企業が健康的な状態を維持するためにも、定期的に組織コンディションの調査を行いたいものです。
個々の従業員のコンディションを知ることが、組織コンディションの把握につながります。組織コンディション調査で企業課題を効率よく洗い出し、問題の解決を目指しましょう。
本記事では、組織コンディションについて詳しく解説します。
目次
1. 組織コンディションとは企業や従業員の現在の状況のこと
組織コンディションとは、企業や従業員のコンディションがどのような状況であるかの指標です。企業が十分に生産性を確保するためには、健康的な状態を保つ必要があります。組織コンディション調査はいわば、企業の健康状態を判断することにつながるのです。
人間の健康とは単に病気がない状態ではありません。世界保健機関(WHO)はいきいきとした良好な状態であることを健康の定義としています。[注1]
企業のコンディションもこれと同様です。組織に所属する人材同士が十分にコミュニケーションを取り、いきいきとしている状態が理想的と考えられます。組織の健康状態を把握するためには適宜調査を行い、問題点をピックアップして改善する対処が必要となります。
組織コンディション調査には、組織の状態を客観的に明らかにできるというメリットがあります。また、定期的に組織コンディション調査を行うことで、組織の変化を把握できるのも大きなメリットです。
組織の状態を定量的に把握すれば、マネジメントの改善などの対処をしやすくなります。企業の拡大や合併など組織開発のために組織コンディション調査を行う例もあります。
2. 企業が組織コンディションの調査を行うべき理由とは
組織コンディションを把握することは、従業員の状態を把握することにつながります。
近年では長時間労働や業務の多忙化に悩まされる従業員がメンタルに問題を抱えるケースも増加しています。また、従業員が目標やキャリアプランを持てず、モチベーションを保てないケースもあります。こういった問題を解決するためには、企業が従業員の状態を把握することが大切です。
働き方改革の観点や、感染症予防という意味合いからテレワークを実施する企業は少なくありません。しかしテレワークなど働き方の多様化によって従業員の心理状態を把握しにくくなっているのは、企業にとって大きな問題です。
従業員の心理状態の悪化は組織コンディションに大きな悪影響をもたらします。チームの一体感が薄れれば生産性や業務効率は下がってしまいます。従業員の健康状態が変化する兆候を察知できれば、大きな問題を未然に防ぐ対処が可能となります。
現代において問題視されている労働人口の減少にともない、人材管理の重要性は高まりつつあります。労務管理の一環として、ぜひ組織コンディションの把握や改善を行いたいものです。
3. 組織コンディションを調査する方法
組織コンディション調査では従業員に対して調査やアンケートを行うのが一般的です。
中でも、数分で終わる簡単な質問を従業員に対し短いスパンで実施することをパルスサーベイと呼びます。パルスサーベイには、従業員の意識をリアルタイムでチェックできるという利点があります。
また、多岐にわたる設問を用意し、従業員に対して大規模なアンケートを取る手法も考えられます。課題を深掘りして改善に役立てたいときには、効果的な設問を設定したアンケートを実施するのが効果的です。
ほかに、エンゲージメント調査や満足度調査、ストレスチェックなどを実施して組織コンディションを把握するケースもあります。これらの調査を実施すれば、個々がかかえる問題点やストレスの状況などを可視化できます。
組織コンディションを詳しく調査するためにも、パルスサーベイやアンケートの項目にはさまざまなタイプの設問を盛り込みましょう。従業員がもつ目標やその達成度、成長機会ややりがい、人間関係、企業ビジョンの浸透度などを調査すれば、分析に役立ちます。
設問を考えるのが難しいときには、組織診断の専用システムを使うのもいい方法です。設問が事前に作り込まれたパッケージ型のサービスを利用すれば、組織コンディションの調査を迅速に実施できます。
ただし、自社に合っていないサービスを選んでしまうと、せっかく調査をしても十分に課題点を把握することができません。自社が抱える課題をより深く把握したいときには、オーダーメイド型のサービスを利用するなどの工夫を行いましょう。
4. 組織コンディションを改善するポイント
組織コンディション調査の際には調査の目的や意義を明らかにしておきましょう。また、調査内容をもとに適切な対策を行うことも重要です。
ここからは、組織コンディション調査をもとに改善を行うときのコツを紹介します。
4-1. 調査の目的を十分に把握しておく
組織コンディション調査の際には、実施の目的を十分に把握しておきましょう。企業の人事に関する問題を把握する、職場環境の改善に必要な要素を抽出する、企業拡大の足がかりにするなど、組織コンディション調査の目的はさまざまです。
また、仮説の検証をするのか課題を見極めるのかによっても、必要となる調査の内容は異なります。仮説の検証をするのならその内容を具体的に測定する項目が必要となります。課題を見極めたいときには、組織コンディションに関する情報を網羅的に収集するのが効果的です。
前もって調査の目的を明らかにして適切な項目を設定すれば、組織コンディション改善に役立てられます。
4-2. 専用システムで仔細な分析を行う
組織コンディション調査では、調査内容を点数化して分析することがあります。しかし、点数のみをチェックしても企業の状態を仔細に把握することはできません。調査の際には、なぜ点数が高くなっているのか、あるいは低くなっているのかを十分に検証しましょう。
その点数になる理由を分析すれば、組織コンディション調査の解釈がしやすくなります。専用システムを活用するなどの工夫を講じ、より詳しい分析を行うのもおすすめです。
4-3. ハード面とソフト面に分けて改善を行う
組織コンディション調査によって組織の問題点を把握したうえで、マッキンゼーの7Sにおけるハード面とソフト面に分けて改善を実施しましょう。
ハード面とは企業の戦略や組織構造、システムのことをいいます。企業組織やシステムが正しく機能しているかをチェックし、課題解決を目指したいものです。
ソフト面にはスタイルやスキル、スタッフ、価値観が挙げられます。職場環境を改善したり、人材育成を行ったりといった対処が有効です。
5. 組織コンディション調査を通して企業が抱える問題点を把握しよう
組織コンディション調査では、自社に合った方法を選んで従業員の状態や組織の状態をチェックしていくことが重要です。アンケートやパルスサーベイなど必要な調査を見極めて適宜実施し、企業が抱える課題を明らかにしていきましょう。
組織コンディション調査の際には専用のシステムを用いるのが効果的です。人事評価クラウドシステムなどを上手に活用し、効率のよい調査につなげていきたいものです。