ベテラン社員のリスキリングを進める5つのステップ|45歳からのキャリア自律スクール:ライフシフトラボ |HR NOTE

ベテラン社員のリスキリングを進める5つのステップ|45歳からのキャリア自律スクール:ライフシフトラボ |HR NOTE

ベテラン社員のリスキリングを進める5つのステップ|45歳からのキャリア自律スクール:ライフシフトラボ

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※本記事は、株式会社ブルーブレイズの都築辰弥さんより寄稿いただいた記事を掲載しております。

HR NOTEをご覧のみなさま、こんにちは。ブルーブレイズ代表の都築と申します。45歳からのミドルキャリアに向けてキャリア自律を支援する実践型スクール「ライフシフトラボ」を運営しています。

急速にデジタル化が進み、人材の流動性が高まる中、今、終身雇用を前提に働いてきたミドルキャリア世代:ベテラン社員のリスキリングが注目されています。

しかし、リスキリングをどのように進めればいいのか、曖昧な方も多いのではないでしょうか。

今回の記事では、45歳からの実践型キャリア自律スクール「ライフシフトラボ」で培った知見をもとに、リスキリングで推奨されるスキルをご紹介していきます。

リスキリングはあくまでも手段です。この記事では、自社のベテラン社員が今までに蓄積したスキルと経験の武器をさらに強化し、豊かなキャリアを切り拓いていくリスキリングのステップを分解しながら具体的にお話しします。

【執筆者紹介】都築 辰弥|株式会社ブルーブレイズ 代表取締役

1993年生まれ。開成高校、東京大学工学部システム創成学科卒。学生時代は、国際学生NPOアイセックで活動した後、バックパッカーとして世界を一周。新卒でソニーに入社し、スマートフォンXperiaの商品企画担当として2019年フラグシップモデル「Xperia 1」などをプロデュース。その後、2019年8月に株式会社ブルーブレイズを創業。45歳からの実践型キャリア自律スクール「ライフシフトラボ」および法人向けキャリア自律促進サービスを展開。

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「人的資本経営」「ウェルビーイング」「DEI」といったトレンドワードが、HR領域だけでなく社会全体に拡がり始めた昨今。自社組織に漠然と"停滞感"を感じ、うちは取り残されていないだろうか?」「何かやらないといけないのでは・・・といった不安や悩みを抱える人事・経営者の皆様も多いのではないでしょうか。

本カンファレンスでは、HR領域の有識者の皆様に、様々な組織課題を解決するためのアプローチ方法について解説いただきます。強い組織を育む企業が実践している事例には、組織強化に必要な考え方や人事が果たすべき役割について学べるポイントが多くあります。ぜひ有識者の皆様と一緒に、組織を強化する「共通原理」について考えてみていただければと思います。

1.「リスキリング」はこれからの社会を生き抜くための絶対解|ベテラン社員にリスキリングが求められる理由

なぜ、ベテラン社員にリスキリングが求められるのでしょうか。

今までに培った豊富な経験も、変化に対応できなければ時代にそぐわないものになってしまう可能性があります。デジタル技術が急速に発展する今、さまざまなサービスが生まれ、ITリテラシーが求められるようになっています。

組織は人の集合体です。産業構造がデジタル技術によって急速に変革されている今、変化する社会に合わせた新しいスキルを得たり、既存のスキルをアップデートしていく姿勢が求められています。

では、ベテラン社員本人の視点に立ってみましょう。

ベテラン社員にとっては、これまで当たり前だった仕事が役に立たなくなる可能性が生まれてきました。今までと同じ武器で定年を迎えるまで、あるいはその先も戦えるのでしょうか。
終身雇用を前提に、企業の事業成長に貢献してきたとしても、そのスキルが今後も求められるとは限りません。

また、DXに注目が集まり、AIなどの最先端のデジタル技術に関わる人材の価値が高まっている中、最先端技術の知識は吸収力があると捉えられがちな若手人材に対して積極的に行われることが多く、ベテラン社員はやや後回しにされる傾向があります。

どうしても今まで得た経験や地位などに固執してしまいがちなベテラン社員ですが、逆に今までのスキルや知識を生かし時代にあった活用法を見出す考え方が重要です。必要な場合には新しいスキルを得ていくことで、スキルのかけ算が生まれ、さらに活躍の幅が広がります

企業全体を俯瞰して考えてみましょう。

​​2020年3月期決算の上場企業1792社で働く従業員の平均年齢(中央値)は41.4歳です(※1)。 

企業の事業を担う主体となるのが40代のベテラン社員なのです。急速に市場環境が変化する中、事業を継続させる主体となるベテラン社員をリスキリングしていかなければ、会社の競争力がどんどん落ちてしまいます。

ベテラン社員の方は長くキャリアを培ってきたがために、従来の知識や価値観を捨て、新しく学び直す“アンラーン”が苦手と言われています。

これまでに経験したことが全くの無駄になるわけはないですが、これまでの常識や経験を真っ白にすることも大切です。

2.ベテラン社員をリスキリングするメリットは?

急激に変動する社会において、企業において競争の源泉となるミドルキャリアのベテラン社員をリスキリングすることは、成長力を向上させる上で重要です。

長年の経験を生かし、さらに時代にあったスキルを得れば、ミドルキャリア世代の従業員は、より企業の競争優位性を高める存在になり得ることでしょう。

また、株式市場でも人的資本に積極的に投資する企業が評価されつつあります。

2022年1月、岸田文雄首相は、「人的投資が、企業の持続的な価値創造の基盤であるという点について、株主と共通の理解を作っていくため、今年中に非財務情報の開示ルールを策定します」と施政方針演説で表明しています。

企業には、どれほど人に投資したのかを見える化することが求められており、大手企業を中心に人的資本経営の実践に向けた取り組みがはじまっています。自社の従業員のリスキリングに注力することにより、株式市場でも評価される流れが今後活発になっていくでしょう。

長年企業を支えてきた社員にさらに新たなスキルや強みを生かしてもらい、雇用を継続することは自社の企業価値の増大にも貢献する可能性があります。

また、採用候補者に自社の成長機会の魅力をアピールすることにもつながります。

労働市場において、若年層の割合が年々少なくなるに連れて求人倍率も増加を続け、採用難に苦しむ企業が増加することが予想されます。

若手社員にとっては、自社が長くまで面倒を見てくれる会社には愛社精神が増し、採用においても強みとなります。

ミドルキャリア世代のベテラン社員が生き生きと働ける環境を整えていれば、対外的に企業価値を高めていくメリットになるのです。

3.従業員のリスキリングをすすめる5つのステップ

従業員のリスキリングを推進する流れは以下のとおりです。

STEP1|必要スキルの明確化

まずスキルの観点で「社会でどのようなスキルが求められているのか」「自社に必要なスキルは何なのか」を明確化します。

先述のように急速にDXが進む今、社会に合わせて自社が成長していけるように、社会でどのようなスキルが求められているのかを明確にすることが重要です。

例えば、データに関するリテラシー、デジタル技術に関する知識など、まずは社会の変動を捉え、市場価値が高まるスキルが何なのかを明確化してください。

その上で、自社の成長に必要なスキルは何なのかを明確化します。自社の事業の形によって必要とされるスキルはさまざまです。

どのようなスキルがあれば自社の事業がさらに成長できるのか、社会的価値と自社での価値を勘案することが重要です。

STEP2|既存スキルの可視化

STEP2では、従業員の既存のスキルを可視化しましょう。従業員はさまざまな業務を通してさまざまなスキルを得ています。

どのような業務を通じて、自社の従業員がどのようなスキル、知識を得ているのかを確認し、1で可視化したスキルとの差分を確認するようにしましょう。

STEP3|教育カリキュラムへの落とし込み

STEP3は実際に教育カリキュラムに落とし込んでいく過程です。1と2によって明らかになった差分を埋められるようなカリキュラムを構築していきましょう。

カリキュラムの作成は多くの企業が自社で選定しようとする傾向にありますが、リスキリングでは自社にはノウハウが蓄積されていないスキルも学習の対象になります。

必要に応じて外部の専門家の協力を仰いだり、外部のコンテンツを活用することで、効率的なカリキュラム作成が可能になります。

STEP4|スキル活用の場の提供

STEP4ではリスキリングで得た知識を実際に現場の業務に落とし込むフェーズです。たとえ、何かのスキルを学んだとしても、実際に活用しなくては実務に生かせません。

そのスキルが発揮できる部署に従業員を異動させたり、スキルを生かすトライアルを行うなど、実践に近い環境で、実体験を積むことが重要です。

また、複業を解禁するなど、自社の外で自分のスキルを試せる場所を提供することも重要です。

社外で経験を積むことで、今まで気づかなかった自社の課題に気づき、改善できる場合もあります。複業を敵視するのではなく、社外で視野を広げる経験を提供していくことも大切です。

STEP5|人事制度への反映

STEP5では評価など社内の人事制度に反映します。挑戦が評価される文化を作らなければ、リスキリングのモチベーションが醸成できません。

しっかりと挑戦した従業員のリスキリングの結果だけでなく過程も含めて評価する仕組みをつくることで、従業員はさらに高いモチベーションでリスキリングに挑戦できます。

4.ライフシフトラボでのリスキリング成功例

ここでは、私たちが運営している45歳からの実践型キャリア自律スクール「ライフシフトラボ」の事例をご紹介します。

「ライフシフトラボ」は、複業デビュー成功率95%を誇る個人向けサービスで培った行動変容ノウハウを活かし、法人向けサービスを提供しています。

複業・社外越境デビューを足がかりに、ミドルシニア従業員様の活性化や自律的なキャリア形成を実現する、行動ファーストの支援パッケージです。

法人向けサービスでは、ミドルシニア向けキャリア研修を実施しているが、持続的な効果を実感できていない企業様や、ベテラン社員のモチベーション向上を図りたいが、現場任せになってしまっている企業様などに向け以下のようなサービスを提供しています。

多くのキャリア自律促進施策は行動支援まで行わなず、アクションを決めて終わりがち。行動にこそ価値があると考えて、サービスを提供しています。

ベテラン社員の中には掘り起こした今までの経験やスキルをどのように生かしたらいいかわからないという方が多い現状があります。しかし、実は場所を変えるだけで、スキルが生かせるようになる事例も多く存在します

例えば、複数の外資系企業で人事の経験があった方の事例です。人事のキャリアを積む中で、採用や人材育成、社内外への広報、企画など、さまざまな経験を積んできたゆえに、業務で強みを発揮できる軸が分からなくなってしまった方がいました。

自分の価値や強みを明確にするワークショップなども体験してきましたが、結局どのように自分の市場価値を発揮するのかが不明確なままになっていたんです。

ライフシフトラボでの受講をきっかけに、「従業員エンゲージメント向上サポーター」として独立することを決意。プログラム期間中に月額報酬40万円の複業案件を獲得できました。

初めはコーチのアドバイスに対して、内心半信半疑な気持ちがあったそうですが、アドバイス通りにプロフィールの修正やHP作成を行ったところオファーが舞い込み、立て続けに案件獲得に成功しました。

単純にスキルを生かす場所を変えることや、ベテラン社員は武器が複数あるからこそ、軸を決めて特化していく考え方が非常に大切です。

ライフシフトラボではキャリアコーチが伴走しながら、軸づくりからキャリア形成の一歩目まで一緒にチャレンジしています

5.リスキリングの実現に重要なキャリア自律の考え方

キャリア自律とは、自らのキャリアについて主体的に考えてキャリア形成に取り組んでいる状態のことを指します。

自発的にリスキリングの重要性を認識し個人で動き、セミナーやワークショップに参加する社員は少なくありません。しかし、リスキリングを実践しても「学んで終わり」や「考えて終わり」になってしまっている人も多いでしょう。

自分のスキルを棚卸しし、やりたいことを見つけるために自己分析することはとても大切ですが、行動に移せない方が多くなってしまっている現状があります。

リスキリングと言う単語は「スキルを再装着する」という意味ですが、装着していくこと自体に意味はなく、スキルを実際に使ってみないと何も始まりません。

従業員のリスキリングを推進するには、行動に移せるまでのプランをしっかりと練ることが重要です。

ときには、複業などの機会も提供し、報酬額に関わらず、自身のスキルが生かせるのか、価値を提供できるのかを試す機会を提供するのも良いでしょう。

リスキリングを推進する側も、実際に取り組む側も「学んで満足・考えて満足」ではなく「行動ファースト」を共通認識として持つことがキャリア自律につながるポイントです。

【豪華ゲスト多数登壇!】変化に負けない「強い組織」を育むためにHRが果たすべき役割を考える大型カンファレンス『HR NOTE CONFERENCE 2024』

「人的資本経営」「ウェルビーイング」「DEI」といったトレンドワードが、HR領域だけでなく社会全体に拡がり始めた昨今。自社組織に漠然と"停滞感"を感じ、うちは取り残されていないだろうか?」「何かやらないといけないのでは・・・といった不安や悩みを抱える人事・経営者の皆様も多いのではないでしょうか。

本カンファレンスでは、HR領域の有識者の皆様に、様々な組織課題を解決するためのアプローチ方法について解説いただきます。強い組織を育む企業が実践している事例には、組織強化に必要な考え方や人事が果たすべき役割について学べるポイントが多くあります。ぜひ有識者の皆様と一緒に、組織を強化する「共通原理」について考えてみていただければと思います。

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