事業成長に欠かせない内発的動機の高め方#ベストモチベーションカンパニーアワード2021~中堅・成長ベンチャー企業部門~ |HR NOTE

事業成長に欠かせない内発的動機の高め方#ベストモチベーションカンパニーアワード2021~中堅・成長ベンチャー企業部門~ |HR NOTE

事業成長に欠かせない内発的動機の高め方#ベストモチベーションカンパニーアワード2021~中堅・成長ベンチャー企業部門~

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※本記事は、主催企業や登壇者/登壇企業に内容を確認のうえ、掲載しております。

株式会社リンクアンドモチベーションは、2021年3月9日(火)に「ベストモチベーションカンパニーアワード」を開催。

本イベントは、2020年にリンクアンドモチベーションの従業員エンゲージメント調査を実施した企業より、企業と従業員の相互理解・相思相愛度合いを示す指標である、「エンゲージメントスコア」の高い企業10社を選出し、表彰するものです。

新型コロナウイルスの感染症拡大をきっかけに、日本企業の働き方は大きく変化しています。

この変化に適応し、企業として新しい価値を創造していくには「組織力」を高めることが重要です。

本記事は、中堅・成長ベンチャー企業部門(2,000名未満)の授賞式の様子と、受賞企業によるトークセッションの内容を再編し、ご紹介します。

1,ベストモチベーションカンパニーアワード2021

組織戦略のものさし「エンゲージメントスコア」とは?

エンゲージメントスコアとは、企業と従業員の相互理解・相思相愛度合いを数値化した指標です。

テストに偏差値、ダイエットに体重計があるように、効果的な活動には、「ものさし」が必要です。

企業活動においては、事業戦略推進のものさしとして「財務諸表」があるように、リンクアンドモチベーションは、組織戦略を推進するための「ものさし」として、「エンゲージメントスコア」を2000年に開発しました。

組織改善を支援する「モチベーションクラウド」

モチベーションクラウドとは従業員エンゲージメント向上を支援する組織改善サービスで、現在、エンゲージメント市場において国内シェアNo,1となっています。

このモチベーションクラウドを通じて、組織状態を定量化・可視化(現状把握)し、目標設定、実行促進、進捗確認というサイクルを回すことで、組織改善を実現していきます。

なお、モチベーションクラウドには7,350社、183万人(2021年3月時点)という日本最大級のデータが蓄積されています。

データの中身として会社項目8つ、上司項目4つ、職場項目4つの計16の領域にて構成されています。

エンゲージメントサーベイの特徴としては、「期待度」と「満足度」の2軸で質問が構成していることです。

従業員満足度をただ測定するだけではなく、従業員が会社に求める「期待」についても合わせて調査することによって、本質的な組織課題を把握することができます。

2,【中堅・成長ベンチャー企業部門】表彰式|受賞企業3社をご紹介

それでは、中堅・成長ベンチャー部門の第3位~第1位の受賞企業の発表と、受賞者からのコメントを紹介していきます。

第3位:株式会社LIFULL

株式会社LIFULL(ライフル)は、2003年からサーベイを継続し、2017年にアワード1位を獲得しました。

その後は組織の人数が増加し、マネジメントの難易度も上昇。

そのような中、人事ではなく、各部門長が主体的に組織改善のPDCAを回す仕組みを全社的に構築。

2020年においてはコロナ禍による影響を受けながらも、ハイブリッドワークや新しいコミュニケーション施策などの実施に注力しました。

その結果、エンゲージメントスコアは過去最高値を獲得。ミドルや現場が主体性をもって様々なプロジェクトを推進する組織づくりに成功しました。

事業面でも昨年1回目の緊急事態宣言解除後、主力事業である不動産・住宅情報サイトLIFULL HOME’Sの顧客数は過去最高水準に達しました。

【受賞コメント】
羽田 幸広 氏|執行役員 CPO 人事本部長

2003年から組織の健康診断ということでエンゲージメントサーベイを実施しています。

現在は年2回測定していますが、調査を繰り返すことで経営陣や管理職だけでなく、メンバーも主体的にエンゲージメントスコアを高めようと動いてくれるようになりました。

弊社は、「あらゆるLIFEを、FULLに。」というコーポレートメッセージのもと、78億人のLIFEを幸せで満たしていく事業をたくさん作っていこうと考えています。

その「あらゆるLIFE」には、もちろん社員のLIFEも含まれていますので、社員の人生・仕事の充実についても大切なテーマとして取り組んでおります。

今後も企業を取り巻く環境は大きく変化を続け、リモートワークや副業、仕事とプライベートとの両立などさまざまな変化への対応を迫られます。

特に、仕事とプライベートの調和のための組織戦略が非常に重要になっていくと思います。

これからも本イベントに参加されている皆様と切磋琢磨しながら、仕事や人生に充実感を感じる社員を増やし、経営理念の実現に向け邁進してまいります。

第2位:株式会社ノースサンド

導入当初から、エンゲージメント・レーティングはAAと高い水準でした。

しかし、企業として大切にしてきたはずの「理念の現場浸透度」の満足度は、最大5ポイント中3.1ポイントと低く、会社が急成長する中で、大切なものが言語化されていないことに危機感がありました。

そのような中で、改めてノースサンドが大事にすべきものを、「8Rules」として再策定。表彰式などの施策を実施して「8Rules」の趣旨浸透を推進してきました。

その結果、エンゲージメント・レーティングはAAAまで改善。「理念の現場浸透度」の項目も満足度4.3まで向上しました。

現在は現場メンバーの主体性を生かした「クエスト制度」など、経営陣ではなく、現場が会社を創る組織へとさらなる変化を遂げています。

【受賞コメント】
佐々木 耕平 氏|取締役 執行役員 人事担当

弊社では、ITを中心としたコンサルティングサービスを提供しています。

コンサルティングファームというと、スキルが全てと思われがちですが、私たちは創業当初から「人間力」が必要と信じてサービス提供をおこなってきました。

「人間力」とは、情熱、相手に対しての思いやり、仲間との絆、チャレンジ精神、感謝の心だと思っています。

この考えを明文化し、言い続ける、伝え続けることを愚直にやってきました。

創業5年の会社ですが、モチベーションクラウドという素晴らしいサービスに出会うことができて、2年をかけてこのような結果に繋がったことを大変嬉しく思います。

この成功体験を社の歴史に刻み、一喜一憂せずにさらに高い目標を掲げて、コンサルティング業界唯一の理念経営にチャレンジしていきたいと思っております。

第1位:株式会社メッセホールディングス

株式会社メッセホールディングスのモチベーションクラウド導入当初のエンゲージメント・レーティングはBBBでした。

当時の経営陣と幹部は、一枚岩化とは程遠い状態でした。そのような中、リンクアンドモチベーションとともに、組織改革を断行。

新理念「メッセフィロソフィ」を策定し、あらゆる判断・行動を理念に紐づけることで従業員一人ひとりが理念に基づいた行動をするようになりました。

その結果、エンゲージメント・レーティングもわずか3年でAAAに上昇。幹部社員の育成も推進され、経営と現場をつなぐ存在が社内に数多く誕生しました。

事業面においても、パチンコ事業では、大きな事業成長を実現し、理念に基づく「居場所ビジネス」を展開すべく、新規事業も複数展開しています。

全ての従業員が理念に基づいた判断行動ができるようになり、業界他社からも注目される組織へと変貌を遂げました。

【受賞コメント】
宮本 茂 氏|専務取締役

パチンコ業界に入り、10年経ってわかったことは、パチンコ事業は人が根源的に持つ射幸心という欲求を、適度に適正な環境で満たしていること、そして多くの人々を孤独から救い、居場所となっていることでした。

コロナ禍の2ヶ月の休業明けは、お客様から「寂しかった、会いかったよ」と嬉しいお言葉をいただき、事業の本質を再確認することができました。

パチンコ産業がなければ、アンダーグラウンドで賭博が起きたり、孤独を抱えた寂しい方々が増えたりするかもしれません。

そこで私たちは、射幸心と孤独を解消するという、誇り高い事業をおこなっているのだと肝に銘じ、心を一つにして日本一の組織を目指そうと決意しました。

経営理念、行動指針を策定し、全従業員が3年間謙虚に素直に変化し、真剣に取り組んできたことが今日の結果です。

心が不安定な令和は、心の産業の時代になると私たちは考えています。

私たちは心の産業で世界一の居場所を作ることで、令和の日本を明るく前向きに変えていきたいと思っています。

3,トークセッション「モチベーションカンパニーづくりの秘訣とは」

本アワードの後半では、株式会社LIFULLの羽田様、株式会社メッセホールディングスの宮本専務にご登壇いただき「モチベーションカンパニーづくりの秘訣とは」というテーマでトークセッションをおこないました。

株式会社LIFULLのモチベーションカンパニーづくりへの取り組み

なぜ従業員エンゲージメントを大事にしようと思われたのでしょうか。

エンゲージメントは、「挑戦の原資」だと考えています。

当社はあらゆるLIFEをFULLにするために、基幹事業である不動産情報サービスをベースに、海外展開、新規事業の立ち上げなどを積極的におこなっています。挑戦の原資であるエンゲージメントを高め、増やすことによって、社員からの新規事業提案や改善提案が沢山なされることを期待しています。

よって、経営理念を実現するためにエンゲージメントへの取り組みは必要不可欠となっています。

そして、社員のWellbeingの観点でも、エンゲージメントは重要だと考えます。

Wellbeingは、良い人生を送る、人生の充実といった意味合いがあります。

この実現のためには、仕事の充実感も大切で、仕事の充実感のためには内発的動機(人の内側から出る「これをしたい」という欲求)をもとに働くことが大切だと考えます。

内発的動機に基づいて仕事をしてもらった結果、社員が自発的に楽しくワクワク仕事ができるようになり、エンゲージメントの数字が上がる。

そして、思い切り仕事ができるとWellbeingにつながる。このように経営理念の実現のため、そして社員がWellbeingになるために、エンゲージメントを高めようと考えています。

ありがとうございます。それでは次の質問です。2020年のコロナ禍では、事業・組織にどのようなインパクトがありましたか?

コロナ禍になり、事業に関連することと組織に関連することの2つの動きがありました。

まず、昨年の4月に緊急事態宣言が発令されたタイミングで、業績予想の下方修正を早めに出すことを経営陣で決定しました。

緊急事態宣言が延びると、基幹事業のLIFULL HOME’Sをはじめ海外事業にも影響があると考えたためです。

ただ、社内では「ピンチをチャンスに」と声をかけ合いながら、このタイミングだからこそ前向きにオンライン化をはかって事業を伸ばしていこうと考え、たとえばLIFULL HOME’Sでは、住まいを探すお客様や不動産会社様の安全も守るために、物件見学や契約手続きをオンラインでおこなえるサービスを積極的にご提供していきました。

2つ目のインパクトとしては、ハイブリッドワーク(オフィス勤務と在宅勤務の混合)です。

緊急事態宣言中は原則として在宅勤務とし、今後、宣言が解除された後についても、基本的にはオフィス勤務3日、在宅勤務2日と、ハイブリッドワークを継続していく予定です。

続いての質問です。コロナ禍でエンゲージメントスコアを維持・向上させていますが、具体的にどのような取り組みをされたのでしょうか。

一言で説明すると、社員を大切にしました。

たとえば、去年の春に休校要請が出たときに、即座に子育て中の社員を支えるために特別有給制度を設けたり、お子さんと一緒に出社することを許可したりしました。

もともと育児・介護・自分の病気などの理由があれば在宅勤務を認めていましたが、2020年の春から、全社員が在宅勤務できるようルールを変更しました。

また、在宅勤務への変更に伴う通勤交通費等のコスト改善を踏まえ、正社員の月例給与を約10%増額する等、社員の給与のベースアップをおこないました。

緊急時の体制変更に、即座に対応してくれた社員に対して、僕ら(会社)も応えていくよというスタンスで、社員を大切にしてきました。

株式会社LIFULLの在宅勤務について

ハイブリッドワークに伴い、在宅勤務をベースとした勤務ルールも新たに策定しました。

在宅勤務になると、短期的には体調不良者が出たり、目標設定や評価設定をどうするのか?と悩む方もいると思います。

もう少し長期的な視点で考えると、社員の心理的安全性が減少していく懸念も出てきます。

また、在宅勤務では、社内での出会い頭で発生していたコミュニケーションがなくなり、雑談や部門を超えた知と知の交流も減少します。

そこで、在宅勤務のコミュニケーション量を全社で揃えるために、スライドにあるような「新しいコミュニケーションのルール」を策定しました。

特に、オンライン推奨の「サークル活動」は70を超えるサークルが立ち上がり、予想以上に人気でしたね。

在宅勤務の中でも、部門の壁を超えたコミュニケーションを生むことができると実感したと共に、安定した情報流通量を確保できたと思っています。

最後のご質問です。ずばり、従業員エンゲージメントの高い企業をつくる秘訣について教えていただけますでしょうか。

エンゲージメントを高めるためにはどうしたらいいか?と、普通に考え、正面から取り組むのが秘訣だと思います。

「普通に」というのは、とてもシンプルで「自分がやられたくないことはやらない」といった考え方です。

逆に、「コロナ禍では社員は何をしてもらったら嬉しいかな」と普通に考え、一つずつできることを一生懸命にやっていく。

それを継続していくことが、エンゲージメントの高い企業を創るうえで大事なことだと思います。

「普通に取り組む」を、もう少し嚙み砕いてご説明すると、経営理念に対して「一貫」した経営をおこない、一貫した採用をおこなうことが大切だということです。

経営理念を実現するために会社をつくっていますので、その経営理念を実現するための戦略や組織を創り、それに共感してくれる同志を採用する。

企業カルチャーも、経営理念実現に必要なカルチャーを策定したうえで育てていきます。

もし経営陣が言っていることと、実際の業務の実態が異なっていれば、社員に「聞いていたことと違う」「一貫性がない」と感じられてしまい、社員のやる気も下がってしまいます。

自分たちが掲げた看板に対して、一貫した経営と採用をおこなうことが、何より大事だと思っています。

そのほかにも、人間は基本的に、自ら選択して自らの意思で仕事を進めていけるとやる気が高まると思いますので、「自律」を促すことは重要だと思います。

また、自律を促すためには、会社と社員、そして社員同士が「信頼」し合っているという点がとても重要です。

一貫性のある経営をおこない、社員の自律を促し、社員と会社、社員同士の信頼関係を構築することが、エンゲージメントを高めるポイントだと思っています。

株式会社メッセホールディングスのモチベーションカンパニーづくりへの取り組み

続いてのトークセッションは、パチンコ事業を中核事業として、事業展開をしているメッセホールディングスの宮本専務にお話を伺っていきます。

直近のエンゲージメント・レーティングは、図のとおり綺麗に右肩上がりとなっています。この急成長の秘訣について質問していきたいと思います。

はじめに、なぜ従業員エンゲージメント向上に取り組み始めたのか、背景をお伺いできますか?

今から10年ほど前、業界規制の変更があり、大きく売上が下がった時期がありました。

このとき私たちは、利益を出すために早期退職制度を導入したのですが、社内の雰囲気が一気に暗くなり苦しい局面となりました。

これを機に経営の大方針として「大家族主義」を打ち出すようになり、「企業経営の目的は従業員の幸福である」と考えを改め、利益は目標達成のための手段だと定義づけました。

「大家族」が、従業員エンゲージメント向上へのキーワードということですね。今回のコロナ禍では、事業・組織にどのようなインパクトがありましたか?

2020年4~5月は全店舗の休業、そして4~9月は創業以来最大の赤字となりました。

一部、マスコミによる報道でパチンコ産業そのものを否定されるなど、かつてない打撃を受けたのも事実です。

しかし私たちは、全店舗休業で利益が立たない時期でも、家族である社員を守るために、正規社員とアルバイトも含めてほぼ100%の給与を支払いました。

人件費と地代がほぼ変わらないので、もう創業以来の大赤字になりましたね。

しかし、このような危機的状況を乗り切るために、日頃から資金や組織力を蓄えるべきなのだと、実体験をもって理解することができました。

そのほかの取り組みとしては、コロナ禍の休業期間は社員の給与を保証しつつ、社員の自己育成期間と定義して、理念浸透を目的とした推薦図書の共有もしました。

先日、宮本専務に秘密で、我々の取材班が抜き打ちで店舗の取材に伺わせていただきました。

そのとき大変驚いたのですが、アルバイトスタッフの皆さんが当たり前のように経営理念の言葉を使い、経営理念に沿った施策の提案などに取り組まれていました。

ここまで理念を浸透させるのは驚異的だなと感じたのですが、どのようにして理念浸透を促したのでしょうか。

時間はかかりましたが、まずは自分自身が理念を体現している姿を見せること、シンプルにそれだけだと思います。

きちんと自分自身が取り組んでいれば、自分の直属の部下から、さらに先の社員にまで、経営理念は伝わると思っています。

そして、社員の先にいるお客様にも伝わることで、この組織と事業が成立していると理解しています。

社員の皆さんが、内発的動機を持って入社しているのが武器だと思いました。

それぞれが、「どうしてメッセなのか」という理由を明確に持って入社していることが、強い組織を創る大前提だと感じました。

率先垂範するというのが本当に大切だということですね。

LIFULLの羽田氏も井上社長の背中を見て、経営者としての行動を取られているのと同様に、メッセホールディングスではアルバイトスタッフの方含めて働く皆さんが、宮本専務にならって、経営理念に基づいた判断をしているのが素晴らしいですね。

最後の質問です。従業員エンゲージメントの高い企業を作る秘訣について教えていただけますか?

エンゲージメントの高い企業を作るためには、家族のように仲間を大切にすることが重要だと考えています。

メッセホールディングスの経営指針の一つに、「家族のように、仲間を大切にする」というものがあります。

これはどの会社も同じように理想として掲げていることだと思いますが、本気で取り組めている会社は少ないと思います。

もちろん社員と家族のどちらが大事かと問われれば、家族を選ぶのも当然です。

しかし、「家族がもっとも大事」という前提を理解したうえで、限りなく家族に近い形で(会社の)仲間を大事にしようと、自分たちで言い聞かせているのです。

 

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