近年、新型コロナウイルスの流行やAI技術の急激な進化により世の中の変化を予測しにくくなっています。
このような先行きが不透明な時代であるからこそ、人材育成の重要性が高まっています。
特に本記事では人材育成領域で注目されている「アンラーニング」という手法について、わかりやすくご紹介いたします。
目次
取り組みに向けたファーストステップを事例中心に解説!
上場企業における人的資本の情報開示が既に義務化された中、全ての企業において人的資本に関する情報開示を進めていく必要性が叫ばれ始めています。しかし、まだ具体的に何から始めたら良いかイメージできていない企業のご担当者の方も多いのではないでしょうか。本講演では、人的資本経営に関する多数の発信をおこなっているUnipos株式会社の田中氏に、「人的資本経営」に取り組むメリットや自社で実現するための方法に関してご紹介いただきます。
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1.アンラーニングとは
1-1.アンラーニングの定義
アンラーニングとは「学習棄却」「学びほぐし」と呼ばれ、これまで培ってきた価値観を取捨選択し、新しい価値観・知識を身に付けることを指します。
アンラーニングは英語で「unlearning」と表記されるように、新しい知識を身に付けるだけでなく、従来の価値観を捨てることも重要であるとする考え方です。
人は誰しも今までに身に付けてきた価値観に固執しがちです。しかし、従来の価値観に固執していると、時代の変化を捉えることが出来ず、新しい知識を吸収することも難しくなってしまいます。
そのため、新しい知識を身に付けるためには、「まず従来の価値観を取捨選択する」ことが重要になってきます。
1-2.リスキリング・リカレント教育との違い
「アンラーニング」に似た言葉で、「リスキリング」や「リカレント教育」などがあります。これらの言葉は似ているようで、実際には明確な違いがあります。
リスキリング
リスキリングとは英語で「reskilling」と表記され、時代の変化に対応するために必要なスキルを身に付ける事を指します。リスキリングの「必要なスキルを学びなおす」という点から、「学びなおし」と呼ばれることもあります。
リスキリングとアンラーニングは新たな知識やスキルを得るという点では似ていますが、従来の価値観を取捨選択するという点で異なります。
リカレント教育
リカレント教育とは「一度業務から離れて、大学などの教育機関で学びなおすこと」を指します。アンラーニングと新しい技術や知識の習得という点では同じ特性を持っています。
しかし、アンラーニングは仕事と並行して技術や知識の習得をおこなうことに対し、リカレント教育は一度仕事から離れる必要があります。
2.アンラーニングが注目されている理由
昨今のビジネス業界でアンラーニングが注目されている理由としては、VUCA時代が到来したことが挙げられます。
変化が激しい現代において、既存の考え方に依拠した価値観では競争社会を生き残るのが難しくなっています。そのような中で、「アンラーニング」が注目され始めています。アンラーニングにより、常に新しい価値観や知識を活用することができるようになります。
さらに常に危機意識を持ち時代の流れを先読みすることで、必要とされるものをいち早く習得できるようになります。
3.アンラーニングをおこなうメリット
ここでは、アンラーニングをおこなうことで得られる効果を3点紹介します。
3-1.従業員のパフォーマンス向上
特に経験値が高い従業員が陥りやすいのが、過去の経験に執着し、新しいやり方、視点を考えなくなってしまうことです。
アンラーニングに取り組むことで、従来の価値観に変化をもたらすことができます。
新しい価値観の中で今までの経験を活かすことができれば、今までにないサービスや商品を提供することができます。
3-2.業務の効率化
業務を行う上で企業ごとに取り決めやルーティーンがあります。その中には時代や環境の変化により効率的ではなくなったものもあるかもしれません。
アンラーニングを導入することで今まで当たり前だと思っていた取り決めやルーティンを再考する機会が生まれます。
そこで今までの業務の流れを整理し、見直すことで業務フローの改善や意見が反映されやすい環境に変化させることができます。
3-3.マネジメント力強化による収益性の向上
以前は「正社員の男性」が「フルタイム」働くことが当たり前でした。
しかし、現代では様々な人材が様々な雇用形態で働いています。そのような環境に変化しているのにマネジメント方法は変わらないままだと軋轢が起きる可能性があります。
そこで経営層を含めアンラーニングを行うことによって新しいマネジメント方法や制度を作成することができます。マネジメント力の強化は組織力向上の重要な要素であるため、企業成長のためにも取り入れる必要があります。
4.アンラーニングを導入する際の注意点
ここではアンラーニングをおこなう際の注意点について解説します。
4-1.モチベーションの低下
アンラーニングをおこなう過程で、モチベーションの低下に注意する必要があります。なぜなら、今まで学んできた経験や知識を疑ったり、棄却することで、今まで学んできたことを否定されたと考える人がいるからです。
否定されることは大幅なモチベーション低下につながります。また従来のやり方を変えることでパフォーマンスが低下する可能性もあります。
モチベーションの低下を防ぐためにアンラーニングは自己や今までの知識、経験を否定する行為ではなく自己成長のためにおこなうことだと事前に理解してもらう必要があります。
5.アンラーニングをおこなう方法・やり方
ここではアンラーニングをおこなう一連の過程について解説します。
5-1.個人単位での内省を実施する
個人単位で内省を行うことはとても有効です。内省を行う際に自分の価値観を批判的に見直すことが重要になります。今までの自分の価値観や行動を見直すことで考え方が偏っていないかを考え直す機会が生まれます。
また、細かく内省をおこなうことで、自分の強みを再確認することができます。
5-2.クリティカルシンキングをおこなう
クリティカルシンキングとは論理的・構造的に物事を考えることを指します。自分の無意識的な行動や考え方を客観的に振り返るという意味で使われます。内省のあとは自分自身の考え方を整理することが重要になります。
5-3.気付きの場を提供し、参加する
自分一人だけでアンラーニングをおこない続けることはとても困難です。そこで外部機関などを利用し、新しい意見や知識を得られる場に参加します。そのような場に参加することで、新しい知識を習得することができます。さらに現在の業務を新しい視点で見直すことができます。
このように周囲の意見を聞くことで自分のアンラーニングをより促進することが可能になります。
5-4.効果を測定する
新しい技術や知識は常に更新され続けるため、アンラーニングは一度で終了することはありません。継続的に内省を行うことが重要となります。
そのため、定期的な効果測定を行い、改善することで次につなげるPDCAサイクルを回す必要があります。効果は新しい技術や知識の習得度合いや活用度合いで測定します。
6.アンラーニングを活用する際の人材育成方法
アンラーニングを活用した人材育成方法について解説します。
6-1.評価制度への反映による成長度合い測定
評価制度を見直すことでアンラーニングの成長、対応度合の評価を測定します。アンラーニングを行っても実際に実務で利用できなければアンラーニングを行った意味がありません。
そこでアンラーニングと実践をセットで評価制度に組み込むことで実践前提で学びがおこなえるようになります。
7.まとめ
本記事では、アンラーニングの意味やメリット、類義語との違い、やり方、注意点、アンラーニングを利用した教育方法などを解説してきました。アンラーニングを行うことで、従来の価値観や確立されてきたルーティンワークを変えることになります。
このように大がかりなものなので、短期的に効果が現れるものではありません。しかし、アンラーニングを取り組み続けることによって新しい発想を持つ人材の育成や、普段の仕事に新しい価値観を取り入れ業務の効率化が見込めるといったことが期待できます。
会社の継続的な発展のためにもアンラーニングを取り入れてみてはいかがでしょうか。
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