ホワイトアワード受賞企業が実施した「ホワイト化」に向けた施策とは?|「ブラック企業」と思われないための組織作りの方法

人手不足が続く昨今、企業の人事担当者や経営者として「世間からブラック企業と思われたくない」「ホワイト企業と認知されるためにはどうしたら良いのだろう」と思うケースは非常に多いのではないでしょうか。

企業イメージが採用成功・組織活性化に大きな影響を及ぼすケースは多く、「従業員が企業を選ぶ時代」が訪れる中で、改めて自社の組織のあり方について考える必要を感じる機会が増えているように思います。

今回、HR NOTEでは一般財団法人日本次世代企業普及機構(通称、ホワイト財団)と共催セミナーを企画。「そもそもブラック企業やホワイト企業とは何か」「各企業がホワイト企業と認知されるために実践していること」など、ブラック企業と思われないための組織作りの方法について学ぶ機会を設けさせていただきました。

  •  ブラック企業と思われたくない、ホワイト企業として認知されたい
  •  ホワイト企業になるために各社が実践している実際の取り組み事例が知りたい
  •  企業イメージを良くして、採用成功や組織活性化につなげたい

といった人事担当者や経営者の皆様は、ぜひ参考にしていただければと思います。

※本記事は、2022年2月15日(火)13:00~14:30に実施されたイベント内容をもとに再編成したものです。

登壇者紹介

今田基也|一般財団法人日本次世代企業普及機構(通称、ホワイト財団)

東証一部上場の広告・就職情報会社に就職し約12年間一貫して大手・中小企業の新卒・中途採用支援にプレイングマネージャーとして従事。企画営業コンサルタントとして年間成績優秀賞(2回)、MVPを獲得しこれまで延べ800社以上の人事戦略、採用課題に寄り添う。2020年12月より一般財団法人日本次世代企業普及機構の理事に就任。これまでの媒体社の経験を活かし、人事労務コンサルティングのプロフェッショナルとして「家族に入社を勧めたい次世代に残していきたい企業」を目指すアドバイスを提供している。

小澤 美佳|株式会社ニット

2008年に株式会社リクルートへ入社。10年間、HR一筋。中途採用領域の代理店営業、営業マネージャーを経て、リクナビ副編集長として数多くの大学で、キャリア・就職支援の講演を実施。採用、評価、育成、組織風土醸成など幅広くHR業務に従事。2018年、中米ベリーズへ移住し、現地で観光業の会社を起業。2019年、ニットに入社し、営業・人事を経験後、広報部署の立ち上げ。2021年はホワイト企業アワードをはじめ、テレワーク先駆者百選の総務大臣賞など数々の受賞を実現。1年半でメディア露出数715件にのぼる。Twitter(@mica823)のフォロワー数は29000人。HRや広報ノウハウを発信中!

眞木 麻美|株式会社ラフール

新卒で広告代理店経験後、2012年にリクルートグループの人材領域カンパニーに入社。営業、キャリアアドバイザーの他、業務企画や新規事業開発など幅広く経験。特に社内における業績悪化時の業務設計や従業員ケアなどで多くの部署を経験。2019年10月に株式会社ラフールにジョイン。インサイドセールスチームの立ち上げに従事。現在は事業管理/プロモーショングループのマネージャーに従事しながら、各社の組織改善のアドバイザーとして活動。

目次

LT1. ホワイト財団理事/株式会社ソビアCOO今田さん

はじめまして。ホワイト財団理事と株式会社ソビアCOO務めております、今田です。

我々ホワイト財団では、ホワイト企業を「家族に入社を勧めたい会社」「次世代に残していきたい会社」と定義しています。

本日は、そのような我々の定義をベースに、ブラック企業と思われないための注意点についてお話いたします。

1-1 「ホワイト企業」に必要な7つの指標

ホワイト財団では、企業のホワイト化に向けて取り組むべき70設問を7つの項目に分け、ホワイト企業に必要な7つの指標(基準)として設けています(画像左下に7項目を記載)。

各個人の価値観によって会社環境への良し悪しは異なりますので、当然「ブラック企業」「ホワイト企業」の定義も人によって異なります。

しかし、その中でも最低限守るべきとして挙げているのは「労働法尊守」に関する項目です。

労働基準法では「残業が月45時間は超えてはいけない」と制定されていますが、実際に我々がお会いした企業様の中には守れていない企業も多く、中には、月何時間の残業があると違法なのか知らないケースもありました。

また、最近では、「人材育成/働きがい」の項目も注目されています。

企業として「1on1などの施策も機能させながら評価制度を正しく運用できているか」「従業員に対してアンケートを定期的に実施しているか」といった細かい内容も、ホワイト企業化に向けた指標として重要になり始めています。

ホワイト企業に必要な7つの指標については、弊社ホームページに詳しい情報を掲載しておりますので、ぜひ参考にしていただければと思います(※詳しくはこちら)。

1-2 ホワイト企業認定された企業の取り組み事例

それでは、ここからホワイト財団が実施している「ホワイト企業アワード」において、ホワイト企業化に向けた素晴らしい取り組みをされている受賞企業の皆様の取り組み事例の一部をご紹介します。

【働きがい部門受賞】株式会社マケレボ

【働きがい部門受賞】ニット株式会社

【ダイバーシティ&インクルージョン部門受賞】株式会社auフィナンシャルサービス

マケレボさんの働き方改革への取り組みや、本日登壇されているニットさんの社会課題解決に向けた取り組みは、結果として「従業員」「お客様」など多数のステークホルダーから多くの支持を受けています。

ニットさんは、半年に一度幸福度調査を実施されるなど、従業員の状況を定点観測できていることも素晴らしいですね。

また、auフィナンシャルサービスさんは、社内のLGBTQ当事者の方たちに登壇いただく研修を実施されていたり、障害のある方の雇用を積極的にされていたりと、様々なバックグラウンドを持つ方が働くことのできる環境づくりを強化されています。

1-3 ブラック企業と思われないために社外に発信すべき内容

このように、さまざまな企業がホワイト企業化に向けて取り組み始めていますが、全ての企業がすぐに同じ形でスタートできるわけではないと思います。

なので、ホワイト企業化に向けたファーストステップとして、まずは「企業理念」「人・文化」「事業内容」「働き方・環境」の4項目における自社の武器を整理し、象徴となる制度を社外にアピールすることから始めることをおすすめします。また、その際に、「将来性」「独自性」「社会性」の3項目から、自社の強みを同時にアピールされると非常に良いかと思います。

具体的には、ホワイト企業認定に限らず、厚生労働省・経済産業省・地方自治体などが出している認定制度に対して、取得できるものを積極的に取得するように動いていくと良いでしょう。

表彰式で受賞されることを目指して取り組むことで、結果的にメディアに取り上げられ、社外の方に「良い取り組みをしている企業だな」と認知される場合がほとんどです。

企業として、このような取り組みがを推進できる社内体制や制度面の整備について、しっかりと考えていくことが大事だと思います。

LT2.株式会社ニット小澤さん

はじめまして。株式会社ニットの小澤です。

株式会社ニットでは、「労働力の減少」と「働きたくても働けない」二者の社会問題解決に向けて、「HELP YOU」というバックオフィス系の作業をすべてオンラインで請け負う事業を進めています。

在籍メンバーの約8割以上は女性で、子育て世代のお母さんが多い組織となっています。また、日本全国、世界33か国から、400人のメンバーがリモートワークで稼働しています。

昨年は、ありがたいことに総務省のテレワーク先駆者百選の総務大臣賞を頂いたり、先ほど今田さんにご紹介いただいたようにホワイト企業アワードにて働きがい部門賞を受賞させて頂いたりしました。

今回は、そういった経験を踏まえながら、失敗しないリモートワークの進め方についてご紹介していきたいと思います。

2-1 フルリモート経営をおこなう中で大事にしていること 

ニットは「フルリモートでの経営」をおこなっているのですが、その中で大事にしている特徴が「業務」「組織風土醸成」のそれぞれにおいて3つずつ(計6つ)あります。まずは、その特徴ついてご紹介します。

フルリモート経営の特徴[業務編]

①顔が見えるチーム体制

ニットでは、リモートでもお互いの顔が見えるようなチーム体制を意識しています。特に、新人のメンバーがいる場合は「毎日5分は話す機会を作る」など、相談しやすい関係を構築することを心がけています。

②ワークシェアリング

また、1つの業務を1人で請け負うのではなく複数人で割り振る「ワークシェアリング」を進めています。

たとえば、メンバーのお子さんが熱が出てしまったなどで急に抜けることになった場合でも、他のメンバーに代わってもらうことで業務をスムーズに進められるようにしています。

③情報の蓄積、可視化、共有

そして、もし急な欠員が出たとしても、情報の蓄積・可視化・共有を徹底し、すぐに誰か他のメンバーが対応できるようにしています。

フルリモート経営の特徴[組織風土醸成編]

④キャリアアップ施策

組織風土としては、業務委託のメンバーであってもスキルアップをどんどんしてもらいたいと考えているので、社内の多様な人材を生かしたオンライン講座を多数開講しています。

➄オンラインコミュニティ開発

また、普段の業務に関わることからプライベートなことまで、計42個のオンラインコミュニティを作り運営しています。これにより、メンバー間のコミュニケーションが取りやすい体制を構築しています。

⑥オンラインイベント実施

最後に、ニットではオンラインイベントを2,3か月に一度くらいの頻度で実施しています。

プロジェクトのキックオフや忘年会といった時期的なものだけでなく、弊社はお母さん世代が多いため、夏休みにメンバーのお子さんを集めて職場体験や海外のお子さんと日本のお子さんとの異文化交流をするといったこともやっています。

2-2 フルリモートでの経営を進めた成果や影響

このようなフルリモートでの経営を進めた結果、創業以来、毎年売上高を更新し、4期連続増収を達成することができました。

また、お客様の定着率は97%メンバーの定着率は98%働き続けたいと考えるメンバーは93%といったように、顧客だけでなくメンバーの定着率も非常に高い結果となっています。

半年に一度実施している幸福度調査の結果では、すべての項目で全国平均以上の数値を取得し、特に、職場での幸せに関する数値が最も高い結果となっていました。

昨年度は、様々な賞を受賞することもできましたので、今後もニットとして社外への印象形成に向けた取り組みを進めていきたいと思います。

LT3.株式会社ラフール眞木さん

はじめまして。株式会社ラフールの眞木です。

株式会社ラフールでは、メンタルヘルス事業領域においてラフールサーベイの運営開発をメインに進めています。

本日は、「どのような取り組みをすることで従業員のパフォーマンスを高められるのか」「人事担当者がテクノロジーを通して組織の課題解決をおこなうためには何をすればよいか」といった点について、弊社を利用いただいているお客様の事例も交えながら、ブラック企業と思われないための注意点についてお話していきたいと思います。

3-1 従業員に信頼される組織になるためのポイントは「情報開示」

まず、経営陣が現場社員たちに包み隠さず情報開示をすることは、非常に意識すべきポイントです。

弊社では、経営陣が現時点での組織の状況や従業員への想い、経営状況について理解していることに加え、今後会社としてどのように組織課題に優先順位を付けて取り組むかまで発信しています。

このような発信を続けることで、従業員が経営者と同じ目線で今置かれてる状況をきちんと理解し、当事者意識をもって向き合ってくれることに繋がります。

また、「みんなにはこうしてほしい」という発信があることで、経営陣の示した会社としてのゴールに向けて自分たちがどのようにアクションしていくかまで意識でき、ホワイト企業化に向けて「会社が一方的に取り組む」のではなく、「従業員も一緒に取り組んでいく」といった土壌を作ることもできると考えています。

3-2 ホワイト企業化を推進する上でやるべき3つのこと

それでは、実際にホワイト企業化に向けて実践できることとして、弊社からは、ラフールサーベイを利用し、従業員ケアのための取り組みをされたお客様の実践例を、三つ挙げさせていただきます。

①「なぜやるのか」「なにをやるのか」明確化し、周知・ディスカッションする

会社が取り組んでいることに従業員が気づかないケースは、取り組み側が思ってる以上に多いです。

人事担当者が思ってる以上に伝わっていないことがほとんどなので、「なぜやるのか」「何をやるのか」を明確化し、きちんと周知・ディスカッションしてもらうことが非常に重要です。

②推進者を決定する

ホワイト企業化に向けて、絶対的に当事者意識を持ってる方を一人決定することが非常に重要です。

これは社内でも良いですし、ホワイト財団さんのような社外アドバイザーにサポートいただくことも非常に良いかと思います。

③成果をスコア化、社員に定期報告する

そして、成果をスコア化し、目標に対して進捗があるのか、それに対して何をやってるのか、進まない理由は何があるのか、といったことを可視化します。

これにより、ホワイト企業化に向けたPDCAを回すとともに、可視化されたデータを社員に定期的に報告することで、社員が取り組みを認知するきっかけを作ることができるでしょう。

3-3 ホワイト企業化への取り組みにおける「成功パターン」と「失敗パターン」

最後に、ホワイト企業化に向けて成功したパターンと失敗したパターンを紹介します。

成功パターン

  • 従業員に経営が現状を理解してることがきちんと伝えられている
  • 改善の打ち手やスケジュールが見えている
  • 定期的に本音を従業員の本音を聞き、開示している

失敗パターン

  • 経営が組織の課題を認識してないと思われている
  • 経営が見えたから受け止めている様子が伝わってこない
  • 対策の優先順位が不明確で、経営・人事の自己満足に見えてしまう

経営者が結果をきちんと受け止めることができていれば、現状のスコアが悪くても、ホワイト企業化に向けた動きは割とスムーズにいきます。対して、経営陣が組織課題に対して理解できていると思っていても、現場がそのように認識していなかったら意味はありません。

「現場が離職率に対して危惧しているにも関わらず、経営陣から提案される解決策に離職率が入っていない」といったことが起これば、経営陣や実施されたサーベイに対する従業員からの信頼が失われてしまいます。

また、現場の懸念点に対する解決策の発信を意識すると同時に、その課題に対するアクションを遅らせる場合は、「現場に誤った解釈を生み出さないようなアクションの優先順位を伝える」ことも大事です。

推進者の姿勢が前向きだと「やれることからやっていく」という傾向があるため、優先順位をあらかじめ伝えておかないと「自己満で楽しそうなことやってるけど、その取り組みって私たちのためになってる?」といった解釈の余地も生まれてしまいますので、注意が必要です。

パネルトーク/視聴者からのQ&A

ここからはパネルディスカッションの時間となります。

今回8つの質問の中から、視聴者の皆さんに今聞きたい質問を選んでいただき、そのテーマを掘り下げてディスカッションしていきたいと思います。

テーマ①「これは他社にも是非勧めたい!」実際にやってみて効果があった人事施策

視聴者の皆さんから1番投票が多かった「効果があった人事施策」からお話を伺いたいと思います。小澤さんからお願いできますか?

それでいうと、あまり特徴的な施策は無いんですよね(笑)。よく「人事施策なにやってるんですか」と質問もいただくのですが、突拍子もない施策や面白い福利厚生を会社側から用意している訳ではないです。

前提として「テレワークは多様性であるもの」と意識しているので、法律上の規定はもちろん守りますが、基本的に事業場外みなし労働時間制で進めており、基本的に従業員たちに任せるスタンスでやっています。

 

ただ、組織の風土醸成という観点において、オンラインコミュニティの形成はやってよかったなと思います。

やはり対面と比べてオンラインだと会話が減るので、従業員の孤立やコミュニケーションの齟齬など、テレワークによる弊害が生まれやすいと思います。

対面やっていコミュニケーションをオンライン「意図的に」作っいくことが、テレワークを成功させるための肝です。

会社内でのコミュニケーションは、会議時間などで発生する業務会話、会議時間ではないけれど「ちょっといいですか?」という風に始まる業務上の何気ない会話、雑談のだいたい三つしかありません。

この三つオンライン実現するための仕組み設計することが、とても大事だ思います

オンラインで「ちょっといいですか」といった何気ない会話や雑談を、どのように仕組みとして生み出していくのでしょうか?

雑談は正直作りやすいです。なぜかというと、「雑談しようね」という時間を作ってしまえばOKだからです(笑)。

弊社では、毎週金曜日に30分の雑談時間を設けていたり、1オンライン飲みを実施していたりソーシャルカフェいうンダムに選ばれた3で雑談をする時間が設けられていたりまた、毎週木曜日に実施している事業会議の最初10分間は今週あった感謝みんなシェアしようみたいことやっていたりもします。

対して、難しいは「ちょっとしたかけ」ですこれについて、弊社として意識しているポイントは、心理安全チャットの2点です。

上司から大丈夫?」や「元気?」など、「なんかあれ見たよ!」とか「これいいね!」といったように些細なことでも感情共有するようにしていたり、また、意図的にチャット上で会話量増やすことで、声をかけやすい空気を作っています。

ありがとうございます。では、次に眞木さんに勧めたい人事施策についてお伺いしたいと思います。

弊社では、健康経営推進してくれる女性方が、時間雑談+瞑想タイムを設けてくれています

その時間に「睡眠より上げるにはどうしたらいいか」「自律神経整えるため食生活」「どういう運動したらいいか」といった健康に関する豆知識の話があるのですが、これをきっかけに「ちょっと最近寝付き悪いんですよね」といった会話が生まれ、それが実は仕事の悩みに遠からず繋がってるといったことがありました。

社内でこういったきっかけとなる機会やネタを考えて準備することは大変ですが、何かしら社員の状況を感じられる時間を取ることは意識していますね。

他にも、弊社は結構変わった福利厚生が多く、めざましテレビさんとかに取り上げていただいたものだと「花粉症手当」というものがあります。

「花粉症手当」は、ネーミングがとてもいいですね(笑)。

経営からしたら「自分勝手やっとけよ」って思うかもしれないですが、こういった福利厚生を会社用意してくれてることを知ると、「ラフールさんって良い会社だな」と感じるポイントにはなりますね。

確かにそうですね。社内でサーベイを取られる中で項目著しく低かっけれど改善した」といった事例はありますでしょうか。

弊社は元々、アナログのメンタルヘルスの会社でしたが、途中でテックカンパニーにシフトチェンジした際のタイミングで、経営陣からのメッセージが大きく変わった時期がありました。

それに伴い、古参のメンバーへの新しいビジョンの浸透がうまくいかず、ビジョン・ミッションの浸透がサーベイのスコアとしても低くなってしまったことがあったのですが、代表ビジョン・ミッション改めて策定するためマネジャー研修を実施することで改善しました。

これサーベイをやっなかったらなかなか出てない課題だったと思いますし、実際にスコアとして課題が可視化されることで危機感を感じられたので、より前のめりに改善に向けた施策を打てたのかなと考えています。

ありがとうございます。

では次に、今田さんが今まで見てこられた他社さんの事例で、ご紹介いただいでもよろしいでしょうか。

仮想通貨取引サービスを運営しているコインチェックさんの事例についてご紹介できればと思います。

コインチェックさんの特徴としては、まず女性特有の体調不良や不妊治療に向けて、月に1日のケア休暇を取り入れる制度を実施されています。また、国でも問題視されている介護離職の対策として、年に5日は看護・介護理由での休暇を有給化されています。

このような安心して働くことのできる制度作りは、多くの企業で今後もっと取り組まれていくように感じていますね。

また、オールインワン型BtoBマーケティングツール「ferret One」の運営などをされているベーシックさんもご紹介できればと思います。

ここでも「エフ休」といって女性特有の不調や家族の不調に対して月に1日休暇が与えられる制度があったり、時間有給制度といって1時間単位で有給休暇を取れる制度がありますね。

また、育児・介護サポートの観点からは、育休復帰後でも役職をキープできる制度、社内のコミュニケーション強化を目的としたオンライン飲み会補助といった制度も設けられています。

ありがとうございます。

やはり、多様性が求められている世の中になっているので、そういった状況を受け止められる人事制度を設計することが重要であるように感じました。

テーマ②「これだけはやらない」と決めている組織作りのNG項目

今度は、ラフールの眞木さんからお願いします。

ホワイト企業化にむけて推進している側が社内向けに「うちは色々取り組みも進めているし、ホワイト企業だよね!」といったようなメッセージは発信しないようにしています。あくまでも、ホワイト企業かどうか判断するのは働いている従業員たちということを忘れてはいけないと思っています。

また、組織づくりをおこなう上では、マネージャー陣と人事のコミュニケーション密度を高めることを意識しています。

理由は2つあり、1つ目は現場メンバーの離職を抑えることです。ホワイト企業化に向けて、マネージャー陣の現場に対する指示やアクションがとても重要だと考えているからです。

たとえば、営業部門のマネージャーによく起こりやすいのが、営業の数字の達成にコミットするゆえについヒューマンマネジメントだったりとか、喋りやすい環境を作るといったことがおざなりになってしまいます。

そうならないために、人事とマネージャーが定期的にコミュニケーションをとり、状況に合わせて適切な対応を取りやすくなれば現場メンバーの離職を抑えることにつながります。

2つ目は、マネージャーの離職やエンゲージメントの低下を抑えることです。マネージャーはチームとして成果を出すことだけでなく、そのために環境を整えることも役割として求められています。

そういった状況に対して、「大変そう」「辛そう」と感じ、マネジャーになりたくないと感じている方も多くなりがちです。

業務に対してマネージャーが一人で苦しまずに成果を出せるよう、人事と経営陣が話しながら進めていくことが重要だと思っています。

マネージャー陣とのコミュニケーションの密度を高めるために、具体的にどんな施策をやられているんですか。

月に1回いわゆるパルスサーベイみたいなものを実施し、3ヶ月に1回ディープサーベイという深掘りするような分析をしています。

弊社では、そのディープサーベイを実施したタイミングがちょうどクォーターの区切りがあるタイミングになるので、そのタイミングで数字を見ながら話をしています。

ありがとうございます。次に、ニットの小澤さんお願いします。

ニットで大切にしていることは2つあります。1つ目は、我々がどのようなビジョンに向かっているのか示すこと、そして2つ目は、透明性を担保することです。

働く中で目の前の業務の大変さから、自身を俯瞰して見れなくなる経験があると思います。

しかし、目的が不明瞭になってしまうことで何か選択をするうえでの阻害要因になってしまうので、「どこに向かっているのか」という一番最大の会社の目的っていうのを全従業員がぶらさないよう、ビジョン・ミッションを浸透させるということをすごく大事にしています。

そして、上からトップダウンで物事を進めるのではなく、「組織の一員であるみんなで作っていこうよ」というボトムアップも重要視しています。

昨年の7月に企業理念やバリュー、ミッションを刷新したのですが、その際も全従業員の中の希望者を対象に理念浸透に向けた施策のアイデア出しをやってもらうようにしていました。

既に、そういった雰囲気を作られていることが、強みに感じますね。

これは多分、代表の思想がすごく重要かなとは思います。

弊社の代表は、何か課題が生まれたり、物事を遂行する上で「みんなはどう思う?」と言うタイプなのですが、そういったスタンスだからこそ、従業員の主体性が促されることに繋がっていると思います。

400人のメンバーがいると、ミッション・ビジョンに対して勝手な解釈が増えたり、そもそもミッション・ビジョンを語れないメンバーがいるなど、ミッション・ビジョンの浸透が薄まるといった課題が起こりやすいと思います。

400人のメンバーで、かつ業務委託の方々にまでしっかりと浸透させるために、具体的にどういった施策を打たれたのでしょうか。

大きな観点でいくと、採用逐一言い続けることの2つです。

弊社では、採用段階でフリーランスの方であっても面接を実施し、その中でスキル面はもちろん、ミッション・ビジョンの共感をかなり重要視しています。

そのため、どれだけ経験豊富でスキルがあろうと、「自分さえ稼げれば良い」といったスタンスの方はお断りさせていただいています。

また、逐一言い続けるということですが、プロジェクトのキックオフやちょっとした会議の全体メッセージで伝えたり、別でバリューについて考える会を実施したりしています。

インナーブランディングをメインに担当してる子が、逐一どういうことを施策としてやっているのか、それらをどう評価に組み込むのかといったことまでやっているので、目に触れる機会が圧倒的に多いとは思いますね。

ありがとうございます。

情報の透明化のお話がありましたが、リモートだと余計に情報が行き渡らないと思うのですが、マネージャーや経営者だけが持ってる情報を公開する場みたいなものがあったりするのでしょうか。

正直な話、社長しか持っていない情報はあまりないように思いますね。

「会社の財務状況についてまでフリーランスの人たちに言うべきか」といった部分はありますが、事業統括と呼んでいる社員、メインミッションとして会社を作る側の人たちには、毎月しっかりと情報公開しています。

オンラインだからこそ、あえてそうしている部分もあるかもしれないですね。

オフィス組に情報が集約されてしまい中央集権のようになってしまうのは、オフィスがあってのリモートワークだと起きやすいと思います。

弊社では、基本的に情報は解放して、全員に情報を得る機会があるよという姿勢を出すことでケアしています。

ずばり小澤さんがおっしゃっていましたが、「透明性」は組織作りにおいてとても重要です。

企業なので、悪い部分も良い部分も絶対に出てくると思うのですが、悪い部分を隠そうとしてもバレる時代になっているので、透明性を出せないことこそNGだと思います。

悪い部分を隠そうとしていることが伝わると、逆に不信感が募ってしまいます。そのため、カッコをつけず、企業の理念やパーパスをストレートにぶつけながら、採用活動や企業作りをするべきなのではと思いました。

「スキルフィットよりも、カルチャーフィット」という言葉もよく聞くので、いかにカルチャーに合う人材を採用できるかも、本当に大きなポイントになることを再認識しました。

テーマ③おすすめのツールやサービス

幸福度調査に関しては、エンゲージメント以前に従業員の健康状態について知ることができたので、実施してよかったと思っています。

また、oVice(オービス)というバーチャルオフェスのサービスになるのですが、誰が出勤しているだったり、気軽にバーチャル空間で声をかけやすかったりするので、最近導入しています。

ご存じの通り、弊社サーベイを作っている会社なので、ラフールサーベイをお勧めさせていただきたいです!(笑)

先ほどの話にあった、気軽に声掛けできるコミュニケーションをとれるというところでいうと、Slackのハードルミーティングがお勧めで、1個ボタンぽちっと押すとそのチャットの相手に繋がり、画面共有もできるので、少し相談したいことがある時に相手が出るまで待っていて繋がったら、すぐに話ができるので便利です。

先ほどのライトニングトークでお伝えしましたが、まずは取れる認定を積極的に取って頂いて、社内の採用広報に活用していった方が良いです。

ただ、国が出してるものは法律に基づいているので、それぞれ切り分けて出さないといけないんですが、ホワイト財団の認定は総合的に見てるので、ぜひ興味あったら、財団までお問合せいただけたら嬉しいなと思っております。

Q. 担当者として従業員のエンゲージメント向上やメンタル・心身の健康などが重要だと理解しつつも、可視化した数値の改善が企業にとってどんなメリットがあるのか、経営者に説明することが難しいです。皆さん、どういう風に経営陣に説明していますか。

営業商売全く関係なく、ホワイト企業認定一度受けてもらうと、経営者の方にストレートに伝えられるのではないかと思います(笑)。

前提として、人事側や採用担当から経営者に、自社のどこが強いか弱いかを伝えるのはとても難しいことです。

そのため、どんなロジックで伝えるべきかと言うと、「第三者のこういう機関でうちの会社がどこが強くてどこが弱いかを計測して、その結果からみると自社はここが弱いです」と客観的なデータを持って伝えるのがいいかなと思います。

ホワイト企業認定では、70項目の質問が一つの項目ではなく七つの全体的な項目で見れるので、たとえば「D&I弱いですよ」「リスクマネジメントの健康系の項目はいいですよ」といった、どの項目のどこが強くてどこが悪いといったことが全体的に数値で可視化されるんですね。

なので、ここを最優先で強くしていきませんかみたいなところを経営者側に伝えられる何かがいいかなと思ってます。

たとえば、ダイバーシティ&インクルージョンのところが弱いとして「その項目の数値を改善して、どんなメリットがあるのか」「働きやすさや生産性など、いろいろな項目の数値を高めるとどうなるのか」みたいなところまで突っ込まれた場合、どういった対応をすれば良いでしょうか。

一番は他社さんの事例を提示するのがいいと思います。

特にダイバーシティ&インクルージョンの価値観は、まだ日本企業に浸透していないことも多いですので、他社さんの事例でうまく数値を改善する必要性などをPRされるといいと思います。

我々のホームページに実際うまくやっている企業さんの事例やPRの仕方などのノウハウは全てありますので、ぜひ頼っていただけるといいかなと思います。

今田さんに付け加えると、経営者同士で喋って頂くことが、経営者に対してはすごく良い印象になるかなと思います。

経営者の方々も人間であるので、同じ立場で同じ視野で物を見ている人から言われると印象が違うというのが一つあります。

従業員サイドだと、「雇用されてる側に俺の気持ちはわからないよ私の気持ちわからないよ」と考える経営者の方も一定数いらっしゃると思います。

そのため、経営者の情報交換だったり、無料相談みたいな感じで同じ経営者という立場の人で既に推進してらっしゃる方に、やってないと何が問題なのかを話す機会を設けてもらうのも良いと思います。

また、投資家や株主さんが見ている視点についての情報をたくさん収集いただいて、「今うちの会社が調子いいんだよ」といったことを見せる手段であることを経営者の方にもお伝えいただくこともいいかなと思います。

「従業員がより良い状態で働けているか」といったエンゲージメントの向上施策は、社内のためだけにやるものではなくなりつつあります。

投資家や株主など外から見られたときに「この会社に協力する価値があるよね」と思われるための1つの価値基準になってきているので、そういったこともインプットいただきながらお話いただくといいかなと思います。

ありがとうございます。とても戦略的なやり方だと感じました。小澤さんは、いかがでしょうか。

経営者に対して、「そもそもどういう組織にしたいんですか」という問いを徹底的に会話することが大事だと思います。

サーベイ自体は世の中に多数あるため、経営者が作りたい組織に見合ったサーベイを探し、その見合ったサーベイでまず組織の健康状態を測定し、理想の組織に対するギャップを可視化します。

費用対効果がどうなのかという部分は、結局「採用に効く」または「売上に効く」のどちらかでしか語れません。

「売上に効く」となれば、そのサーベイで「売上が良い人と悪い人はどう違うのか」「良い人って何をやってるのか」といった項目でデータを確認します。

「採用に効く」ということであれば、「うちは従業員の健康状態、組織の健康状態がいいですよ」ということを大きく広報し、採用応募数を伸ばしていきます。

そうすれば、最終的に「これやらない理由ありますか?」といった方向に向かうのではないかと思いますね。

Q.サーベイを活用しても、心理的安全性がないとなかなか本音は出てこないと思います。本音で言い合える組織文化作りに向けて、取り組まれていることを教えてください。

まず、一番簡単なのは、サーベイの回答を匿名にすることです。

誰ということも特定されないので、本当にそういう本音を取りたいのであれば、そういったやり方が良いと思います。

もしくは、会社として「なぜサーベイを取るのか」という目的を伝えながら、回答したものをどこまで開示するか明確にしてあげると、取りたい情報が取れるかなとは思います。

 

今、おっしゃっていただいたように、匿名でアンケートを取ることが最初は良いと思います。

その中で、部署ごとの結果の違いが見えてくると思いますが、そこでマネージャー陣ないし経営陣は絶対に結果に対して詰めてはいけません。その時点で、二度とサーベイで本音を回答されることはないと思ってください。

ポジティブな形で現場で働く皆さんにフィードバックをし、3回・4回と続けていって従業員からのサーベイに対して本音を回答することの信用を勝ち取る時間を作ることが結構大事だと思います。

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