株式会社WEの戸田です。
前回は、私たちが実施しているWill Based Learning(以下、WBL)の全体像について、お話しさせていただきました。今回からは、WBL内で実施しているテーマの中から、より具体的なお話をさせていただければと思います。
まずは「従業員の皆さんの幸せとは何か」についてとなります。ぜひ参考にしていただければと思います。
【執筆者】戸田 裕昭|株式会社WE 代表取締役 / 上智大学非常勤講師 / 総務省地域力創造アドバイザー
大学卒業後、オフィス家具メーカーにて新規事業創出・地域活性化に携わる。総務省地域力創造アドバイザーや国土交通省スマートアイランド推進実証事業コーディネーターなどを担い、全国各地の地域における事業振興のアドバイスを行なっている。 また、個々人のやりたいことが起点となる事業創出を目的とした伴走型教育プログラムを開発・構築。小学校から大学までの教育機関や自治体、民間企業と連携し、人材育成を軸とした「組織変革」「事業創造」「地方創生」を行う。
目次
1. 「幸せ」とは何か?
多くの方は、普段「幸せになりたい」と思いながら生活していると思います。
私たちはWBLの中で「幸せとは何か?」という問いを毎回必ず出していますが、これまで「私は不幸になりたい」と答えた方は1人もいませんでした。
では、この「幸せ」とは一体どんなことなのでしょうか?
お金=幸せ?
たとえば、お金がたくさんあることが幸せだったとします。今の資本主義経済において、お金は大切ですよね。
戦後の日本は、経済力を高めるために先人たちが頑張って今の社会を作ってくれました。今では信じられませんが、「24時間戦えますか?」といったCMがあったくらいには、先人たちは努力してくれていたのだと思います。そして、その結果として、現在の経済的な豊かさがあると言えるでしょう。
今、この記事を読んでくれている方は、スマートフォンかパソコンを持っていると思います。とある調査で、日本人の8割がスマートフォンを持っているそうです。つまり、8割の方がスマートフォンのような便利なものを買える世の中になっているということです。
このように経済的に豊かになった日本ですが、今は平和でしょうか?自殺者数が20,000人を超える現状だったり、ここ最近多発している不愉快な事件だったり。「お金があれば幸せ」とは言えないのかもしれません。
勝ち=幸せ?
中には、人と比較した「勝ち負け」で幸せかどうかを判断する人も多いでしょう。
「あの人より年収が高い!勝った!幸せだ!」
「あの人より昇進が早かった!勝った!幸せだ!」
といったことはありませんか?正直、過去の私はそうでした。極端な負けず嫌いで、勝つことによって幸せや充実感を感じていました。
しかし、勝負には相手がいます。そして、自分が勝つということは、相手は負けるということです。
先日、サッカーのW杯がありましたが、そこで活躍した日本代表も勝った時には大喜びし、負けた時には泣き崩れていました。負けた人が泣き崩れるような光景を目の前にして、勝った側は素直に喜べるのでしょうか?
「幸せ」の定義は人によって異なる
以上、2つの事例を書かせていただきましたが、「お金を得ること」や「勝ち負け」で幸せを感じることがダメと言っているわけではありません。「本当にそのことが自分にとって幸せなのか?」ということを、自分に問いとして出して欲しいのです。
「自分はどんな状態が幸せなのか?」ということは、人それぞれ違います。誰がどんな状態を幸せと定義するかは、人それぞれ異なって良いのです。
2. 従業員の「幸せ」とは
ここまで読んでくださった方はもう気づいているかもしれませんが、従業員の皆さんの幸せについても1つでは括れません。100人の従業員がいたら、100通りの幸せがあるということです。
従業員の「幸せ」を仕事で実現するには?
それでは、従業員の皆さんの幸せについて、仕事を通じてどのように実現できるようにしていくかについて考えていきたいと思います。
私が会社員だった頃にも「仕事を通じて自己実現をしてください」と言われていました。今思えばとてもありがたいことですが、立場や経験が変わった今、従業員に自己実現だけをされるのは、とても困ります。
会社は、従業員の皆さんの自己実現の場として存在しているのではありません。会社が存在している理由は、掲げている企業理念やVisionを実現させるためです。
従業員の皆さんは、会社が実現したいこと(=会社にとっての幸せ)について考えるべきです。
「思う」から「思われる」
会社は、単なる「箱」や「居場所」と捉えてしまいがちです。しかし、「法人」と呼ばれるように、「会社も人」です。会社も人として存在し、従業員の皆さんと同じようになりたい幸せ(企業理念やVison)があります。
会社の幸せに共感して所属しているのであれば、その幸せを実現させるために動く(働く)。そのように動いてくれるから、会社も従業員の皆さんの幸せを本気で考えようと思う。一方的な関係では長く続きません。
どちらが先に相手のことを思い行動するか、は人によって自由です。しかし、相手のことを思って行動するからこそ、相手からも思われるということは忘れないようにすべきではないでしょうか。
これから実施してみて欲しいこと
では、どうしたら会社と従業員がそのような良好な関係性を築くことができるでしょうか?
会社としては、まず一度、会社が掲げている企業理念やVisionを読み解く時間を従業員の皆さんと作ってみてください。
弊社でも「誰もが違いを認め合って生きていける社会の実現」を掲げています。しかし、具体的に「誰がどんな生活をしているのか?」と考えると、人によって違ってきます。これらを、従業員の皆さんが自分なりに解釈していくことがとても大事です。
企業理念やVisionについて解釈したことと従業員の皆さん一人一人が考える幸せをどう一致させていくか?これが一致できたときに、相思相愛な関係ができると思います。
3. まとめと次回予告
今回は、「幸せ」をテーマにお話しさせていただきました。
「幸せ」については、誰もが一度は考えたことがことがあるかもしれません。しかし、今回私がお伝えしたことで、今まで考えたことがなかったことに気づいていただけたら嬉しいです。
さらに、「従業員の幸せ」と「会社の幸せ」の両方を考えることが、従業員と会社の良い関係性を築くチャンスになる、ということも気づいていただけたら尚嬉しく思います。
次回は、「豊かさとは何か?」をお話しさせていただければと思います。こちらも、誰もが考えているようで、深く考えたことがないことかもしれません。次回もよろしくお願いします。