従業員が自社に満足しているかどうかは、1on1のミーティングなどで把握できます。しかし、直接のヒアリングだと従業員は本音で回答しない可能性があります。また、従業員一人ひとりにミーティングを実施していると時間もかかってしまいます。そこで効果的なのが社内アンケートの実施です。
今回は社内アンケートで用いる質問例や作成するときの注意点を解説します。
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
組織マネジメントに課題感をお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご確認ください。
1. 社内アンケートの質問例
社内アンケートで把握する従業員の満足度は動機付け要因、衛生要因という2つの要因で構成されています。社内アンケートの質問もそれぞれの要因に沿った内容にしましょう。具体的には要因ごとの質問項目は次のとおりです。
要因 |
質問項目 |
動機付け要因 |
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衛生要因 |
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1-1. 基本情報を忘れずに
社内アンケートの質問は基本情報についての項目も用意しておきます。社内アンケートにおける基本情報については次のような点を質問します。
- 性別
- 年齢
- 勤続年数
- 所属部署
- 役職
基本情報の回答を得ておくことで、質問項目×年齢、質問項目×勤続年数といったクロス集計が可能になります。クロス集計が可能になることで特定の属性の傾向が判断できます。
1-2. 仕事内容についての質問はモチベーションや従業員満足につながる
仕事内容についての質問は、従業員のモチベーションや従業員満足度につながる重要な質問項目です。仕事内容についての質問例としては次が挙げられます。
- 仕事にやりがいを感じていますか
- 仕事の内容は自分の適性に合っていると思いますか
- 自分の考えを仕事に反映できていると思いますか
1-3. 社風については職場の雰囲気への満足度を調査
社風についての質問では、コミュニケーションの取りやすさやチームワークが発揮されているかなど、職場の雰囲気についての満足度を次のような質問によって調査します。
- 社内で自主性を尊重してくれていると感じますか
- 自分の意見を自由に言える環境だと感じますか
- トラブルが起きた際に周囲からのサポートはありますか
1-4. 制度や評価については給与が関わる重要な項目
制度や評価についての質問は給与や評価制度と関わるため、重要な項目です。制度、評価だけでなく、キャリアについての質問もこの項目に盛り込みましょう。
- 現在の業務内容に対して給与は適正だと感じますか
- 正当、公平に評価されていると感じますか
- キャリアについての相談体制は整っていると感じますか
1-5. ワーク・ライフ・バランスについては現代では重要な項目
厚生労働省が2007年に「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」を策定したとおり、現代では仕事と生活の調和を図ることは重要な要素です。[注1]ワーク・ライフ・バランスについての質問例として以下が挙げられます。
- 与えられている業務量は適正だと感じますか
- 残業時間は無理のない範囲だと感じますか
- やむを得ない理由による急な欠勤や早退に対応してくれていますか
[注1]「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」|厚生労働省
1-6. メンタルについてはストレスの原因がないかを質問する
メンタルについての質問では、業務で何かストレスを感じていないかを確認します。厚生労働省の発表によれば、業務において何らかのストレスを感じている人の割合は53.3%と約半数に上っています。具体的には「仕事の量」が43.2%、「仕事の失敗、責任の発生等」が33.7%、「仕事の質」が33.6%となっています。質問もこれらの要因に触れるようなものを用意しましょう。[注2]
- 業務によって心身に悪影響は出ていますか
- 業務は体力に余裕をもって臨めていますか
- 業務によって過度なストレスは発生していないですか
- ハラスメントを受けているもしくはハラスメントの現場を見たことはありますか
[注2]「令和3年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況」P14|厚生労働省
1-7. コンプライアンスについても質問する
現代の企業はコンプライアンス(法令遵守)が求められています。コンプライアンス違反は企業の倒産につながりかねません。コンプライアンスについての質問として以下が挙げられます。
- コンプライアンスについての教育・管理体制は整っていると感じますか
- 機密情報は適切に管理されていると感じますか
- コンプライアンス違反に対しての相談窓口は整っていると感じますか
2. 社内アンケートの質問を作成するときのポイント
社内アンケートの質問を作成するときは、従業員が理解しやすいような文章を心がけましょう。例えば専門的用語を用いてしまうと、従業員によっては意味をすぐに理解できない可能性があります。また、「チーム」という言葉使った場合、人によっては質問者が想定するチームよりも大きな集団をイメージしてしまうかもしれません。
従業員が分かりづらい質問を作成してしまうと、無回答で返ってくる可能性があるため、アンケートの精度を左右してしまいます。
3. 社内アンケートの質問を作成するときの注意点
社内アンケートの質問を作成する際は、質問数、回答を誘導するような質問という点に注意しましょう。注意点を押さえておくことで、より精度の高いアンケート結果につながります。
3-1. 質問数を少なくして従業員の負担を減らす
社内アンケートは従業員に回答してもらう必要があります。そのため、アンケートの回答作業が従業員の負担にならないように、質問数は少なくしましょう。質問数が多いと回答に時間がかかり、通常の業務に支障をきたしてしまいます。従業員によっては時間外労働が発生してしまうかもしれません。
3-2. 回答を誘導するような文章は作らない
社内アンケートの質問は回答を誘導するような文章は作らないようにしましょう。例えば、「弊社は〇〇という考え方ですが、あなたもそうですか?」といったように、回答を誘導する質問では、従業員の本音を引き出せない可能性があります。
社内アンケートは従業員が自社についてどのように思っているかを把握することが目的です。そのため、回答を誘導するような質問は避けて、従業員の本音を引き出しましょう。
3-3. 特定の人物や組織を思わせるような質問は設けない
社内アンケートの質問文を作成する際は、特定の人物や組織を思わせるような質問は設けないようにしましょう。アンケートの質問が作為的だと従業員に不信感を抱かせてしまうかもしれません。そのため、公平・中立な質問文を作成することが大切です。
3-4. 質問の作成~実施で終わらせない
社内アンケート実施において、質問作成は重要な工程です。しかし、質問作成、アンケートの実施で終えないようにしましょう。社内アンケートは実施した後に分析して、課題や問題点を解決して従業員の満足度を高めることが目的です。そのため、質問作成段階からアンケート結果を分析するということを意識しておきましょう。とはいえ、アンケートを行った後にどのように分析をして、それをどのように改善につなげれば良いのかわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。そのような方に向けて当サイトで「従業員満足度のハンドブック」という資料を無料配布しております。調査後の集計や分析、分析をふまえた改善の具体的な施策についても紹介しており、サーベイの運用を成功させるための参考資料としてご活用いただけます。興味のある方はこちらから無料でダウンロードしてご覧ください。
4. 社内アンケートを実施して従業員の満足度を向上させよう
社内アンケートは、従業員の自社に対する満足度を把握する上で役立ちます。社内アンケートは動機付け要因、衛生要因という2つの要因に沿った質問を作成しましょう。また、社内アンケートを作成する際は回答数を少なくして、誘導するような質問文を避けることが大切です。
社内アンケートの結果を分析して、従業員の満足度を向上させましょう
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
組織マネジメントに課題感をお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご確認ください。