株式会社チームボックスの小暮 裕美子です。チームボックスが提供するリーダー育成プログラム「Teambox LEAGUE」では、グローストレーナーとしてリーダーの伴走をしています。
先日、弊社の山本から「リーダーに必要な5つの姿勢」をご紹介させていただきました。
①さらけ出しているか?
②アンラーンしているか?
③自責しているか?
④人の成長を信じているか?
⑤習慣化しているか?
※山本さんの記事は、こちらよりご確認ください。
どんなリーダーにも悩みはつきものです。「Teambox LEAGUE」では、参加者一人ひとりに、専属のグローストレーナー(リーダーの成長に伴走する専門家)がつき、それぞれの課題に合わせて1on1を行います。
今回は、Teambox LEAGUEをきっかけに自分自身が思い描く理想の姿に向かって行動した事例を紹介します。
<本日のリーダーの特徴>
業種:商社
職種:鋼管本部
役職:課長
年齢:40代
悩み:業務へのワクワクがない。そもそも商社マンとは?
フォーカスした姿勢:アンラーン
【執筆者】小暮 裕美子|NPO法人MAMA-PLUG理事
1966年東京都生まれ。ユニ・チャーム株式会社に一般職として入社。営業事務、物流事務を担当し、最年少でジュニアボードメンバーとして活動。その後総合職となり、経営企画部で新CI浸透、役員秘書の経験から「社員一人ひとりが輝く組織を作りたい」と人財開発部に異動を志願し、人事企画や各プロジェクトのリーダーを歴任。AI事業部契約社員の採用から評価、制度、育成まで人事業務全般を責任者として従事。 2005年独立。「経営者が変われば組織が変わる」をモットーに中小企業の経営者を中心にコーチングや研修など人財育成に関わる業務を支援。2016年よりNPO法人MAMA-PLUGで理事としても活動中。2018年Teambox LEAGUEトレーニングに強く共感し、2019年よりグローストレーナーとしてリーダーの伴走を担当。
目次
1. “御用聞き”ではなく、パートナーとして、より良いゴールに向かっていける関係性を築く
当時、Aさんは課長職に就いて1年目。真面目な性格であるために、組織の懲り固まった文化や考え方に縛られ、自身ののやりたいことや理想、想いを部下や上司、取引先へ伝えられない状態でした。
「当初、課長になったばかりということもあり、自身の経験が足りていないと感じていた。周囲に考えや想いを伝えられず、お客様に対しても、自分で納得していないまま、会話をしているという感覚だった。お客様の御用聞きのような役割でなく、パートナーとして、一緒により良いゴールに向かっていける関係性を築く必要がある。
業務に対してもワクワクすることがなくなっており、もう一度商社マンとして、自分が思い描く理想を取り戻し、それに向かっていかなければならない。」(Aさん)
Aさんが考える商社マンの仕事とは、「一緒に何かを作っていく」「新しいことを開拓する」といったように、新しいことを生み出したり、ワクワクするものでした。
しかし、当時は、取引先とメーカーをつなぐ業務に収まってしまい、楽しさが見いだせない状況だったのです。
2. 理想を言語化し「思い込み」を取っ払う
Teambox LEAGUEで行う1on1“Half Time”の中で、最初に私がAさんに問いかけたのは、「それで満足なのですか」「理想は何なのですか」ということ。Aさんが蓋をしている要素や、本来描いている理想を言語化するところから始めました。自分自身の思い込みなどで、諦めてしまっているケースは多いのです。
Aさんは商社マンとして、お客様とメーカーとよりよい未来を創っていく。という目標がありました。そのためにも、Aさんの想いを部下や上司へ伝えることが不可欠であり、それが越えるべき最初のハードルでしたね。
もともと、部下との関係は良好だったため、そこへの意思共有はスムーズにできていました。ハードルが高かったのは上司へ想いを伝えること。Aさんより経験を重ねている上司に対して、怖さもあるし、負けてしまう自分がいたのだと思います。
「大人の学びは痛みから」という考えがあるように、成長には痛みが伴います。言語化して、理想を掲げるだけではなく、しっかりと実践することが重要。Aさんも商社マンとして自身がやりたいことを言語化しているうちに、“お客様に対してどんな貢献ができるか”という、本来の目的のための行動を優先できるようになるなど、明確な軸が形成されました。
その軸をぶらすことなく、上司に対しても、自分の意見ややりたいことを、自分の言葉で伝えることができるようになりました。
3. 理想のために起こせるアクションを言語化、実践
理想の姿ややりたいことを言語化した後、理想のために、今できることをAさん自身から伝えてもらいました。
次第に、Aさんの中で思い込みとしてあった「お客様が上で自分たちは下」という意識を「パートナーとして対等な関係」に変換し、一緒により良い社会をつくりたいと考えられたことが非常に重要な点でした。取引先や社会のために、仲間として何ができるか?という意識で接することができるようになり、お客様との会議での発言も変わってきていましたね。
「お客様に意見を言ってはいけない」という意識を見直し、「お客様のために」という姿勢で取引先と向き合うことで、本当の意味で、関係性を築けるようになっていったと思います。それこそがAさんの求めるパートナー像であり、商社マンとしてやりたいことだったと感じています。
4. 言語化した想いを周囲に伝えることで、仲間ができる
経験豊富なリーダーであればあるほど、そこに基づく思い込みは誰しも抱えています。気付かないうちに理想を諦めてしまったり、ワクワクに向き合わないように蓋をしていたりするもの。
まずは自分自身と向き合って、何がやりたいのか、何を成し遂げたいのかを問いかけることが重要です。そうして言語化した想いを周囲にさらけ出し、伝えることで、ともに歩むことができる仲間・パートナーとなります。
Teambox LEAGUEを受講した当初は、言葉じりが弱く自信がないように見えていたAさんも、Teambox LEAGUEのトレーニングの中で、自ら「こういうことやってみよう」という自発的な発言をするようになりました。
目標を掲げ、行動を起こす、それをHalf Timeなどで振り返る。しっかりPDCAを回していくことが自分自身を変え、組織を変えるきっかけになると考えています。
「当たり前」だと思っている思い込みを取っ払う「アンラーン」の意識。今回だと、Aさんの中で、「商社マンとはこういうものだ」という思い込みがありました。
そこを一度ほぐして、自分自身にとっての本当の理想像を見直すことが、よいリーダーへの一歩に繋がったのだと思います。
この連載では、これからも姿勢や行動を変えたリーダーの事例をご紹介していきますので、ぜひみなさんも参考にしていただき、組織に変化をもたらすことができると嬉しいです。