厚生労働省は3月1日、従業員の自律的なキャリア形成支援に取り組む企業9社を「グッドキャリア企業アワード 2020」の受賞企業として表彰。
本イベントは、受賞企業の理念や取り組み内容、具体的な効果などを広く発信・普及することにより、キャリア形成支援の重要性を社会に広め、定着を図ることを目的に実施しています。
今回のグッドキャリア企業アワードでは、9社の表彰に加え、株式会社セールスフォース・ドットコム 常務執行役員人事本部長の鈴木 正則氏による基調講演や受賞企業によるパネルディスカッションがおこなわれました。
当日のプログラムは、以下のようになっています。
①厚生労働省挨拶
②受賞企業表彰
③【基調講演】
withコロナ時代の社員エンゲージメント
④【パネルディスカッション】
グッドキャリア企業-社員が成長できる企業-とは
⑤総括
本記事では、受賞企業9社の受賞理由と、株式会社セールスフォース・ドットコムの鈴木氏による「withコロナ時代の社員エンゲージメント」をテーマに基調講演した内容をご紹介します。
目次
1. 労働環境の大きな変化期だからこそ自律的なキャリア形成が必要|厚生労働副大臣
本章では、厚生労働副大臣の三原じゅん子氏によるコメントをご紹介します。
この度受賞された企業の皆様に心からお慶び申し上げるとともに、これまで従業員のキャリア形成支援に積極的に取り組み、他の模範となる成果を上げてこられましたことに深く敬意を表する次第です。
我が国は、人生100年時代の到来による職業人生の長期化や働き方の多様化、新型コロナウィルス感染症の影響による社会全体のデジタルトランスフォーメーションの加速化といった労働環境の大きな変化に直面しています。
こうした環境変化に応じて一人ひとりが自律的・主体的に能力向上やキャリア形成に取り組み、その能力を十分に発揮できる環境を整備していくことが求められています。
そして、従業員の職業能力の開発・向上は企業や組織にとって持続的発展の礎となります。
今回の受賞内容を拝見すると、多様な人材がその能力を伸ばし活躍できるように、キャリア支援の様々な取り組みがなされています。
こうした取り組みを参考にしながら各企業において、従業員のスキルアップやキャリア形成を支援し、誰もが活躍できる全員参加型社会の実現に向けた取り組みを推進していくことが重要です。
本日皆様には本シンポジウムを通じて働く方々の支援の重要性への理解を深めていただきますと幸いです。
2. グッドキャリア企業アワード大賞|4社の取り組みをご紹介
グッドキャリア企業アワード大賞では、従業員の自律的なキャリア形成支援において、特に他の模範となる取り組みを総合的・継続的に推進し、その成果が顕著である企業を表彰しています。
本章では、グッドキャリア企業アワード大賞の受賞企業4社をとりあげ、受賞理由と受賞時のコメントをご紹介します。
①株式会社JTB
キャリア改革を経営改革の 1 つに位置づけ、社員の成長を促す多様な学びや対話の機会を創出
受賞時のコメント
弊社は、人材が最大の経営資源の会社であり、1人ひとりが自立創造型社員として、専門性を磨き、成長することによって、会社の成長やグループの発展を支えるという考え方のもと、これまで人材育成に取り組んできました。
コロナの影響により、弊社を含めたツーリズム業界は大変な苦境に陥っており、社員一丸となってこの危機を乗り越えようとしています。
一方で、コロナ禍において、改めて「旅」「人々のつながり」の必要性を強く実感する機会にもなりました。
弊社では「これからの新たな交流の時代をつくる」を経営ビジョンに掲げ、社員1人ひとりが自身と会社の今と将来に向き合い、自分らしさを発揮し、その力を掛け合わせて、組織で発揮していくことがビジョンの実現に繋がるものと考え、これからも一層キャリア開発支援に取り組んで参りたいと思っております。
②TIS株式会社
1人ひとりの自己実現を重視したタレントマネージメントや女性の活躍を促すキャリア支援の推進
受賞時のコメント
これまで当社は、「女性活躍推進」や「若手の成長促進」に長年取り組み続けてきました。
また、近年改めて再注力している「ミドル層やシニア層の活躍推進」「育成施策の全面オンライン化」や「社員相互が学習し合える場づくり」など、様々な取り組みをおこなって参りました。
新たな取り組みについても社員に人事本部マニフェストという形で公言するなど、ユニークな取り組みをおこなってきました。
これからも社員1人ひとりが多様な個性を発揮して、活躍していける組織として、弊社・グループ会社ともに、「ITで社会の願いを叶えよう」を合言葉に、努力して参ります。
③万協製薬株式会社
業務のモジュール化による習熟度評価とジョブローテーションによる多様な人材の育成
受賞時のコメント
弊社では、自社で持っている事業能力をモジュールという形で作業を細分化し、それを教育し、評価するという教育システムを自社で開発しました。
それに伴い、1つの職場だけではなく多くの職場を経験してもらい様々な仕事ができる社員を増やそうという背景から、ジョブローテーションを推進して参りました。
それを支えるために、従業員それぞれのキャリアアッププラン、経営幹部による綿密な面接をおこなうことによって、従業員の能力を向上して参りました。
具体的な施策に関しては、この後のパネルディスカッションでご紹介させていただきます。
④SWSスマイル株式会社
障がい者1人ひとりの個性に応じた成長のサポートと高齢者や女性も含め多様性を活かしたキャリア支援の推進
受賞時のコメント
弊社ではこれまで14種類の資格手当、7種類の表彰制度などを導入して参りました。
これらの取り組みは、月に1回のプロジェクト定例会を開催し、毎年1つずつの制度や仕組みが障がい者目線で受けられるかどうかを検証・導入・運用しています。
またこの期間、障がい者を支援するスタッフもシニアと呼ばれる60歳以上が4名となり、女性も3名から8名に増員し、これまで職場経験を活かした役割を担っております。
今後は会社として、管理不行き届きな業務からものづくりの一端を担えるような業務展開を目指しており、製造部門の社員が健常者との共生ができるように育成、支援したいと考えております。
3. イノベーション賞|受賞企業
次に、イノベーション賞受賞企業の5社をご紹介します。
イノベーション賞では、自社における重要課題に取り組むため、労働者の自律的なキャリア形成支援について、対象者、取り組み手法などを重点化して、キャリア形成支援を展開し、人材育成や経営上の具体的な成果に結びつけるなど、特に他の模範となる成果が認められる企業を表彰しています。
①株式会社三井住友銀行
多様かつ充実した各種キャリア支援制度による現場主導での自律的なキャリア形成の推進
受賞時のコメント
当行の人材戦略の基本的な考え方は、「成長し続ける人材を創出し、従業員の挑戦と活躍を促すことで、人材力No,1を目指す」ことです。
今年度からスタートした中期経営計画の中でも、人材育成ビジョンを掲げて、自立的なキャリア形成を推進する様々な取り組みをおこなっています。
こうした取り組みを評価いただき、今回の受賞に繋がったことは人事部にとっても、当行の従業員にとっても、大変喜ばしいことだと思っております。
今回のイノベーション賞の受賞を契機に、従業員の成長のさらなる支援とそれに伴う企業の成長を実現して参ります。
②ボストン・サイエンティフィックジャパン株式会社
社内公募の積極的活用などキャリアオーナーシップをキーワードとした主体的なキャリア形成支援
受賞時のコメント
弊社は2018年より、キャリアオーナーシップ・ラーニングオーナーシップを両輪に、フィードバックやコーチング、全社内公募など包括的に人事制度を変革してきました。
また、社員自らキャリアを構築し、意思決定をするための情報開示を可能な限りオープンにしてきました。
過去2年の社内公募は延べ230ポジション、応募者総数188名に上っています。
弊社の社員1人ひとりのチャレンジが、このような形で表彰いただけることに関しては、非常に感慨深いです。
今後も革新的なキャリア機会を提供することで、1人ひとりの社員のキャリア人生を実り多いものにしたいと思っております。
③NTTアドバンステクノロジー株式会社
社内キャリアコンサルタントによるセルフ・キャリアドックの実施と部署間の連携によるキャリア支援の全社的展開
受賞時のコメント
弊社では社内にキャリアコンサルタントを育成し、社員1人ひとりのキャリア育成を支援する仕組みを提供して参りました。
1人ひとりの社員は定期的なキャリアコンサルティングと、逐次受けられるキャリアコンサルティングを用意し、それぞれの社員のタイミングに応じて、オンラインまたは対面で社員のキャリア形成をサポートしています。
また、社内の技術力を育成するために技術資格の取得に対するプログラムを用意し、複数の技術資格を身に着けるという支援をしているところです。
さらには、ジョブローテーション・ジョブマッチングという社内システムを取り入れることで、キャリア形成をするとともに、今後はグローバル採用の社員と一緒に仕事をするということで、キャリア形成の支援をおこなっていくつもりです。
④株式会社はたらクリエイト
育児や介護等女性のライフステージに合わせて働き方やキャリア選択、ステップアップをサポート
受賞時のコメント
弊社ではオフィスで託児所を併設しており、子育て中の女性を中心に約120名のスタッフが働いています。
子育てや介護によってできた仕事のブランクを埋めながら、ライフステージに合わせた働き方ができるように、柔軟な雇用形態やフレックスタイム制、在宅勤務などの制度面はもちろん、心理的安全性を高めながら1人ひとりが声を出し、互いに活かし合う関係性づくりに力を入れてきました。
その結果、事業開始から約3年で、従業員数6倍増に対して、月間売上は11倍増とスタッフの成長が事業成長にも繋がっています。
最近では、子育て中の女性に限らず、男性や何かしらの理由でフルタイム勤務が困難な状況にある人、長野県に移住し新しいチャレンジをおこないたい人も仲間に加わっています。
こうした多様な人材が集まる中でも、常に変化を楽しみながら、ミッションである「はたらくをクリエイトすることで、仕事を楽しむ人を増やす」を社会全体に広げていくために、チャレンジをし続けていきます。
⑤医療法人社団恵生会
管理者との対話を積極的に行い、自発性を重視した医療・介護人材のキャリア形成支援
受賞時のコメント
職員のキャリア形成支援で3つのことを大切にしてきました。
1つ目は、熱意を持って努力し、成果を上げた人が報われる。
2つ目は、自らの成長が実感できる
3つ目は、ここで働いてよかったと思える
この3つの実現に向けて、キャリア形成支援に取り組んで参りました。
この取り組みが今回、イノベーション賞という形で評価していただいたことは、大変光栄に存じます。
これからの超高齢化社会を支える中心的な役割である私たち医療介護従事者は、さらに質の高い医療介護サービスを提供することが求められています。
これを実現するためにも、現在取り組んでいるコミュニケーションツールを活かし、職員の内発的動機を高め、自立的なキャリア開発を支援していきたいと考えています。
職員の成長が組織の発展と成長に繋がり、患者・利用者をはじめ、地域社会に新たな価値を提供し、貢献できる法人であり続けられるよう、精進して参りたいと思っております。
4. 基調講演:withコロナ時代の社員エンゲージメント
本章では、株式会社セールスフォース・ドットコム 執行役員人事本部長の鈴木 雅則氏による、「withコロナ時代の社員エンゲージメント」をテーマに基調講演した内容をご紹介します。
鈴木 雅則 | 株式会社セールスフォース・ドットコム 執行役員人事本部長 アメリカ コーネル大学院 人材マネジメント・組織行動学修士
2003-2011年の8年間、GEとGoogleにて採用・リーダーシップ開発業務などに携わる。2011年よりコンサルタントとして独立。執筆活動や企業向け研修などをおこなう。(著書:「リーダーは弱みを見せろ」光文社新書) 2013年よりリクルーティングディレクターとしてQCVに入社後、米国本社にてグローバル人材開発チームをリード。帰国後はHRディレクターアジアを務める。その後BMWにて人事部長を経験後、2019年2月より現職。
今回は「withコロナの時代の社員エンゲージメント」というタイトルで弊社の取り組みをご紹介します。
前半はエンゲージメントを高めるにはどうすれば良いのかと、また弊社がコロナにどうやって立ち向かっていったのかと言うことでお話しさせていただきます。
後半では、コロナ後の働き方としてどのように人材マネジメントや社員エンゲージメントを考えているのかご紹介します。
社員のエンゲージメント高めるためのSalesforceの人事制度
弊社では人事部をエンプロイーサクセスと呼称しています。
エンプロイーサクセスでは、社員に成功してもらうにはどうすれば良いのかをミッションとしています。
社員に成功してもらうためには2つの要素を考える必要があります。
1つ目は、社員にエンゲージメントをどのように高めていけば良いのか、2つ目は働きやすい環境をいかに整え、社員が大切にされていると感じているような感覚を持ってもらえるような環境を作るか。
弊社では、この2点に注力しています。
エンゲージメントを高めるには3つの要素があると弊社では考えています。
まずはコーポレートカルチャーをいかに意図的にデザインしていくのか、加えてテクノロジーとデータをいかに活用していくのか。
これらを足し算で表現をしています。
掛け算ではなく足し算にしている理由としては、3つの要素のいずれかを高めていけば、全体的にエンゲージメントが高まるのではないかと考えているからです。
エンゲージメントを高めるための1つ目の要素であるカルチャーをいかにデザインしていくのか社内の醸成していくのかを弊社の事例をご紹介します。
弊社ではカルチャーを4つの柱に分解して考えています。
まず1つ目に「Ohana」という考え方があって、企業が大切にする価値観を表す「コアバリュー」、社員に求めている「アクション」、そしてどのような体験をしてもらいたいかという「エクスペリエンス」という4要素で組織のカルチャーデザインしていこう考えて動いております。
まずは「Ohana」という考え方についてご説明します。
これはハワイ語で「家族」という考え方を意味しており、社員だけではなくてお客様やコミュニティを含めて1つの家族として捉え、お互い相互信頼の関係を作るという考え方を大切にしております。
2つ目の「コアバリュー」では、様々な人事施策を考えるときに必ずコアバリューに立ち返って、施策を考えるという動かし方をしています。
コアバリューでは、「TRUST」「CUSTOMER SUCCESS」「INNOVATION」「EQUALITY」の4つがあり、必ず何かおこなうときはコアバリューに立ち返ります。
次に、どのような行動を社員に期待するのかということで「アクション」を設けています。
外部環境は非常に素早く変化していきます。
1年前、コロナがここまで拡大して我々の経営や人材マネジメントに大きなインパクトを与えてくることは想像できませんでした。
激しく変化する環境の中で、我々も新しいスキルや能力を身に付けていくことが求められており、それを「アクション」として落とし込み、社員に期待しています。
具体的な戦略として何をしているのかご紹介します。
弊社では目標設計のプロセスとして、「V2MAM」というものを設けております。
V2MAMとは、Vision、Value、Methods、Obstacles、Measuresの略称を表しています。
V2MAMでは、どのようなビジョンで何を達成したいのか、それを達成するためにはどのようなコアバリューが必要なのか、実際にどのようなメソッドで実現していくのか、障害になるものはどういうものなのかを年初に書き出して、社員が同じ方向を向いて動けるようにしていくプロセスになっています。
コアバリューの1つにTRUSTがありますが、弊社では会社と個人社員がいかに信頼関係を作るのか、非常に重要視しています。
そのために、できるだけ情報をオープンにしていこうと、V2MAMは個人のゴールに落としていくための目標設定のプロセスがありますが、このプロセスをスタートさせる時にはCEOやマネジメント層の方々が発表し、その内容をライブストリーミングで世界各国へどこに居てもその状況をライブで見られるような状態になっています。
会社がどこに向かっているのか、なぜその方向に向かっているのか、ポイントはどういうところなのかというところをできるだけオープンに情報提供しようと動いています。
その後、各階層の組織に落として目標を作っていますが、出来上がったV2MAMは社内のイントラネットで、いつでもだれでも見られるような状態で透明性をできるだけ担保しましょうという考え方を持っております。
Salesforceの新型コロナウイルスへの対策
前半では弊社がエンゲージメントを高めるためにどのような取り組みをしているのかをご紹介しました。
ここからは具体的な事例として、弊社が新型コロナウイルスにどう対応してたのかをご紹介します。
まず1番大切なのは、コアバリューを大切にしようと立ち返るところにあります。
ですので、弊社はまずTrustを大事にし、会社がしっかりと社員を守る姿勢を表すことで社員は安心感を持って、業務に集中してもらえるだろうと考えました。
その上で何を大切にするのかを言語化しました。
目標をV2MAMで落として、トップダウンでこのようなことを大切にするのかを明確にしました。
実際におこなったアクションとしては、簡単に上記の3つのみです。
まず1つは、顔の見えるコミニケーションをしっかりおこなっていくことです。
次に、アンケートを用いて、できるだけボトムアップで現場の社員が何を感じているのか、どういうところに困難を抱えているのかをデータとして見ていきました。
そこから人事の施策に落としていって、再度コミュニケーションを取るというサイクルを上手に回していったことが、実際に弊社がここまで取り組んできたところになります。
1つ目のコミュニケーションでは、量・質・透明性を担保していきました。
特に新型コロナウィルスが発生し、拡大していくような時期では、弊社でも自分たちの組織の運営の仕方を変えていくことがたくさんありましたし、情報もかなり錯綜して混乱していたところがありました。
まずはリーダー陣が丁寧に、世の中がどのような状況になっていて、どのようなことを弊社は考えているのか、毎週のようにコミニケーションしていました。
さらに、新型コロナウィルス関連の情報を見える化して、現況を一か所で見えるようにしていました。
また、グローバルチームとローカルチームのリーダーが定期的にコミュニケーションをとり、グローバル全体の戦略と各国の戦略のすり合わせを徹底しました。
特に新型コロナウイルス発生時では、日々、様々な状況が変わっていくので、簡単な質問を社員に投げかけることと、月次で社員の皆さんがどのような状況にあるのか、アンケート調査の頻度を高めて実施していました。
加えて、人事からのアドバイスをタイムリーに実行していくことが非常に重要だと考えていましたので、矢継ぎ早に声を拾いながら色々な人事施策を打っていきました。
初期では、時差通勤や出張の禁止などを開始していましたが、その先に実際にフルタイムで在宅勤務になったときに、自宅の環境を仕事に適したような状態に作り替えるための費用が必要になることや、ノイズキャンセリングのイヤホンを買う費用のサポートや、夏場に光熱費が上がるための支援など、その都度で求められているサポートを積極的に実施していきました。
その結果、アンケートに示されているように社員は満足しているという結果を得ることができました。
人事にとっては非常に難しい1年だったと思っています。
ビジネスをサポートするために日常回していかなければいけない側面と社員の安心安全・健康いかに担保していくのかという二項対立しがちなものをいかにバランスよく支援していくことは、すごく難しいチャレンジだったと思っています。
今後もそのような状況が続いていくため、社員にとっては会社や人事が何をしてくれるのか、かなり厳しく見られるタイミングだろうと思っています。
社員のエンゲージメントをより高めていくことができるか、社員から試されていると、日々緊張感を持ちながら過ごしています。
最後の話になりますが、今後、ポストコロナを見据えて働き方をどう変えていけばという議論を半年前からおこなっていました。
まず、このコロナがもたらしたことは、「多くの仕事は在宅でもできる」ということが証明されました。
しかし、社内のアンケート調査を見てみると、社員同士のつながりは希薄化している傾向があります。
組織がばらけていかないように一体感を保っていくことが非常に重要で、そのために柔軟性を持って仕事のバランスをとっていくことが必要です。
皆さんが在宅勤務をしたい気持ちは分かりますが、一方で社員同士のつながりやそこから生まれるイノベーションが大切だと、弊社は考えています。
ですので、弊社ではハイブリットな職場環境を作っていくという結論に至りました。
コロナ後を見据えたとき、3つの働き方があると考えています。
まず、フレックスという働き方の社員で、週1~3回出勤するタイプの仕事の仕方であり、ほとんどの社員がこの働き方に該当します。
次に、オフィスベースという働き方の社員で、通常のように週4~5日間をオフィスで仕事をするような社員です。
そして最後に、フルリモートで職場にはほぼ行かないという3つの働き方があると考えています。
従業員アンケートの結果、8割の社員はオフィスとのつながり・人との繋がりを求めていることが分かりました。
ですので、企業文化をデザインしていく上で、オフィスも非常に重要な位置づけだという感覚を持っています。
我々は、今後の組織運営においては、エンゲージメントがより重要になってくると考えています。
エンゲージメントは3つの要素があり、1つ目は企業文化をいかに意図的にデザインしていくのかという考え方。
2つ目はテクノロジーをいかに使い倒していけば良いのだろうかという考え方。
3つ目はデータをどう紐づけていけば良いのかという考え方が前提としてありました。
世の中は激しく変化しており、外部環境の変化と内部環境の変化をいかにすり合わせていくか、それをリードできる状態にしていくことが重要になってきます。
さらに、コミュニケーションの重要性もますます増していきます。
トップダウンでこのような目標でこのようなビジョンを掲げてやっていきましょうという発想と現場からの声を拾い、しっかり施策に落として動かしていこうという発想の2つが必要になります。
それがコロナという危機の中で、我々の行動に試されてくるのではないかと思っております。
[Sponsored|グッドキャリア企業アワード事務局]
開催日時:2021年3月1日(月)14:00~17:30
URL:https://career-award.mhlw.go.jp/award_ceremony.html
受賞企業に聞く!社員が“成長できる”企業のあり方とは?|グッドキャリア企業アワード#2