テレワークを導入する際のよくある懸念点として、自社にとってテレワークが必要なのかが不明瞭であることが挙げられるでしょう。今までテレワークを導入していなくても会社を運用できていたのですから、無理もないでしょう。しかし、テレワークを導入するべきだと考えられる理由や目的は多く存在します。この記事では、テレワークを導入する目的や理由を解説します。
目次
【豪華ゲスト多数登壇!】変化に負けない「強い組織」を育むためにHRが果たすべき役割を考える大型カンファレンス『HR NOTE CONFERENCE 2024』
「人的資本経営」「ウェルビーイング」「DEI」といったトレンドワードが、HR領域だけでなく社会全体に拡がり始めた昨今。自社組織に漠然と"停滞感"を感じ、「うちは取り残されていないだろうか?」「何かやらないといけないのでは・・・」といった不安や悩みを抱える人事・経営者の皆様も多いのではないでしょうか。
本カンファレンスでは、HR領域の有識者の皆様に、様々な組織課題を解決するためのアプローチ方法について解説いただきます。強い組織を育む企業が実践している事例には、組織強化に必要な考え方や人事が果たすべき役割について学べるポイントが多くあります。ぜひ有識者の皆様と一緒に、組織を強化する「共通原理」について考えてみていただければと思います。
テレワークとは
テレワークとは、会社から離れた場所で業務をおこなう働き方です。一昔前はほとんど見られなかった働き方ですが、インターネット環境の発達により、テレワークを採用する企業や組織が増えています。テレワークの取り入れ方は企業によってさまざまで、一部の特殊な勤務形態の社員のみテレワークを実施している企業もあれば、全社員がテレワークで勤務している企業も存在します。また、クラウドソーシングサービスなどを利用することで、個人がテレワークで働くことも可能です。
近年では国の組織がテレワークの導入を推進しています。例を挙げると、厚生労働省や総務省によるテレワークガイドラインの策定や、経済産業省による助成金や補助金の交付がおこなわれています。
テレワークの目的とは
国がテレワークを推進する目的を、5つの観点で解説します。
BCP(事業継続計画)への対応のため
外的要因によって事業を長期間中断させないための対策として、テレワークの導入は効果的です。
事業を中断させる外的要因には、パンデミック(集団感染)や自然災害が挙げられます。2020年頃からコロナウイルスが発生し、出勤や外出を制限されたのは記憶に新しいでしょう。大規模な地震が起きた場合でも、交通機関や社屋に被害が出れば出社するのは困難です。こうした事態が発生したとき、出社しないと業務をおこなえない状態だとすると、事業を再開するまでに時間がかかります。
もしテレワークを導入すれば、たとえ外出できない状況が続くとしても業務を継続できるでしょう。このように、緊急事態において事業を中断しないための計画をBCP(事業継続計画)といい、BCPへ対応するためにテレワークを導入する企業もあります。
働き方改革を推進するため
厚生労働省が推進している働き方改革を実現するための一環として、テレワークの導入が進められています。
働き方改革とは、多様化するニーズや事情に応じた働き方ができるように取り組まれている改革です。たとえば、育児や介護などをしなければならない人は長時間外出するのが難しいので、通常の勤務形態で働くのは困難でしょう。そうした人たちが選択できる働き方の一つとして、テレワークは推奨されています。
また働き方改革は、労働時間の見直しや、不平等な待遇の改善による労働意欲の向上が目的とされています。そのため、在宅していることを理由に時間外労働を強いられたり、テレワーク勤務と出社のあいだに理不尽な格差が生まれたりすることはありません。テレワークを安心して選択できる環境を構築できるでしょう。
コストを削減するため
テレワークの導入にはコストがかかる場合もあるため実施を躊躇われるかもしれません。しかし、テレワークにはいくつかのメリットがあります。たとえば、テレワークで勤務をしている社員は出社する必要がないため、移動時間や交通費の節約につながります。また、テレワークに伴って書類のやりとりも電子化すれば、ペーパーレス化による印刷費削減も期待できるでしょう。
ワーク・ライフ・バランスを実現するため
テレワークの導入は、社員が仕事と生活のバランスを保つ手段として有用です。
仕事に時間をとられる状況では自分の時間を確保できず、メンタル面の負担が大きくなります。こうした負担が積み重なれば、社員の健康不良や会社への訴訟など、会社の信頼に関わる大きな問題に発展しかねません。問題を避けるには、仕事以外に使うことができる時間を確保する必要があるでしょう。テレワークであれば通勤などに時間を費やすことがなくなるため、ほかのことに時間をあてることができるようになります。
出社に片道1時間かかる社員がテレワークに切り替えたとすると、勤務時間を短くすることなく2時間を自分の時間にあてることが可能です。たとえば、家族とのコミュニケーションや趣味によるリフレッシュ、自己研鑽などに時間を使うことができます。
優秀な人材を確保するため
テレワークを導入すれば雇用機会が増えるため、優秀な人材を確保しやすくなります。テレワークは勤務場所を選ばないので、会社から離れた場所に住んでいる人を雇用することが可能です。
出社するのが前提であれば周囲の都道府県に住む人が雇用対象になるでしょう。一方、テレワーク勤務は日本全国、さらには外国在住の人も雇用できます。応募者数の増加が期待できるため、優秀な人材を確保できる可能性も高まります。
また、会社の近くに住んでいる優秀な人材でも、育児などのやむを得ない事情で出社が困難な場合があります。テレワークを取り入れることで、出社が困難な人を雇用する機会が生まれます。
テレワークの社会的意義・効果
総務省はテレワークの意義や効果を挙げており、そのなかには社会に貢献するものが含まれています。ここでは、社会貢献につながる意義・効果を3つ解説します。
少子高齢化対策の推進
テレワークの実施は、少子高齢化対策の推進につながります。
高齢者数は年々増加しており、人口構造が急激に変化しています。内閣府が出した高齢社会白書によると、令和2年時点における65歳以上の人口割合は28.8%という調査結果が出ました。15~64歳の人が高齢者を支えるとすると、およそ2人で1人を支えなければなりません。そのため、高齢者の介護に専念する人の割合が増え、労働人口が減少しています。
テレワークを一つの働き方に選択できるようになれば、介護をしながら業務ができる環境を構築することができ、どちらかを選択しなければならない状況を緩和することが可能です。その結果、通常の勤務体制では雇用できない意欲的な労働力を雇用でき、労働人口の減少が和らぐことが期待できます。
地域活性化
テレワークは仕事の場所を選ばないので、Uターンや地方移住による地方の活性化が見込まれています。
日本のほとんどの都道府県では人口が減少する傾向にあります。死亡などが原因の自然減少も理由の一つですが、都会への流出などが原因の社会減少は対応すべき問題です。令和元年に公表された総務省の統計データによると、47中33の都道府県で社会減少となっています。地方の労働者が少なくなれば地域経済も立ち行かなくなり、都会への流出に拍車がかかるでしょう。こうした悪循環が続けば、集落の消滅は免れません。
会社の近くで働く必要がないテレワークの人口が増えれば、Uターンや地方移住を検討する人が増加します。都会からの流入が増えることで地域が活性化し、地方の衰退を防げるでしょう。
参考:総務省統計局 人口推計(2019年(令和元年)10月1日現在)
環境負荷の軽減
テレワークを実施することでCO2の排出を減らし、環境への負荷を軽減できます。テレワークで働く人は車で出社する機会が減るため、排気ガスによるCO2排出を抑制します。また、在宅している時間が長くなるので宅配便を時間どおりに受け取れるようになり、再配達によって配達員がトラックを余分に運転することを防ぐ効果も期待できるでしょう。
また、テレワークの導入は、電気の消費量を減らしてCO2を削減することにもつながります。環境省の環境・循環型社会・生物多様性白書によると、テレワークの導入によってオフィスの電力消費量は一人当たり43%削減できるとされています。家庭で電力を消費することを差し引いても、全体の消費量は一人当たり14%削減可能です。
参考:環境省 環境・循環型社会・生物多様性白書第1部3章5節
目的を理解したうえでテレワークの導入を検討しよう!
テレワークを導入する目的は一つだけではありません。会社のコスト削減から環境問題への対策まで、多様なメリットにつながります。これらの目的のなかから、自社にテレワークを導入するに値する理由があるか吟味してみてください。導入するメリットを明確にしたうえで、自社にテレワークを導入するかどうか検討してみましょう。
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「人的資本経営」「ウェルビーイング」「DEI」といったトレンドワードが、HR領域だけでなく社会全体に拡がり始めた昨今。自社組織に漠然と"停滞感"を感じ、「うちは取り残されていないだろうか?」「何かやらないといけないのでは・・・」といった不安や悩みを抱える人事・経営者の皆様も多いのではないでしょうか。
本カンファレンスでは、HR領域の有識者の皆様に、様々な組織課題を解決するためのアプローチ方法について解説いただきます。強い組織を育む企業が実践している事例には、組織強化に必要な考え方や人事が果たすべき役割について学べるポイントが多くあります。ぜひ有識者の皆様と一緒に、組織を強化する「共通原理」について考えてみていただければと思います。