女性活躍推進法とは?現状と課題、女性活躍を推進する企業事例をご紹介 |HR NOTE

女性活躍推進法とは?現状と課題、女性活躍を推進する企業事例をご紹介 |HR NOTE

女性活躍推進法とは?現状と課題、女性活躍を推進する企業事例をご紹介

女性活躍推進法は、2019年6月に改正法が公布され、これまで努力義務だった「101人以上、300人以下の労働者を抱える企業」についても、対応が求められるようになりました。

各企業で女性が活躍できる職場環境の整備が進んでいますが、まだすべての企業において「女性が働きやすい会社である」とは言いにくい現状があります。

今回は女性活躍推進法の基本的なポイント、女性活躍を推進するメリット、女性活躍を推進している企業の事例についてまとめました。

本記事を参考に、女性が活躍できる職場作りに取り組んでいただければ幸いです。

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1. 女性活躍推進法とは

2016年4月に施行された女性活躍推進法は、正式名称を「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」と言います。

「働きたい女性が活躍できる労働環境の整備を企業に義務付けることで、女性が働きやすい社会を実現すること」を目的として、10年間の時限立法として施行されました。

1-1. 「女性活躍」に注目が集まる背景

日本における女性の就業率は、現在7割近くまで上昇しています。

しかし、その内訳をみると非正規社員が約6割を占めているなど、課題が多いのも事実です。

少子高齢化により労働人口が減少していく日本において、事業を拡大・成長させたい企業にとって「人材確保」が深刻な課題となっているため、女性が活躍できる環境を整えることが求められるようになっています。

1-2. 女性活躍推進法で規定される具体的な取り組み内容

女性活躍推進法は、対象企業に対して、女性活躍の推進に向けた具体的な取り組みを要求しています。

企業に求められる取り組み

ステップ1:
「自社の女性活躍に関する状況を把握して、課題を分析する」

ステップ2:
「分析結果をもとに行動計画を策定。行動計画の社内周知と外部への公表をおこなう」

ステップ3:
「行動計画を労働局に届け出る」

また、厚生労働省は、行動計画を作成する企業に向けて「作成支援ツール」や「各種マニュアル」を準備しています。

1-3. 政府の女性活躍推進に対する取り組み

さらに、女性活躍推進法に準ずる形で、厚生労働省は「女性の活躍推進企業データベース」および「えるぼし認定」を運営しています。

「女性の活躍推進企業データベース」

「女性の活躍推進企業データベース」とは、掲載企業における女性活躍の状況が一元的に集約されたデータベースです。

採用者の男女比、競争倍率、女性管理者の割合、行動計画などが掲載されており、誰でも参照することができます。

自社の女性活躍に関する状況や行動計画が掲載されることで、女性求職者などに自社の勤務環境を周知することができます。

現在、データを公表している企業数は1万件を超えています。

「えるぼし認定」

「えるぼし認定」とは、女性活躍推進法に基づく認定制度です。

行動計画を策定して届け出た企業で、推進状況が一定の基準を満たす企業を厚生労働大臣が認定する制度です。

認定されると、認定マークを名刺や自社商品などに使用でき、広く活動をPRできます。

つまり、「えるぼし認定」を受けた場合、「女性が働きやすい企業」として社会的に評価されるようになり、企業価値を高めることができるのです。

えるぼしの認定は、基準を満たす項目数によって「一つ星」から「三つ星」の三段階に分かれています。

「えるぼし認定」基準の概要
  • 採用における競争倍率が男女同程度である
  • 平均勤続年数や継続勤務者の割合が男女間で同程度である
  • 時間外労働や休日労働時間の平均が45h/月以下である
  • 管理職の女性割合が産業ごとの平均値以上である
  • 3年以内に女性を非正規社員から正規社員に転換した実績等がある

2. 女性活躍推進の現状と課題

女性活躍推進法の施行により、女性の労働環境の改善に取り組む企業は増加しています。

しかし、実際に満足できる環境が整ったと感じている女性はまだ少数です。

ここからは、「今後どのような取り組みが必要なのか?」現状と課題について見ていきます。

2-1. 女性活躍を阻む「3つの課題」

女性活躍を阻む課題として、以下の3つが挙げられます。

①男性中心の企業風土

日本企業の多くは、「残業する人が評価される」「性別を基準に役割分担される」など、男性中心の考え方が色濃く残っています。

女性であることを理由に昇進・昇格の対象から外れるなど、男性と比較して管理職になるチャンスが少ないと言われています。

②育児とキャリアアップを両立させる環境の不備

女性には「出産」「育児」といったキャリアを中断させる要因があります。

管理職になるためにはプライベートを犠牲にしなくてはならないなど、女性社員がキャリアアップを諦める要因になっています。

③ 女性管理職のロールモデルの不在

日本の女性管理職は、2015年調査で12.5%です。

これは、米国(43.6%)、イギリス(35.4%)、フランス(31.7%)、フィリピン(46.6%)と比較すると、非常に低くなっています。

女性管理職のロールモデルがいないことは、女性社員が自分のキャリアプランを考える際にネガティブに働き、仮に昇進のチャンスがあった際の不安要因となります。

2-2. 企業で女性活躍を推進するメリット

しかし、以上のような課題を改善して、女性が活躍できる職場環境を整えることは、企業にとって次のようなメリットがあります。

①優秀な人材を確保することができる

大学卒業者の男女比は50:50であり、学力に差はほとんどありません。

社員や管理職の比率が男性に偏っている企業は、優秀な女性を十分活用できていない企業と言えます。女性も男性と同じように活躍できる環境を提供することで、企業の競争力は高まります。

また、そのような多様性が尊重された企業は男性にとっても魅力的なはずなので、必然的に優秀な人材が集まりやすい企業と言えるでしょう。

②業務の改善が期待できる

女性が活躍できる環境整備を進めると、「残業の抑制」「テレワークの推進」「業務の定形化」など、「業務の棚卸し」や「フローの見直し」が必要となります。

見直しの過程で無駄な業務や業務の効率化を進めることができるため、コスト削減にもつながります。

③ 企業イメージを高めることができる

「えるぼし認定」を受けると、自社の商品やサービスに「えるぼし」マークを使用することができます。

社内外に女性の活躍推進を積極的に進めている企業であることを知ってもらうことができ、企業イメージのアップにつながります。

3.女性の活躍を推進している企業の事例

ここからは、実際に女性の活躍を推進している企業をご紹介したいと思います。(参考:中小企業における女性活躍推進の取組のための好事例集及び改善取組事例集|厚生労働省

イー・バレイ株式会社(常用労働者数:102名)

イー・バレイ株式会社は愛知県で2000年に設立した技術支援企業で、これまで「女性社員比率の低さ(2割)」、「女性管理職がいない」、「女性の離職率が男性の3倍」などの問題を抱えていました。

そこで、管理部の女性社員を中心に「女性の採用比率を30%以上にする」「女性管理職を1人以上にする」などの数値目標を設定して、取り組みを進めました。

結果として、女性社員は2年間で3名増加、管理職(課長級)は1名登用を実現しています。

また、「えるぼし認定」を受けたことで、取引先からも反響があったり、就職説明会で他社に差をつけることができるなど、多くのメリットがありました。

ミタニ建設工業株式会社(常用労働者数:155名)

ミタニ建設工業株式会社は、高知県にある建設系の企業です。

人材採用が男女ともに厳しい中で、「女性が気持ちよく働ける環境が整っていなければ人が集まらない」という問題意識から女性活躍の取組みを開始しました。

まず、「女性社員への職場環境アンケート」を実施した結果、建設現場に女性専用の更衣室やトイレが無いなどの課題が見つかりました。

課題を解決するため、女性専用トイレと更衣室を完備した「トイレカー」を導入し、女性技術者の採用を意識したパンフレットなども作成しました。

また、社長自ら「会社として女性を積極的に採用していく」メッセージを社員に伝え、社内の意識改革に取り組みました。

結果として求人の応募が増え、女性採用に結びつくなどのメリットがありました。

4.女性活躍の推進を考える上でのポイント

ここまで女性活躍推進法や、女性活躍の現状や課題、そして女性活躍を推進している企業の事例について見てきました。

最後に、女性が活躍できる環境を推進するために、覚えておかなければならない3つのポイントについてご紹介します。

4-1. 女性のライフイベントを考慮した社内制度を作る

女性がキャリアプランを考える場合、妊娠・出産などのライフイベントを考慮する必要があります。

会社が、社員のライフプランを考慮した柔軟なキャリアプランを一緒に考える環境を提供することで、女性は安心して就業することができます。

4-2. 女性が能力を発揮できる職場環境を作る

女性が活躍できる環境を整えるには、マネジメント層の意識を変えていく必要があります。

社員研修や社員の意見交流会を開催して、女性活躍が必要となる理由や必要な環境についての意見を集約していく機会を積極的に提供することが必要です。

また、在宅勤務や時短勤務など、制度面でのバックアップを併せておこなうことで、ソフト面・ハード面の両方から女性が活躍しやすい環境を整えてあげることが必要です。

4-3. 出産・育児後も安心して働ける環境づくり

出産退職の経済損失は1.2兆円とも言われています。(参照:出産退職の経済損失1.2兆円|第一生命経済研究所

女性は結婚・出産・育児など、働き方の選択が迫られる機会が多く、働き方を柔軟に選択できる職場環境が求められます。

ライフイベントごとに時短勤務や在宅勤務を積極的に活用できる柔軟な勤務条件を整えることは、本意ではない退職を予防する効果があり、企業の競争力の強化につながります。

5.まとめ

女性活躍を推進するためには様々な準備が必要となりますが、その分、社員・企業双方に大きなメリットがあります。

ぜひ今回ご紹介させて頂いた内容を参考にして、取り組みをスタートしてみてください。

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