昇格とは?昇進との違いや基準をわかりやすく解説 |HR NOTE

昇格とは?昇進との違いや基準をわかりやすく解説 |HR NOTE

昇格とは?昇進との違いや基準をわかりやすく解説

  • 組織
  • 人事評価

ステップアップする人

昇格とは、職能資格制度が導入されている企業において等級が上がることです。昇格の基準は企業によりさまざまで、制度の運用方法も幅広くあります。

そのため「昇格させるべき人材の基準がわからない」、「昇格を導入する場合の注意点は?」と悩む人も多いでしょう。

本記事では、昇格と昇進の違いや昇格の基準、昇格を導入する際の注意点を解説します。最後まで読むと、昇格の基準に設定すると良い項目や導入の注意点を把握できるでしょう。

【従業員の評価、適切におこなえていますか?】

人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。

しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。

本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
組織マネジメントに課題感をお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご確認ください。

人事評価のebook

ダウンロード

1. 昇格とは

昇格する人を選ぶ

昇格は、従業員を評価し等級を定める制度である職能資格制度が導入されている企業で、等級が上がる意味を持っています。昇格制度は会社からの評価が目に見えてわかるため、社員のモチベーションを引き出すために導入している会社が多いでしょう。

また、業務上の責任範囲の変化や昇給がともなう場合もあるため、昇格と同時に人事異動がおこなわれることもあります。昇格は公平に従業員を評価でき、優秀な人材を逃すことなく活躍の場を設けられる意味でも重要です。

2. 昇格と昇進・昇給・昇任の違い

人材戦略を考える

昇格と似ている意味を持つ言葉に、昇進・昇給・昇任があります。それぞれの言葉の意味は、以下の通りです。

昇格

役割や能力などのレベルである等級が上がること

昇進

係長から課長など社内での職位が上がること

昇給

給与が上がること

昇任

主に公務員の職位が上がること

2-1. 昇格と昇進の違い

昇進は、社内で空いたポジションに肩書きに適した人材が選ばれ、役職が上がることです。たとえば「係長から課長」、「課長から部長」のようにポジションが変わることを指します。

ポジションには限りがあるため、自身の等級が上がる昇格とは異なり、上の役職の人物が退職や異動をしなければ昇進は難しいでしょう。また、昇格すると必ず役職が上がるわけではなく、なかには等級のみ上がる場合もあります

2-2. 昇格と昇給の違い

昇給とは、給与がアップすることです。昇格により等級が上がることで、給与がアップするケースもありますが、等級と給与が結びついていない制度の場合、等級のみが上がり給与はそのままというケースもあるでしょう。

2-3. 昇格と昇任の違い

昇任は、昇進とほぼ同じ意味で用いられ、職位が上がることを意味しています。ただし、企業で働く社員に対しては昇進、公務員に対しては昇任という言葉を用いるのが一般的です。

3. 昇格の基準

昇格へのステップ

昇格の基準は大きく分けると以下の2つがあります。

卒業方式

試験などで現在の等級に求められる能力を満たした場合に、上位の等級に昇格

入学方式

上位の等級に求められる能力を満たした場合に、現在の等級から昇格

また、勤続年数や仕事の成果などを評価項目として設定するケースも多く、本人の希望も加味しながら昇格が決まります。

具体的には企業によって異なりますが、以下のように昇格の基準となるポイントを設定することが多いです。

  1. 継続的に成果を出している
  2. 目標の達成度が高い
  3. リーダーシップを持っている
  4. 資格を保有している
  5. 自発的に行動できる
  6. マネジメント力がある

3-1. 継続的に成果を出している

昇格させる人材が、1度だけではなく、継続して成果を出しているか否かが、基準になるポイントです。成果が1度だけだったり限定的だったりすると、昇格してから安定した成果を出すことが難しい可能性も出てくるでしょう。

たとえば、現在に至るまでどのような成果を出してきたか、繰り返し成果を出せているかを見ます。

継続して成果を出せている人は、昇格しても変わらず結果を期待できるため、長期的な視点で人材を評価することが大切です。

3-2. 目標の達成度が高い

昇格させる人材が目標を達成できているか否かが、基準になるポイントです。目標の達成度が低ければ、昇格後も目標に届かずチームに悪影響を及ぼすことも考えられます。

できれば目標を達成するまでの過程や達成できなかったときの対応も見ておくと、昇格後の従業員のイメージが湧きやすいです。

次のステップでもよりよい成果を出してくれるよう、これまで目標を達成できていたかチェックすると良いでしょう。

3-3. リーダーシップを持っている

昇格させる人材が、リーダーシップを持っているか否かが基準になるポイントです。リーダーシップがない場合は昇格後にチームをまとめられず、組織全体の活性化も期待できません。

そのため、ほかの従業員のやる気を引き出せるような人材か、周囲から信頼を得ているか、といった点にも注目すると良いでしょう。

リーダーが中心になってチームを導くことにより大きな成果につながるため、リーダーシップは必須の能力となります。

3-4. 資格を保有している

企業によって異なりますが、昇格の条件に資格の保有を設定するケースがあります。資格を保有しているか否かを昇格の基準に設定することで、分野の知識の有無がわかるメリットもあるでしょう。

あらかじめ昇格にはどのような資格を保有している必要があるか検討し、忘れず基準に含めなければいけません。

3-5. 自発的に行動できる

自発的に行動できることも、昇格させるかどうかの重要な判断基準です。より上の立場になると、与えられた仕事をこなすだけではなく、成果を出すために必要な作業を自ら考えなければなりません。

常に指示を待っているような状態では、昇格させたとしても仕事が効率よく進まなくなるでしょう。チーム全体のモチベーションが下がってしまう可能性もあります。

3-6. マネジメント力がある

昇格させる人材にマネジメント力があるか否かが、基準になるポイントです。

昇格後はチームの中心人物になり部下の指導をすることもあり得ます。マネジメント力がなければチームの成長が期待できません。

具体的には部下に的確な指示を出せるか、感情の起伏が激しくなく常に冷静な判断ができるかなどに注目しましょう。部下を育成し、マネジメントしていく能力があるかチェックすると良いです。

このように昇格の基準は様々ありますが、どの観点を重視して昇格の評価を行うか、年何回評価を行うのか、昇格の判断に向けていつ誰が評価を行うかなども決めなければなりません。

当サイトでは、人事評価制度を構築する際に決めなければならない観点を導入の流れに沿って説明した「人事評価の手引き」を無料で配布しています。ぜひこちらからダウンロードいただき、従業員の納得を得られる評価制度の構築にお役立てください。

4. 昇格する従業員を選ぶ手順

矢印のイラストがかかれた積木

昇格する従業員を選ぶ手順は、以下の通りです。

  1. 昇格の対象になる従業員の選定
  2. 小論文や適性検査、面接などの試験の実施
  3. 昇格者の決定
  4. 昇格者の発表

それぞれのポイントについて見ていきましょう。

4-1. 昇格の対象になる従業員の選定

まず、昇格の対象になる従業員を選定します。上司から推薦されていたり、ある程度勤続年数があったりする人を中心に選ぶ企業が多いです。

選定を効率よく進めるためにも、従業員が出している成果や保有している能力などを普段から観察しておきましょう。

4-2. 小論文や適性検査、面接などの試験の実施

従業員に対して小論文や適性検査、面接などの試験を実施します。試験を通して思考力や問題解決能力、リーダーシップ力などをチェックし、適性のある人材を絞ることが重要です。

試験を通して昇格の基準をクリアしているか、細かくチェックすると良いでしょう。

4-3. 昇格者の決定

小論文や面接の結果などを総合的に判断し、昇格者を決定します。主観的な判断とならないよう、客観的な基準に沿って判断することが重要です。

辞令を交付する場合は前もって準備しておきましょう。

4-4. 昇格者の発表

昇格者が決定したら、社内で発表しましょう。掲示板や社内メールなどで発表するのが一般的です。

発表をおこなうことで、昇格したことを周知できるだけではなく、従業員のモチベーションアップも期待できます。

5. 昇格試験の代表的な方法

昇格試験の代表的な方法としては、面接・小論文・適性検査などが挙げられます。それぞれの方法の特徴は以下の通りです。

5-1. 面接

面接は、昇格の対象となる従業員と直接対話することで、仕事に対するモチベーションや姿勢、今後の目標などをヒアリングする方法です。面接では、筆記試験ではつかみにくい従業員の人柄や仕事に対する考え方、コミュニケーション能力などを把握できます。

ただし、面接担当者の主観的な判断になりがちであるため、明確な評価基準を準備したり、複数の担当者で面接をおこなったりすることが大切です。

5-2. 小論文

小論文も昇格試験の代表的な方法のひとつです。仕事に関するテーマを決め、短い文章を書かせることで、論理的な思考力や文章力、発想力や問題解決能力などをチェックします。

今後のキャリアや目標、組織のなかでの自分の役割などをテーマとして、仕事に対する姿勢や熱意を把握するケースもあるでしょう。

5-3. 適性検査

適性検査とは、従業員のモチベーションやスキルを客観的に把握するための検査です。能力や適性を数値として把握することで、昇格させるべきかを客観的に判断します。

仕事に適した性格かどうかを測定する性格検査、仕事を遂行するための能力があるかを確認する能力検査、考え方の方向性を把握するための志向検査などがあります。

6. 従業員を昇格させるメリット

階段を上る人の足元

従業員を昇格させることで、以下のメリットが得られます。

  1. モチベーションの向上につながる
  2. 従業員の達成感が大きくなる
  3. 会社組織の発展に役立つ

それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。

6-1. モチベーションの向上につながる

能力が認められることで、従業員のモチベーションアップが期待できます。成果を出していても能力が認められなかったり、待遇が変わらなかったりすると、努力しようとする意欲が低下しやすいです。

昇格させることにより待遇面の不満や仕事上のもの足りなさが払拭され、モチベーションが上がり意欲も出ます。モチベーションが向上するとパフォーマンス力の向上も期待できるため、さらに成果を出せるでしょう。

6-2. 従業員の達成感が大きくなる

昇格させることで責任のある重要な仕事を任せられるようになり、従業員の達成感も大きくなります。達成感があると仕事のやりがいを感じられるため、意欲のあるポジティブな状態で仕事ができるでしょう。

また、昇進すれば業務上の決定権や人事権が認められ、これまでできなかった仕事を任せられます。そのため従業員の充実感にもつながりやすいです。

6-3. 会社組織の発展に役立つ

昇格により会社組織の発展も期待できます。

昇格させると裁量が大きくなるため、優秀な人材が活躍しやすいです。適性のない人物にチームをまとめる役割を持たせると、悪く作用する可能性も高まります。

優秀な人材がマネジメントすることで、ほかの従業員も働きやすい環境を作れるでしょう。その結果、社内の士気の向上など周囲にも良い影響を与え、環境を整えることにもつながり、会社全体の生産性向上が期待できます。

優秀な人材を昇格させると、ほかの人材や組織全体にポジティブな効果をもたらし、組織が活性化するでしょう。

7. 昇格を導入する注意点

注意を表すモチーフ

昇格を導入する際の注意点は以下の通りです。

  • 昇格の基準を明確にしておく
  • 昇格とともに賃金を上げる場合はあらかじめ明確に定めておく
  • ワークライフバランスの乱れに注意する
  • 適切なサポートをおこなう

それぞれの注意点について簡単に確認しておきましょう。

7-1. 昇格の基準を明確にしておく

1つ目の注意点は、昇格の基準を明確にしておくことです。昇格の基準を明確に設定していなければ、曖昧な評価になりかねません。

昇格試験では小論文や面接などを実施することが多いですが、試験ごとに昇格の基準を決めておく必要があります。

昇格を導入する際には、どのような能力を持つ人材を昇格させるか事前に話し合い、明確にしておきましょう。

7-2. 昇格とともに賃金を上げる場合はあらかじめ明確に定めておく

昇格とともに賃金を上げる場合は、あらかじめ明確に定めておくことも重要です。昇格の際には昇給がともなうケースもあります。

どのくらい昇給するのか事前に定めておかなければ、慌てて対応することになりかねません。そのため昇格とともに昇給させる場合は、あらかじめ金額を明確に定めておいてください。

7-3. ワークライフバランスの乱れに注意する

従業員を昇格させるときは、ワークライフバランスの乱れに注意しましょう。昇格は従業員にとって喜ばしい出来事ではあるものの、急に仕事量が増えたり、難しい作業をこなす必要があったりして、残業が増えるケースもあります。

ワークライフバランスが乱れて従業員が過度のストレスを感じることや、休日出勤が頻発することがないように、業務配分には十分注意しましょう。

7-4. 適切なサポートをおこなう

従業員を昇格させるときは、適切なサポートをおこなうことも大切です。急に昇格すると、新しい仕事内容やポジションに慣れておらず、戸惑う場面も多いでしょう。

もちろん従業員本人が努力することも大切ですが、必要に応じてサポートをおこなうことで、新しい仕事をスムーズにこなせるようになります。

8. 基準を明確にしたうえで昇格を実施しよう!

今回は、昇格の意味や基準、従業員を昇格させるときの流れについて解説しました。基準を明確にしたうえで昇格を実施すれば、従業員のモチベーションを高めたり、組織力を強化したりすることが可能です。昇格させる際は、面接や小論文などの試験をおこない、従業員のスキルや適性を把握するとよいでしょう。

ただし、従業員を昇格させるときは、ワークライフバランスの乱れに注意しなければなりません。慣れていない仕事に戸惑い、ストレスを感じることが増えすぎるのは問題です。適切なサポートをおこないながら、従業員の成長を促しましょう。

 

【従業員の評価、適切におこなえていますか?】

人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。

しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。

本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
組織マネジメントに課題感をお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご確認ください。

人事評価のebook

ダウンロード

人事業務に役立つ最新情報をお届け!メールマガジン登録(無料)

HR NOTEメールマガジンでは、人事/HRの担当者として知っておきたい各社の取組事例やリリース情報、最新Newsから今すぐ使える実践ノウハウまで毎日配信しています。

メルマガのイメージ

関連記事

セルフマネジメントとは?自己管理能力を高めるポイントを解説

セルフマネジメントとは?自己管理能力を高めるポイントを解説

「セルフマネジメントってどういうこと?」 「自己管理が上手くなるコツは?」 上記のような疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。 セルフマネジメントとは、自分の時間や感情、行動をコントロールするスキルのことです。 […]

  • 組織
  • タレントマネジメント
2024.12.20
HR NOTE 編集部
中小企業における仕事と介護の両立支援|人事ができる“仕事と介護の両立”支援の実践ポイント♯16

中小企業における仕事と介護の両立支援|人事ができる“仕事と介護の両立”支援の実践ポイント♯16

これまで、経済産業省の「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン」に基づき、先進的な取組をしている企業の事例とその解説を紹介してきました。 仕事と介護の両立支援を推進することで、従業員の生産性低下や介護離職を防 […]

  • 組織
  • ダイバーシティ&インクルージョン
2024.12.16
金井一真
仕事と介護の両立と人的資本経営②|人事ができる“仕事と介護の両立”支援の実践ポイント♯15

仕事と介護の両立と人的資本経営②|人事ができる“仕事と介護の両立”支援の実践ポイント♯15

ここまで経済産業省「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン」に基づき、各社の事例の紹介やその解説を行ってきました。 そして前回は、仕事と介護の両立の取り組みを人的資本経営の一環としてどのように位置付ければよい […]

  • 組織
  • ダイバーシティ&インクルージョン
2024.12.09
金井一真
ホーソン実験とは?内容・結果・企業での活用例を簡単に解説

ホーソン実験とは?内容・結果・企業での活用例を簡単に解説

「ホーソン実験とは何に関係する実験か知りたい」 「ホーソン実験でわかったことを知りたい」 上記のような疑問をもつ方も多いでしょう。 ホーソン実験とは、労働者の生産性に影響を与える要因について調べるために実施された複数の実 […]

  • 組織
  • タレントマネジメント
2024.12.02
HR NOTE 編集部
仕事と介護の両立と人的資本経営①|人事ができる“仕事と介護の両立”支援の実践ポイント♯14

仕事と介護の両立と人的資本経営①|人事ができる“仕事と介護の両立”支援の実践ポイント♯14

ここまで経済産業省「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン」に基づき、各社の事例の紹介やその解説を行ってきました。 本項では、仕事と介護の両立支援が、企業における人的資本経営や健康経営、DEIの視点にどのよう […]

  • 組織
  • ダイバーシティ&インクルージョン
2024.12.02
金井一真

人事注目のタグ