CoEとは?導入のメリット・デメリット、導入手順などを解説 |HR NOTE

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CoEとは?導入のメリット・デメリット、導入手順などを解説

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皆さんは、CoE(センターオブエクセレンス)という言葉を聞いたことはあるでしょうか。

CoEは、組織を横断するプロジェクトを推進する際に、社内知識を共有・管理したり、適切な運営を行う上で必要とされることが多くなっている組織になります。

本記事では、CoEが一体どのような組織なのか、組織内に設置するメリットやその役割について解説していきます。CoEついての理解を深め、導入を検討する際の参考にしていただければ幸いです。

1.CoE(センターオブエクセレンス)とは

CoE(センターオブエクセレンス)という言葉を耳にしたことがない方も多いのではないでしょうか。

CoE(センターオブエクセレンス:center of excellence)を直訳すると「優秀な中心」という意味になり、組織を横断する取り組みを継続的におこなう際に中核となる部署や研究拠点のことを指します。

具体的には、他部署との情報交換や技術力の共有などを行うために作られる組織になります。

業界ごとにCoEが指す意味は少しずつ異なりますが、基本的に人材、ノウハウ、ツールなどが集結する組織・グループのことを指します。

人事領域においては「中央の人事機能」を指すことになり、採用のプロ、給与体系構築のプロ、能力開発プログラムデザインのプロなど、各分野における専門家が集う組織となります。

CoEは最近になって人事戦略の一つとしても重要視されており、3ピラーモデルの1つとしても数えられています。

【人事における3ピラーモデル】

CoE
(Center of Excellence)
HRBP
(Human Resource Business Partner)
HRSS
(Human Resource Shared Service)
  • 評価制度、報酬制度などの各制度の構築
  • 研修プログラムやトレーニングの開発
  • 人事システムの設計と開発
  • D&I
  • ビジネスリーダーと事業戦略に沿った人材戦略を立案
  • 人材閃絡に則った採用方針策定
  • 人材育成の計画・実行
  • 給与計算や福利厚生などの業務を担当

上記のCoE、HRBP、HRSSがそれぞれ連携して業績向上、事業拡大を推進していくことで、より優れた組織モデルを目指すことができると考えられています。

2.企業経営にCoEが必要となる理由

それでは、CoEを設置する必要性について、CoEが担うことになる役割を元に解説していきます。

2-1 現場にある知識を管理する

企業によっては、社内の情報について各部門や社員しか保有していない場合も多くあるのではないでしょうか。

しかし、経営者が経営戦略の立案を図るには、現場にある様々な情報を1つに集約する必要があります。

くまなく情報を収集するにためには、社員にどんな情報が必要かを伝えるとともに、社員が持っている情報について経営者が収集できる仕組みを構築しなくてはなりません。

お互いに情報共有をできるようにする調整役としてCoEを置く事で、企業の価値観や戦略を伝達共有することができるようになり、経営戦略も練りやすくなります。

2-2  新しい企画を思考する

社内における情報が集まるCoEは、そのデータをもとに企業の発展につながる企画を立案する必要があります。

主にCoEが担う役割の例として以下のものが挙げられます。

  • 組織機構の変革
  • 事業所の統廃合
  • 分社化や子会社化
  • 販売網や営業力の強化
  • 関連企業や協力企業との関係強化
  • 海外への展開
  • 新製品や新サービスの展開
  • 新技術や設備の導入

ただし、現状は、雇用調整や部署異動、組織機構の変革など内部の施策に留まってしまっているケースも多いようです。

2-3  フィードバック・業務改善をおこなう

CoEは、集積した情報を各部門にフィードバックし、業務改善やモチベーションアップを図ることが大事です。

各部門が最適な形でチャレンジをおこなったり、能力が促進されたりするようにフィードバックをおこなうことで、学習者の内部的動機が高まりやすくなります。

CoEは企業戦略を達成するために企業全体の業務改善を手掛けることになるため、部門最適にならず、組織横断的なマニュアルの整備や不要な業務や分担の見直しなどをおこない、より働きやすい環境作りをおこなっていきます。

2-4  社内イノベーションの促進

企業では、ある分野の深い基礎知識を持ちつつ、他分野にも幅広い知識を身に付けている横断型人材が必要とされています。縦割り組織における横断型人材に、部門の壁を越えた改革が期待されています。

横断型人材を社内で育成するには、ひとつの業務に深く関わったのち、ジョブローテーションで他部署での経験を積ませるなど、幅広い知識が深まるように組織制度を整えることが大事になります。

最近では、T型人材と呼ばれる特定の分野を極めながら、その他の幅広いジャンルに対しても知見を持っている人材の育成を進める企業も多くなっています。

CoEのもとで、このような人材の育成も上手く絡めながら、新しい戦略を練ったり学習をしたりすることで、内部的な成長も期待できるでしょう。(T型人材についてより詳しく知りたい方はこちら

3.CoEを導入するメリットとデメリット

CoEの導入には様々なメリットがあります。しかし、導入方法を間違えると様々なデメリットが降りかかってきます。

本章では、それぞれどんなメリットやデメリットがあるのかを確認していきましょう。

3-1 CoEを導入するメリット

①社内の連携強化

CoEを導入した企業では、社内でデータ活用に向けた体制やルールを整備し、品質管理や総務、法務やシステムなどの部門が管理に携わったという事例があります。

また、各代表者から構成された委員会による新規サービスを多面的にチェックするなど、さまざまな連携を実現しています。

その結果、部門や事業を横断して情報共有するため、複数の部門や事業で共通しているコストを一元化したり技術などをほか部門や事業で利用可能になったり、さまざまな商品やサービスの組み合わせが企画できるようになるといった多くのメリットを生み出します。

②問題解決が容易になる

製品開発では、製品の複雑化と新機能の開発などが課題となります。

高機能な製品を開発するには、製造に関する専門的な知識を持つ人材や部門だけでなく、顧客の求めるニーズを把握し、より良い製品として顧客に届ける方法について考えるマーケティングの人材や部門も必要です。

このような場合に、CoEは横断的な組織が構築され知識を集約させることができるので、先述した問題が解決されやすくなります。

3-2 CoEを導入するデメリット

①CoEメンバーの負担が大きくなりがち

一般的にCoEに所属するメンバーは、通常業務を行いながら並行してCoEとしての活動を進めることになります。

そのため、CoEに任命されたメンバーの業務量は増えることになり、勤務時間の増加などを引き起こすリスクがあります。

②単なる「問い合わせ先」になってしまう可能性がある

CoEの役割や位置づけが一般社員に正しく浸透していない場合、CoEが単なるお問い合わせ先として捉えられてしまうリスクがあります。

CoEの本来の役割は、あらゆるリソースを1か所に集約し、必要な情報を各部門にフィードバックすることや業務プロセスを構築することにあります。

本来、経営戦略策定や業務効率化を実現するための生産的な組織であるCoE が、困ったときの相談先としての機能しか持たなくなるのは本末転倒です。

そのため、CoE の設置と同時に、全社員が正しくCoEの役割を理解できるような環境を構築することも重要です。

4.CoEを導入する際に必要なこと

それでは、CoEを導入するにはどのようにしたら良いでしょうか。

CoEを導入する際は部門や支社を超えた連帯が必要になりますが、最後にCoEの導入にはどのような準備が必要となるか具体的に解説します。

4-1 意見交流の場を作る

交流の場を設けると、課題解決力が高まります。

また、その交流の前に課題やテーマを事前に決めておくと、メンバーがそれぞれで情報を収集します。

そうすることで、意見の交流を実施する際各自それらの情報を提示すると、課題解決につながりやすくなります。

4-2 企業内のチェック機能を見直す

チェック機能を上手く扱う事でCoEの意見を取り入れやすくなります。

それを上手く使うことにより、一人ひとりが現業務にて、どのような状況にあるかを把握しやすくなります。

不明な箇所があれば直接社員へヒアリングを行うようにしましょう。

4-3 組織における理想の人材像の定義とスキルマップの策定

理想の人材像の定義は、CoEを含む全部署の人物像となります。

組織における理想の人物像を定義した後に、まずは現状とのギャップを整理していきます。そして、組織単位で不足しているスキルや人物像を把握することで、教育方針を策定し不足しているスキルを補完していきます。

理想の人物像を定義する際には、あるべきスキルと、なくてはならないスキル、あると良いスキル、というように段階によるスキルマップと人物像の定義が必要です。

なくてはならないスキルが不足している場合には、教育を急務で行うなど優先順位付けを行う準備を進めていきましょう。

4-4 キャリアマップの策定

上で行ったスキルマップの策定から必要なスキルを全て洗い出しポジション別、階層別のマップとして整理をおこないます。

その後、メンバーのスキルをスキルマップに当て込み現状とのギャップを埋める教育方針の策定を進めましょう。

キャリアマップについては、定期的な見直しが必要です。人材育成が進み全体の底上げがあった場合や、理想の人物像に変化があった場合などには都度変更します。

4-5 教育方針の策定

最後に、作成したキャリアマップと、現在のスキルとのギャップをもとに教育方針の立案を実施します。

不足しているスキルの中で、なくてはならないスキルがある場合には、最優先でスキル習得に取り組む必要があります。

このようにスキルマップを元にスキルを精査し、スキルの習得を優先して進めます。

いつまでに、どのような形でスキル習得を行うかの計画も含めて教育方針を策定しますが、注意すべきことがあります。そもそも、必要としているスキル、人物像が非現実的になっていないかという点です。

こうしたことがないように、人物像の定義から確認しておきましょう。

4-6 色々な人材を取り入れる

性別や国籍、年齢などに制限をかけず、さまざまな人材を受け入れる環境も不可欠です。ダイバーシティを推進するためには、自社の働き方改革も必要でしょう。

このように多彩な人材が入りやすい企業づくりも、CoEに求められます。

5.まとめ

本記事ではCoEについて解説してきました。

CoEを導入することでスキルの持ち腐れをすることが少なくなり最大限の力を発揮することが可能です。また今まで交流のなかった部署との交流なども広がり、これまでに解決できなかった問題や新たな発見があるかもしれません。

本記事を参考に、ぜひ導入を検討してみてください。

 

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