「ハーズバーグの二要因理論を詳しく知りたい」
「ハーズバーグの二要因理論を使って社内を改善したい」
上記のお悩みはありませんか。ハーズバーグの二要因理論は、従業員のやりがいやモチベーションの向上に役立つ理論です。
本記事では、ハーズバーグの二要因理論とは何かについて、活用方法や例もあわせて解説します。従業員の仕事に対する不満を防止したい場合や、やる気を向上させたい場合はぜひ参考にしてください。
目次
1. ハーズバーグの二要因理論とは
ハーズバーグの二要因理論とは、仕事上の満足感と不満足感それぞれが起きる要因を分析した理論です。ハーズバーグの二要因理論では、人間の仕事に対する欲求は「動機付け要因」と「衛生要因」が関係していると考えます。
アメリカの臨床心理学者であるハーズバーグは、19世紀ごろ事務員やエンジニアなどを対象にモチベーションの研究をしていました。仕事で満足感と不満足感を得た経験について聞き取り調査を実施し、導き出した結論が、人の欲求には動機付け要因と衛生要因の2種類があることです。
動機付け要因と衛生要因は互いに補い合っており、モチベーションを高めるにはどちらも満たされている必要があります。
2. ハーズバーグの二要因理論の動機付け要因
動機付け要因(motivators)は仕事の満足感に関係します。動機付け要因の例は以下です。
- 達成すること
- 成果を出すこと
- 認められること
- 昇進や昇給を得ること
- 成長を実感すること
- 仕事に興味があること
- 責任や権限があること
動機付け要因は「促進要因」と呼ばれ、あればあるほど仕事への満足感が高まります。
動機付け要因がなくてもすぐに不満にはつながりません。ただし、動機付け要因がなければ仕事に前向きに取り組むことは困難です。
したがって動機付け要因が足りていなければ、最初はモチベーションの高かった従業員も徐々にやる気を失うでしょう。
3. ハーズバーグの二要因理論の衛生要因
衛生要因(hygiene factors)は「不満足要因」と呼ばれ、足りなければ不満足感が高まります。衛生要因の例は以下です。
- 給与
- 労働環境
- 上司や同僚との関係
- 福利厚生
- 経営方針
- 管理体制
衛生要因が足りている場合でも、直接満足感にはつながりません。あくまでも不満の予防となる要因です。どれだけ衛生要因が充実していても、動機付け要因がなければ満足感は得られません。
反対に、動機付け要因が充実していても、衛生要因がなければ不満足感がつのります。したがって、動機付け要因と衛生要因は互いに補い合っており、どちらも仕事への高いモチベーションを維持するために重要です。
4. ハーズバーグの二要因理論が注目される理由
ハーズバーグの二要因理論が注目される理由は以下のとおりです。
- 少子高齢化による働き手の不足
- ワークエンゲージメントに対する関心の高まり
4-1. 少子高齢化による働き手の不足
ハーズバーグの二要因理論が注目される理由の一つは、少子高齢化の影響により働き手が不足しているためです。
少子高齢化が進むにあたり、働き手の減少は避けられません。働き手を確保するには企業側も努力する必要があります。
働き手の確保に関係する要素が働きやすさです。ハーズバーグの二要因理論からは何を提供すれば働きやすさが向上するかのヒントを得られるため、注目する企業が増えています。
4-2. ワークエンゲージメントに対する関心の高まり
ハーズバーグの二要因理論が注目されるもう一つの理由は、ワークエンゲージメントに対する関心の高まりです。
ワークエンゲージメントとは、仕事にやりがいを感じており、いきいきと熱心に取り組んでいる状態をいいます。
ワークエンゲージメントが高ければメンタルヘルスの状態も良好に保ちやすく、離職を防ぎ、高いパフォーマンスを期待可能です。
安定して高い生産性を保つため、ハーズバーグの二要因理論を通してワークエンゲージメントの向上に取り組む企業が増えています。
ハーズバーグの二要因理論から仕事への満足感と不満足感が発生する要素を学べば、高いワークエンゲージメントを保つ方法も学べるでしょう。
5. ハーズバーグの二要因理論の活用方法
ハーズバーグの二要因理論の活用方法を以下の3つに分けて説明します。
- 現状把握
- 施策の決定
- 施策の評価
5-1. 現状把握
ハーズバーグの二要因理論を活用するには、まず自社の現状の把握が必要です。
どのようなときに従業員が満足感を得ているのか、具体的に何が不満を生じさせているのかを知らなければ、適切な施策を生み出せません。
満足感や不満足感が生じる要因は従業員一人ひとりによって異なるため、アンケートやヒアリングを実施しましょう。幅広い意見を集めるため、できればアンケートは従業員全員に協力してもらうことが望ましいです。
ヒアリングはアンケートの結果をさらに細かく分析するために役立ちます。ただし、ヒアリングは匿名性が保ちにくく抵抗のある従業員もいるため、強制しないようにしましょう。
5-2. 施策の決定
現状の把握ができたら、施策の決定に移りましょう。ハーズバーグの二要因理論を活用するには、動機付け要因と衛生要因の両方を反映する施策が必要です。
例えば、動機付け要因の施策なら昇進条件や裁量の見直しなどが挙げられます。また、衛生要因の施策なら福利厚生や残業時間の改善などが挙げられるでしょう。
アンケートやヒアリングの結果をもとに、動機付け要因と衛生要因の両方に対する施策を決定して実行してください。
5-3. 施策の評価
施策の実行を開始したら、半年後や1年後などを目安に施策の効果を評価しましょう。
再度アンケートやヒアリングを実施して、従業員の満足感や不満足感に変化があったか調べてください。
同時に、新しい施策が必要かどうかも検討しましょう。人事異動や業界の状況による環境の変化があった場合、施策にも変化が必要な可能性があります。
施策の評価は定期的に繰り返しおこない、必要に応じてアップデートしましょう。
6. ハーズバーグの二要因理論を活用する具体例
ハーズバーグの二要因理論を活用する具体例として、以下の施策を解説します。
- インセンティブの導入
- メンター制度の導入
6-1. インセンティブの導入
ハーズバーグの二要因理論の活用例の一つはインセンティブの導入です。インセンティブは動機付け要因に関わります。
インセンティブがあることで成果や成長が可視化でき、努力や実力が認められている実感もわくでしょう。
事務などインセンティブが導入しにくい職場では、例えば以下もおすすめです。
- ミスの少ない社員を表彰する
- 資格手当を増やす
- 感謝の気持ちを表現するサンクスカードのやり取りを導入する
インセンティブを導入して、仕事に対する満足感の向上を目指しましょう。
6-2. メンター制度の導入
ハーズバーグの二要因理論の活用例のもう一つは、メンター制度の導入です。メンター制度は衛生要因に関係があります。
マンツーマンで指導や相談にあたるメンター制度を導入すれば、先輩と後輩のコミュニケーションの活性化が可能です。新入社員の場合は、先輩を通してほかの社員との交流もしやすくなるでしょう。
コミュニケーションが活発になれば職場内での良好な人間関係を保ちやすくなり、仕事上の不満の防止につながります。
7. ハーズバーグの二要因理論をマネジメントに活かそう
ハーズバーグの二要因理論は、動機付け要因と衛生要因が仕事に対する満足感や不満足感に関係していると考える理論です。従業員のモチベーションやパフォーマンスを向上させたい場合は、ハーズバーグの二要因理論に沿って施策を考えましょう。
従業員にアンケートやヒアリングを実施し、結果に合わせてインセンティブやメンター制度の導入などを検討してみてください。