企業パーパスの浸透のカギは哲学対話!電通と東大が開発「マイパーパス策定プログラム」体験レポート |HR NOTE

企業パーパスの浸透のカギは哲学対話!電通と東大が開発「マイパーパス策定プログラム」体験レポート |HR NOTE

企業パーパスの浸透のカギは哲学対話!電通と東大が開発「マイパーパス策定プログラム」体験レポート

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※本記事は、主催企業や登壇者/登壇企業に内容を確認のうえ、掲載しております。

昨今、社会における自社の存在意義であるパーパスを策定する企業が増えています。

その一方で、従業員は企業が策定するパーパスを自分ゴト化し、日々の業務や働き方に落とし込み、モチベーション高く働くことができているでしょうか。

パーパスが従業員に思うように浸透しない、あるいは、日々の業務での実践につながらないという悩みを抱えている企業が増加しているようです。

またVUCAの時代、従業員にも自ら考える力や、自身の行動指針は必要ともいえるでしょう。

このような背景を踏まえ、電通が「哲学対話」というアプローチで、従業員が自らのパーパスを考える「マイパーパス策定プログラム」を、哲学対話で定評のある東京大学の堀越氏と開発

企業のインナー研修にも活用されている本プログラムの体験会が開催されました。

【登壇者紹介】堀越 耀介 | 東京大学UTCP 特任研究員/独立行政法人日本学術振興会 特別研究員

企業研修や企業の課題解決において哲学コンサルティング・哲学対話の講師を務める。企業に向けて哲学研修・哲学コンサルティングを実施。著書に『哲学はこう使う:哲学思考入門』がある。

【登壇者紹介】中町 直太 | 株式会社電通 シニア・コンサルティング・ディレクター

2001年株式会社電通に入社。入社後、マーケティングプロモーション局・営業局を経て、現在は第4統合ソリューション局でコーポレートブランドコンサルティング/広報コンサルティングを専門とする。

当日集まったのは、主にフリーランスの広報として活動する約10名。

プログラムは、パーパスの基礎知識やマイパーパスの説明、哲学対話の考え方、また、円になり膝を突き合わせて哲学対話を実践するワークショップやその発表、フィードバックなどで構成されています。

ワークショップは「アイスブレイク」「フリーランス広報の社会的意義とは何か?」「自分への問い・キーワードを見つける」といった3つの内容が用意されていました。

「マイパーパス」は従業員が社会的価値を持って働くことにつながる

企業・ブランドの存在意義であるパーパスは、社会に対してどのような価値を生み出し、貢献していくのかを示すものです。それは、事業・ブランディング・マーケティングなど各種企業活動の 全てのレイヤーに通底するものでもあります。

 

そして従業員においても、顧客への提供価値だけではなく、社会的価値の視点が必要になっています。マイパーパス(個人にとってのパーパス)とは、社会・世の中における「自ら」の存在意義

なぜ働くのか、社会・世の中において、自分のやりたいこと・できることがどのような「社会的な価値」を発揮できるのかを考えることが重要です。

マイパーパスを策定することで、企業・従業員双方が社会に対して高い価値を生むことができます。企業側が、従業員のマイパーパスを考える場を提供することが大切ではないでしょうか。

なぜマイパーパスの策定に哲学対話のアプローチが有効か?

欧米を中心に企業理念の策定や組織開発、社員研修、マーケティングなどの領域で、哲学的な思考法や対話を通じて課題解決を図る「哲学コンサルティング」が広がりはじめ、日本でも関心が高まっています。

特に、哲学の知識を前提とせず、組織の構成員が一つの問いに対して哲学的な態度で思考や対話を深めていく「哲学対話」は、企業や教育現場、自治体などさまざまな場で実践されているようです。

哲学と聞くと難しく捉えられるかもしれませんが、ここでいう哲学対話は、哲学的な思考のフレームワークを通じて、自分を主体とした捉え方で考えるということです。

哲学とは本来、本当のことはなにか?と問いかけること。問いを作り、それを疑って自分達で考えていくという思考法を組み込んだ対話です。

議論や討論とはどう違うのか?それは、その先に答えがあるかもしれないし、ないかもしれないということにあります。

合意や結論を見据えて話をするものの、結論にたどり着かなくてもいいのです。答えがあるかはまだわからないことに対し、問いかけ続けることで、自分のことを知り、パーパスが浮き彫りになってきます。

また、意見や立場は変わっても問題ありません。むしろ変わることを楽しんだり、分かった気になるのではなくモヤモヤすることのほうが大切なのです。どんなことでも自由に話して良いですし、データも関係ありません。

つまり、議論よりも従業員が参加するハードルが低いものだと考えて良いでしょう。

今回のワークショップでも、参加者から最初はあまり出てこなかった質問が、プログラムが進むにつれて時間が足りないほどに盛り上がっていました。

特別ワークショップを体験<レポート>

今回はフリーランスの広報担当者向けに特別にワークショップが開催され、「フリーランス広報の社会的意義とは何か?」というテーマが設定されていました。

社会的意義を問われた参加者は、「小回りが利く、客観性」「可能性」「好きを原動力にできる」など1人ひとり発表し、他の参加者やファシリテーターを担う堀越氏から質問や意見などが自由に投げかけられていきます。

発表者が答えを考え探していく過程で、自身の仕事が社会においてどのような価値を生んでいるのか、そもそも、なぜ働いているのかを深掘ったり、対話自体は「そもそも社会的意義って何だっけ?」など自由に方向転換されていきました。

その後「キーワードを見つける」というパートでは、参加者自身が大切にしていることを具体的なキーワードに落とし込んでいきます

これが、まさにマイパーパスを探すステップになります。そこでは、「可能性とマッチング」「共感とストーリー性」「変化をつくる」などキーワードが見られました。

最後に「自分の問いをみつける」というワークが用意されており、そのキーワードを疑問形で考えるというものです。

あえて、疑問文の形式で書き上げることで、自身の中にそのテーマが残り、態度に現れていくといいます。前述のキーワードを挙げた参加者は「広報パーソンのスタンスをどう伝えるか?」「その仕事は楽しいのか?」「ちょうど良い変化とは?」というマイパーパスにたどり着いていました。

近年ではリモートワークを推奨する企業も増加していますが、いつも顔を合わせている従業員同士ですら、なかなかこのようにフラットな対話をする機会は少ないでしょう。

「マイパーパス策定プログラム」を取り入れることで、対話を通じて個人の存在意義を考える機会を作ってみてはいかがでしょうか。

問いを立てる力と対話が個人と企業の力になる<登壇者コメント>

「この先も様々なことがAIで処理できるようになります。そのような時代でも、何が重要かは、人間が決めるしかありません。そのなかで自分達がどのように生きたいか、企業でどのような問題に立ち向かっていくかを考えるうえで、哲学的な素養は必要になってくると考えています。考えて表現することや、言語化の向上を図るプログラムを企業が取り入れていくことで、その一助になるといいなと思います。」「人的資本経営に注目が集まる中、従業員エンゲージメントの向上がより重要になってきます。人を大切にする企業風土の醸成は、対話によるコミュニケーションがベースになっていくのではないでしょうか。コロナ禍を乗り切り、この時代だからこそ対話の力で組織力の底上げを図る企業の力になれたら嬉しいです。」

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