コンピテンシー評価シートの書き方を例文付きで詳しく解説 |HR NOTE

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コンピテンシー評価シートの書き方を例文付きで詳しく解説

様々なグラフが書かれたシートを確認する男性

コンピテンシー評価は公平な人事評価が下せるうえに、評価者、管理者が人事評価にかける時間の短縮にもつながります。コンピテンシー評価を運用していくうえでは、コンピテンシー評価シートが必要です。

この記事ではコンピテンシー評価シートで書くべき項目や書き方などを管理者向けに解説します。

1. コンピテンシー評価シートに書くべき項目

項目にマーカーでチェックを入れている様子

コンピテンシー評価シートに書くべき項目は主に次の9つです。

  • 自己認識力
  • 感情マネジメント力
  • 共感力
  • コミュニケーション力
  • 状況把握力
  • 原因究明力
  • 選択決定力
  • リスク分析力
  • 実行力

これらの項目は、経済産業省が提唱する「社会人基礎力」における3つの能力に当てはめると以下のとおりです。[注1]

社会人基礎力における3つの能力

コンピテンシー評価項目

チームで働く力

  • 自己認識力
  • 感情マネジメント力
  • 共感力
  • コミュニケーション力

考え抜く力

  • 状況把握力
  • 原因究明力
  • 選択決定力
  • リスク分析力

前に踏み出す力

  • 実行力

チームで働く力にあたる、自己認識力をはじめとした4つの項目は人間関係力といえます。また、状況把握力などの4項目は問題解決力として扱うこともできます。

[注1]社会人基礎力|経済産業省

1-1. 自己認識力

自己認識力とは抑えるべき感情や行動をコントロールする「セルフコントロール」と状況の変化に柔軟に対応する「柔軟性」といった要素が組み合わさった項目です。

プロジェクトや業務を進めるうえでは、予期せぬトラブルが発生する可能性があります。その際に自己認識力が高ければ、ネガティブな感情や行動にとらわれず、柔軟に自身の感情を分析できます。また、自己認識力に長けた人は他人の気持ちを察することにも長けている傾向にあります。

1-2. 感情マネジメント力

感情マネジメント力は自己認識力のように、自分のなかにあるネガティブな感情を冷静に分析できる能力です。自己認識力と異なるのは、感情をコントロールして周囲と関係を構築できる、他社に働きかけることができるといった要素が加わっている点です。

1-3. 共感力

共感力は対人関係力、関係構築力とも呼ばれます。共感力はチームワークを発揮する際にカギとなる能力です。共感力に長けている人は相手の立場で感情や考えを理解できる傾向にあります。そのため、チームや組織のなかで信頼を得やすくオープンなコミュニケーションが取れます。

1-4. コミュニケーション力

コミュニケーション力は相手のことを理解する力だけではなく、自分の考えを的確に伝えられる能力です。コミュニケーション力は自身の意見を発する発言力、相手の意見に耳を傾けられる傾聴力に分かれる場合もあります。

相手の意見に耳を傾けて、自分の意見も伝えるという点で、コミュニケーション力は営業職のコンピテンシー評価に用いられる傾向があります。

1-5. 状況把握力

状況把握力とは先入観にとらわれず、正しい情報を探し出して、情報を整理する能力です。状況把握力に長けている人は周囲の状況を迅速に把握できます。そのため、管理者やリーダーなどマネジメントを担うポジションのコンピテンシー評価に用いられます。

1-6. 原因究明力

原因究明力は問題や課題を整理して、原因を究明する能力です。原因究明力は問題や課題の原因を究明するだけではありません。問題や課題に対しての対策を講じる能力、再発防止策の発案も求められます。対策、再発防止策を発案から実行に移したために必要なコミュニケーション力も、原因究明力を構成する要素のひとつです。

1-7. 選択決定力

選択決定力とは自身に適した目標を設定して、達成のために適切な選択ができる能力です。選択決定力に長けている人は、収集した情報に基づいてメリットやデメリットを整理する力が備わっています。また、リーダーシップをとってチームや組織を導くのにも適しているでしょう。

1-8. リスク分析力

リスク分析力は予想されるリスクを予測して整理できる能力です。リスク分析力に長けている人はリスクの予測だけではなく、未然のリスク防止やリスク発生時の対策を講じることも可能です。

1-9. 実行力

実行力に長けている人は目標の設定、さらには目標達成のために欠かせない工程や行動計画を策定できます。また、意欲的に目標に向けて行動できるのも特徴です。

2. コンピテンシー評価シートの書き方

紙に文字を書く人

コンピテンシー評価シートを書くうえでは、職種によって評価項目が異なることを把握して、評価項目の尺度を設定しましょう。尺度の設定を怠ってしまうと、公平な評価につながらなくなってしまいます。

2-1. コンピテンシー評価シートの項目は職種ごとに異なる

コンピテンシー評価は職種によって異なります。たとえば、営業職であればコミュニケーション力がコンピテンシー評価の基準であり、エンジニア職であれば原因究明力が評価の基準です。そのため、コンピテンシー評価シートは職種によって変化させましょう。

営業職のコンピテンシー評価をコミュニケーション力とする場合は、次のような例文になります。

コンピテンシー項目

コミュニケーション力

  • 顧客の意見に耳を傾け、理解できている(傾聴力)
  • 構成を組み立てて、自分の伝えたいことを的確に伝えられている(発言力)

2-2. 評価項目の尺度を設定する

コンピテンシー評価は、評価項目の尺度を設定することも大切です。尺度を明確にすることで公正な人事評価が下せます。尺度を設定する際は、会社全体で使用する共通尺度と従業員一人ひとりに使用する個別基準を使い分けましょう。共通尺度は「下回った」「達成できた」「上回った」といったような幅を持たせましょう。一方、個別基準は尺度を細かく設定することで、従業員自身がなにが足りなかったのかを把握しやすくなります。

3. コンピテンシー評価シートを書くときの注意点

黄色いエクスクラメーションマークのオブジェクト

コンピテンシー評価シートを書く際は、企業の理想像を押しつけないことが大切です。コンピテンシー評価は企業が求める理想の従業員を作り出すためのものではありません。そのため、企業の理想像を押しつけてしまうと、従業員のモチベーション低下につながってしまいます。

4. コンピテンシー評価シートを活用して人事評価をスムーズに

空いている道路のイラスト

コンピテンシー評価シートには自己認識力、感情マネジメント力、共感力といった項目を記載していきます。コンピテンシー評価シートは職種ごとに異なるものを設定して、各項目の尺度も用意しておきましょう。また、コンピテンシー評価を書く際は、企業の理想像を従業員に押しつけないことも大切です。コンピテンシー評価シートを活用することで、公平かつスムーズな人事評価を下せます。

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