。興味のある方はこちらから無料でダウンロードしてご覧ください。
4. ワークエンゲージメントを高めるための具体的な方法
ワークエンゲージメントを高めるためには、職場環境を改善したり、評価制度を見直したりすることが重要です。ここでは、ワークエンゲージメントを高める方法について詳しく解説します。
4-1. 職場環境を改善する
職場環境を改善することは、ワークエンゲージメントを高める方法のひとつです。仕事に対して熱意をもっていたとしても、働きにくい職場環境ではワークエンゲージメントは低下してしまいます。
効率よく働けるような設備やシステムを導入する、人間関係が悪い場合はコミュニケーションを促進するなど、職場環境を改善することでワークエンゲージメントの向上を図りましょう。
4-2. 自己効力感を高める
自己効力感を高めることもワークエンゲージメントの向上につながります。自己効力感とは、仕事で成果を出しているという自信や、自分自身の能力に対する信頼などのことです。
褒める文化をつくったり、スキルアップの機会を与えたりすることで、自己効力感の向上につながるでしょう。
4-3. 評価制度を見直す
ワークエンゲージメントを高めるためには、評価制度を見直すことも大切です。とくに従業員が評価に対する不満を感じている場合は、早めに改善する必要があります。
客観的な評価ができる制度を構築したり、不公平感のない評価基準を取り入れたりすることで、従業員が評価に対して納得できるように改善しましょう。
5. ワークエンゲージメントの高さを測定する方法
ワークエンゲージメントの高さは、以下のような方法で測定できます。
5-1. UWES(Utrecht Work Engagement Scales)
UWESは、熱意・活力・没頭という3つの尺度に関する質問を通して、ワークエンゲージメントを測る方法です。安定してワークエンゲージメントを測定できる方法として人気があり、さまざまな場面で実施されています。
基本的には17個の質問に答えることが必要ですが、日本人労働者向けの日本版UWESでは、9個の質問に答えることでワークエンゲージメントを測定できます。
5-2. MBI-GS(Maslach Burnout Inventory-General Survey)
MBI-GSは、バーンアウトを測定する方法です。バーンアウトはワークエンゲージメントと反対の概念であり、仕事に対する不満などから熱意を失ってしまうことを意味します。
MBI-GSにおいては、疲労感やシニシズム(冷笑的態度)、職務効力感といった項目の質問を通して、バーンアウトを測定します。バーンアウトの数値が高いほどワークエンゲージメントは低いため、何らかの対策が必要といえるでしょう。
5-3. OLBI(Oldenburg Burnout Inventory)
OLBIもバーンアウトの数値を測る方法のひとつです。OLBIにおいては、疲弊と離脱という2つの項目に関する質問を通して、バーンアウトを測定します。測定された数値が低いほど、ワークエンゲージメントは高いと判断できます。
6. ワークエンゲージメントを高めて人材の流出を防止しよう
今回は、ワークエンゲージメントの意味や高めるための方法などを紹介しました。ワークエンゲージメントとは従業員の熱意や活力、没頭が満ちているかを表わした数値です。ワークエンゲージメントが低下すると、モチベーションが低下したり、離職率が高まったりするため注意しなければなりません。
逆にワークエンゲージメントが高いことは、離職率の低下や生産性の向上、顧客満足度の向上につながります。ワークエンゲージメントを高める際は、仕事の資源、個人の資源という2つの要因に着目するのがポイントです。ワークエンゲージメントを高めて、人材流出の防止や長期的な人材の育成を実現して、働き手不足を解決しましょう。
人材不足が課題の昨今、職場定着率の低さ・若年層の早期退職は深刻な問題です。
このようなケースに該当する企業において、考えられる要因のひとつに従業員満足度の低さがあげられます。
この解決方法として、職場改善を目的とした従業員のモチベーション管理の仕組みを積極的に取り入れる企業が増えており、従業員満足度の調査ツールが注目を集めています。
当サイトでは、「モチベーション管理において、まず何から始めていいのかわからない」「具体的にどのような分析・活用をすべきなのか知りたい」という人事担当者の方に向けて「従業員満足度調査のハンドブック」を無料配布しています。
ツールの選び方から調査方法、結果の活用方法までわかりやすく解説していますので、従業員のモチベーション向上や社内制度の改善を図りたい方はこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。