皆様、こんにちは。株式会社ニットの小澤美佳(こざわ みか)です。
株式会社ニットは、世界33か国から集まった約400名のフリーランスから構成されるリモートワーカー集団で、2015年よりオンラインアウトソーシングサービス「HELP YOU」を提供しています。
近年、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により需要が急増したオンラインイベントの開催数は、現在も高い数値で横這いの状況にあります。
Peatixが2021年11月に発表したイベント調査レポートによると、アフターコロナを迎えた後もオンラインイベントの開催を検討している人はなんと92.8%、会場でのイベント風景をオンライン配信するハイブリッドイベントの開催を検討している人も78.3%いることから、オンラインイベントには一定の需要があることが明らかになっています。
しかし、実施に向けて運営面での不安が多く、頭を悩ませている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
本記事では、前回お伝えした「テレワークで円滑なコミュニケーションを実現するためのコツ」に引き続き、ニットで心掛けている「オンラインイベントを成功させるための7つのポイント」をご紹介いたします。
オンラインイベントの開催にあまり慣れていない方や、これからオンラインイベントを実施したいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
【執筆者】小澤 美佳|株式会社ニット 広報担当
2008年に株式会社リクルート入社。中途採用領域の代理店営業、営業マネージャーを経て、リクナビ副編集長として数多くの大学で、キャリア・就職支援の講演を実施。採用、評価、育成、組織風土醸成など幅広くHR業務に従事。2018年 中米ベリーズへ移住し、現地で観光業の会社を起業。2019年にニットに入社し、カスタマーサクセス→営業を経て、現在、広報に従事する傍ら、オンラインでのセミナー講師やイベントのファシリテーターを実施。副業で嘉悦大学の大学講師。キャリアや就職などに関する授業を担当。
目次
オンラインイベントにおける課題
当社はリモートワーク前提のビジネスであるため、会議はもちろん、社員・スタッフとの交流や飲み会などは常にオンラインで行っています。
そのため、「オンラインでイベントや打合せって、どんな風にすればいいかアドバイスをいただけませんか?」といったご相談を受けることも。
冒頭でお伝えした同調査においても、現在9.6%の人がオンラインイベントをまだ開催したことがなく、また、まれにしか開催していない人の割合は20.5%に上っています。
その要因には、オンラインイベント主催時の課題として上位に上がっている「配信サービス(Zoomなど)の利用」や「イベント中に、コメント双方向性をもたせること」が難しいという点があるようです。
これらの課題を踏まえて、ニットで実施している「オンラインイベント成功のためのポイント7つ」をご紹介いたします。
前提編|オンラインイベントの企画を始める前に
ポイント1.オンラインイベントは「Zoom Meeting」での開催がベスト!
オンラインイベントと聞けば、まず「Zoom」が浮かんでくるかもしれません。実は、この「Zoom」には、「Zoom meeting」と「Webinar」という2つのアプリがあることをご存じですか?
この2つはどちらもZoom社より提供されていますが、どちらも大人数の参加者を対象としたオンラインイベントで活用されています。
上記のように、パネリストが主に会話をするセミナータイプであれば「Webiner」が、参加者との双方向コミュニケーションに主軸を置いたイベントであれば「Zoom meeting」が最適です。
また、オンラインコミュニケーションツールとしてはSkypeやWhereby、ハングアウトなども有名です。
しかし、ニットで実際にいろいろと試してみた結果、通信状況や人数上限、使いやすさといった観点から、弊社においてはオンラインイベント開催のベストツールはZoomとなっています。
Zoomは無料アカウントでも使用することはできますが、1度のミーティング時間や参加人数の制限があることから、ホスト(主催者)は有料アカウントにアップグレードしておくことをおすすめします。
ポイント2.イベントの成功はファシリテーションで決まる!
リアルのイベントでもそうですが、オンラインイベントにおいて司会進行やファシリテーションはイベントを成功させる鍵と言っても過言ではありません。
また、オンラインイベントは参加者の反応が見えづらく、楽しんでもらえているのか、あまり興味を引き続けられていないのか、といった判断が難しいという問題があります。
この問題の解決方法は、シンプルに「参加者の顔出しを必須にすること」です。
また、イベントの最初と最後に本日の目的をきちんと伝えることで、参加者がそもそもなぜこのイベントに参加しているのかをリマインドすることも重要です。
そして、ファシリテーションをおこなう際には、以下のようなコツがあります。
- ファシリテーターや発言者の顔を画面いっぱいに映す
- 前のめりになって、自らイベントを楽しみつつ進行する
- あいづちや身振り・手振り、表情は大げさに
- 参加者の挙手を促す質問項目を作り、参加意識を高める
- 事前練習をしっかりと行ってテンポよく進行する
他にも、参加者に「参加している」という実感を持ってもらうために、グループに分けてのディスカッションや、ランダムに指名して発言を促すというテクニックを活用するのも手です。
準備編|オンラインイベントを円滑に進めるために
ポイント3.事前にZoom設定をしておく
オンラインイベント開催前は色々準備することがありますが、その中でも特に忘れてはいけないのがZoomの設定です。
まず、ホスト(イベント開催者)がイベントのURLを発行する際、事前に設定するべきポイントは次の4つ。
◆ホストの前の参加
開場時間前、更には主催者がミーティングに入る前でも参加者がミーティングに入って待機できる形にする。
◆共同ホスト
通信状況やパソコンのトラブルが起きた場合でもカバーできるように、複数人がホストになれる体勢を作る。
◆参加者をエントリー後にミュートにする
ホストはイベントが開催され、参加者がそろってから一人ひとりミュート設定に切り替えることはできますが、始めからデフォルトでミュートにしておけば、手間が減りますし、大事な話の最中に思いがけないノイズが入ることもありません。
◆ブレイクアウトルーム ※後述
弊社のイチオシの機能です。たとえば、参加者が20人いる場合、5人チーム×4グループに分けて、その5人だけで話し合うことができる、という機能です。少人数でのディスカッションや交流してもらうのに最適です。
ポイント4.参加者への共有事項
イベントの成功には、当然ですが参加者の協力が必要不可欠です。
スムーズにイベントを進めるためにも、以下のことをきちんと伝えて協力を仰ぎましょう。
◆顔出し依頼
参加者の顔が見えるか見えないかで、ファシリテーションのしやすさは驚くほど変わります。
たとえば次の2パターンで、どっちの方が進行しやすそうだと思いますか?
パターンA
パターンB
パターンAは参加者の半数以上の顔が見えないため、「ちゃんと伝わってるんだろうか…」とかなりの不安を覚えます。そのため、参加条件として「基本的に顔出しする」を入れています。
◆前日にリマインドメールを送る
メールの本文では、ZoomのURL、集合時間、そして先述した顔出しについてはっきりとお伝えします。
▽メール本文(例)
リモートワーク全社導入に向けたオンラインセミナー
への申し込みありがとうございます。
イベントを開催するZoomのURLをご連絡します。
イベント時間になりましたら以下のURLよりアクセスすることが可能になります。
※事前にこちらより、Zoomのアプリをダウンロードしてください。
https://zoom.us/j/●●●●●●●
日時:2022年3月×日 19:30-21:00(5分前よりアクセス可能)
★条件:イベントは顔出しでの参加をお願いします★
イベント当日編|オンラインイベントの具体的なやり方とは?
ポイント5.4つの役割を決めておく
もしオンラインイベントを初めて開催するのであれば、以下のような運営体制を整えることをおすすめします。
2、講師(プロフェッショナル)
3、裏側管理人(共同ホスト)
4、盛り上げ隊(複数名)
当然ですが、一番重要なのは1の司会進行(ファシリテーター)です。
リアルのイベントでもそうですが、オンラインイベントでは特に参加者との温度差が生まれやすいため、テンションを目いっぱい上げてテンポよく進行するのが肝要です。
2の講師はイベントのメインコンテンツを担当する人となります。事前にスライドや動画の共有、表示確認を忘れないようにしましょう。
3の裏側管理人はタイムキーパーやチャット対応、トラブル対応を担当する縁の下の力持ちです。
オンラインイベント開催に慣れてくれば、1~3は兼任することもできるようになりますが、最初は周囲の人の力を借りるのがいいでしょう。
そして、意外と見落とされがちなのが、「盛り上げ隊」の存在です。
はじめて開催するZoomイベントの場合、当然ながら参加者も緊張していることが多いため、オーバーリアクションをする、チャットへの書き込むなど、いち早くアクションする人(「盛り上げ隊」)をスカウトしておくと、「あ、このイベントはチャットへの書き込みが自由なんだ!なら自分も書いちゃえ!」といった流れを作りやすくなります。
チャットの盛り上がりに応じて、イベント全体がとても盛り上がるようになるでしょう。
ポイント6.開始直前直後の雰囲気作りを心がける
ファシリテーターの一番の腕の見せ所になるのが、イベント開始の直前直後です。
下記に、絶対にやるべきことをまとめました。
◆開始前
- 10分前にはスタンバイ完了
- BGMを流す
- スライドのタイトルを画面共有状態にする
- 開始時間より早く入ってきた参加者とコミュニケーションする
◆イベント開始直後
- 明るく元気に挨拶をする
- 参加者にカメラをオンにしてもらう
- 動作確認をしてもらう(例)音声、画面の見え方に問題がないか
- 名前表記を統一する(例)運営側は名前の前に■をつけて「■小澤美佳_ニット_東京在住」など
- 自己紹介の時間を作る(例)10人までなら一人30秒で自己紹介、それ以上の場合はチャットで自己紹介をしてもらうなど
他にもバーチャル背景画像を統一したり、変わった経歴について話すなど、視覚的にも情報的にも強いインパクトを与えることで、参加者を引き込んでしまいましょう!
雰囲気づくりのポイントは、次の3つ。
- 純粋に「楽しい!!」と感じられる空間にする
- 「この場を自分もつくっている」と参加者に参加意識を持ってもらう
- 「ぼーっと見てるだけのオーディエンス」をできるだけ減らす
常に参加者全員の表情を見て、話を振ったり、盛り上げることを意識しましょう。
ポイント7.参加者を飽きさせない工夫をする
◆ドラマチックな語り口で
イイ話や印象付けたい言葉はトーンを低めたり涙目になりながら話すと効果的ですよね。また、抑揚をつけたり間を置いたりと、話し方を調整するのも○。
オンラインだと自分の顔をドアップで映せるので、俳優・女優になりきってみるのも手です!
◆インパクトのあるスライドで引き付ける
インパクトのある写真を出したり、大きなフォントで一言!というページを挟んで興味を引きましょう。
◆双方向コミュニケーションを設計する
イベント開始時の「自己紹介」の他にも、参加者に質問を振ったり感想を聞くことで、緊張感や臨場感だけでなく、イベントに対する集中力も高まります。
◆ワークショップの設計
ニットではワークショップの時間を必ず設けて参加者にも活動をしてもらっています。内容が難しい場合は資料を事前配布しておき、準備しておいてもらうのもいいでしょう。
◆ブレイクアウト機能を有効活用
オンラインイベントでは参加者が10人を超えると「全員での会話」が難しくなります。そのため、ディスカッションの際にはブレイクアウト機能を使いましょう!
ホストの画面には「ブレイクアウトルーム」という機能があり、これを使えば少人数で会話できます。小人数だと発言しやすくなるため、参加している感が高まります。
ブレイクアウト中、ホストはすべてのお部屋へ共通のメッセージを送る(ブロードキャスト)、各チームに顔を出す、また全チームをメインルームに戻すといったことができます。
みんながメインルームに戻ってきたら話し合いの内容や感想を共有すると、他のチームのことを知るきっかけにもなりますよ。
工夫次第でオンラインイベントはいくらでも良くなる!
誰一人予想していなかった世界的規模での感染症拡大により、オフラインでのイベント開催が難しい情勢となっています。しかし同時に、距離の問題で参加できなかったイベントでもオンラインだからこそ参加できるようになるということもあるでしょう。
オンラインイベントの運営はけっして簡単なものではありません。ですが、新しいツールやテクノロジーを活用し、工夫を重ねることで、画面越しにも感情や人の温かさを多くの人に届けることは可能です!
私たちニットではフルリモートワークという働き方で進んできたからこそ、新たにリモートワークの導入やオンラインイベントの開催を計画されている企業様に向けて、有用な情報を発信してまいります。
少しでも多くの企業様の組織活性やコミュニティ作りに貢献できましたら幸いです。このピンチをチャンスに変えて、みんなで大きく飛躍しましょう!