企業の成長には経営や事業の計画を進めていくことが大切です。そのためには目指すべきゴールを決めて、全社で向かっていく必要があります。その際に活用できるのが目標管理シートです。目標管理シートを活用することで、従業員の目標について管理しやすくなります。
この記事では目標管理シートの書き方や作成上の注意点などを紹介します。
1. 目標管理シートとは?
目標管理シートとは設定した目標や進捗、工程、達成度、目標達成した際のフィードバックがまとまった1枚のシートです。設定した目標はもちろんのこと、工程、達成度などをシートで文書化することで、目標の達成までの道のりが可視化されるため、効率的な管理が可能になり、客観的な人事評価が下せるようになります。
また、目標管理シートがあることで、目標の進捗が把握しやすくなるため、上司部下とのコミュニケーションコストが削減できます。
目標管理シートは目標管理制度と呼ばれる組織マネジメント手法にて用いられます。
1-1. 目標管理制度とは?
目標管理シートを用いる目標管理制度とは、経営学者ピーター・ドラッカーが提唱したマネジメント手法で、MBO(Management by Objectives)としても知られています。目標管理制度では従業員に目標を設定してもらい、進捗や達成度合いで人事評価をします。
目標管理制度を導入することで、従業員は自発的に行動するようになり、スキルの向上が期待できます。
2. 目標管理シートの書き方
目標管理シートを書く際は達成する目標を明確にしておくことが大切です。明確にした目標に対して、従業員に達成するためにはなにが必要かといった課題や問題点を洗い出すように促しましょう。目標は抽象的ではなく、数値として把握できるものを設定することが重要です。
目標管理シートには目標以外にも次のような項目の記載欄を用意します。
- 達成計画:目標を達成するまでの計画を記載する
- 評価基準:設定した目標を評価する基準を記載する(〇〇以上なら〇評価など)
- 評価欄:評価基準以外にスケジュールの遵守などの評価を記載する
- フィードバック欄:管理者(上司)がフィードバックを記載する
また、目標達成の期日を設けておきます。
職種によっては目標が数値化できないケースもあります。そのため、職種に応じた目標を設定するようにしましょう。ここでは次のような職種における目標管理シートの書き方について紹介します。
- 営業職
- 事務職
- 技術職
- クリエイティブ職
2-1. 営業職は目標を数値化しやすい
営業職は売上と関わるため、目標を数値化しやすい職種です。そのため、目標設定シートにも具体的な数値を盛り込んだ目標を記載するように従業員に促しましょう。
2-2. 事務職は定性的な目標も盛り込む
営業職に対して、事務職は目標に具体的な数値を盛り込むのが難しい職種です。そのため、数値にとらわれず、定性的な目標であっても公平に評価できるような基準を設けましょう。
2-3. 技術職は技術力向上などを目標に盛り込む
技術職も数値化できる具体的な目標以外の目標が盛り込まれることもあります。たとえば、技術力の向上や顧客満足度の向上などの目標を設定します。
2-4. クリエイティブ職は定性的な目標も混ぜる
クリエイティブ職のなかには、数値化できる業務もあります。しかし、数値化できない業務もあるため、具体的な目標と定性的な目標とを織り交ぜるようにしましょう。
3. 目標管理シートを作成するときの注意点
目標管理シートを作成するときは、シート導入の目的を従業員に伝えましょう。また、フレームワークの活用や目標の数を絞るといった点を意識するのがポイントです。目標管理シートを面談に活かすことも大切です。管理者は従業員が正しく目標管理シートを作成、活用しているかをしっかりと確認しておきましょう。
3-1. 目標管理シートを導入する目的を伝える
従業員に目標管理シートを導入する目的を伝えておきます。導入目的を把握していなければ、記入率が下がってしまい形骸化してしまいます。また、導入目的以外にも記入する方法や記入欄についても説明しておきましょう。
3-2. SMARTを活用する
目標の設定にはフレームワークであるSMARTの活用を促しましょう。SMARTとは次のように、効果的な目標を設定するうえで欠かせない要素から成るフレームワークです。
- Specific:具体的な
- Measurable:測定可能な
- Achievable:達成可能な
- Relevant:関連性のある
- Time-bound:期限のある
従業員にはこの5つの要素を満たす目標を設定するように指導しましょう。目標管理制度は従業員自身が目標を設定するため、管理者はSMARTに応じた目標かどうかを確認しておくことが大切です。
3-3. 目標の数を絞る
数多くの目標を設定してしまうと、従業員の行動がぶれてしまいます。行動がぶれてしまうと達成率が低下してしまい、従業員のモチベーション低下につながりかねません。このようなリスクを避けるために、目標の数は3つ程度に絞るようにしましょう。
3-4. 面談も実施する
目標管理シートは作成〜運用以外にも、面談を実施することが大切です。管理者は従業員と定期的に面談を行い、目標達成の進捗や達成度合いを定期的に確認しましょう。
面談の際はメンバーの主体性を引き出すことがポイントです。そのため、「○○という目標に対してあなたはどう思っている?」「来期に向けてあなたはどのような行動を起こそうと思っている?」といったように、主語を従業員に据えましょう。
従業員に考えさせることで目標達成に対してのモチベーション向上が期待できます。
4. 目標管理シートを活用して客観的な人事評価につなげる
目標管理シートは目標や進捗、工程、達成度合い、フィードバックが1枚にまとまったシートです。目標管理シートを活用することで目標の進捗が把握しやすくなるため、上司部下とのコミュニケーションコストが削減できます。
目標管理シートを作成する際は、目標以外にも達成計画、評価基準などを記載する欄を設けましょう。また、目標管理シートの導入時は、導入の目的を伝える、SMARTを活用するといった注意点を押さえることも大切です。目標管理シートを活用して客観的な人事評価につなげましょう。